
中学校学習指導要領解説
平成20年7月
文部科学省
目次
第1章 総説 ………………………………………………………………………… 1
1 改訂の経緯 ………………………………………………………………… 1
2 改訂の基本方針 …………………………………………………………… 3
3 改訂の要点 ………………………………………………………………… 5
第2章 教育課程の基準 …………………………………………………………… 10
第1節 教育課程の意義 ………………………………………………………… 10
第2節 教育課程に関する法制 ………………………………………………… 12
1 教育課程とその基準 ……………………………………………………… 12
2 教育課程に関する法令 …………………………………………………… 13
第3章 教育課程の編成及び実施 ………………………………………………… 16
第1節 教育課程編成の一般方針 ……………………………………………… 16
1 教育課程編成の原則 ……………………………………………………… 16
2 道徳教育 …………………………………………………………………… 23
3 体育・健康に関する指導 ………………………………………………… 29
第2節 内容等の取扱いに関する共通的事項 ………………………………… 32
1 各教科等の内容の共通的取扱い ………………………………………… 32
2 複式学級の場合の教育課程編成の特例 ………………………………… 34
3 その他の教育課程編成の特例 …………………………………………… 35
4 選択教科を開設する際の留意事項 ……………………………………… 40
第3節 授業時数等 ……………………………………………………………… 44
1 各教科等の年間授業時数 ………………………………………………… 44
2 年間の授業週数 …………………………………………………………… 47
3 特別活動の授業時数 ……………………………………………………… 48
4 授業の1単位時間 ………………………………………………………… 49
5 時間割の弾力的な編成 …………………………………………………… 51
6 年間授業日数 ……………………………………………………………… 52
7 総合的な学習の時間の実施による特別活動の代替 …………………… 53
第4節 指導計画の作成 ………………………………………………………… 56
1 各教科等及び各学年相互間の関連 ……………………………………… 57
2 指導内容のまとめ方や重点の置き方 …………………………………… 58
第5節 教育課程実施上の配慮事項 …………………………………………… 60
1 生徒の言語環境の整備と言語活動の充実 ……………………………… 60
2 体験的・問題解決的な学習及び自主的,自発的な学習
の促進 …………………………………………………………………… 64
3 生徒指導の充実 …………………………………………………………… 66
4 進路指導の充実 …………………………………………………………… 68
5 ガイダンスの機能の充実 ………………………………………………… 69
6 見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動の重視 ……………… 71
7 指導方法や指導体制の工夫改善など個に応じた指導の
充実 …………………………………………………………………………… 72
8 障害のある生徒の指導 …………………………………………………… 75
9 海外から帰国した生徒や外国人の生徒の指導 ………………………… 78
10 情報教育の充実,コンピュータ等や教材・教具の活用 ……………… 80
11 学校図書館の利活用 ……………………………………………………… 82
12 指導の評価と改善 ………………………………………………………… 83
13 部活動の意義と留意点等 ………………………………………………… 84
14 家庭や地域社会との連携及び学校相互の連携や交流 ………………… 86
第4章教育課程編成の手順と評価 ………………………………………………… 89
第1節教育課程の編成の手順 …………………………………………………… 89
1 教育課程の編成の手順 …………………………………………………… 89
2 学校の教育目標の設定 …………………………………………………… 92
第2節教育課程の評価 …………………………………………………………… 93
1 学校評価における教育課程の評価 ……………………………………… 93
2 教育課程の改善 …………………………………………………………… 95
(資料) 学習指導要領等の改訂の経過 …………………………………………… 97
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第1章総説
1 改訂の経緯
21世紀は,新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われている。このような知識基盤社会化やグローバル化は,アイディアなど知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させる一方で,異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。このような状況において,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことがますます重要になっている。
他方,OECD(経済協力開発機構)のPISA調査など各種の調査からは,我が国の児童生徒については,例えば,
@ 思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題,知識・技能を活用する問題に課題,
A 読解力で成績分布の分散が拡大しており,その背景には家庭での学習時間などの学習意欲,学習習慣・生活習慣に課題,
B 自分への自信の欠如や自らの将来への不安,体力の低下といった課題,が見られるところである。
このため,平成17年2月には,文部科学大臣から,21世紀を生きる子どもたちの教育の充実を図るため,教員の資質・能力の向上や教育条件の整備などと併せて,国の教育課程の基準全体の見直しについて検討するよう,中央教育審議会に対して要請し,同年4月から審議が開始された。この間,教育基本法改正,学校教育法改正が行われ,知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第1号)とともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等及び学習意欲を重視し(学校教育法第30条第2項),学校教育においてはこれらを調和的にはぐくむことが必要である旨が法律上規定されたところである。中央教育審議会においては,このような教育の根本にさかのぼった法改正を踏まえた審議が行われ,2年10か月にわたる審議
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の末,平成20年1月に「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」答申を行った。
この答申においては,上記のような児童生徒の課題を踏まえ,
@ 改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂
A 「生きる力」という理念の共有
B 基礎的・基本的な知識・技能の習得
C 思考力・判断力・表現力等の育成
D 確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保
E 学習意欲の向上や学習習慣の確立
F 豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実
を基本的な考え方として,各学校段階や各教科等にわたる学習指導要領の改善の方向性が示された。
具体的には,@については,教育基本法が約60年振りに改正され,21世紀を切り拓ひらく心豊かでたくましい日本人の育成を目指すという観点から,これからの教育の新しい理念が定められたことや学校教育法において教育基本法改正を受けて,新たに義務教育の目標が規定されるとともに,各学校段階の目的・目標規定が改正された
ことを十分に踏まえた学習指導要領改訂であることを求めた。Bについては,読み・書き・計算などの基礎的・基本的な知識・技能は,例えば,小学校低・中学年で体験的な理解や繰り返し学習を重視するなど,発達の段階に応じて徹底して習得させ,学習の基盤を構築していくことが大切との提言がなされた。この基盤の上に,Cの思考力・判断力・表現力等をはぐくむために,観察・実験,レポートの作成,論述など知識・技能の活用を図る学習活動を発達の段階に応じて充実させるとともに,これらの学習活動の基盤となる言語に関する能力の育成のために,小学校低・中学年の国語科において音読・暗唱,漢字の読み書きなど基本的な力を定着させた上で,各教科等において,記録,要約,説明,論述といった学習活動に取り組む必要があると指摘した。また,Fの豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実については,徳育や体育の充実のほか,国語をはじめとする言語に関する能力の重視や体験活動の充実により,他者,社会,自然・環境とかかわる中で,これらとと
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もに生きる自分への自信をもたせる必要があるとの提言がなされた。
この答申を踏まえ,平成20年3月28日に学校教育法施行規則を改正するとともに,幼稚園教育要領,小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領を公示した。中学校
学習指導要領は,平成21年4月1日から移行措置として数学,理科等を中心に内容を前倒しして実施するとともに,平成24年4月1日から全面実施することとしている。
2 改訂の基本方針
今回の改訂は,教育基本法や学校教育法等の規定にのっとり,前述の中央教育審議会答申を踏まえ,次の方針に基づき行った。
@ 教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成すること。
平成8年7月の中央教育審議会答申(「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」)は,変化の激しい社会を担う子どもたちに必要な力は,基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと,自ら課題を見つけ自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力,自らを律しつつ,他人とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力などの「生きる力」であると提言した。今回の改訂においては,生きる力という理念は,知識基盤社会の時代においてますます重要となっていることから,これを継承し,生きる力を支える確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和のとれた育成を重視している。
このため,総則の「教育課程編成の一般方針」として,引き続き「各学校において,生徒に生きる力をはぐくむことを目指」すこととし,生徒の発達の段階を考慮しつつ,知・徳・体の調和のとれた育成を重視することが示された。
また,教育基本法改正により,教育の理念として,新たに,公共の精神を尊ぶこと,環境の保全に寄与すること,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんでき
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た我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与することが規定されたことなどを踏まえ,内容の充実を行った。
A 知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視すること。
確かな学力を育成するためには,基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させること,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむことの双方が重要であり,これらのバランスを重視する必要がある。
このため,各教科において基礎的・基本的な知識・技能の習得を重視するとともに,観察・実験やレポートの作成,論述など知識・技能の活用を図る学習活動を充実すること,さらに総合的な学習の時間を中心として行われる,教科等の枠を超えた横断的・総合的な課題について各教科等で習得した知識・技能を相互に関連付けながら解決するといった探究活動の質的な充実を図ることなどにより思考力・判断力・表現力等を育成することとしている。また,これらの学習を通じて,その基盤となるのは言語に関する能力であり,国語科のみならず,各教科等においてその育成を重視している。さらに,学習意欲を向上させ,主体的に学習に取り組む態度を養うとともに,家庭との連携を図りながら,学習習慣を確立することを重視している。
以上のような観点から,国語,社会,数学,理科及び外国語の授業時数を増加した。
B 道徳教育や体育などの充実により,豊かな心や健やかな体を育成すること。
豊かな心や健やかな体を育成することについては,家庭や地域の実態(教育力の低下)を踏まえ,学校における道徳教育や体育などの充実を重視している。
このため,道徳教育については,道徳の時間を要として学校の教育活動全体かなめを通じて行うものであることを明確化した上で,発達の段階に応じた指導内容の
重点化や体験活動の推進,道徳教育推進教師(道徳教育の推進を主に担当する教
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師)を中心に全教師が協力して道徳教育を展開することの明確化,先人の伝記, 自然,伝統と文化,スポーツなど生徒が感動を覚える教材の開発と活用などにより充実することを示している。また,体育については,3学年を通じて保健体育の授業時数を増加し,生涯にわたって運動やスポーツを豊かに実践していくことと体力の向上に関する指導の充実を図るとともに,心身の健康の保持増進に関する指導に加え,学校における食育の推進や安全に関する指導を総則に新たに規定するなどの改善を行った。
3 改訂の要点
(1) 学校教育法施行規則改正の要点
学校教育法施行規則では,教育課程編成の基本的な要素である各教科等の種類や授業時数等について規定している。今回は,これらの規定について次のような改正を行った。
ア 今回の改正においては,選択教科について,必修教科の教育内容や授業時数を増加することにより教育課程の共通性を高める必要があることから,学校教育法施行規則第73条等で規定する標準授業時数の枠外で各学校において開設し得ることした。このため,今回,同規則第72条を改正し,中学校の教育課程は,「必修教科,選択教科,道徳,特別活動及び総合的な学習の時間」によって編成すると規定していたのを,「国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語の各教科,道徳,総合的な学習の時間並びに特別活動」と改正した。その上で,従来,同規則第73条及び別表第2において選択教科に充てる授業時数が規定されていたが,今回の改正により選択教科の授業時数は同条及び同表に規定する標準授業時数の枠外とした。
イ 各学年の年間総授業時数については,従来よりも,第1学年から第3学年を通じ年間35単位時間増加することとした。また,各学年の各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動ごとの授業時数については,各教科における基礎的・基本的な知識・技能の習得やそれらの活用を図る学習活動を充実する観点から,国語,社会,
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数学,理科,外国語等の授業時数を増加する一方,総合的な学習の時間についてはその授業時数を縮減するとともに,アのとおり,選択教科については標準授業時数の枠外で各学校において開設し得ることとした。
ウ 構造改革特別区域研究開発学校設置事業(いわゆる「特区研発」)は,構造改革特別区域制度の一つとして,平成15年度から,内閣総理大臣の認定により,新たな教科の創設など学習指導要領によらない教育課程の編成・実施が可能となる仕組みとして開始された。今回の学校教育法施行規則の改正においては,「構造改革特別区域基本方針」(平成18年4月)を踏まえ,同様の特例措置を内閣総理大臣が認定する手続きを経なくても文部科学大臣の指定により実施することを可能にしたものである(学校教育法施行規則第55条の2。同規則第79条で中学校に準用)。
なお,あらかじめ文部科学省が示した研究課題等を踏まえて申請を行った学校について,文部科学大臣が学習指導要領によらない教育課程の編成・実施を認め,その実践研究を通して学習指導要領等の改善に資する実証的資料を得るための仕組みとして,昭和51年度から開始されている「研究開発学校制度」(学校教育法施行規則第55条。同規則第79条で中学校に準用)は,引き続き継続し,その活用を図ることとしている。
(2)「総則」の改善の要点
総則については,今回の改訂の趣旨が教育課程の編成や実施に生かされるようにする観点から改善を行った。また,選択教科は標準授業時数の枠外で各学校において開設し得ることとしたことを踏まえ,選択教科については「内容等の取扱いに関する共通的事項」において定めるとともに,これまで総則に規定してきた「総合的な学習の
時間」は第4章として規定することとしたので,「教育課程編成の一般方針」,「内容等の取扱いに関する共通的事項」,「授業時数等の取扱い」及び「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の四本の柱を立てて構成することとした。
ア 教育課程編成の一般方針
教育課程編成の原則,道徳教育及び体育・健康に関する指導の三本柱の構成は従前どおりとし,今回の改訂の趣旨を生かす観点から,次のような改善を行った。
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(ア) 今回の改訂の趣旨が生かされるよう,各学校において,生徒に生きる力をはぐくむことを目指し,基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習に取り組む態度を養うことに努めることとした。また,その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮しなければならないこととした。
(イ) 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の重要性を強調し,その一層の充実を図るため,引き続き道徳教育の全体の目標を総則において掲げることとし,次の三点の改善を図った。第一に,道徳教育は,道徳の時間を要として学校の教育活動全かなめ体を通じて,生徒の発達の段階を考慮して行うものであることを明確にした。第二に,改正教育基本法を踏まえ,道徳教育の目標として,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し,公共の精神を尊び,他国を尊重し国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献する主体性ある日本人を育成することを追加した。第三に,中学校段階の道徳教育においては,発達の段階を踏まえ,人間としての生き方についての自覚など道徳性の育成に資する体験活動として職場体験活動を追加するとともに,特に生徒が自他の生命を尊重し,規律ある生活ができ,自分の将来を考え,法やきまりの意義の理解を深め,主体的に社会の形成に参画し,国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けるようにすることなどを重視することとした。
(ウ) 体育・健康に関する指導については,新たに学校における食育の推進及び安全に関する指導を加え,発達の段階を考慮して,食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導を,保健体育科の時間はもとより,技術・家庭科,特別活動などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めることとした。
イ 内容等の取扱いに関する共通的事項
従来,学校教育法施行規則第73条及び別表第2において選択教科に充てる授業時数が規定されていたが,選択教科については,必修教科の教育内容や授業時数を増加す
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ることにより教育課程の共通性を高める必要があることから,同条等で規定する標準授業時数の枠外で各学校において開設し得ることした。このため,今回の改訂においては,「必修教科,道徳及び特別活動の内容等の取扱い」及び「選択教科の内容等の取扱い」という二つの柱立てを統合し,「内容等の取扱いに関する共通的事項」とした。
ウ 授業時数等の取扱い
年間授業週数については,35週以上にわたって行うよう計画するとの規定は現行どおりとするが,夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め,各教科等の授業を特定の期間に行うことができることをより明確に示した。また,各学校においては,地域や学校及び生徒の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創意工夫を生かした時間割を弾力的に編成できることを示した。さらに,各教科等の授業の1単位時間は,各学年及び各教科等の年間授業時数を確保しつつ,生徒の発達の段階及び各教科等の学習活動の特質を考慮して,引き続き,各学校において定めることを前提に,教科担任制である中学校については,特に,「10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において,当該教科を担当する教師がその指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは,その時間を当該教科の年間授業時数に含めることができる」との規定を置いた。
これらは,各学校が創意工夫を生かした時間割を編成することができるよう,授業時数の運用の一層の弾力化を図ったものである。
また,総合的な学習の時間において体験活動を行う場合であって,当該学習活動により特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる旨規定した。
エ 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
今回の改訂の趣旨が実際の指導において生かされるようにするため,指導計画の作成や教育課程の実施における配慮事項を示した。
@ 生徒の言語活動の充実
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今回の改訂においては,言語活動の充実を重視している。このため,配慮事項として,各教科等の指導に当たっては,生徒の思考力・判断力・表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識・技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語活動の充実が必要であることを示した。
A 見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動の重視
各教科等の指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるように工夫することを示した。
B 障害のある生徒の指導
障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うことが重要であることを示した。また,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設けることを規定した。
C 情報教育の充実
中学校における各教科等の指導に当たっては,情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするための学習活動を充実することを示した。
D 部活動の意義と留意点
教育課程外の学校教育活動である部活動について,その意義とともに,教育課程との関連が図られるように留意することや運営上の工夫を行うことなどを示した。
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第2章教育課程の基準
第1節教育課程の意義
教育課程の意義については,様々なとらえ方があるが,学校において編成する教育課程とは,学校教育の目的や目標を達成するために,教育の内容を生徒の心身の発達に応じ,授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画であると言うことができる。
学校において編成する教育課程をこのようにとらえた場合,学校の教育目標の設定,指導内容の組織及び授業時数の配当が教育課程の編成の基本的な要素になってくる。
学校教育の目的や目標は教育基本法及び学校教育法に示されている。まず,教育基本法においては,教育の目的(第1条)及び目標(第2条)が定められているとともに,義務教育の目的(第5条第2項)や学校教育の基本的役割(第6条第2項)が定められている。これらの規定を踏まえ,学校教育法においては,義務教育の目標(第21条)や中学校の目的(第45条)及び目標(第46条)に関する規定がそれぞれ置かれている。したがって,各学校において学校の教育目標を設定するに当たっては,法律で定められている教育の目的や目標などを基盤としながら,地域や学校の実態に即した教育目標を設定する必要がある。
各学校における具体的な指導内容については,これらの規定を踏まえ,学校教育法施行規則及び中学校学習指導要領に各教科等の種類やそれぞれの目標,指導内容等についての基準を示している。すなわち,学校教育法施行規則においては,教育課程は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語の各教科,道徳,総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成することとしている。また,学習指導要領においては,各教科等の指導内容を学年段階に即して示している。各学校においては,これらの基準に従うとともに地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階と特性を考慮して指導内容を組織する必要がある。
授業時数は,教育の内容との関連において定められるべきものであるが,学校教育は一定の時間内において行わなければならないので,その配当は教育課程の編成上重
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要な要素になってくる。授業時数については,学校教育法施行規則に各教科等の標準授業時数を定めているので,各学校はそれを踏まえ授業時数を定めなければならない。
以上のことを要約すれば,学校において編成する教育課程は,教育基本法や学校教育法をはじめとする教育課程に関する法令に従い,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動についてそれらの目標やねらいを実現するよう教育の内容を学年に応じ,授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画である。
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第2節教育課程に関する法制
1 教育課程とその基準
学校教育が組織的,継続的に実施されるためには,学校教育の目的や目標を設定し,その達成を図るための教育課程が編成されなければならない。
中学校は義務教育であり,また,公の性質を有する(教育基本法第6条第1項)ものであるから,全国的に一定の教育水準を確保し,全国どこにおいても同水準の教育を受けることのできる機会を国民に保障することが要請される。このため,中学校教育の目的や目標を達成するために学校において編成,実施される教育課程について,国として一定の基準を設けて,ある限度において国全体としての統一性を保つことが必要となる。
一方,教育は,その本質からして地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性に応じて効果的に行われることが大切であり,また,各学校において教育活動を効果的に展開するためには,学校や教師の創意工夫に負うところが大きい。
このような観点から,今回の中学校学習指導要領の改訂においては引き続き各学校が一層創意工夫を生かし特色ある教育活動を進めることができるようにしている。例えば,学習指導要領に示している内容は,すべての生徒に対して確実に指導しなければならないものであると同時に,個に応じた指導を充実する観点から,生徒の学習状況などその実態等に応じて,学習指導要領に示していない内容を加えて指導することも可能である点(学習指導要領の「基準性」)は前回の学習指導要領と同様である。また,教科の特質に応じ目標や内容を複数学年まとめて示したり,授業の1単位時間や授業時数の弾力的な運用を可能としたりしているほか,総合的な学習の時間におけ
る各学校の創意工夫を重視しているといった点に変更はない。
したがって,各学校においては,国として統一性を保つために必要な限度で定められた基準に従いながら,創意工夫を加えて,地域や学校及び生徒の実態に即した教育課程を責任をもって編成,実施することが必要である。
また,教育委員会は,それらの学校の主体的な取組を支援していくことに重点を置
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くことが大切である。
2 教育課程に関する法令
我が国の学校制度は,日本国憲法の精神にのっとり,学校教育の目的や目標及び教育課程について,法令で種々の定めがなされている。
(1) 教育基本法
教育の目的(第1条),教育の目標(第2条),生涯学習の理念(第3条),教育の機会均等(第4条),義務教育(第5条),学校教育(第6条),私立学校(第8条),教員(第9条),幼児期の教育(第11条),学校,家庭及び地域住民等の相互の連携協力(第13条),政治教育(第14条),宗教教育(第15条),教育行政(第16条),教育振興基本計画(第17条)などについて定められている。
(2) 学校教育法,学校教育法施行規則
学校教育法では,教育基本法において教育の目的及び目標並びに義務教育の目的が規定されたことを踏まえ,義務教育の目標が10号にわたって規定された(第21条)。その上で,中学校の目的について「小学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,義務教育として行われる普通教育を施す」(第45条)とするとともに,中学校教育の目標として,中学校の「目的を実現するため,第21条各号に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。」(第46条)と定められている。また,第49条の規定により中学校に準用される第30条第2項は,「前項の場合においては,生涯にわたり学習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を養うことに,特に意を用いなければならない。」と規定している。さらに,これらの規定に従い,文部科学大臣が中学校の教育課程の基準を定めることになっている(第48条)。
なお,教育基本法第2条(教育の目標),学校教育法第21条(義務教育の目標)及び第46条(中学校教育の目標)は,いずれも「目標を達成するよう行われるものとする。」と規定している。これらは,生徒が目標を達成することを義務付けるも
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のではないが,教育を行う者は「目標を達成するよう」に教育を行う必要があることに留意する必要がある。
この学校教育法の規定に基づいて,文部科学大臣は,学校教育法施行規則において,中学校の教育課程に関するいくつかの基準を定めている。すなわち,中学校の教育課程は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語の各教科,道徳,総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成すること(第72条)や,各学年における各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの年間の標準授業時数並びに各学年における年間の標準総授業時数(第73条の別表第2)などを定めている。これらの定めのほか,中学校の教育課程については,教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する中学校学習指導要領によらなければならないこと(第74条)を定めている。
(3) 学習指導要領
学校教育法第48条及び学校教育法施行規則第74条の規定に基づいて,文部科学大臣は中学校学習指導要領を告示という形式で定めている。このように学習指導要領は,中学校教育について一定の水準を確保するために法令に基づいて国が定めた教育課程の基準であるので,各学校の教育課程の編成及び実施に当たっては,これに従わなければならないものである。
なお,前述のとおり,学習指導要領の「基準性」は前回の学習指導要領と同様である。また,教科の特質に応じ目標や内容を複数学年まとめて示したり,授業の1単位時間や授業時数の弾力的な運用を可能としたりするとともに,総合的な学習の時間における各学校の創意工夫を重視しているといった点に変更はない。さらに,全体としては従前と同様に,学習指導要領に示す教科等の目標,内容等は中核的な事項にとどめており,大綱的なものとなっているので,学校や教師の創意工夫を加えた学習指導が十分展開できるようになっている。
(4) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律
公立の中学校においては,以上のほか,地方教育行政の組織及び運営に関する法律による定めがある。すなわち,教育委員会は,学校の教育課程に関する事務を管理,執行し(第23条第5号),法令又は条例に違反しない限度において教育課程について
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必要な教育委員会規則を定めるものとする(第33条第1項)とされている。この規定に基づいて,教育委員会が教育課程について規則などを設けている場合には,学校はそれに従って教育課程を編成しなければならない。
なお,私立の中学校については,学校教育法(第49条の規定により中学校に準用される第44条)及び私立学校法(第4条)の規定により,都道府県知事が所轄庁であり,教育課程を改める際には都道府県知事に対して学則変更の届出を行うこととなっている(学校教育法施行令第27条の2)。また,平成19年6月に公布された地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正により,都道府県知事が私立学校に関する事務を管理,執行するに当たり,必要と認めるときは,当該都道府県教育委員会に対し,学校教育に関する専門的事項について助言又は援助を求めることができることとなった(第27条の2)。
各学校においては,以上の法体系の全体を理解して適切な教育課程を編成する必要がある。
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第3章教育課程の編成及び実施
学習指導要領第1章総則においては,教育課程の編成,実施について各教科等にわたる通則的事項を示している。したがって,各学校においては,総則に示されている事項に従い,創意工夫を加えて教育課程を編成し,実施する必要がある。
第1節教育課程編成の一般方針
学習指導要領第1章総則の第1の教育課程編成の一般方針においては,教育課程編成の基本的な仕組みを示すとともに,教育課程の編成において特に配慮する必要のある事項について示している。
1 教育課程編成の原則(第1章第1の1)
1 各学校においては, 教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い, 生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して, 適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。
学校の教育活動を進めるに当たっては, 各学校において, 生徒に生きる力をはぐくむことを目指し, 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で, 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ, これらを活用して課題を解決するために必要な思考力, 判断力, 表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。その際, 生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動を充実するとともに, 家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。
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(1) 教育課程の編成の主体
教育課程の編成主体については,学習指導要領第1章総則第1の1において「各学
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校においては,・・・・適切な教育課程を編成するものとし」と示している。今回の改訂においても,「創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する」ことが示され,教育課程編成における学校の主体性を発揮する必要性が引き続き強調されている。
学校において教育課程を編成するということは,学校教育法において「校長は,校務をつかさどり,所属職員を監督する。」(同法第49条の規定により中学校に準用される第37条第4項)と規定されていることから,学校の長たる校長が責任者となって編成するということである。これは権限と責任の所在を示したものであり,学校は組織体であるから,教育課程の編成作業は,当然ながら全教職員の協力の下に行わなければならない。「総合的な学習の時間」をはじめとして,創意工夫を生かした教育課程を各学校で編成することが求められており,学級や学年の枠を超えて教師同士が連携協力することがますます重要となっている。
各学校には,校長,教頭のほかに教務主任をはじめとして各主任等が置かれ,それらの担当者を中心として全教職員がそれぞれ校務を分担処理している。各学校の教育課程は,これらの学校の運営組織を生かし,各教職員がそれぞれの分担に応じて十分研究を重ねるとともに教育課程全体のバランスに配慮しながら,創意工夫を加えて編成することが大切である。また,校長は,学校全体の責任者として指導性を発揮し,家庭や地域社会との連携を図りつつ,学校として統一のあるしかも一貫性をもった教育課程の編成を行うように努めることが必要である。
なお,今回の改訂において,「各学校においては,・・・・適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。」との記述が追加された。これは,前述のとおり,教育基本法第2条(教育の目標),学校教育法第21条(義務教育の目標)及び第46条(中学校教育の目標)は,いずれも「目標を
達成するよう行われるものとする。」と規定していることを踏まえたものである。本項においても,「目標を達成するよう」という規定振りであることから,教育基本法第2条と同様,生徒が目標を達成することを義務付けるものではないが,今回の改訂により,各学校は,教育基本法,学校教育法及び学習指導要領に掲げる目標を達成するよう教育を行う必要があることが明確になった。
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(2) 教育課程の編成の原則
ア 教育基本法及び学校教育法その他の法令並びに学習指導要領の示すところに従うこと
学校において編成される教育課程については,公教育の立場から教育基本法及び学校教育法その他の法令により種々の定めがなされているので,これらの法令に従って編成しなければならない。
学習指導要領第1章総則第1の1において,「各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,・・・・適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。」と示している。
この「教育基本法及び学校教育法その他の法令」とは,第2章第2節「教育課程に関する法制」で説明したとおり,教育基本法,学校教育法,学校教育法施行規則,地方教育行政の組織及び運営に関する法律等である。
なお,学校における政治教育及び宗教教育については,教育基本法に次のように規定されているので,各学校において教育課程を編成,実施する場合にも当然これらの規定に従わなければならない。
(政治教育)
第14条良識ある公民として必要な政治的教養は,教育上尊重されなければならない。
2 法律に定める学校は,特定の政党を支持し,又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
(宗教教育)
第15条宗教に関する寛容の態度,宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は,教育上尊重されなければならない。
2 国及び地方公共団体が設置する学校は,特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
次に,「この章以下に示すところ」とは,言うまでもなく学習指導要領を指している。
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学習指導要領は,学校教育法第48条を受けた学校教育法施行規則第74条において「中学校の教育課程については,この章に定めるもののほか,教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する中学校学習指導要領によるものとする。」と示しているように,法令上の根拠に基づいて定められているものである。したがって,学習指導要領は,国が定めた教育課程の基準であり,各学校における教育課程の編成及び実施に当たって基準として従わなければならないものである。
教育課程は,地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性等を考慮し,教師の創意工夫を加えて学校が編成するものである。教育課程の基準もその点に配慮して定められているので,教育課程の編成に当たっては,法令や学習指導要領の内容について十分理解するとともに創意工夫を加え,学校の特色を生かした教育課程を編成することが大切である。
イ 生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階と特性等を十分考慮すること
学習指導要領第1章総則第1の1においては「各学校においては,・・・・生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。」と示している。
「生徒の人間として調和のとれた育成を目指」すということは,まさに学校教育の目的そのものであって,教育課程の編成もそれを目指して行わなければならない。特に今回の改訂においては,教育基本法に義務教育の目的(第5条第2項),学校教育法に義務教育の目標(第21条)がそれぞれ規定されたことを踏まえ,義務教育9年間を見通して,発達の段階に応じた小学校教育と中学校教育の連続性の確保を重視していることに留意する必要がある。
次に,地域や学校の実態を考慮するということは,各学校において教育課程を編成する場合には,地域や学校の実態を的確に把握し,生徒の人間として調和のとれた発達を図るという観点から,それを学校の教育目標の設定,指導内容の組織あるいは授業時数の配当などに十分反映させる必要があるということである。
(ア) 地域の実態
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今回の教育基本法改正により,同法に「学校,家庭及び地域住民その他の関係者は,教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに,相互の連携及び協力に努めるものとする。」との規定(第13条)が置かれた。また,学校教育法には,「中学校は,当該中学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めると
ともに,これらの者との連携及び協力の推進に資するため,当該中学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。」と定められた(第49条の規定により中学校に準用される第43条)。これらの規定が示すとおり,学校は地域社会を離れては存在し得ないものであり,生徒は家庭や地域社会で様々な経験を重ねて成長している。
地域には,都市,農村,山村,漁村など生活条件や環境の違いがあり,産業,経済,文化等にそれぞれ特色をもっている。このような学校を取り巻く地域社会の実情を十分考慮して教育課程を編成することが大切である。とりわけ,学校の教育目標や指導内容の選択に当たっては,地域の実態を考慮することが大切である。そのためには,地域社会の現状はもちろんのこと,歴史的な経緯や将来への展望など,広く社会の変化に注目しながら地域社会の実態を十分分析し検討して的確に把握することが必要である。また,地域の教育資源や学習環境(近隣の学校,社会教育施設,生徒の学習に協力することのできる人材等)の実態を考慮し,教育活動を計画することが必要である。
なお,学校における教育活動が学校の教育目標に沿って一層効果的に展開されるためには,家庭や地域社会と学校との連携を密にすることが必要である。すなわち,学校の教育方針や特色ある教育活動の取組,生徒の状況などを家庭や地域社会に説明し,理解を求め協力を得ること,学校が家庭や地域社会からの要望に応えることが大切であり,このような観点から,その積極的な連携を図り,相互の意思の疎通を図って,それを教育課程の編成,実施に生かしていくことが大切である。
(イ) 学校の実態
学校規模,教職員の状況,施設設備の状況,生徒の実態などの人的,物的条件の実態は学校によって異なっている。
教育課程の編成に際しては,このような学校のもつ条件が密接に関連してくるので,
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効率的な教育活動を実施するためには,これらの条件を十分考慮することが大切である。そのためには,これらの条件を客観的に把握しなければならないが,特に,生徒の特性や教職員の構成,教師の指導力,教材・教具の整備状況,地域住民による協力体制の整備状況などについて分析し,教育課程の編成に生かすことが必要である。
(ウ) 生徒の心身の発達の段階や特性等
これは,各学校において教育課程を編成する場合には,生徒の調和のとれた発達を図るという観点から,生徒の心身の発達の段階と特性等を十分把握して,これを教育課程の編成に反映させることが必要であるということを強調したものである。
中学校段階は小学校段階と比べ心身の発達上の変化が著しく,また,生徒の能力・適性,興味・関心等の多様化が一層進展するとともに,内面的な成熟へと進み,性的にも成熟し,知的な面では抽象的,論理的思考が発達するとともに社会性なども発達してくる。また,年齢的には12歳から15歳までという,成長が著しい時期に当たるので,学年による生徒の発達の段階の差異にも留意しなければならない。各学校においては,このような生徒の発達の段階を的確に把握し,これに応じた適切な教育を展開することができるよう十分に配慮することが必要である。
一方,特に小学校の高学年からは,個々の児童生徒の発達の個人差も目立つ時期であり,また,中学校段階は,自我意識が高まるとともに個性が多様化してくる時期である。したがって,教育課程の編成に当たっては,生徒の一般的な心身の発達に即しながら,個々の生徒についての発達の差異や,能力・適性,興味・関心や性格,さらには進路などの違いにも注目していくことが大切である。各学校においては,生徒の発達の過程を的確にとらえるとともに,個々の生徒の特性や課題について十分配慮して,適切な教育課程を編成することが必要である。
(3) 生きる力をはぐくむ各学校の特色ある教育活動の展開
学習指導要領第1章総則第1の1の後段に「学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,生徒に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力を
はぐくむとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かす教育の充実に
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努めなければならない。その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。」ことを示している。「生きる力」とは,平成8年7月の中央教育審議会答申において,基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと,自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力,自らを律しつつ,他人とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力などであると指摘されている。今回の改訂においても,「生徒に生きる力をはぐくむことを目指す」と規定しているのは,@新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社会」の時代の中で,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する生きる力をはぐくむことがますます重要になっていることや,A改正教育基本法や同法を受けて改正された学校教育法において,知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第1号),基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等,学習意欲(学校教育法第30条第2項)が重視される必要がある旨が法律上規定されたことを受けたものである。
このため,これからの学校教育においては,平成20年1月の中央教育審議会答申でも指摘されているように,@基礎的・基本的な知識・技能の習得,A思考力・判断力・表現力等の育成,B学習意欲の向上や学習習慣の確立,C豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実をバランスよく図ることが求められている。総則第1の1の後段は,このような今回の学習指導要領の改訂の基本方針を教育課程編成,実施の理念として示したものである。
すなわち,@及びAについては,各教科では,基礎的・基本的な知識・技能を習得しつつ,観察・実験をし,その結果をもとにレポートを作成する,文章や資料を読んだ上で,知識や経験に照らして自分の考えをまとめて論述するといったそれぞれの教科の知識・技能の活用を図る学習活動を行い,それを総合的な学習の時間を中心に行われている教科等を横断した課題解決的な学習や探究活動へと発展させることが重要である。これらの学習活動は相互に関連し合っており,截(せつ)然と分類できるものではなく,知識・技能の活用を図る学習活動や総合的な学習
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の時間を中心とした探究活動を通して,思考力・判断力・表現力等がはぐくまれるとともに,知識・技能の活用を図る学習活動や探究活動が知識・技能の習得を促進するなど,実際の学習の過程としては,決して一つの方向で進むだけではないことに留意する必要がある。
Bについては,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,学習内容の習熟の程度に応じた指導など個に応じた指導の充実により分かる喜びを実感したり,観察・実験やレポートの作成,論述などの体験的な学習や知識・技能の活用を図る学習活動,職業や自己の将来に関する学習などを通し学ぶ意義を認識したりすることで学習意欲を高めることが求められる。また,小・中学校を通じ,学習習慣を確立することは極めて重要であり,家庭との連携を図りながら,宿題や予習・復習など家庭での学習課題を適切に課すなど家庭学習も視野に入れた指導を行う必要がある。
Cについては,「第1 教育課程編成の一般方針」の2で道徳教育について,3で体育・健康に関する指導についてそれぞれ示している。
以上のことは創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開することにより,効果的に実現されるものである。各学校においては,これらの趣旨を十分理解し,教育課程の編成,実施に生かすようにしなければならない。
2 道徳教育(第1章第1の2)
2 学校における道徳教育は, 道徳の時間を要(かなめ)として学校の教育活動全体を通じて行うものであり, 道徳の時間はもとより, 各教科, 総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて, 生徒の発達の段階を考慮して, 適切な指導を行わなければならない。
道徳教育は, 教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき, 人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念を家庭, 学校, その他社会における具体的な生活の中に生かし, 豊かな心をもち, 伝統と文化を尊重し, それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し, 個性豊かな文化の創造を図るとともに, 公共の精神を尊び, 民主的な社会及び国家の発展に努め, 他国を尊重し, 国際社会の平和と発展や環境の保全に貢
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献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人を育成するため, その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
道徳教育を進めるに当たっては, 教師と生徒及び生徒相互の人間関係を深めるとともに, 生徒が道徳的価値に基づいた人間としての生き方についての自覚を深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 職場体験活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して生徒の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない。その際, 特に生徒が自他の生命を尊重し, 規律ある生活ができ, 自分の将来を考え, 法やきまりの意義の理解を深め, 主体的に社会の形成に参画し, 国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けるようにすることなどに配慮しなければならない。
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(1) 道徳教育の目標
道徳教育は,豊かな心をもち,人間としての生き方の自覚を促し,道徳性を育成することをねらいとする教育活動であり,社会の変化に主体的に対応して生きていくことができる人間を育成する上で重要な役割をもっている。今日の家庭や地域社会及び学校における道徳教育の現状や生徒の実態などからみて,さらに充実を図ることが強く要請されている。
学校における道徳教育の目標は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,今日的課題を加味して設定されたものである。
道徳教育の目標は,学習指導要領第1章総則第1の2の中段で次のように示している。
「道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,公共の精神を尊び,民主的な社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。」
総則に示されている目標のうち,「伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた
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我が国と郷土を愛」すること,「公共の精神を尊」ぶこと,「他国を尊重」すること,「環境の保全に貢献」することについては,改正教育基本法により新たに規定された理念を踏まえ記述を加えたものである。
道徳教育の目標として盛り込まれている環境の保全などの理念は,地球的視野で考え,様々な課題を自らの問題としてとらえ,身近なところから取り組み,社会の持続可能な発展の担い手として個人を育成することにつながるものであり,その点にも留意して指導が行われることが重要である。
さらに,道徳教育の目標として,学習指導要領第3章道徳の第1目標の前段に,「道徳教育の目標は,第1章総則の第1の2に示すところにより,学校の教育活動全体を通じて,道徳的な心情,判断力,実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。」と示している。
これは,学校の全教育活動を通じて行う道徳教育の目標であり,道徳教育の要(かなめ)の
時間である道徳の時間の目標もこれに基づくとともに,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動などの指導を通じて行う道徳教育も,常にこの目標の実現を目指して行われなければならない。
つまり,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動が,それぞれ固有の目標やねらいの実現を目指しながら,それぞれの特質に応じて適時適切な指導を行い道徳性の育成を図るようにすることが大切であり,今回の改訂においては,この点を明確にする観点から,すべての教科等において,「第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,当該教科等の特質に応じて適切な指導をすること。」との規定を置いた。
(2) 道徳の時間の意義
このような道徳教育の目標を実現するため,学習指導要領第1章総則第1の2の前段において,「学校における道徳教育は,道徳の時間を要(かなめ)として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない。」と示している。
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道徳の時間の目標は,学習指導要領第3章道徳第1目標の後段に,「道徳の時間においては,以上の道徳教育の目標に基づき,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密接な関連を図りながら,計画的,発展的な指導によってこれを補充,深化,統合し,道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方についての自覚を深め,道徳的実践力を育成するものとする。」と示している。道徳の時間は,学校における道徳教育のいわば扇の要(かなめ)となる重要な時間であるが,道徳の時間のみで道徳教育のすべてが行われるものではない。学校の教育活動全体を通じてそれぞれの教育活動の特質に応じて行われる道徳教育と,それらを補充,深化,統合する道徳の時間とがうまく機能することによって,その効果が期待できる。したがって,道徳教育の目標がより効果的に実現されるには,道徳の時間において各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密接に関連を図りながら計画的,発展的に指導を行うことが必要である。
学習指導要領第3章道徳第3において,道徳教育の全体計画と道徳の時間の年間指導計画を作成することを明示している。これは,学校の教育活動全体を通じて行われる道徳教育と道徳の時間との関連を計画の上で具体化することを求めたものであり,このことによって両者の関連を一層緊密にして指導の効果を高めることを意図したものである。
(3) 家庭や地域社会との連携,豊かな体験を通した道徳性の育成及び指導の重点化
学習指導要領第1章総則第1の2の後段においては,「道徳教育を進めるに当たっては,教師と生徒及び生徒相互の人間関係を深めるとともに,生徒が道徳的価値に基づいた人間としての生き方についての自覚を深め,家庭や地域社会との連携を図りながら,職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動などの豊かな体験を通して生徒の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない。その際,特に生徒が自他の生命を尊重し,規律ある生活ができ,自分の将来を考え,法やきまりの意義の理解を深め,主体的に社会の形成に参画し,国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けるようにすることなどに配慮しなければならない。」と示している。
道徳教育は,生徒相互の好ましい人間関係や生徒と教師の信頼関係が確立していな
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ければ実質的な効果は期待できないものであり,この点については日ごろから十分配慮する必要がある。その際,教師は,生徒が人間としての生き方について考えを深められるよう,生徒とともに考え,悩み,感動を共有していくという姿勢で指導に当たることも大切である。
中学生の時期は,人生にかかわる諸問題について関心が高まり,自ら人間らしい生き方を求め始める時期である。したがって,この時期に,人間性についての理解を深め,主体的によりよい人生を築いていくための基礎を学ぶことや,人間としてよりよく生きようとする意欲や態度を育てることなど,人間としての生き方についての自覚を深める学習を行うことは大切である。そして,このような指導は,道徳の時間はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動においても行う必要がある。特に,今回の改訂においては,「生徒が道徳的価値に基づいた人間としての生き方についての自覚を深め」と「道徳的価値に基づいた」との規定を追加している。人間は,自らの生きる意味や自己の存在価値にかかわることについては,全人格をかけて取り組むものである。この改正は,生徒自身の,道徳的価値に基づいた人間としての生き方についての自覚を深めることとかかわって指導されてこそ,真に道徳的実践力の育成が可能になることを踏まえたものである。
次に,日常生活における道徳的実践を促すためには家庭や地域社会との連携が不可欠であり,保護者や地域の人々の協力による道徳教育が充実できるよう連携を十分図っていく必要がある。さらに,社会とのかかわりを踏まえ,人間としての生き方を実感できる職場体験活動や,他の人々や社会のために役立つとともに自分が価値ある存在であることを実感できるボランティア活動,自然のすばらしさを味わうとともにそれを愛護しようとする気持ちを実感できる自然体験活動など,学校の教育活動全体において各教育活動の特質や生徒の興味・関心を考慮し,広い意味での豊かな体験をさせることを通して自然な形で生徒の内面に根ざした道徳性が育成されるようにすることが大切である。特に今回,発達の段階を踏まえた指導を重視する観点から,中学校においては,体験活動の例示として職場体験活動を追加した。また,これらの体験活動は,一定期間にわたって行うことにより,一層意義が深まるものである。このような指導を通して,特に,規律ある生活ができ,自分の将来を考え,国際社会に生きる
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日本人としての自覚が身に付くようにすることが大切である。
また,今回の改訂では,道徳教育についても生徒の発達の段階を考慮し,中学校段階においては,特に,自他の生命を尊重すること,規律ある生活ができること,自分の将来を考え,法やきまりの意義の理解を深め,主体的に社会の形成に参画すること,国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けるようにすることなどをそれぞれ重視することを,中学校学習指導要領の第1章総則第1の2において示した。他方,小学校学習指導要領の第1章総則第1の2は,小学校段階においては,特に,基本的な生活習慣や社会生活上のきまりを身に付けること,善悪を判断し,人間としてしてはならないことをしないようにすることなどを重視すると規定している。
その中でも中学校教育においては,第3章道徳第3で,悩みや葛藤(かっとう)等の思春期の心の揺れ,人間関係の理解等の課題を積極的に取り上げ,道徳的価値に基づいた人間としての生き方についての考えを深められるよう配慮することが規定されている。
なお,道徳教育及び道徳の時間の指導については,中学校学習指導要領解説道徳編で詳述しているので参照されたい。
3 体育・健康に関する指導(第1章第1の3)
| 3 学校における体育・健康に関する指導は, 生徒の発達の段階を考慮して, 学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に, 学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導, 安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については, 保健体育科の時間はもとより, 技術・家庭科, 特別活動などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めることとする。また, それらの指導を通して, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し, 生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮しなければならない。
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これからの社会を生きる生徒に,健やかな心身の育成を図ることは極めて重要である。体力は,人間の活動の源であり,健康の維持のほか意欲や気力といった精神面の充実に大きくかかわっており,生きる力を支える重要な要素である。生徒の心身の調
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和的発達を図るためには,運動を通じて体力を養うとともに,食育の推進を通して望ましい食習慣を身に付けるなど,健康的な生活習慣を形成することが必要である。また,生徒の安全・安心に対する懸念が広がっていることから,安全に関する指導の充実が必要である。さらに,生徒が心身の成長発達について正しく理解することが必要である。こうした現代的課題に対して,今回の改訂では,学校における体育・健康に関する指導を,生徒の発達の段階を考慮して学校教育活動全体として取り組むことが必要であることを強調したものである。
体育・健康に関する指導は,健康・安全で活力ある生活を営むために必要な資質や能力を育て,心身の調和的な発達を図ることをねらいとするものである。
したがって,体育に関する指導については,子どもの体力水準が全体として低下していることがうかがえるとともに,積極的に運動する子どもとそうでない子どもに分散が拡大しているとの指摘があることから,生涯にわたって運動やスポーツを豊かに実践していくことと体力の向上を重視し,生徒が自ら進んで運動に親しむ資質や能力を身に付け,心身を鍛えることができるようにすることが大切である。
このため,教科としての保健体育科において,基礎的な身体能力の育成を図るとともに,運動会,遠足や集会などの特別活動や運動部活動などの教育課程外の学校教育活動などを相互に関連させながら,学校教育活動全体として効果的に取り組むことが求められている。
健康に関する指導については,生徒が身近な生活における健康に関する知識を身に付けることや活動を通じて自主的に健康な生活を実践することのできる資質や能力を育成することが大切である。
特に,学校における食育の推進においては,偏った栄養摂取などによる肥満傾向の増加など食に起因する健康課題に適切に対応するため,生徒が食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることにより,生涯にわたって健やかな心身と豊かな人間性をはぐくんでいくための基礎が培われるよう,栄養のバランスや規則正しい食生活,食品の安全性などの指導が一層重視されなければならない。また,これら心身の健康に関する内容に加えて,自然の恩恵・勤労などへの感謝や食文化などについても教科等の内容と関連させた指導を行うことが効果的である。食に関する指導に当たっ
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ては,栄養教諭等の専門性を生かすなど教師間の連携に努めるとともに,地域の産物を学校給食に使用するなどの創意工夫を行いつつ,学校給食の教育的効果を引き出すよう取り組むことが重要である。
さらに安全に関する指導においても,身の回りの生活の安全,交通安全,防災に関する指導を重視し,安全に関する情報を正しく判断し,安全のための行動に結びつけるようにすることが重要である。なお,生徒が心身の成長発達に関して適切に理解し,行動することができるようにする指導に当たっては,学校の教育活動全体で共通理解を図り,家庭の理解を得ることに配慮するとともに,関連する教科,特別活動等において,発達の段階を考慮して,指導することが重要である。
体育・健康に関する指導は,こうした指導を相互に関連させて行うことにより,生涯にわたり楽しく明るい生活を営むための基礎づくりを目指すものである。
したがって,その指導においては,体つくり運動や各種のスポーツ活動はもとより,保健指導,安全指導,給食指導などの健康に関する指導が重視されなければならない。このような体育・健康に関する指導は,保健体育科の時間だけではなく技術・家庭科などの関連の教科や道徳,特別活動のほか,総合的な学習の時間なども含めた学校の教育活動全体を通じて行うことによって,その一層の充実を図ることができる。各学校において,体育・健康に関する指導を効果的に進めるためには,地域や学校の実態及び新体力テストなどを用いて生徒の体力や健康状態等を的確に把握し,それにふさわしい学校の全体計画を作成し,地域の関係機関・団体の協力を得つつ,計画的,継続的に指導することが重要である。
また,体育・健康に関する指導を通して,学校生活はもちろんのこと,家庭や地域社会における日常生活においても,自ら進んで運動を適切に実践する習慣を形成し,生涯を通じて運動に親しむための基礎を培うとともに,生徒が積極的に心身の健康の保持増進を図っていく資質や能力を身に付け,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮することが大切である。
なお,中学校にあっては,教科担任制を原則としているために,体育・健康に関する指導が保健体育科担当の教員に任されてしまうおそれがある。しかし,体育・健康に関する指導は,学校の教育活動全体を通じて適切に行われるべきものであり,その
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効果を上げるためには,保健体育科担当の教員だけでなく,全教職員の理解と協力が得られるよう,学校の実態に応じて指導体制の工夫改善に努めるなど,組織的に進めていくことが大切である。
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第2節内容等の取扱いに関する共通的事項
学習指導要領第1章総則第2では,各教科,道徳及び特別活動の内容等の取扱いに関する原則的な事項を定めている。
1 各教科等の内容の共通的取扱い(第1章第2の1,第2の2,第2の3)
| 1 第2 章以下に示す各教科,道徳及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き, いずれの学校においても取り扱わなければならない。
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これは学習指導要領に示されている各教科,道徳及び特別活動の内容の取扱いについて示したものである。すなわち,学習指導要領は国が定める教育課程の基準であり,各学校において教育課程を編成,実施する際には,学習指導要領の各教科,道徳及び特別活動の内容に関する事項は,第2章以下に特に示している場合を除き,必ず取り扱わなければならないことを規定したものである。教育課程の編成に当たっては,まず学習指導要領に示している指導事項を十分研究することが必要である。
学習指導要領では,各教科,道徳及び特別活動の目標を実現するために必要な中核的な内容を示すにとどめているので,各学校においては,配当できる授業時数を考慮しつつ,地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性を踏まえ,具体的な指導内容を確定し,適切に配置しなければならない。
| 2 学校において特に必要がある場合には, 第2 章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また, 第2 章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は, すべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり, 学校において特に必要がある場合には, この事項にかかわらず指導することができる。ただし, これらの場合には, 第2 章以下に示す各教科,道徳及び特別活動並びに各学年, 各分野又は各言語の目標や内容の趣
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| 旨を逸脱したり, 生徒の負担過重となったりすることのないようにしなければならない。
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本項は,前項を踏まえた上で,学校において特に必要であると認められる場合には,学習指導要領に示していない内容でも,これを加えて教育課程を編成,実施することができることを示しているものである。前項と本項をあわせて学習指導要領に示す内容の取扱いの基本的な原則を示しているものである。すなわち,学習指導要領に示している内容は,すべての生徒に対して確実に指導しなければならないものであると同時に,個に応じた指導を充実する観点から,生徒の学習状況などその実態等に応じて,学習指導要領に示していない内容を加えて指導することも可能である(学習指導要領の「基準性」)。
このように,学習指導要領の基準性が明確に示されている趣旨を踏まえ,学習指導要領に示している,すべての生徒に対して指導するものとする内容の確実な定着を図り,さらに知識・技能を深めたり高めたりするとともに,思考力・判断力・表現力等を豊かにし,学習意欲を一層高めたりすることが期待される。
今回の改訂においては,学習指導要領に示していない内容を加えて指導することができることを明確にする観点から,例えば,前回の改訂において規定されていた第2章第3節数学の第2の[第3学年]の3(1)の「内容の「A数と式」の(1)については,平方根表は取り扱わないものとする。」という規定を削除した。学校においては,「数の平方根の必要性と意味を理解すること。」,「数の平方根を含む簡単な式の計算をすること。」,「具体的な場面で数の平方根を用いて表したり処理したりすること。」についての指導を十全に行った上で,個性を生かす教育を充実する観点から,生徒の学習状況などその実態等に応じ,特に必要があると判断する場合には,上記の例にあっては,平方根表についての指導を行うこともできる。
ただし,これらの場合にあっても,まずは学習指導要領に示しているすべての生徒に対して指導するものとする内容の確実な定着が求められることは前述したとおりである。また,学習指導要領に示した各教科,道徳及び特別活動並びに各学年の目標や内容の趣旨を逸脱しないことが必要である。すなわち,学習指導要領に示している内
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容を生徒が理解するために関連のある事柄などについての指導を行うことであって,全く関連のない事柄を脈絡無く教えることは避けなければならない。さらに,これらの指導によって,生徒の負担が過重となったりすることのないよう,十分に留意しなければならない。
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| 3 第2 章以下に示す各教科, 道徳及び特別活動並びに各学年, 各分野又は各言語の内容に掲げる事項の順序は, 特に示す場合を除き, 指導の順序を示すものではないので, 学校においては, その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
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学習指導要領の第2章以下に示す各教科等の学年別の内容に掲げる事項は,それぞれの教科等の内容を体系的に示す観点から整理して示しているものであり,その順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではない。したがって,各学校においては,各指導事項の関連を十分検討し,地域や学校の実態及び生徒の発達の段階や特性を考慮するとともに,教科書との関連も考慮して,指導の順序やまとめ方に工夫を加え,効果的な指導ができるよう指導内容を組織し指導計画を作成することが必要である。
2 複式学級の場合の教育課程編成の特例(第1章第2の4)
| 4 学校において2 以上の学年の生徒で編制する学級について特に必要がある場合には, 各教科の目標の達成に支障のない範囲内で, 各教科の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。複式学級の場合においても,生徒の学年に応じた教育課程を編成することが必要である。
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しかし,複式学級が2以上の学年の生徒で学級を編制する関係上,各教科の学年別の目標や内容をそのまま学年の順序で指導できない場合があることも考慮して,指導
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形態や指導方法の工夫をできやすくする観点から,総則の第2の4で「学校において2以上の学年の生徒で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。」こととしている。
学年別の順序によらないことができるのは,複式学級において「特に必要がある場合」で,「各教科の目標の達成に支障のない範囲内」に限られていることに留意する必要がある。
3 その他の教育課程編成の特例
(1) 特別支援学級の場合
特別支援学級は,学校教育法第81条第2項の規定による障害のある生徒を対象とする学級であるため,対象となる生徒の障害の種類,程度等によっては,障害のない生徒に対する教育課程をそのまま適用することが必ずしも適当でない場合がある。
そのため,学校教育法施行規則第138条では,「小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程における特別支援学級に係る教育課程については,特に必要がある場合は,第50条第1項,第51条及び第52条の規定並びに第72条から第74条までの規定にかかわらず,特別の教育課程によることができる。」と規定している。
この場合,特別の教育課程を編成するとしても,学校教育法に定める中学校の目的及び目標を達成するものでなければならないことは言うまでもない。なお,特別支援学級において特別の教育課程を編成する場合には,学級の実態や生徒の障害の程度等を考慮の上,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考とし,例えば,障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目的とした指導領域である「自立活動」を取り入れたり,各教科の目標・内容を下学年の教科の目標・内容に替えたり,各教科を,知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えたりするなどして,実情に合った教育課程を編成する必要がある。そして,中学校学習指導要領第1章総則第4の2(8)においては,「特別支援学級又は通級による指導については,教師間の連携に努め,効果的な指導を行うこと。」と示されており,特別支援
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学級における指導に当たっては,学級担任だけでなく他の教師と連携協力して,個々の生徒の障害の状態等に応じた効果的な指導を行う必要がある。
特別支援学級について,特別の教育課程を編成する場合であって,文部科学大臣の検定を経た教科用図書を使用することが適当でない場合には,当該特別支援学級を置く学校の設置者の定めるところにより,他の適切な教科用図書を使用することができるようになっている(同規則第139条)。
(2) 通級による指導の場合
通級による指導は,中学校の通常の学級に在籍している比較的軽度の障害のある生徒に対して,主として各教科等の指導を通常の学級で行いながら,当該生徒の障害に応じた特別の指導を特別の指導の場(通級指導教室)で行う教育形態である。ここでいう特別の指導とは,障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目的とする指導のことである。したがって,指導に当たっては,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考とし,例えば,障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目的とした指導領域である「自立活動」の内容を取り入れるなどして,個々の生徒の障害の状態等に応じた具体的な目標や内容を定め,学習活動を行うことになる。また,これに加えて,特に必要があるときは,特別の指導として,生徒の障害の状態等に応じて各教科の内容を補充するための指導を一定時間内において行うこともできることになっている。そして,中学校学習指導要領第1章総則第4の2(8)においては,「特別支援学級又は通級による指導については,教師間の連携に努め,効果的な指導を行うこと。」と示されており,通級による指導の担当教師だけでなく,他の教師との連携協力の下,効果的な指導を行う必要がある。
通級による指導の対象となる者は,学校教育法施行規則第140条各号の一に該当する生徒(特別支援学級の生徒を除く。)で,具体的には,言語障害者,自閉症者,情緒障害者,弱視者,難聴者,学習障害者,注意欠陥多動性障害者などである。
通級による指導を行う場合には,学校教育法施行規則第50条第1項,第51条及び第52条並びに第72条から第74条までの規定にかかわらず,特別の教育課程によることができ,前述した特別の指導を,中学校の教育課程に加え,又は,その一部に替えることができることになっている(学校教育法施行規則第140条,平成5年文部省告示第
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7号,平成18年文部科学省告示第54号,平成19年文部科学省告示第146号)。
通級による指導に係る授業時数は,年間35単位時間から280単位時間までを標準とされているほか,学習障害者及び注意欠陥多動性障害者については,年間10単位時間から280単位時間までを標準とされている。
また,生徒が在籍校以外の中学校又は特別支援学校の中学部において,特別の指導を受ける場合には,当該生徒が在籍する中学校の校長は,これら他校で受けた指導を,特別の教育課程に係る授業とみなすことができることになっている(同規則第141条)。なお,このように生徒が他校において指導を受ける場合には,当該生徒が在籍する中学校の校長は,当該特別の指導を行う学校の校長と十分協議の上,教育課程を編成するとともに,学校間及び担当教師間の連携を密にする必要がある。
(3) 私立中学校の場合
中学校の教育課程は,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動によって編成することになっているが(学校教育法施行規則第72条),同規則第79条において中学校に準用する第50条第2項において「私立の中学校の教育課程を編成する場合は,第72条の規定にかかわらず,宗教を加えることができる。この場合においては,宗教をもつて同条の道徳に代えることができる。」と規定している。すなわち,私立の中学校においては,宗教を加えて,各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動及び宗教によって教育課程を編成し,又は宗教をもって道徳に代えて,各教科,宗教,総合的な学習の時間及び特別活動によって教育課程を編成することを認めている。
また,宗教の時間と道徳の時間を併せて設けている中学校にあっては,宗教の授業時数をもって道徳の授業時数の一部に代えることができることになっている(同規則第73条,別表第1備考第3項は別表第2に適用)。
国・公立の学校においては特定の宗教のための宗教教育を行ってはならないが,私立の学校においては宗教の自由が留保されている(教育基本法第15条第2項)。私立の学校には,宗教団体を基礎として設立され,宗教教育を行うことを建学の精神とするなど積極的に宗教教育を行っている学校が多い。宗教教育はその本質からして,それを通して道徳性の涵養も行われるものとみることができる。そこで,私立の学校の特色を生かし,その自主性を尊重する趣旨から,私立の中学校の教育課程について上
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記のような特例が設けられている。
(4) 教育課程の改善のための研究の場合
学校教育法施行規則第79条により中学校に準用される第55条において,「中学校の教育課程に関し,その改善に資する研究を行うため特に必要があり,かつ,生徒の教育上適切な配慮がなされていると文部科学大臣が認める場合においては,文部科学大臣が別に定めるところにより,第72条,第73条又は第74条の規定によらないことができる。」と定めている。
これは,中学校において教育課程の改善のための研究を行う場合,教育の配慮が適切になされると文部科学大臣が認めれば,学校教育法施行規則に定める教育課程の構成や授業時数あるいは学習指導要領によらない教育課程を編成し,実施することを認めたものである。
学習指導要領等に示している教育課程の基準は大綱的なものであり,教育課程の改善の研究も多くはこの基準の範囲内で行うことができるが,教育課程の基準について相当大幅な改訂を行うなどの場合にその基礎資料を得る必要があることを考慮し,このような特例が設けられているのである。
この特例措置により学習指導要領等によらない教育課程の編成・実施を認めている枠組みとしては,平成20年6月末現在,「研究開発学校制度」のほか,「スーパーサイエンスハイスクール」,「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」,「目指せスペシャリスト」がある。
(5) 中学校又は地域の特色を生かした特別の教育課程の編成の場合
今回の学校教育法施行規則の改正により,同規則第79条により中学校に準用される第55条の2として,「中学校において,当該中学校又は当該中学校が設置されている地域の実態に照らし,より効果的な教育を実施するため,当該中学校又は当該地域の特色を生かした特別の教育課程を編成して教育を実施する必要があり,かつ,当該特別の教育課程について,教育基本法(平成18年法律第120号)及び学校教育法第46条の規定等に照らして適切であり,生徒の教育上適切な配慮がなされているものとして文部科学大臣が定める基準を満たしていると認める場合においては,文部科学大臣が別に定めるところにより,第72条,第73条又は第74条の規定の全部又は一部によらな
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いことができる。」との規定が置かれた。
これは,前述のとおり,平成15年から開始された構造改革特別区域研究開発学校設置事業(いわゆる「特区研発」)について,「構造改革特別区域基本方針」(平成18年4月)を踏まえ,同様の特例措置を内閣総理大臣が認定する手続きを経なくても文部科学大臣の指定により実施することを可能にしたものである。
なお,同条を踏まえ,平成20年文部科学省告示第30号が公示され,教育基本法及び学校教育法に定める学校種ごとの教育の目標等に照らして適切であり,生徒の教育上適切な配慮がなされているものとして認める基準として,
@ 学習指導要領においてすべての生徒に共通して履修させる内容として定められている事項について,当該特別の教育課程において適切に取り扱われていること。ただし,異なる種類の学校間の連携により一貫した特別の教育課程を編成する場合(設置者が異なる場合には,当該設置者の協議に基づき定めるところにより教育課程を編成する場合に限る。)にあっては,当該特別の教育課程全体を通じて,適切に取り扱うものとされていること。
A @に掲げる内容を指導するために必要となる標準的な総授業時数が確保されていること。
B 生徒の発達の段階並びに各教科等の特性に応じた内容の系統性及び体系性に配慮がなされていること。
C 義務教育段階である中学校において特別の教育課程を編成する際には,保護者の経済的な負担への配慮を含め,義務教育における機会均等の観点からの適切な配慮がなされていること。
D @〜Cに掲げるもののほか,生徒が転出入する際の配慮等の教育上必要な配慮がなされていること。
が定められ,前述の学校教育法施行規則の一部改正と併せて,平成20年4月1日から施行されることとなった。
(6) 不登校生徒を対象にした学校の場合
学校教育法施行規則第79条の規定により中学校に準用される第56条の規定は,「中学校において,学校生活への適応が困難であるため相当の期間中学校を欠席
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していると認められる生徒を対象として,その実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施する必要があると文部科学大臣が認める場合においては,文部科学大臣が別に定めるところにより,第72条,第73条又は第74条の規定によらないことができる。」と定めている。
これは,(5)と同様に,構造改革特別区域制度を活用した不登校児童生徒等を対象とした学校の設置に係る教育課程弾力化事業が,平成17年7月に同様の特例措置を内閣総理大臣が認定する手続きを経なくても文部科学大臣の指定により実施することを可能としたものである。
4 選択教科を開設する際の留意事項(第1章第2の5,第2の6,第2の7)
| 5 各学校においては, 選択教科を開設し, 生徒に履修させることができる。その場合にあっては, 地域や学校, 生徒の実態を考慮し, すべての生徒に指導すべき内容との関連を図りつつ, 選択教科の授業時数及び内容を適切に定め選択教科の指導計画を作成するものとする。
|
学習指導要領改訂についての中央教育審議会答申(平成20年1月)は,
「○ 現行の中学校学習指導要領では,総合的な学習の時間の創設とともに,生徒の選択能力の育成や個性の伸長を目指し,選択教科の授業時数を増加した一方で,必修教科の教育内容・授業時数については削減した。
○ しかし,実施後の子どもたちの学力や学習状況を見たとき,(中略)国語,社会,数学,理科及び外国語といった必修教科について,基礎的・基本的な知識・技能を定着させ,総合的な学習の時間と相まって思考力・判断力・表現力等を育成するというねらいが十分に達成できていない。
さらに,選択教科に加え,総合的な学習の時間が導入され,教育課程が複雑化しすぎているという指摘もある。
○ また,現在の選択教科の授業時数のうち全体の6割以上が国語,社会,数学,理科,外国語に充てられており,その中でも補充的な学習に取り組まれている割
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合が高いことも踏まえる必要がある。
○ こうした観点から,選択教科の授業時数を縮減し,必修教科の教育内容や授業時数を増加することで,教育課程の共通性を高める必要がある。なお,選択教科については,標準授業時数の枠外で各学校において開設し得ることとすることが適当である。」
との指摘がなされている。
このため,前述のとおり,学校教育法施行規則第72条を改正し,中学校の教育課程は,「必修教科,選択教科,道徳,特別活動及び総合的な学習の時間」によって編成すると規定していたのを,「国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語の各教科,道徳,総合的な学習の時間並びに特別活動」と改正した。また,同規則第73条及び別表第二において従来選択教科に充てる授業時数が規定されていたが,これを改め,選択教科については,同条及び同表で規定する標準授業時数の枠外において各学校において開設し得ることとした。
第1章第2の5,第2の6及び第2の7は,各学校において選択教科を開設する場合の留意点を規定したものである。
選択教科を開設する場合には,その内容等については,教科の指導内容及び総合的な学習の時間における学習活動と相互に密接な関連を有するものである。したがって,各学校においては,教科や総合的な学習の時間などとの有機的な関連を図りつつ3学年間全体を見通し,選択教科の内容等を適切に定め,それぞれ選択教科の指導計画を作成する必要がある。その際,それぞれの学校の状況や生徒の実態を考慮することが重要である。
また,中学校においては,各学校の主体的な判断により生徒の特性等に基づく多様な学習活動を幅広く展開できる時間として,総合的な学習の時間がある。総合的な学習の時間は,教科等の枠を超えた横断的・総合的な課題について各教科等で習得した知識・技能を相互に関連付けながら解決するといった探究活動などの学習活動を行い,生徒の思考力・判断力・表現力等をはぐくむことを目指すものである。これに対し,選択教科は当該教科固有の目標の達成を目指す学習活動を行うものであり,各学校においては,選択教科を開設する場合,このようなそれぞれの性格を
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踏まえ,選択教科の内容等を適切に定め,その指導計画を作成する必要がある。なお,各教科等を通じた学校全体としての指導計画作成に当たっての配慮事項は総則第4「指導計画の作成等に当たっての配慮事項」に示されているところであり,選択教科の指導計画の作成に当たっても,道徳及び特別活動を含めた各教科等及び各学年相互の関連を図り,系統的・発展的な指導ができるよう配慮することが必要であることは言うまでもない。
| 6 選択教科の内容については, 課題学習, 補充的な学習や発展的な学習など, 生徒の特性等に応じた多様な学習活動が行えるよう各学校において適切に定めるものとする。その際, 生徒の負担過重となることのないようにしなければならない。
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本項は,各学校において,選択教科を開設するに当たっては,従前同様,自ら課題を設定し追究するなどの課題学習,教科の授業で学習した内容を十分に理解するため再度学習するなどの補充的な学習,教科の授業で学習した内容よりさらに進んだ内容を学習するなどの発展的な学習など,地域や学校の実態を踏まえつつ,生徒の実態に即した多様な選択教科の開設及び授業の実施が大切であることを示したものである。
また,生徒の実態をよく把握し,選択教科の内容が生徒の負担過重となることのないよう適切な配慮が必要である。
| 7 各学校においては, 第2 章に示す各教科を選択教科として設けることができるほか, 地域や学校, 生徒の実態を考慮して, 特に必要がある場合には, その他特に必要な教科を選択教科として設けることができる。その他特に必要な教科の名称, 目標, 内容などについては, 各学校が適切に定めるものとする。
|
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本項は,各学校が各学年で開設することができる選択教科の種類について示したものである。
学校において開設できる選択教科の種類は,本項により,
国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭,外国語,
その他特に必要な教科
である。このうち,「その他特に必要な教科」は,地域や学校,生徒の実態を考慮して特に必要がある場合に,中学校学習指導要領で定める各教科のほかに設けることができ,その場合,教科の名称,目標,内容などについては,従前どおり,各学校が適切に定めることができるものである。
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第3節授業時数等
各教科等の指導は,言うまでもなく,一定の時間内で行われるものであり,これらに対する授業時数の配当は,教育課程編成の上で重要な要素である。各教科等の授業時数については,学校教育法施行規則において各教科等の年間授業時数の標準を定め,学習指導要領において年間の授業週数などを定めている。また,学習指導要領では,特別活動のうち,生徒会活動及び学校行事については,それらの内容に応じ,適切な授業時数を充てるものとし,また,給食,休憩などの時間については,学校において工夫を加え適切に定めるものとしている。
各学校においては,これらを踏まえ,学校の教育課程全体のバランスを図りながら,地域や学校及び生徒の実態等を考慮し,学習指導要領に基づいて各教科等の教育活動を適切に実施するための授業時数を具体的に定める必要がある。その際,授業時数の確保を単に形式的に行うのではなく,個に応じた指導などの指導方法や教材等の工夫改善を行い授業等の質的な改善を図りつつ,授業日数や授業週数,授業の1単位時間との関連を確保しながら,授業時数を配当することにより,指導に必要な時間を実質的に確保する必要がある。
1 各教科等の年間授業時数
各学年における各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動の年間の授業時数並びに各学年の年間の総授業時数は,学校教育法施行規則第73条において次のように定めている。
第51条 小学校の各学年における各教科, 道徳, 外国語活動, 総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの授業時数並びに各学年におけるこれらの総授業時数は, 別表第1 に定める授業時数を標準とする。
別表第1 ( 第51条関係)
( 略)
備考
1 この表の授業時数の1 単位時間は, 45分とする。
2 特別活動の授業時数は, 小学校学習指導要領で定める学級活動( 学校
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給食に係るものを除く。) に充てるものとする。
3 第5 0条第2 項の場合において, 道徳のほかに宗教を加えるときは, 宗教の授業時数をもつてこの表の道徳の授業時数の一部に代えることができる。( 別表第2 及び別表第4 の場合においても同様とする。)
第73条 中学校( 併設型中学校及び第75条第2 項に規定する連携型中学校を除く。) の各学年における各教科, 道徳, 総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの授業時数並びに各学年におけるこれらの総授業時数は, 別表第2 に定める授業時数を標準とする。
別表第2 ( 第73条関係)
| 区分 |
各教科の授業時数 |
道徳の授業時数 |
総合的な学習の時間の授業時数 |
特別活動の授業時数 |
総授業時数 |
| 国語 |
社会 |
数学 |
理科 |
音楽 |
美術 |
保健体育 |
技術・家庭 |
外国語 |
| 第1学年 |
140 |
105 |
140 |
105 |
45 |
45 |
105 |
70 |
140 |
35 |
50 |
35 |
1015 |
| 第2学年 |
140 |
105 |
105 |
140 |
35 |
35 |
105 |
70 |
140 |
35 |
70 |
35 |
1015 |
| 第3学年 |
105 |
140 |
140 |
140 |
35 |
35 |
105 |
35 |
140 |
35 |
70 |
35 |
1015 |
備考
1 この表の授業時数の1 単位時間は, 50分とする。
2 特別活動の授業時数は, 中学校学習指導要領で定める学級活動( 学校給食に係るものを除く。) に充てるものとする。
これらの学校教育法施行規則の規定及び学習指導要領は完全学校週5日制の下での教育課程の基準であり,この年間の総授業時数は,学校週5日制を前提として定めたものである。
第1章総則第2の1のとおり,学習指導要領第2章以下に示す各教科,道徳及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱
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わなければならないものである。別表第2に定めている授業時数は,学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎とし,学校運営の実態などの条件も十分考慮しながら定めたものであり,各学校において年度当初の計画段階から別表第2に定めている授業時数を下回って教育課程を編成することは,上記のような学習指導要領の基準性の観点から適当とは考えられない。
しかしながら,このことは単に別表第2に示されている各教科等の授業時数を形式的に確保すればよいということを意味するものではない。各学校において,この別表第2に示されている授業時数を踏まえ,地域や学校及び生徒の実態を考慮しつつ,さらには個に応じた指導などの指導方法・指導体制,教材等の工夫改善など授業等の質的な改善を図りながら,学習指導要領に基づき教育課程を適切に実施し指導するために必要な時間を実質的に確保するという視点が重要である。なお,その際,学校において適切に授業時数を配当する必要がある特別活動の生徒会活動,学校行事や給食,休憩の時間等を含む教育課程全体のバランスを図ることが必要であるのは言うまでもない。
なお,学校教育法施行規則第73条において,別表第2に定めている授業時数が標準授業時数と規定されているのは,@指導に必要な時間を実質的に確保するという考え方を踏まえ,各学校においては,地域の状況や生徒の実態を十分に考慮して,生徒の負担過重にならない限度で別表第2に定めている授業時数を上回って教育課程を編成し,実際に上回った授業時数で指導することが可能であること,A別表第2に定めている授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により当該授業時数を下回った場合,その確保に努力することは当然であるが,下回ったことのみをもって学校教育法施行規則第73条及び別表第2に反するものとはしないといった趣旨を制度上明確にしたものである。
特に,@については,学習指導要領のねらいが十分実現されていないと判断される場合には,指導方法・指導体制の工夫改善を図りながら,標準を上回る適切な指導時間を確保するなど,指導内容の確実な定着を図ることに努めることが必要である。その際,年間の行事予定や各教科の年間指導計画,その実施,改善の状況等について,保護者をはじめ地域住民等に対して積極的に情報提供することも重要であ
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る。
なお,別表第2は,各教科等のそれぞれの授業時数だけでなく,各学年の総授業時数も標準として定めている。したがって,個々の教科等の授業時数と同様に総授業時数についてもその確保を図ることが求められる。各学校においては,このような考え方に立って,授業時数を適切に配当した教育課程を編成するとともに,その実施に当たっても,実際に必要な指導時間を確保するよう,学年や学期,月ごと等に授業時数の実績の管理や学習の状況の把握を行うなど,その状況等について自ら点検及び評価を行い,改善に努める必要がある。
このほか,授業時数の確保に当たっては,各学校において,教師が教材研究,指導の打合せ,地域との連絡調整等に充てる時間を可能な限り確保するため,会議等の持ち方や時間割の工夫など時間の効果的・効率的な利用等に配慮することなどに留意することが求められる。
2 年間の授業週数(第1章第3の1)
| 1 各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動( 以下「各教科等」という。ただし,1 及び3 において,特別活動については学級活動( 学校給食に係るものを除く。) に限る。) の授業は, 年間35週以上にわたって行うよう計画し, 週当たりの授業時数が生徒の負担過重にならないようにするものとする。ただし, 各教科等( 特別活動を除く。) や学習活動の特質に応じ効果的な場合には, 夏季, 冬季, 学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め, これらの授業を特定の期間に行うことができる。なお, 給食, 休憩などの時間については, 学校において工夫を加え, 適切に定めるものとする。
|
各教科等の授業時数を年間35週以上にわたって行うように計画することとしているのは,各教科等の授業時数を年間35週以上にわたって配当すれば,学校教育法施行規則別表第2において定めている年間の授業時数について生徒の負担過重にならない程度に,週当たり,1日当たりの授業時数を平均化することができることを考慮したも
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のである。したがって,このことは,各教科等の授業時数を35週にわたって平均的に配当するほか,生徒の実態や教科等の特性を考慮して週当たりの授業時数の配当に工夫を加えることも考えられる。各学校においてはこの規定を踏まえ,地域や学校及び生徒の実態等を考慮し,必要な指導時間を確保するため,適切な週にわたって各教科等の授業を計画することが必要である。
今回の改訂においては,各教科等や学習活動の特質に応じ効果的な場合には,「夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め,」これらの授業を特定の期間に行うことができることを示している。これは,教科等や学習活動によっては年間を通ずることなく,夏季,冬季,学年末,農繁期等の休業日の期間に授業日を設定することも含め,特定の期間に集中して行った方が効果的な場合もあることを考慮したものである。ただし,「特別活動を除く。」とあるように,特別活動(学級活動)については,この規定は適用されない。学級活動については,生徒の学級や学校の生活への適応や好ましい人間関係の形成,健全な生活態度の育成などに資する活動であり,このねらいを達成するためには,教師と生徒の人間関係と信頼関係を築く場や機会を十分に確保することが必要である。しかし,中学校では,小学校とは異なり教科担任制をとっており,学級担任が生徒と不断に接している訳ではない。そこで,中学校においては,学級活動の時間を毎週実施することとし,それによって学級担任と生徒との信頼関係を築き,学校生活への生徒の適応とその生活の充実向上を図ることを意図しているものである。
また,給食,休憩等の時間については,学校において工夫を加え,適切に定めることとしている。学校全体の生活時間や日課について工夫を加えるとともに,地域や学校の実態に応じ,給食,休憩の時間の設定を工夫する必要がある。
3 特別活動の授業時数(第1章第3の2)
| 2 特別活動の授業のうち, 生徒会活動及び学校行事については, それらの内容に応じ, 年間, 学期ごと, 月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
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特別活動のうち,生徒会活動及び学校行事の授業時数については,学校教育法施行規則では定められていないが,学習指導要領第1章総則第3の2において,生徒会活動及び学校行事の授業時数については,それらの内容に応じ,年間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数を充てることとしている。これは,これらの活動の性質上学校ごとの特色ある実施が望まれるものであり,その授業時数を全国一律に標準として定めることは必ずしも適切でないことによるものである。
生徒会活動及び学校行事については,各学校において地域や学校の実態を考慮して実施する活動内容とのかかわりにおいて授業時数を定める必要がある。なお,学校行事については,第5章特別活動において,「学校や地域及び生徒の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。」としており,学校においてはそのことに留意して授業時数を定めることが大切である。
4 授業の1単位時間(第1章第3の3)
| 3 各教科等のそれぞれの授業の1 単位時間は, 各学校において, 各教科等の年間授業時数を確保しつつ, 生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めるものとする。なお, 10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において, 当該教科を担当する教師がその指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは, その時間を当該教科の年間授業時数に含めることができる。
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授業の1単位時間すなわち日常の授業の1コマを何分にするかについては,生徒の学習についての集中力や持続力,指導内容のまとまり,学習活動の内容等を考慮して,どの程度が最も指導の効果をあげ得るかという観点から決定する必要がある。
各教科等の授業の1単位時間は,各学年及び各教科等の年間授業時数を確保しつつ,
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生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して,各学校において定めることとした。これは,例えば,実験や観察の際の理科の授業は60分で行うことや計算や漢字の反復学習を10分間程度の短い時間を活用して行うことなど,生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動によっては授業時間の区切り方を変えた方が効果的な場合もあることを考慮したものである。特に,特定の学習活動を10分間程度の短い時間を活用して行う場合については,当該教科や学習活動の特質に照らし妥当かどうかの教育的な配慮に基づいた判断が必要であり,例えば,道徳の時間や特別活動(学級活動)の授業を毎日10分間程度の短い時間を活用して行うことは,通常考えられない。また,10分間程度の短い時間を活用して生徒が自らの興味や関心に応じて選んだ図書について読書活動を実施するなど指導計画に適切に位置付けることなく行われる活動は,授業時数外の教育活動となることは言うまでもない。
各授業時数の1単位時間を定めるに当たっては,学校教育法施行規則第73条別表第2に定める授業時数の1単位時間は50分とするとの規定は従前どおりとしており,総則でいう「年間授業時数を確保しつつ」という意味は,あくまでも授業時数の1単位時間を50分として計算した学校教育法施行規則第73条別表第2に定める授業時数を確保するという意味であることに留意する必要がある。すなわち,各教科等の年間授業時数は各教科等の内容を指導するのに実質的に必要な時間であり,これを確保することは前提条件として考慮されなければならないということである。また,具体的な授業の1単位時間は,指導内容のまとまりや学習活動の内容を考慮して教育効果を高める観点に立って,教育的な配慮に基づき定められなければならない。
さらに,授業の1単位時間の運用については,学校の管理運営上支障をきたさないよう教育課程全体にわたって検討を加える必要がある。
生徒会活動及び学校行事については,本節の3で述べたように学校教育法施行規則で年間授業時数が定められていないことから,この規定は適用されないが,これらについても,各学校において,指導内容や生徒の発達の段階,さらには生徒の学習負担などに十分配慮して適切な時間を定めることになるのは言うまでもない。
今回の改訂において,特に,「10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において,当該教科を担当する教師がその指導内容の決定や指導の
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成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは,その時間を当該教科の年間授業時数に含めることができる。」との規定を設けた。これは,教科担任制である中学校では,例えば,10分間程度の短い時間を単位として,計算や漢字,英単語等の反復学習等を行う場合において,特に,当該教科の担任以外の学級担任の教師などが当該10分間程度の短い時間を単位とした学習に立ち会うことも考えられる。このような場合,一定の要件のもと,年間授業時数に算入できることを明確化したものである。なお,原則として学級担任がすべての教科等の指導を行う小学校においては,同様の規定は設けていないが,児童の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して,特定の学習活動を10分間程度の短い時間を活用して行った場合,その時間を当該教科等の年間授業時数に含めることは可能である。
5 時間割の弾力的な編成(第1章第3の4)
| 4 各学校においては, 地域や学校及び生徒の実態, 各教科等や学習活動の特質等に応じて, 創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することができる。
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今回の小学校学習指導要領の改訂において,「各学校においては,地域や学校及び児童の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することに配慮するものとする。」を「創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することができる。」に修正した。
前回の改訂においては,「年間の授業週数」の運用を弾力化し各教科等の授業を年間35週以上にわたって行うことなく特定の期間に行うことができることとし,「授業の1単位時間」を各学校において定めることとした。また,特に小学校においては,各教科等の年間の標準授業時数についても必ずしも年間の授業週数である35の倍数にこだわることなく設定した。このため,時間割について「弾力的に編成することに配慮するものとする。」と規定し,各学校においては,時間割を年間で固定するのでは
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なく,地域や学校,児童の実態,各教科等や学習活動の特質に応じ,弾力的に組み替えることに配慮する必要があることを明らかにしたものである。
これについては,平成20年1月の中央教育審議会答申において,「各教科の年間の標準授業時数を定めるに当たっては,子どもの学習や生活のリズムの形成や学校の教育課程編成上の利便の観点から,週単位で固定した時間割で教育課程を編成し学習する方がより効果的・効率的であることを踏まえ,可能な限り35の倍数にすることが望ましい。」との提言がなされた。この答申を踏まえ,今回の改訂においては,例外はあるものの,各教科等の年間の標準授業時数を35の倍数にすることを基本とした。このため,従前と比べ,より固定的に時間割を編成できるようにしたところであるが,他方,各学校の工夫の一つとして,地域や学校,児童の実態,各教科等や学習活動の特質に応じ,弾力的に組み替えることも引き続き可能であることを明確にしたものである。
前回の改訂において,中学校学習指導要領においては,小学校に比べ,標準授業時数を35の倍数で規定している教科等が多かったことから,本項のような規定を置かなかったところである。また,今回の改訂において,例外はあるものの,基本的に各教科等の年間の標準授業時数を35の倍数にすることを基本とし,従前と比べ,より固定的に時間割を編成できるようにしたが,他方,各学校の工夫の一つとして,地域や学校,生徒の実態,各教科等や学習活動の特質に応じ,弾力的に組み替えることも可能であることを中学校教育においても明確にする観点から,本項を規定したものである。
6 年間授業日数
年間の授業日数は,各教科等の授業時数が適切に確保されるとともに,週当たりの授業時数が生徒の負担にならないよう配慮して定めるべきものである。
ところで,年間授業日数については,国の基準では直接定めていないが,通常は休業日を除いた日が授業日として考えられている。休業日については,学校教育法施行令及び学校教育法施行規則で次のように定められている。
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学校教育法施行令
(学期及び休業日)
第29条公立の学校(大学を除く。)の学期及び夏季,冬季,学年末,農繁期等における休業日は,市町村又は都道府県の設置する学校にあつては当該市町村又は都道府県の教育委員会が,公立大学法人の設置する高等専門学校にあつては当該公立大学法人の理事長が定める。
学校教育法施行規則
第61条公立小学校における休業日は,次のとおりとする。ただし,第3号に掲げる日を除き,特別の必要がある場合は,この限りでない。
一国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する日
二日曜日及び土曜日
三学校教育法施行令第29条の規定により教育委員会が定める日
第62条私立小学校における学期及び休業日は,当該学校の学則で定める。
第79条第41条から第49条まで,第50条第2項,第54条から第68条までの規定は,中学校に準用する。(略)
各教育委員会及び各学校においては,これらの規定等を踏まえて休業日を定める必要がある。また,年間授業日数については,学習指導要領で示している各教科等の内容の指導に支障のないよう,適切な日数を確保する必要がある。
7 総合的な学習の時間の実施による特別活動の代替(第1章第3の5)
| 5 総合的な学習の時間における学習活動により, 特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては, 総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。 |
総合的な学習の時間は,前回改訂において創設され,平成12年度の移行措置期間中から多くの中学校で実施された後,平成14年度の完全実施から現在に至るまで,
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すべての中学校で様々な取組が行われている。
前述のとおり,今回の改訂においては,基礎的・基本的な知識・技能,これらの知識・技能を活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力等及び学習意欲の3つの重要な要素を調和的に定着・育成することを重視し,知識・技能の活用を図る学習活動や言語活動の充実を図ることとしているが,各教科等を横断する課題についての問題解決や探究活動を行う総合的な学習の時間は,知識・技能の習得を図る学習活動,これらの活用を図る学習活動及び探究活動という一連の学習活動の流れの中で重要な役割を担っている。
このような総合的な学習の時間の重要性を踏まえ,今回の改訂においては,従前第1章総則に位置付けられていた総合的な学習の時間に関する規定を,第4章として独立した章として位置付けた。さらに,各教科等との関係については,「各教科,道徳及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。」と記述し,各教科等と連携しながら,問題の解決や探究活動を行うという総合的な学習の時間の特性を十分に踏まえた活動を展開する必要を示した。同様に,言語活動の充実との関係では,「問題の解決や探究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。」との規定を置いた。これらを前提としつつ,総合的な学習の時間においては,自然体験や職場体験活動,ボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動を積極的に取り入れることの必要性を明らかにしつつ,その際は,体験活動を問題の解決や探究活動の過程に適切に位置付けることを求めている。
このように,総合的な学習の時間において,問題の解決や探究活動といった総合的な学習の時間の趣旨を踏まえ,例えば,自然体験活動やボランティア活動を行う場合において,これらの活動は集団活動の形態をとる場合が多く,望ましい人間関係の形成や公共の精神の育成など,特別活動の趣旨も踏まえた活動とすることが考えられる。すなわち,
・総合的な学習の時間に行われる自然体験活動は,環境や自然を課題とした問題
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の解決や探究活動として行われると同時に,「平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができる」旅行・集団宿泊的行事と,
・総合的な学習の時間に行われる職場体験活動やボランティア活動は,社会とのかかわりを考える学習活動として行われると同時に,「勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,職場体験などの職業や進路にかかわる啓発的な体験が得られるようにするとともに,共に助け合って生きることの喜びを体得し,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られる」勤労生産・奉仕的行事と,
それぞれ同様の成果も期待できると考えられる。このような場合,総合的な学習の時間とは別に,特別活動として改めてこれらの体験活動を行わないとすることも考えられる。このため,今回の改訂においては,第1章総則第3の5として総合的な学習の時間の実施による特別活動の代替を認める記述を追加したものである。
なお,本項の記述は,総合的な学習の時間においてその趣旨を踏まえると同時に,特別活動の趣旨をも踏まえ,体験活動を実施した場合に特別活動の代替を認めるものであって,特別活動において体験活動を実施したことをもって総合的な学習の時間の代替を認めるものではない。また,総合的な学習の時間において体験活動を行ったことのみをもって特別活動の代替を認めるものでもなく,望ましい人間関係の形成や公共の精神の育成といった特別活動の趣旨を踏まえる必要があることは言うまでもない。このほか,例えば,補充学習のような専ら特定の教科の知識・技能の習得を図る学習活動や運動会のような特別活動の健康安全・体育的行事の準備などを総合的な学習の時間に行うことは,総合的な学習の時間の趣旨になじまないことは第4章総合的な学習の時間に示すとおりである。
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第4節指導計画の作成
| 1 各学校においては, 次の事項に配慮しながら, 学校の創意工夫を生かし, 全体として, 調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
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教育課程は,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動について,それらの目標やねらいを実現するように,教育の内容を学年段階に応じ授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画であり,それを具体化した計画が指導計画であると考えることができる。学校における実際の作成の過程においては両者を区別しにくい面もあるが,指導方法や使用教材も含めて具体的な指導により重点を置いて作成したものが指導計画であると言うことができる。
すなわち,指導計画は,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれについて,学年ごとあるいは学級ごとなどに,指導目標,指導内容,指導の順序,指導方法,使用教材,指導の時間配当等を定めたより具体的な計画である。指導計画には,年間指導計画や2年間にわたる長期の指導計画から,学期ごと,月ごと,週ごと,単位時間ごと,あるいは単元,題材,主題ごとの指導案に至るまで各種のものがある。
各学校においては,学習指導要領の第1章総則及び第2章以下の各章に示された指導計画の作成に関する配慮事項などに十分配慮し,地域や学校の実態を考慮して,創意工夫を生かし,全体として調和のとれた具体的な指導計画を作成しなければならない。
指導計画の作成に当たっては,学習指導要領第1章第4の1に特に配慮する必要がある事項を2項目にわたり示しているので,これらの事項に留意する必要がある。
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1 各教科等及び各学年相互間の関連(第1章第4の1(1))
| ( 1 ) 各教科等及び各学年相互間の関連を図り, 系統的, 発展的な指導ができるようにすること。
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指導計画は,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれについて作成されるものである。中学校教育の目標はこれらのすべての教育活動の成果が統合されてはじめて達成されるものである。したがって,個々の指導計画は,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動それぞれの固有の目標やねらいの実現を目指すと同時に,他の教育活動との関連や学年間の関連を十分図るように作成される必要がある。そのためには,各教科,道徳及び特別活動それぞれの目標,指導内容の関連を検討し,指導内容の不必要な重複を避けたり,重要な指導内容が欠落したりしないように配慮するとともに,指導の時期,時間配分,指導方法などに関しても相互の関連を考慮した上で計画が立てられることが大切である。総合的な学習の時間についても第4章総合的な学習の時間に示された目標などについて,各教科,道徳及び特別活動の目標や内容との関連を検討し,各学校の実態に応じた目標及び内容を定めるとともに,指導計画を作成する必要がある。
各教科等において,系統的,発展的な指導を行うことは,生徒の発達の段階に応じ,その目標やねらいを効果的に実現するために必要である。各教科,道徳及び特別活動の内容は,学年間の系統性,発展性について十分配慮されているので,各学校においては,それを十分研究し,それらの指導計画を作成する際,学年相互の関連を図り,指導の効果を高めるよう配慮する必要がある。また,各教科,道徳及び特別活動の内容として示している指導事項は,特に示す場合を除き,指導の順序を示しているものではないので,学校においては,創意工夫を加え,地域や学校の実態及び生徒の発達の段階や特性を考慮し,系統的,発展的な指導が進められるよう指導内容を具体的に組織,配列することが必要である。総合的な学習の時間の指導計画作成に際しても,横断的・総合的な課題,生徒の興味・関心に基づく課題,地域や学校の特色に応じた
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課題などについて,発達の段階にふさわしい学習活動が進められるように創意工夫を図る必要がある。このように,指導内容の組織や配列に当たっては,当該学年全体や全学年を見通した上で行うことが大切である。
学校においては,学校の教育目標との関連を図りながら,指導計画の作成者相互で必要な連絡を適宜行い,学校全体として組織的に進めることが大切である。
2 指導内容のまとめ方や重点の置き方(第1章第4の1(2))
| ( 2 ) 各教科の各学年, 各分野又は各言語の指導内容については, そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加えるなど, 効果的な指導ができるようにすること。
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第2章の各教科の各学年,各分野又は各言語の目標及び内容に関する事項は,各学年においてすべての生徒に対して指導すべき事項を類型や系統性を考慮し,整理して示したものである。これらの指導事項は,第1章総則第2の1に示しているように「特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。」ものである。しかし,第2の3に示しているように,「各教科,道徳及び特別活動並びに各学年,各分野又は各言語の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。」としている。
各学校において指導計画を作成するに当たっては,各教科の目標と各指導事項との関連を十分研究し,まとめ方などを工夫したり,内容の重要度や生徒の学習の実態に応じてその取扱いに軽重を加えたりして,効果的な指導を行うことができるよう配慮しなければならない。また,教材・教具の工夫や生徒の理解度の把握などを通して,教えることと考えさせることの両者を関連付けることも重要である。
今回の改訂では,従前,本項に規定していた「教材等の精選を図」ることを削除している。今回の改訂においては,授業時数の増加を図った教科について,授業時数の増加の程度ほどには指導内容は増加させず,これらの教科において,反復学習等によ
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る基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得や観察・実験,レポートの作成といった知識・技能の活用を図る学習活動の充実を図ることを可能としている。このことを前提としつつ,平成20年1月の中央教育審議会答申は,主たる教材として重要な役割を果たす教科書の質・量両面での充実を重視しており,「子どもが学習内容について十分に理解を深め,基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付けるとともに,それらを活用する力をはぐくむように,繰り返し学習や知識・技能を活用する学習,発展的な学習に自ら取り組み,知識・技能の定着や思考を深めることを促すような工夫が凝らされた読み応えのある教科書が提供される」ことが重要と提言している。その上で,教科書のページ数を増加させたり,発展的な学習に関する記述の一層の充実などを図ることにより,生徒の学習意欲を高め,教師が生徒により教えやすくするとともに,生徒が学ぶに当たって必要な学習内容が質的にも量的にも十分に確保されるよう記述内容を工夫する必要があるとした。このように,今回の改訂においては,指導内容の増加は抑制し,基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着やその活用を図る学習活動の充実を重視することとしているが,そのためには,教科書だけでなく,各学校において使用される各種教材等についても,質・量両面での充実が必要であるとの考え方に立っており,このような観点から「教材等の精選を図」ることを削除したものである。
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第5節教育課程実施上の配慮事項
教育課程実施に当たっては,配慮しなければならない様々な事項がある。
学習指導要領第1章総則第4の2においては,そのような実施上の配慮事項について,14項目にわたって示している。従前に比べて,言語活動の充実,見通しを立てたり振り返ったりする学習活動の重視,障害のある生徒の指導の充実,情報教育の充実などについての記述を充実するとともに,部活動に関する規定を新たに置いているが,これらは教育の効果を高めるために特に必要な事項を加えたものである。各学校においては,これらの事項に十分配慮し,教育課程を実施するよう努めなければならない。
1 生徒の言語環境の整備と言語活動の充実(第1章第4の2(1))
| ( 1 ) 各教科等の指導に当たっては, 生徒の思考力, 判断力, 表現力等をはぐくむ観点から, 基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに, 言語に対する関心や理解を深め, 言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え, 生徒の言語活動を充実すること。
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前述のとおり,今回の改訂では,基礎的・基本的な知識・技能を習得する学習活動,これらの活用を図る学習活動及び総合的な学習の時間を中心とした探究活動といった学習の流れを重視し,基礎的・基本的な知識・技能の習得とこれらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成をバランスよく図ることとしている。
この点についての中央教育審議会の審議の流れを整理すると,平成17年10月の中央教育審議会答申(「新しい時代の義務教育を創造する」)は,習得型の教育と探究型の教育とは対立的・二者択一的にとらえるべきものではなく,両方を総合的に育成することが必要と提言したが,習得と探究をどのように関係付けて総合的にはぐくむのかその具体的なイメージがはっきりしないといった指摘もあった。そこで,
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中央教育審議会教育課程部会では,現在でも取り組まれている観察・実験,レポートの作成,論述といった知識・技能の活用を図る学習活動をその両者の間に位置付け,実際の指導において知識・技能の習得を図る学習活動,知識・技能の活用を図る学習活動,総合的な学習の時間を中心として行われる,教科等の枠を超えた横断的・総合的な課題について各教科等で習得した知識・技能を相互に関連付けながら解決するといった探究活動などの学習活動の動態的な流れを意識するとともに,各教科で知識・技能を活用する学習活動を充実することができるよう授業時数を見直したりこれらの学習活動の流れの基盤である言語に関する能力を重視したりする必要があるとの審議が行われた。
その結果,新しい学習指導要領についての中央教育審議会答申(平成20年1月)は,知識・技能の習得や活用,探究について次のように提言した。
・教科では,基礎的・基本的な知識・技能を習得しつつ,観察・実験をし,その結果をもとにレポートを作成する,文章や資料を読んだ上で,知識や経験に照らして自分の考えをまとめて論述するといったそれぞれの教科の知識・技能を活用する学習活動を行い,それを総合的な学習の時間における教科等を横断した課題解決的な学習や探究活動へと発展させることが必要である。
・これらの学習活動は相互に関連し合っており,截(せつ)然と分類されるものではないが,知識・技能を活用する学習活動やこれらの成果を踏まえた探究活動を通して,思考力・判断力・表現力等がはぐくまれる。
・各教科での習得や活用と総合的な学習の時間を中心とした探究は,決して一つの方向で進むだけではなく,例えば,知識・技能の活用や探究がその習得を促進するなど,相互に関連し合って力を伸ばしていくものである。
このため,今回の改訂においては,例えば,言葉の特徴やきまりに関する事項や漢字に関する事項の指導を充実させたり(国語),学び直しの機会を設定することに配慮したりする(数学)などの学習活動を各教科の内容に加え,発達の段階に応じた知識・技能の習得に配慮している。その上で,各教科において,例えば,数学科では,「日常生活や社会で数学を利用する活動」といった数学的活動を例示するとともに,理科では,「継続的な観察や季節を変えての定点観測」といった観察・
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実験を重視するなど知識・技能の活用を図る学習活動を新たに設けた。これらの学習を通じ,「抽象的な概念を表す語句」の理解(国語),「数量や図形などに関する基礎的な概念」の理解(数学),「科学的な概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動」の充実(理科)など各教科の基本的な概念の理解も重視している。
また,知識・技能を習得するのも,これらを活用し課題を解決するために思考し,判断し,表現するのもすべて言語によって行われるものであり,これらの学習活動の基盤となるのは,言語に関する能力である。さらに,言語は論理的思考だけではなく,コミュニケーションや感性・情緒の基盤でもあり,豊かな心をはぐくむ上でも,言語に関する能力を高めていくことが求められている。したがって,今回の改訂においては,言語に関する能力の育成を重視し,各教科等において言語活動を充実することとしている。
具体的には,言語に関する能力を育成する中核的な教科である国語科においては,小学校教育及び中学校教育を通じて,話すこと・聞くこと,書くこと,読むことのそれぞれに記録,要約,説明,論述といった言語活動を例示した。また,各教科においても,
・「持続可能な社会を形成するという観点から,私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を探究させ,自分の考えをまとめさせる」(社会)
・
「数学的な表現を用いて,根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う」といった数学的活動の充実(数学)
・「問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動,観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動」の充実(理科)
・「音楽を形づくっている要素や構造と曲想とのかかわりを理解して聴き,根拠をもって批評するなどして,音楽のよさや美しさを味わうこと」の重視(音楽)
・「造形的なよさや美しさ,作者の心情や意図と創造的な表現の工夫,目的や機能との調和のとれた洗練された美しさなどを感じ取り見方を深め,作品などに対する自分の価値意識をもって批評し合うなどして,美意識を高め幅広く味わ
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うこと」の重視(美術)
・「衣食住やものづくりなどに関する実習等の結果を整理し考察する学習活動や,生活における課題を解決するために言葉や図表,概念などを用いて考えたり,説明したりするなどの学習活動」の充実(技術・家庭)
・「作戦などについての話合いに貢献しようとする」活動の重視(保健体育)
などそれぞれの教科の特質に応じた言語活動の充実について記述されている。また,外国語科において,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養うのはもとよりのこと,道徳においても,「自分の考えを基に,書いたり討論したりするなどの表現する機会を充実」することを,総合的な学習の時間では,「問題の解決や探究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること」をそれぞれ重視している。さらに,特別活動では,「体験活動を通して気付いたことなどを振り返り,まとめたり,発表し合ったりするなどの活動」の充実が規定された。
このように,今回の改訂においては,各教科等を通じ基礎的・基本的な知識・技能の活用を図る学習活動や言語活動の充実を図っているところであるが,その基本的な考え方を総則上明示したのが本項である。
なお,このように言語に関する能力を向上させ,言語に対する意識や関心を高め理解を深めることは,各教科等における指導だけでなく,学校生活全体において配慮することが大切である。
今日,マスコミや情報通信ネットワークなどの情報手段の発達や映像,出版物の氾濫などにより,生徒を取り巻く環境は著しく変化している。それらは,生徒の言語活動にも影響を及ぼしており,それだけに学校教育において国語を正しく理解し用いる能力や態度の育成について配慮していくことがますます重要となっている。また,そのことを通じ,生徒が様々な情報に対し主体的にかかわっていく能力や態度の育成を図ることが期待される。このため,各学校において生徒が日常生活における言語の役割や機能などについて意識や関心をもち,正しく美しい国語を用いるように指導して
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いくことが必要であり,また,教師自身も言語に対する意識と関心をもって指導に当たることが必要である。
その際,生徒の言語活動は,マスコミや地域社会及び家庭だけでなく,学校における環境に大きく影響される。したがって,生徒の言語活動がより適正に行われるようにするためには,学校生活全体における言語環境を十分に整えておくことが大切である。学校生活全体における言語環境の整備としては,例えば,@教師は正しい言語で話し,黒板などに正確で丁寧な文字を書くこと,A校内の掲示板やポスター,生徒に配布する印刷物において用語や文字を適正に使用すること,B校内放送において,適切な言葉を使って簡潔に分かりやすく話すこと,C適切な話し言葉や文字が用いられている教材を使用すること,D教師と生徒,生徒相互の話し言葉が適切に行われるような状況をつくること,E生徒が集団の中で安心して話ができるような教師と生徒,生徒相互の好ましい人間関係を築くことなどに留意する必要がある。なお,言語環境をはじめ学校教育活動を通じ,色のみによる識別に頼った表示方法をしないなどの配慮も必要である。
また,前述のとおり,国語科の指導においてはもとより,その他の教科等においても,生徒による発表,討議,ノート記述,レポート作成などの言語活動を活発かつ適正に行わせ,豊かな言語能力を養っていくよう配慮していくことが大切である。
2 体験的・問題解決的な学習及び自主的,自発的な学習の促進(第1章第4の2(2))
| ( 2 ) 各教科等の指導に当たっては, 体験的な学習や基礎的・基本的な知識及び技能を活用した問題解決的な学習を重視するとともに, 生徒の興味・関心を生かし, 自主的, 自発的な学習が促されるよう工夫すること。 |
これからの学校教育においては,変化の激しいこれからの社会を考えたとき,また,生涯にわたる学習の基礎を培うため,基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着とと
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もに,それらを活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力等の育成を重視した教育を行うことが必要であり,生徒がこれらを支える知的好奇心や探究心をもって主体的に学習に取り組む態度を養うことは極めて重要である。このような資質や能力を育成するためには,体験的な学習や基礎的・基本的な知識・技能を活用した問題解決的な学習を充実する必要がある。
このため,例えば,国語科では「社会生活の中から課題を決め,取材を繰り返しながら自分の考えを深めるとともに,文章の形態を選択して適切な構成を工夫すること」,「論説や報道などに盛り込まれた情報を比較して読むこと」などを言語活動例として示し,社会科では作業的,体験的な学習,数学科では「日常生活や社会で数学を利用する活動」といった数学的活動,理科では観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動やものづくり,技術・家庭科では衣食住やものづくりなどに関する実習等の結果を整理し考察する学習活動などを充実している。さらに,総合的な学習の時間においては,自然体験や職場体験活動,ボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの体験的な学習を積極的に取り入れ,基礎的・基本的な知識・技能を活用した問題解決的な学習を充実させることとしている。このような学習の在り方は特定の教科等にとどまらず学校教育全体を通じて重視する必要がある。
体験的な学習や基礎的・基本的な知識・技能を活用した問題解決的な学習は,主体的に学習に取り組む能力を身に付けさせるとともに,学ぶことの楽しさや成就感を体得させる上で有効である。このような学習の意義を踏まえ,各教科等の指導において体験的な学習や問題解決的な学習に取り組めるようにすることが大切である。各教科等において習得すべき知識や技能も体験的な学習やそれらを活用した問題解決的な学習を通すことによって,生徒一人一人のその後の学習や生活において生かされ総合的に働くようになるものと考えられる。
また,各教科等の指導においては,基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得に留意しつつ,生徒の興味・関心を生かした学習指導を展開することが大切である。生徒の興味・関心を生かし,生徒の選択などを重視した学習指導を行うことは,生徒の学習意欲を喚起するとともに,選択能力を育成する上で有効であり,また,それは自主
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的,自発的な学習を促すことにつながると考えられるからである。この意味で各教科等の指導においては,学習することの意味の適切な指導を行いつつ,基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得を図るとともに,自主的,自発的な学習を促すことによって,生徒が学習の目的を自覚し,学習における進歩の状況を意識し,進んで学習しようとする態度が育つよう配慮することが大切である。
このような学習を実施するためには,各学校においては,指導計画に適切に位置付けるとともに,教材,指導形態,1単位時間や授業時数の運用などに創意工夫を加え,これらの学習を積極的に取り入れることが望まれる。なお,これらの学習を展開するに当たっては,学習の内容と生徒の発達の段階に応じて安全への配慮を十分に行わなければならない。
3 生徒指導の充実(第1章第4の2(3))
| (3) 教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め,生徒が自主的に判断,行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう,生徒指導の充実を図ること。
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生徒指導は,学校の教育目標を達成するために重要な機能の一つであり,一人一人の生徒の人格を尊重し,個性の伸長を図りながら,社会的資質や行動力を高めるように指導,援助するものである。すなわち,生徒指導は,すべての生徒のそれぞれの人格のよりよき発達を目指すとともに,学校生活がすべての生徒にとって有意義で興味深く,充実したものになるようにすることを目指すものであり,単なる生徒の問題行動への対応という消極的な面だけにとどまるものではない。
学校教育において,生徒指導は学習指導と並んで重要な意義をもつものであり,また,両者は相互に深くかかわっている。各学校においては,生徒指導が,一人一人の生徒の健全な成長を促し,生徒自ら現在及び将来における自己実現を図ってい
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くための自己指導能力の育成を目指すという生徒指導の積極的な意義を踏まえ,学校の教育活動全体を通じ,その一層の充実を図っていくことが必要である。
生徒指導を進めていくうえで,その基盤となるのは生徒一人一人についての生徒理解の深化を図ることである。一人一人の生徒はそれぞれ違った能力・適性,興味・関心等をもっている。また,生徒の生育環境も将来の進路希望等も異なる。それ故,生徒理解においては,生徒を多面的・総合的に理解していくことが重要であり,学級担任の教師の日ごろの人間的な触れ合いに基づくきめ細かい観察や面接などに加えて,学年の教師,教科担任,部活動等の顧問教師などによるものを含めて,広い視野から生徒理解を行うことが大切である。また,思春期にあって生活環境の急激な変化を受けている中学生の不安や悩みに目を向け,生徒の内面に対する共感的理解をもって生徒理解を深めることが大切である。
生徒理解の深化とともに,教師と生徒との信頼関係を築くことも生徒指導を進める基盤である。教師と生徒の信頼関係は,日ごろの人間的な触れ合いと生徒と共に歩む教師の姿勢,授業等における生徒の充実感・成就感を生み出す指導,生徒の特性や状況に応じた的確な指導と不正や反社会的行動に対する毅然とした教師の態度などを通じて形成されていくものである。その信頼関係をもとに,生徒の自己開示も高まり,教師の生徒理解も一層深まっていくのである。
また,学校教育は,集団での活動や生活を基本とするものであり,学級や学校での生徒相互の人間関係の在り方は,生徒の健全な成長と深くかかわっている。生徒一人一人が存在感をもち,共感的な人間関係をはぐくみ,自己決定の場を豊かにもち,自己実現を図っていける望ましい集団の実現は極めて重要である。すなわち,自他の個性を尊重し,互いの身になって考え,相手のよさを見つけようと努める集団,互いに協力し合い,主体的によりよい人間関係を形成していこうとする集団,言い換えれば,好ましい人間関係を基礎に豊かな集団生活が営まれる学級や学校の教育的環境を形成することは,生徒指導の充実の基盤であり,かつ生徒指導の重要な目標の一つでもある。教育機能としての生徒指導は,教育課程の特定の領域における指導ではなく,教育課程の全領域において行わなければならないものである。特別活動における学級活動などは,集団や社会の一員としてよりよい生活を築くた
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めの自主的,実践的な学習の場であるとともに,人間としての生き方について自覚を深め,自己を生かす能力を養う場であり,生徒指導のための中核的な時間となると考えられるが,あくまでも学校の教育活動全体を通じて生徒指導の機能が発揮できるようにすることが大切であり,教育課程の編成に当たっては,この点に十分配慮する必要がある。
なお,生徒指導を進めるに当たっては,全教職員の共通理解を図り,学校としての協力体制・指導体制を築くとともに,家庭や地域社会及び関係機関等との連携・協力を密にし,生徒の健全育成を広い視野から考える開かれた生徒指導の推進を図ることが重要である。そのためには,保護者との間で学校だよりや学級・学年通信等,あるいはPTAの会報,保護者会などにより相互の交流を深めることが大切であり,また,地域懇談会や関係機関等との懇談会などを通して交流と連携を深めるなど,日ごろから生徒指導の充実に取り組むことが必要である。
4 進路指導の充実(第1章第4の2(4))
| (4) 生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行うこと。
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これからの学校教育においては,社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視するとともに,生徒が自らの生き方を考え,将来に対する目的意識を持って,主体的に自己の進路を選択決定し,生涯にわたる自己実現を図っていくことができるような能力や態度を育成することが重要である。
特に,中学校段階の生徒は,心身両面にわたる発達が著しく,自己の生き方についての関心が高まる時期にある。このような発達の段階にある生徒が,自分自身を見つめ,自分と社会とのかかわりを考え,将来,様々な生き方や進路の選択可能性があることを理解するとともに,自らの意思と責任で自己の生き方,進路を選択す
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ることができるよう適切な指導・援助を行うことが必要である。
このような能力や態度を育てるためには,各学校が進路指導の目標を持ち,その実現を目指して教育活動全体を通じ計画的,組織的,継続的な指導を行っていくことが必要である。このため,学校教育法においては義務教育の目標の一つとして「職業についての基礎的な知識と技能,勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。」が示されている(同法第21条第10号)。
中学校における進路指導については,進路指導が生徒の生き方の指導であることを踏まえ,生徒の意欲や努力を重視することが重要である。また,進路指導が生徒の勤労観・職業観を育てるキャリア教育の一環として重要な役割を果たすものであること,学ぶ意義の実感にもつながることなどを踏まえて指導を行うことが大切である。
進路指導は,特別活動の学級活動を中核としつつ,総合的な学習の時間や学校行事の勤労生産・奉仕的行事における職場体験活動などの進路にかかわる啓発的な体験活動及び個別指導としての進路相談を通じて,生徒の入学時から各学年にわたり,学校の教育活動全体を通じ,系統的,発展的に行っていく必要がある。
また,進路指導を効果的に進めていくためには,進路指導主事を中心とした校内の組織体制を整備し,学級担任の教師をはじめ,教師が相互に密接な連絡を取り,それぞれの役割・立場において協力して指導に当たる必要がある。さらに,進路指導において,保護者の理解と協力が不可欠であり,保護者とともに進路指導を進めるようにするとともに,地域社会及び関係機関と連携して取り組むことが大切である。
5 ガイダンスの機能の充実(第1章第4の2(5))
| (5) 生徒が学校や学級での生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,ガイダンスの機能の充実を図ること。
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現在,学校や学級の生活に十分適応することができないなどの理由から,学習への意欲を失ったり,人間関係にかかわる問題を抱えたり,あるいは不登校の状態に陥ったりする生徒が見られる。また,学習における選択や進路の選択に当たって,目的意識をもたず,選択に当たって適切に対応できず,自分を見失いがちな生徒も見られる。こうした課題も踏まえ,学校生活における生徒一人一人の自己実現を進めていく観点から,本項が規定されている。
ガイダンスの機能の充実を図ることは,すべての生徒が学校や学級の生活によりよく適応し,豊かな人間関係の中で有意義な生活を築くようにするとともに,選択や決定,主体的な活動に関して適切な指導・援助を与えることによって,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育てる上で,極めて重要な意味をもつものである。具体的には,学習活動など学校生活への適応,好ましい人間関係の形成,学業や進路等における選択,自己の生き方などにかかわって,生徒がよりよく適応し,主体的な選択やよりよい自己決定ができるよう,適切な情報提供や案内・説明,活動体験,各種の援助・相談活動などを学校として進めていくものであり,単なる事前の説明や資料配布に限定されるものではない。
また,第5章特別活動の「第3指導計画の作成と内容の取扱い」の1の(3)において「学校生活への適応や人間関係の形成,進路の選択などの指導に当たっては,ガイダンスの機能を充実するよう〔学級活動〕等の指導を工夫すること。特に,中学校入学当初においては,個々の生徒が学校生活に適応するとともに,希望と目標をもって生活をできるよう工夫すること。」とあるが,このような特別活動における配慮をはじめ,各教科等でもその機能を生かすなど,学校の教育活動全体を通じてガイダンスの機能を充実していくことが大切である。
各学校においては,計画的・組織的な取組によってガイダンスの機能を充実させることによって,一人一人の生徒に関し,学校や学級の生活によりよく適応させ,これから取り組むことになる諸活動に対して主体的な活動への意欲をもたせ,自己実現にかかわって必要とされる資質や能力,態度を身に付けるようにし,共に学び,
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活動することを通して存在感や自己実現の喜びの感じられる生活を築かせる中でよりよい発達を促すことが重要である。
特に,ガイダンスの機能の充実について配慮の求められる教育活動としては,例えば,次のようなものが考えられる。
ア 入学時,新学期開始時期において,教師と生徒及び生徒相互の好ましい人間関係が生まれるように配慮するとともに,生徒自身が学校や学級における諸活動や集団の意義,内容などについて十分に理解し,自発的によりよい生活に取り組むことができるよう創意工夫すること。
イ 新たな学習や各種の学習活動の開始時期などにおいて,生徒がこれから始まる学習に対して積極的な意欲をもち,主体的に活動に取り組むことができるよう各教科等において十分に配慮すること。
ウ 進路の選択に関して,生徒一人一人が自己理解を深め,自己の将来の生き方を考え,卒業後の進路を主体的に選択し,さらに積極的にその後の生活において自己実現を図ろうとする態度を育てるよう配慮すること。
6 見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動の重視(第1章第4の2(6))
| ( 6 ) 各教科等の指導に当たっては, 生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすること。
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今回の改訂では,教育基本法第6条第2項(「教育を受ける者が,学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに,自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。」)及び学校教育法第30条第2項(「主体的に学習に取り組む態度を養うことに,特に意を用いなければならない。」)を踏まえ,
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生徒の学習意欲の向上を重視している。指導に当たって,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れ,自主的に学ぶ態度をはぐくむことは,学習意欲の向上に資することから,今回特に規定を新たに追加したものである。
従前から,「図形について見通しをもって論理的に考察し表現する能力を伸ばす」(数学)など生徒が学習を行う上で見通しを立てたり,学習したことを振り返ったりする活動を重視しているが,OECDのPISA調査などの各種の学力調査においては,例えば,与えられた課題が科学的に調査可能な問題かどうかを問う出題についての正答率が低いなど必ずしも学習の見通しを立てることなどが十分にできているとは言えない状況が見られた。
このため,本項において,各教科等の指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすることが重要であることを記述したものである。
具体的には,例えば,授業の冒頭に当該授業での学習の見通しを生徒に理解させたり,授業の最後に生徒が当該授業で学習した内容を振り返る機会を設けたりといった取組の充実や生徒が家庭において学習の見通しを立てて予習をしたり学習した内容を振り返って復習したりする習慣の確立などを図ることが重要である。これらの指導を通じ,生徒の学習意欲が向上するとともに,生徒が学習している事項について,事前に見通しを立てたり,事後に振り返ったりすることで学習内容の確実な定着が図られ,思考力・判断力・表現力等の育成にも資するものと考える。
7 指導方法や指導体制の工夫改善など個に応じた指導の充実(第1章第4の2(7))
| ( 7 ) 各教科等の指導に当たっては, 生徒が学習内容を確実に身に付けることができるよう, 学校や生徒の実態に応じ, 個別指導やグループ別指導, 繰り返し指導, 学習内容の習熟の程度に応じた指導, 生徒の興味・関心等に応じた課題学習, 補充的な学習や発展的な学習などの学
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習活動を取り入れた指導, 教師間の協力的な指導など指導方法や指導体制を工夫改善し, 個に応じた指導の充実を図ること。
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生徒はそれぞれ能力・適性,興味・関心,性格等が異なっており,また,知識,思考,価値,心情,技能,行動等も異なっている。生徒が学習内容を自分のものとして働かせることができるように身に付けるためには,教師はこのような個々の生徒の特性等を十分理解し,それに応じた指導を行うことが必要であり,指導方法の工夫改善を図ることが求められる。それによって,生徒一人一人が基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得し,それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等をはぐくみ,その後の学習や生活に生かすことができるようにするとともに,自分自身のものの見方や考え方を持てるようにすることが大切である。また,生徒が主体的に学習を進められるようになるためには,学習内容のみならず,学習方法への注意を促し,それぞれの生徒が自分にふさわしい学習方法を模索するような態度を育てることも必要となる。そのための生徒からの相談にも個別に応じることが望まれる。
なお,こうした指導方法の工夫はすべての生徒に対応するものであるが,学習の遅れがちな生徒には特に配慮する必要がある。
個に応じた指導のための指導方法や指導体制については,生徒の実態,学校の実態などに応じて,学校が一体となって工夫改善を進めていくことが重要である。すなわち,各学校は,その環境や教職員の構成,施設・設備などがそれぞれ異なっているが,それらに応じて最も効果的な方法を工夫し,組織体としての総合的な力を発揮していくことが大切である。特に,中学校は教科担任制を原則としているため,同一教科間はもちろん異教科間の教師の連携協力という観点が重要である。学校には,校長,副校長,教頭,主幹教諭,指導教諭,教諭,養護教諭や栄養教諭など専門性を有する教職員がおり,これらすべての教職員が協力して生徒の指導に当たることが必要である。
指導体制の充実は,学習指導や生徒指導などに幅広くわたるものであり,学校全体が,共通理解の下に協力して教育活動を進めていかなくてはならない。
指導体制の工夫改善を進める上で校長の果たす役割は大きいので,校長は指導力を発揮して,指導体制の活性化を図るよう努めることが必要である。また,校長や副校
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長,教頭が授業の指導を行ったり参加したり,学習指導について経験豊かな指導教諭などの教師が他の学級の授業を支援したりするなど,様々な工夫をすることが求められる。さらに,指導案の作成,授業研究などを学年会や教科部会,学校全体などで行い,広く意見を交わし合い,教師間で情報の共有を図るような機会を設けたり,それぞれの役割分担を明確にすることも,より効果的な指導を行うためには大切である。
なお,教師が教材研究,指導の打合せ,地域との連絡調整などに充てる時間を可能な限り確保できるよう,会議の持ち方や時間割の工夫など時間の効果的・効率的な利用等に配慮することも重要であろう。
指導方法については,生徒の発達の段階や学習の実態などに配慮しながら,従来から取り組まれてきた一斉指導に加え,個別指導やグループ別指導といった学習形態の導入,理解の状況に応じた繰り返し指導,学習内容の習熟の程度に応じた指導,生徒の興味・関心や理解の状況に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導などを柔軟かつ多様に導入することが重要である。
学習内容の習熟の程度に応じた指導については,教科により生徒の習熟の程度に差が生じやすいことを考慮し,それぞれの生徒の習熟の程度に応じたきめ細かな指導方法を工夫して着実な理解を図っていくことが大切であることから,これらの指導方法等が例示されているものであるが,その指導については,学級内で学習集団を編成する場合と学級の枠を超えて学習集団を編成する場合が考えられる。その実施に当たっては,学校の実情や生徒の発達の段階等に応じ,必要な教科について適宜弾力的に行うものであり,実施時期,指導方法,評価の在り方等について十分検討した上で実施するなどの配慮が必要である。また,各学校で学習内容の習熟の程度に応じた指導を実施する際には,生徒に優越感や劣等感を生じさせたり,学習集団による学習内容の分化が長期化・固定化するなどして学習意欲を低下させたりすることのないように十分留意する必要がある。また,学習集団の編成の際は,教師が一方的に生徒を割り振るのではなく,生徒の興味・関心等に配慮し,自分で課題や集団を選ぶことができるよう配慮することも重要である。その際,生徒が自分の能力・適性に全く合致しない課題や集団を選ぶようであれば,教師は適切な助言を行うなどの工夫を行うことが大切である。また,保護者に対しては,指導内容・指導方法の工夫改善等を示した指導
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計画,期待される学習の充実に係る効果,導入の理由等を事前に説明するなどの配慮が望まれる。なお,中学校は義務教育段階であるということを考慮し,基本的な学級編制を変更しないことが適当である。
生徒の個性が多様化する中,その伸長を図る観点から,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導を実施する際には,それぞれのねらいを明らかにし,授業で扱う内容と学習指導要領に示す各教科等の目標と内容との関係を明確にして取り組むことが大切である。特に,補充的な学習を取り入れた指導を行う際には,様々な指導方法や指導体制の工夫改善を進め,当該学年までに学習する内容の確実な定着を図ることが必要であるし,発展的な学習を取り入れた指導を行う際には,生徒の負担過重とならないように配慮するとともに,学習内容の理解を一層深め,広げるという観点から適切に導入することが大切である。
このほかにも,教材・教具の工夫や開発,コンピュータ等の教育機器の活用,指導の過程における形成的評価などの評価の工夫など生徒の実態や指導の場面に応じ,多方面にわたる対応が必要であろう。
また,指導体制については,それぞれの学校の実態等に応じ様々な形で,その工夫改善に積極的に取り組んでいくことが大切である。その具体例としては,ティーム・ティーチング,合同授業などの実際の指導場面におけるもののほか,指導案の作成,教材・教具の開発,共同研究や研修,他の学校との連携,協力などが考えられる。また,食育その他の心身の健康の保持増進に関する指導においてこれらについての専門性を有する養護教諭や栄養教諭の積極的な参画・協力を得たりすること,学校内にとどまらず,学校外の様々な分野の専門家の参加・協力を得たりすることなど様々な工
夫を行い,指導の効果を高めることが大切である。
8 障害のある生徒の指導(第1章第4の2(8))
| ( 8 ) 障害のある生徒などについては, 特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ, 例えば指導についての計画又は家庭や医療, 福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成すること
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| などにより, 個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的, 組織的に行うこと。特に, 特別支援学級又は通級による指導については,教師間の連携に努め,効果的な指導を行うこと。
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平成18年に学校教育法が改正され,従来の盲・聾(ろう)・養護学校は,障害の重複化等に対応した適切な教育を行うため,平成19年度から,複数の障害種別を教育の対象とすることのできる「特別支援学校」に転換された。特別支援学校は,障害のある児童生徒等に対して,中学校等に準ずる教育を行うとともに,障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授ける教育を行う(同法第72条)ほか,中学校等の要請に応じて,中学校等に在籍する障害のある生徒等の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努める(同法第74条)ものと規定された。
また,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等において,障害のある児童生徒等に対し,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うこと(同法第81条第1項)が規定された。このように,特別支援教育については,大きな制度改正がなされたところである。
中学校には,特別支援学級や通級による指導を受ける障害のある生徒とともに,通常の学級にもLD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害),自閉症などの障害のある生徒が在籍していることがあり,これらの生徒については,障害の状態等に即した適切な指導を行わなければならない。
今回の改訂では,障害のある生徒の指導に当たっては,特別支援学校等の助言や援助を活用すること,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うことなどが新たに加わった。
障害のある生徒を指導するに当たっては,まず,生徒の障害の種類や程度を的確に把握する必要がある。生徒の障害には,視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱・身体虚弱,言語障害,情緒障害,自閉症,LD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害)などがある。
次に,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容・指導方法の工夫を検討し,適切な指導を計画的,組織的に行わなければならない。例えば,弱視の生徒についての
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保健体育科における球技の指導や理科等における観察・実験の指導,難聴や言語障害の生徒についての国語科における音読の指導や音楽科における歌唱の指導,肢体不自由の生徒についての保健体育科における実技の指導や技術・家庭科における実習の指導など,それぞれに個別的に特別な配慮が必要である。また,読み書きや計算などに困難があるLD(学習障害)の生徒についての国語科における書き取りや数学科における計算の指導,外国語科における読み書きの指導など,教師の適切な配慮により対応することが必要である。さらに,ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症の生徒に対して,話して伝えるだけでなく,メモや絵などを付加する指導などの配慮も必要である。
このため,特別支援学校や医療・福祉などの関係機関と連携を図り,障害のある生徒の教育についての専門的な助言や援助を活用しながら,適切な指導を行うことが大切である。指導に当たっては,例えば,障害のある生徒一人一人について,指導の目標や内容,配慮事項などを示した計画(個別の指導計画)を作成し,教職員の共通理解の下にきめ細かな指導を行うことが考えられる。
また,障害のある生徒については,学校生活だけでなく家庭生活や地域での生活も含め,長期的な視点に立って幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うことが重要である。このため,例えば,家庭や医療機関,福祉施設などの関係機関と連携し,様々な側面からの取組を示した計画(個別の教育支援計画)を作成することなどが考えられる。
このような指導は,特別支援学校や特別支援学級で行われてきており,それらを参考とするなどして,それぞれの学校や生徒の実態に応じた指導方法を工夫することが効果的と考えられる。
さらに,担任教師だけが指導に当たるのではなく,校内委員会を設置し,特別支援教育コーディネーターを指名するなど学校全体の支援体制を整備するとともに,特別支援学校等に対し助言又は援助を要請するなどして,計画的,組織的に取り組むことが重要である。
特に,本章第2節3にあるように,特別支援学級は,障害があるために通常の学級における指導では十分に指導の効果を上げることが困難な生徒のために編制された少人数の学級であり,生徒の障害の状態等に応じて,適切な配慮の下に指導が行われて
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いる。特別支援学級は,中学校の学級の一つであり,特別支援学級も通常の学級と同様,これを適切に運営していくためには,すべての教師の理解と協力が必要である。
学校運営上の位置付けがあいまいになり,学校組織の中で孤立することのないよう留意する必要がある。このため,学校全体の協力体制づくりを進めたり,すべての教師が障害について正しい理解と認識を深めたりして,教師間の連携に努める必要がある。
また,通級による指導は,特別支援学級とは別に,中学校の通常の学級に在籍している障害のある生徒に対して,特別の指導の場(通級指導教室)において,障害に応じた特別の指導を行うものである。対象となる生徒に対する通常の学級における指導と通級による指導とが共に効果的に行われるためには,それぞれの担当教師同士が生徒の様子や変化について定期的に情報交換を行い,特別の指導の場における指導の成果が,通常の学級においても生かされるようにするなどして連携に努め,指導の充実を図ることが重要と言える。さらに,他校において指導を受ける場合には,学校間及び担当教師間の連携の在り方を工夫し,情報交換等が円滑に行われるよう配慮する必
要がある。
障害のある生徒の指導に当たっては,特に教職員の理解の在り方や指導の姿勢が,生徒に大きく影響することに十分留意し,学校や学級内における温かい人間関係づくりに努めることが大切である。
なお,学習上の配慮を要する生徒については,生徒の実態に応じたきめ細かな指導をするよう配慮する必要がある。
9 海外から帰国した生徒や外国人の生徒の指導(第1章第4の2(9))
| ( 9 ) 海外から帰国した生徒などについては, 学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うこと。
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国際化の進展に伴い,学校現場では帰国生徒や外国人生徒の受け入れが多くなっている。これらの生徒の多くは,外国における生活経験等を通して,我が国の社会とは
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異なる言語や生活習慣,行動様式を身に付けているが,一人一人の実態は,その在留国,在留期間,年齢,外国での就学形態や教育内容・方法,さらには家庭の教育方針などによって様々である。このため,これらの生徒の受け入れに当たっては,一人一人の実態を的確に把握し,当該生徒が自信や誇りをもって学校生活において自己実現を図ることができるように配慮することが大切である。
海外から帰国した生徒や外国人の生徒の中には,日本語の能力が不十分であったり,我が国とは異なる学習経験を積んでいる場合がある。このため,日本語の習得については,日常的な取組を基本としつつ,特に文字の読み書きについては,段階的,効率的な指導を工夫することが必要である。なお,外国人生徒等の中には日常的な日本語の会話はできていても学習に必要な日本語の能力が十分ではなく,学習活動への参加に支障が生じている場合もあることに留意する必要がある。また,教科の指導においては,生徒一人一人に応じたきめ細かな指導が大切である。このような指導は,通常の授業や日常の学校生活において十分配慮することが基本ではあるが,これらの生徒の実態によっては,取り出し指導や放課後を活用した特別な指導などの配慮をすることも大切である。なお,この場合,あまりにも性急に未履修分野の指導を進めようとするのではなく,当該生徒の実態に合わせて,最も適した方法を選択し,学習の成果が上がるように努めるようにすることが大切である。特に,言葉の問題とともに生活習慣の違いなどによる不適応の問題が生じる場合もあるので,教師自身が当該生徒の在留国に関心をもち,理解しようとする姿勢を保ち,温かい対応を図るとともに,当該生徒を取り巻く人間関係を好ましいものにするよう学級経営等において配慮する必要がある。また,外国人生徒については,課外において当該国の言語や文化の学習の機会を設けることなどにも配慮することが大切である。
また,海外から帰国した生徒や外国人の生徒は,日本の生徒が経験していない外国での貴重な生活経験をもっている。外国での生活や外国の文化に触れた体験を,本人の各教科等の学習に生かすようにするとともに,他の生徒の学習にも生かすようにすることが大切である。さらに,外国で身に付けたものの見方や考え方,感情や情緒,外国語の能力などの特性を生かすよう配慮することも大切である。このような機会としては,外国語科のほか,例えば社会科や音楽科などの教科や道徳,総合的な学習の
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時間での学習活動,特別活動における学校行事などが考えられるが,生徒や学校の実態等に応じて適宜工夫することが必要である。
このような,海外から帰国した生徒や外国人の生徒については,本人に対するきめ細かな指導とともに,他の生徒についても帰国した生徒や外国人の生徒の長所や特性を認め,広い視野をもって異文化を理解し共に生きていこうとする姿勢を育てるよう配慮することが大切である。そして,このような相互啓発を通じて,互いに尊重し合う態度を育て,国際理解を深めるとともに,国際社会に生きる人間として望ましい能力や態度を育成することが期待される。
10 情報教育の充実,コンピュータ等や教材・教具の活用(第1章第4の2(10))
| ( 1 0 ) 各教科等の指導に当たっては, 生徒が情報モラルを身に付け, コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
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生徒に基礎的・基本的な知識・技能を習得させるとともに,それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を育成し,主体的に学習に取り組む態度を養うためには,生徒がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにすることが重要である。また,教師がこれらの情報手段や視聴覚教材,教育機器などの教材・教具を適切に活用することが重要である。
社会の情報化が進展していく中で,生徒が情報を主体的に活用できるようにするとともに,情報手段の特性などを科学的に理解することや情報モラルを身に付けることが一層重要となっている。このような情報活用能力を育成するため,今回の改訂において,「各教科等の指導に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータ
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や情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするための学習活動を充実する」ことを示している。小学校段階で身に付けた知識・技能を基に,技術・家庭科の技術分野において,情報手段の構成・仕組みなどを理解させ,それらを基にした情報モラル,情報技術の活用にかかわる能力・態度を身に付けさせるとともに,技術・家庭科だけではなく,国語科,社会科,数学科,理科,外国語科等の各教科における資料の収集・処理,観察・実験といった学習活動や言語活動,総合的な学習の時間などのそれぞれにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークを活用することが重要である。また,道徳においては情報モラルを取り扱うこととしている。
すなわち,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段の活用については,小学校段階において「コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作」を身に付けることに重点を置いた学習活動を行っており,中学校段階においては,小学校段階の基礎の上に,課題を解決するため自ら効果的な情報手段を選んで必要な情報を収集する学習活動,様々な情報源から収集した情報を比較し必要とする情報や信頼できる情報を選び取る学習活動,情報手段を用いて処理の仕方を工夫する学習活動,自分の考えなどが受け手に伝わりやすいように表現を工夫して発表したり情報を発信したりする学習活動など,情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするための学習活動を充実することが必要である。その際,技術・家庭科と各教科等が相互に関連を図ることが重要であり,指導における連携や協力に留意する必要がある。
また,インターネット上での誹謗中傷やいじめ,インターネット上の犯罪や違法・有害情報の問題を踏まえ,情報モラルについて指導することが必要である。情報モラルとは,「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」であり,具体的には,他者への影響を考え,人権,知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつことや,危険回避など情報を正しく安全に利用できること,コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解することなどであり,ネットワークを利用する上での責任について考えさせる学習活動,基本的なルールや法律を理解し違法な行為のもたらす問題について考えさせる学習活動,知的財産権などの情報に関する権利を尊重することの大切さについて考えさせる学習活動,トラブ
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ルに遭遇したときの主体的な解決方法について考えさせる学習活動,基礎的な情報セキュリティ対策について考えさせる学習活動,健康を害するような行動について考えさせる学習活動などを通じて,小学校段階の基礎の上に,情報モラルを確実に身に付けさせることが必要である。その際,情報の収集,判断,処理,発信など情報を活用する各場面での情報モラルについて学習させることが重要である。また,子どものインターネットの使い方の変化に伴い,学校や教師はその実態や影響に係る最新の情報の入手に努め,それに基づいた適切な指導に配慮することが重要である。なお,携帯電話の利用の問題に関しては,学校においては,家庭との連携を図りつつ,情報モラルを身に付けさせる指導を適切に行う必要がある。
各教科等の指導に当たっては,教師がこれらの情報手段に加え,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ることも重要である。これらの教材・教具を有効,適切に活用するためには,教師はそれぞれの情報手段の操作に習熟するだけでなく,それぞれの情報手段の特性を理解し,指導の効果を高める方法について絶えず研究することが求められる。
また,校内のICT環境の整備に努め,生徒も教師もいつでも使えるようにしておくことが重要である。
なお,生徒が安心して情報手段を活用できるよう,学校においては情報機器にフィルタリング機能の措置を講じたり,情報セキュリティの確保などに十分配慮したりすることが必要である。
11 学校図書館の利活用(第1章第4の2(11))
| ( 1 1 ) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り, 生徒の主体的, 意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
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学校図書館については,教育課程の展開を支える資料センターの機能を発揮しつつ,@生徒が自ら学ぶ学習・情報センターとしての機能とA豊かな感性や情操をはぐくむ
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読書センターとしての機能を発揮することが求められる。したがって,学校図書館は,学校の教育活動全般を情報面から支えるものとして図書,その他学校教育に必要な資料やソフトウェア,コンピュータ等情報手段の導入に配慮するとともに,ゆとりのある快適なスペースの確保,校内での協力体制,運営などについての工夫に努めなければならない。これらを司書教諭が中心となって,生徒や教師の利用に供することによって,学校の教育課程の展開に寄与することができるようにするとともに生徒の自主的,主体的な学習や読書活動を推進することが要請される。今回の改訂においては各教科等を通じて生徒の思考力・判断力・表現力等をはぐくむ観点から,言語に対する関心や理解を深め,言語に関する能力の育成を図る上で必要な生徒の言語活動の充実を図ることとしている。その中でも,読書は,生徒の知的活動を増進し,人間形成や情操を養う上で重要であり,生徒の望ましい読書習慣の形成を図るため,学校の教育活動全体を通じ,多様な指導の展開を図ることが大切である。このような観点に立って,各教科等において学校図書館を計画的に活用した教育活動の展開に一層努めることが大切である。各教科等においても,国語科及び総合的な学習の時間で学校図書館を利活用することを示すとともに,特別活動の学級活動で学校図書館の利用を指導事項として示している。また,コンピュータや情報通信ネットワークの活用により,学校図書館と公立図書館等との連携も一層進めやすくなっている。
また,保護者や地域社会の人々との連携協力を進め,学校図書館が地域に開かれたものになり,人々の生涯学習に貢献することも大切である。
12 指導の評価と改善(第1章第4の2(12))
| ( 1 2 ) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに, 指導の過程や成果を評価し, 指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
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基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図るとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を育成するための指導を行うため
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には,評価の在り方が大切である。いわゆる評価のための評価に終わることなく,生徒一人一人の学習の成立を促すための評価という視点を一層重視することによって,教師が自らの指導を振り返り,指導の改善に生かしていくことが特に大切である。
評価に当たっては,生徒の実態に応じた多様な学習を促すことを通して,主体的な学習の仕方が身に付くように配慮するとともに,生徒の学習意欲を喚起するようにすることが大切である。その際には,学習の成果だけでなく,学習の過程を一層重視する必要がある。特に,他者との比較ではなく生徒一人一人の持つよい点や可能性などの多様な側面,進歩の様子などを把握し,学年や学期にわたって生徒がどれだけ成長したかという視点を大切にすることが重要である。また,生徒が自らの学習過程を振り返り,新たな自分の目標や課題をもって学習を進めていけるような評価を行うことが大切である。
評価については,指導内容や生徒の特性に応じて,評価の場面や方法を工夫する必要がある。学習の過程の適切な場面で評価を行うことや,教師による評価とともに,生徒による相互評価や自己評価などを工夫することも大切である。特に,相互評価や自己評価は,生徒自身の学習意欲の向上にもつながるとの観点から重視する必要がある。
13 部活動の意義と留意点等(第1章第4の2(13))
| ( 1 3 ) 生徒の自主的, 自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ, 学習意欲の向上や責任感, 連帯感の涵(かん)養等に資するものであり, 学校教育の一環として, 教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際, 地域や学校の実態に応じ, 地域の人々の協力, 社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること。
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中学校教育において大きな役割を果たしている「部活動」については,前回の改訂により,中学校学習指導要領の中でクラブ活動との関連で言及がなされていた記
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述がなくなっていた。これについて,平成20年1月の中央教育審議会の答申においては,「生徒の自発的・自主的な活動として行われている部活動について,学校教育活動の一環としてこれまで中学校教育において果たしてきた意義や役割を踏まえ,教育課程に関連する事項として,学習指導要領に記述することが必要である。」
との指摘がなされたところである。
本項は,この指摘を踏まえ,生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動について,
@ スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵(かん)養,互いに協力し合って友情を深めるといった好ましい人間関係の形成等に資するものであるとの意義,
A 部活動は,教育課程において学習したことなども踏まえ,自らの適性や興味・関心等をより深く追求していく機会であることから,第2章以下に示す各教科等の目標及び内容との関係にも配慮しつつ,生徒自身が教育課程において学習する内容について改めてその大切さを認識するよう促すなど,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるようにするとの留意点,
B 地域や学校の実態に応じ,スポーツや文化及び科学等にわたる指導者など地域の人々の協力,体育館や公民館などの社会教育施設や地域のスポーツクラブといった社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うとの配慮事項,
をそれぞれ規定したものである。
各学校が部活動を実施するに当たっては,本項を踏まえ,生徒が参加しやすいように実施形態などを工夫するとともに,休養日や活動時間を適切に設定するなど生徒のバランスのとれた生活や成長に配慮することが必要である。
14 家庭や地域社会との連携及び学校相互の連携や交流(第1章第4の2(14))
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( 1 4 ) 学校がその目的を達成するため, 地域や学校の実態等に応じ, 家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また, 中学校間や小学校, 高等学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに, 障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習や高齢者などとの交流の機会を設けること。
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教育基本法には,第13条において「学校,家庭及び地域住民その他の関係者は,教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに,相互の連携及び協力に努めるものとする。」と規定されている。また,学校教育法には,「中学校は,当該中学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに,これらの者との連携及び協力の推進に資するため,当該中学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。」との規定が置かれた(同法第49条で中学校に準用される第43条)。このように,学校がその目的を達成するためには,家庭や地域の人々とともに生徒を育てていくという視点に立ち,家庭,地域社会との連携を深め,学校内外を通じた生徒の生活の充実と活性化を図ることが大切である。また,学校,家庭,地域社会がそれぞれ本来の教育機能を発揮し,全体としてバランスのとれた教育が行われることが重要である。
そのためには,教育活動の計画や実施の場面では,家庭や地域の人々の積極的な協力を得て生徒にとって大切な学習の場である地域の教育資源や学習環境を一層活用していくことが必要である。また,各学校の教育方針や特色ある教育活動,生徒の状況などについて家庭や地域の人々に説明し理解や協力を求めたり,家庭や地域の人々の学校運営などに対する意見を的確に把握し,自校の教育活動に生かしたりすることが大切である。その際,家庭や地域社会が担うべきものや担った方がよいものは家庭や地域社会が担うように促していくなど,相互の意思疎通を十分に図ることが必要である。さらに,家庭や地域社会における生徒の生活の在り方が学校教育にも大きな影響を与えていることを考慮し,休業日も含め学校施設の開放,地域の人々や生徒向けの学習機会の提供,地域社会の一員としての教師のボランティア活動を通して,家庭や地域社会に積極的に働きかけ,それぞれがもつ本来の教育機能が総合的に発揮される
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ようにすることも大切である。
また,学校同士が相互に連携を図り,積極的に交流を深めることによって,学校生活をより豊かにするとともに,生徒の人間関係や経験を広げるなど広い視野に立った適切な教育活動を進めていくことが必要である。その際には,近隣の学校のみならず異なった地域の学校同士において,あるいは同一校種だけでなく異校種間においても,このような幅広い連携や交流が考えられる。
学校間の連携としては,例えば,同一市区町村等の学校同士が学習指導や生徒指導のための連絡会を設けたり,合同の研究会や研修会を開催したりすることなどが考えられる。その際,小学校や高等学校との間で相互に児童生徒の実態や指導の在り方などについて理解を深めることは,それぞれの学校段階の役割の基本を再確認することとなるとともに,広い視野に立って教育活動の改善充実を図っていく上で極めて有意義であり,児童生徒に対する一貫性のある教育を相互に連携し協力し合って推進するという新たな発想や取組が期待される。
学校同士の交流としては,例えば,近隣の中学校や校区の小学校と学校行事,クラブ活動や部活動,自然体験活動,ボランティア活動などを合同で行ったり,自然や社会環境が異なる学校同士が相互に訪問したり,コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用して交流したり,特別支援学校などとの交流を図ったりすることなどが考えられる。これらの活動を通じ,学校全体が活性化するとともに,生徒が幅広い体験を得,視野を広げることにより,豊かな人間形成を図っていくことが期待される。
障害者基本法第14条第3項にも規定するとおり,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習は,生徒が障害のある幼児児童生徒とその教育に対する正しい理解と認識を深めるための絶好の機会であり,同じ社会に生きる人間として,お互いを正しく理解し,共に助け合い,支え合って生きていくことの大切さを学ぶ場でもあると考えられる。特別支援学校との交流の内容としては,例えば,学校行事や学習を中心に活動を共にする直接的な交流及び共同学習のほか,文通や作品の交換といった間接的な交流及び共同学習が考えられる。なお,交流及び共同学習の実施に当たっては,双方の学校同士が十分に連絡を取り合い,指導計画に基づく内容や方法を事前に検討し,各学校や障害のある幼児児童生徒一人一人の実態に応じた様々な配慮を行うなどし
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て,組織的に計画的,継続的な交流及び共同学習を実施することが大切である。
また,特別支援学級の生徒との交流及び共同学習は,日常の様々な場面で活動を共にすることが可能であり,双方の生徒の教育的ニーズを十分把握し,校内の協力体制を構築し,効果的な活動を設定することなどが大切である。
都市化や核家族化の進行により,日常の生活において,生徒が高齢者と交流する機会は減少している。そのため,学校は生徒が高齢者と自然に触れ合い交流する機会を設け,高齢者に対する感謝と尊敬の気持ちや思いやりの心をはぐくみ,高齢者から様々な生きた知識や人間の生き方を学んでいくことが大切である。高齢者との交流としては,例えば,授業や学校行事などに地域の高齢者を招待したり,高齢者福祉施設などを訪問したりして,高齢者の豊かな体験に基づく話を聞き,介護の簡単な手伝いをするなどといった体験活動が考えられる。また,地域の様々な人々との交流を図っていくことも考えられる。
こうした取組を進めるに当たっては,総合的な学習の時間や特別活動などを有意義に活用するとともに,学校は介護や福祉の専門家の協力を求めたり,地域社会や学校外の関係施設や団体で働く人々と連携したりして,積極的に交流を進めていくことが大切である。
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第4章教育課程編成の手順と評価
これからの学校教育においては,各学校において創意工夫を生かした特色ある教育課程を編成・実施し,特色ある学校教育活動を進めていくことが求められている。そのためには,地域や学校,生徒の実態等を的確に把握・分析し,それを基に,それぞれの学校の教育課題を明確にし,全教職員が一致協力して教育課程の編成と評価に当たることが重要である。
第1節教育課程の編成の手順
1 教育課程の編成の手順
教育課程の編成の手順は必ずしも一定したものではなく,それぞれの学校がその実態に即して,手順を考えるべきものである。
したがって,ここでは教育課程の編成の手順の一例を示すこととする。
(1) 教育課程の編成に対する学校の基本方針を明確にする。
基本方針を明確にするということは,教育課程の編成に対する学校の姿勢や作業計画の大綱を明らかにするとともに,それらについて全教職員が共通理解をもつことである。
ア 学校として教育課程の意義,教育課程の編成の原則などの編成に対する基本的な考え方を明確にし,全教職員が共通理解をもつ。
イ 編成のための作業内容や作業手順の大綱を決め,作業計画の全体について全教職員が共通理解をもつ。
ウ 編成のための組織と日程の基本的な方針を明確にする。
(ア) 編成に当たる組織及び各種会議の役割や相互関係について,その基本的な考え方を明確にする。
(イ) 分担作業の実施やその調整なども含め,作業日程についてその基本的な考え方を明確にする。
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(2) 教育課程の編成のための具体的な組織と日程を決める。
教育課程の編成は,組織的かつ計画的に実施する必要がある。そのために編成を担当する組織を確立するとともに,それを学校の組織全体の中に明確に位置付ける。また,編成の作業日程を明確にするとともに,それと学校が行う諸活動との調和を図る。
ア 編成のための組織を決める。
(ア) 編成に当たる組織及び各種会議について,その職務分担,役割などを具体的に決める。
(イ) 編成に当たる組織及び各種会議について,分担,協力などその相互関係を明確にするとともに,それを学校の組織全体の中に位置付ける。
(ウ) 既存の組織を整備,補強したり,新たな組織を設けるなど,具体的に組織の手直しや組織づくりをする。
(エ) 組織内の役割や分担を決める。
イ 編成のための作業日程を決める。
分担作業やその調整を含めて,各作業ごとの具体的な日程を決める。
(3) 教育課程の編成のための事前の研究や調査をする。
事前の研究や調査によって,教育課程についての国や教育委員会の基準の趣旨を理解するとともに,教育課程の編成にかかわる学校の実態や諸条件を把握する。
ア 教育課程についての国の基準や教育委員会の規則などを研究し理解する。
イ 地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性を把握する。その際,保護者や地域住民の意向,生徒の状況等を把握することに留意する。
ウ 実施中の教育課程を検討し評価して,その改善点を明確にする。その際,生徒の学習状況や反応などに留意する。
(4) 学校の教育目標など教育課程の編成の基本となる事項を定める。
学校の教育目標など教育課程の編成の基本となる事項は,学校教育の目的や目標及び教育課程の基準に基づきながら,しかも各学校が当面する教育課題の解決を目指し,両者を統一的に把握して設定する。
ア 事前の研究や調査の結果を検討し,学校教育の目的や目標を照らして,それぞれの学校や生徒がもっている教育課題を明確にする。
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イ 学校教育の目的や目標を調和的に達成するため,各学校の教育課題に応じて,学校の教育目標など教育課程の編成の基本となる事項を設定する。
ウ 編成に当たって,特に留意すべき点を明確にする。
(5) 教育課程を編成する。
教育課程は学校の教育目標の実現を目指して,指導内容を選択し,組織し,それに必要な授業時数を定めて編成する。
ア 指導内容を選択する。
(ア) 指導内容について,その基礎的・基本的なものを明確にする。
(イ) 学校の教育目標の有効な達成を図るため,重点を置くべき指導内容を明確にする。
(ウ) 各教科等の指導において,基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得と思考力・判断力・表現力等の育成を図るとともに,個に応じた指導を推進するよう配慮する。
(エ) 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育及び体育・健康に関する指導について,適切な指導がなされるよう配慮する。
(オ) 地域や学校,生徒の実態に応じて学校が創意を生かして行う総合的な学習の時間を適切に展開できるよう配慮する。
(カ) 指導内容に取り上げた事項のまとめ方や重点の置き方を検討する。
イ 指導内容を組織する。
(ア) 各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動について,各教科等間の指導内容相互の関連を図る。
(イ) 各教科等の指導内容相互の関連を明確にする。
(ウ) 発展的,系統的な指導ができるように指導内容を配列し組織する。
ウ授業時数を配当する。
(ア) 指導内容との関連において,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動の年間授業時数を定める。
(イ) 各教科等や学習活動の特質に応じて,創意工夫を生かし,1年間の中で,学期,月,週ごとの各教科の授業時数を定める。
(ウ) 各教科等の授業の1単位時間を,生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定める。
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2 学校の教育目標の設定
中学校の目的や目標は学校教育法に示されており,各学校においては,その達成を目指して教育を行わなければならない。しかし,法律に規定された目的や目標は一般的であり,各学校においては,生徒の実態や学校の置かれている各種の条件を分析して検討した上でそれぞれの学校の教育の課題を正しくとらえ,それに応じた具体的な強調点や留意点を明らかにした教育目標を設定する必要がある。各学校の教育課程は,それぞれの学校の教育目標の実現を目指して編成されるものであり,各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動の目標やねらい,指導内容に十分反映するようにすることが大切である。
学校の教育目標をこのようにとらえると,それは,法律で定められている中学校の目的や目標を前提とするものであり,また,学習指導要領に示されている各教科等の目標やねらいを前提とするものであることが必要である。また,地域や学校及び生徒の実態に即したものであること,教育的価値が高く,継続的な実践が可能なものであることなどが必要である。
以上のことを整理すると,各学校で設定する教育目標は,次のような要件を具備する必要がある。
(1) 法律に定められた中学校の目的や目標を前提とするものであること。
(2) 学習指導要領に示す各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動の目標やねらいを前提とするものであること。
(3) 教育委員会の規則,方針等に従っていること。
(4) 地域や学校の実態等に即したものであること。
(5) 教育的価値が高く,継続的な実践が可能なものであること。
(6) 評価が可能な具体性を有すること。
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第2節教育課程の評価
1 学校評価における教育課程の評価
(1) 学校評価に関する法制度
学校評価については,平成14年4月に施行された中学校設置基準等において,各学校は自己評価とその結果の公表に努めることとされた。また,保護者等に対する情報提供について,積極的に行うこととされた。その後,平成19年6月に学校教育法が改正され,学校評価及び情報提供に関する総合的な規定が設けられた。さらに平成19年10月に学校教育法施行規則が改正され,自己評価・学校関係者評価の実施・公表,評価結果の設置者への報告に関する規定が新たに設けられた。
学校教育法
第42条小学校は,文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い,その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることにより,その教育水準の向上に努めなければならない。
第43条小学校は,当該小学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに,これらの者との連携及び協力の推進に資するため,当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。
第49条第30条第2項,第31条,第34条,第35条及び第37条から第44条までの規定は,中学校に準用する。(略)
学校教育法施行規則
第66条小学校は,当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について,自ら評価を行い,その結果を公表するものとする。
2 前項の評価を行うに当たつては,小学校は,その実情に応じ,適切な項目を設定して行うものとする。
第67条小学校は,前条第1項の規定による評価の結果を踏まえた当該小学校の児童の保護者その他の当該小学校の関係者(当該小学校の職員を除く。)による評価を行い,その結果を公表するよう努めるものとする。
第68条小学校は,第66条第1項の規定による評価の結果及び前条の規定によ
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り評価を行つた場合はその結果を,当該小学校の設置者に報告するものとする。
第79条第41条から第49条まで,第50条第2項,第54条から第68条までの規定は,中学校に準用する。(略)
これにより,各中学校は法令上,
@ 教職員による自己評価を行い,その結果を公表すること,
A 保護者などの学校の関係者による評価(「学校関係者評価」)を行うとともにその結果を公表するよう努めること,
B 自己評価の結果,学校関係者評価の結果を設置者に報告すること,
が必要である。
(2) 学校評価ガイドラインにおける教育課程の評価
文部科学省は,これらの法令上の規定等を踏まえ,平成20年1月31日に「学校評価ガイドライン〔改訂〕」を作成した。その中では,具体的にどのような評価項目・指標等を設定するかは各学校が判断すべきことではあるが,その設定について検討する際の視点となる例が示されており,「教育課程・学習指導」については,次のような例が示されている。
○ 各教科等の授業の状況
・説明,板書,発問など,各教員の授業の実施方法
・視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の活用
・体験的な学習や問題解決的な学習,生徒の興味・関心を生かした自主的・自発的な学習の状況
・個別指導やグループ別指導,習熟度に応じた指導,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの個に応じた指導の方法等の状況
・ティーム・ティーチング指導などにおける教員間の協力的な指導の状況
・学級内における生徒の様子や,学習に適した環境に整備されているかなど, 学級経営の状況
・コンピュータや情報通信ネットワークを効果的に活用した授業の状況
・学習指導要領や各教育委員会が定める基準にのっとり,生徒の発達の段階に即した指導に関する状況
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・授業や教材の開発に地域の人材など外部人材を活用し,より良いものとする工夫の状況
○ 教育課程等の状況
・学校の教育課程の編成・実施の考え方についての教職員間の共通理解の状況
・生徒の学力・体力の状況を把握し,それを踏まえた取組の状況
・生徒の学習について観点別学習状況の評価や評定などの状況
・学校図書館の計画的利用や,読書活動の推進の取組状況
・体験活動,学校行事などの管理・実施体制の状況
・部活動など教育課程外の活動の管理・実施体制の状況
・必要な教科等の指導体制の整備,授業時数の配当の状況
・学習指導要領や各教育委員会が定める基準にのっとり,生徒の発達の段階に即した指導の状況
・教育課程の編成・実施の管理の状況
(例:教育課程の実施に必要な,各教科等ごと等の年間の指導計画や週案などが適切に作成されているかどうか)
・生徒の実態を踏まえた,個別指導やグループ別指導,習熟度に応じた指導,補充的な学習や発展的な学習など,個に応じた指導の計画状況
・小中連携,中高連携など学校間の円滑な接続に関する工夫の状況
・(データ等)学力調査等の結果
・(データ等)運動・体力調査の結果
・(データ等)生徒の学習についての観点別学習状況の評価・評定の結果
各学校は,例示された項目を網羅的に取り入れるのではなく,その重点目標を達成するために必要な項目・指標等を精選して設定することが期待されるが,その際,教育課程もその重要な評価対象となりうる。
2 教育課程の改善
(1) 改善の意義
教育課程の評価に続いて行われなければならないのは,その改善である。
教育課程についての評価が行われたとしても,これがその改善に活用されなければ,
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評価本来の意義が発揮されない。このため,各学校においては,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性を十分考慮して編成,実施した教育課程が目標を効果的に実現する働きをするよう改善を図ることが求められる。教育課程の評価が積極的に行われてはじめて,望ましい教育課程の編成,実施が期待できる。教育課程の改善は,編成した教育課程をより適切なものに改めることであるが,これは教育課程を地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階と特性に即したものにすることにほかならない。この意味から,学校は教育課程を絶えず改善する基本的態度をもつことが必要である。このような改善によってこそ学校の教育活動が充実するとともに質を高めて,その効果を一層上げることが期待できる。
(2) 改善の方法
教育課程の改善の方法は,各学校の創意工夫によって具体的には異なるであろうが,一般的には次のような手順が考えられる。
@ 評価の資料を収集し,検討すること。
A 整理した問題点を検討し,原因と背景を明らかにすること。
B 改善案をつくり,実施すること。
指導計画における指導目標の設定,指導内容の配列や構成,予測される学習活動などのように,比較的直ちに修正できるものもあれば,人的,物的諸条件のように,比較的長期の見通しの下に改善の努力を傾けなければならないものもある。また,個々の部分修正にとどまるものもあれば,広範囲の全体修正を必要とするものもある。さらに学校内の教職員の努力によって改善できるものもあれば,学校外へ働きかけるなどの改善の努力を必要とするものもある。教育課程の改善は,それらのことを見定めて実現を図っていかなければならない。なお,改善に当たっては,教育委員会の指導助言を役立てるようにすることも大切である。
このようにして,地域や学校の実態に即し,また,生徒の心身の発達の段階に即し,各学校の創意工夫を生かしたより一層適切な教育課程を編成するように努めなければならない。
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(資料)
学習指導要領等の改訂の経過
平成20年中学校学習指導要領の改訂は,昭和22年に「教科課程,教科内容お及びその取扱い」の基準として,初めて学習指導要領が編集,刊行されて以来,昭和26年,33年,44年,52年,平成元年,10年の全面改訂に続く7回目の全面改訂である。
昭和22年3月に学校教育法が制定されて,中学校教育は根本的な変革がなされ,教育課程についても大きな改革がなされた。
すなわち,同年5月に学校教育法施行規則が制定され,学校教育法第38条の規定に基づいて教育課程(当時は「教科課程」と称していた。)に関する基本的な事項を定めるとともに,教育課程の基準としての学習指導要領を試案の形で作成した。
(1) 昭和22年の学習指導要領
この最初の学習指導要領については,昭和22年3月に一般編が刊行され,引き続き各教科編が相次いで刊行された。即ち,学校教育法施行規則により,中学校の教育課程は必修教科と選択教科とに分けられ,前者は国語,社会,数学,理科,音楽,図画工作,体育及び職業を基準とし,後者は外国語,習字,職業及び自由研究を基準とすることと定められ,さらに,教科課程,教育内容及びその取扱いについては,学習指導要領の基準によることと定められた。
このようにして新制中学校の教育は始められたが,実施の結果を考慮して,昭和24年に体育は保健衛生をも合わせて指導するよう保健体育に改め,職業科は農業,商業,水産,工業,家庭の5つのうち1ないし2以上を学習すると定められていたのを,栽培,食品加工,手技工作,経営記帳,調理等の12項目に分け,一層実生活に役立ち得るように改め,その名称も職業・家庭と改めた。また,自由研究も新たに生徒の自発的活動を中心とする教科以外の活動を組織した特別教育活動の時間を設けたことによって廃止された。
これらの教科等ごとに授業時数が定められたが,1単位時間については,昭和22年
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には特に定めていないが,昭和24年以降は,原則として50分となった。
(2) 昭和26年の改訂
昭和22年の学習指導要領は,戦後の教育改革の急に迫られて極めて短時日の間に作成されたもので,例えば,教科間の関連が十分図られていなかったことなどの問題があった。そこで,昭和23年以降学習指導要領の使用状況の調査を行う一方,実験学校における研究,編集委員会による問題点の研究などを行い,その改訂作業を始めた。
さらに,昭和24年には,小学校,中学校及び高等学校の教育課程に関する事項の調査審議を行うための教育課程審議会を文部省に設け,同審議会から,昭和26年1月に道徳教育の振興について答申を受けた。
このような経過を経て,学習指導要領は,昭和26年に全面的に改訂され,昭和22年の場合と同様に,一般編と各教科編に分けて試案の形で刊行された。その改訂の主な特色は次のとおりである。
昭和26年の改訂では,必修教科が国語,社会,数学,理科,音楽,図画工作,保健体育,職業・家庭に,選択教科が外国語,職業・家庭,その他の教科で構成された。また,この他に昭和24年の改訂で設けられた特別教育活動については,主要なものとして,ホームルーム,生徒会,クラブ活動及び生徒集会が挙げられた。道徳教育の振興の観点から,学校教育のあらゆる機会をとらえ,周到な計画のもと,生徒の道徳的発達を助け,判断力と実践力に富んだ自主的,自律的人間の形成を目指すこととした。さらに,生徒指導(ガイダンス)及び職業指導は学校教育における重要な任務として取り上げられた。
なお,この学習指導要領においては,昭和22年の学習指導要領の「教科課程」という用語に代えて「教育課程」という用語が用いられた。
その後,昭和28年に教育課程審議会から社会科の改善に関する答申を受け,「社会科の改善についての方策」を発表するとともに,この方策に沿って学習指導要領社会科編の改訂を行い,昭和30年12月に刊行した。この改訂においては,社会科における道徳教育,地理,歴史教育の充実という観点から行われた。
(3) 昭和33年の改訂
昭和26年の学習指導要領については,全教科を通じて,戦後の新教育の潮流となっ
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ていた経験主義や単元学習に偏り過ぎる傾向があり,各教科のもつ系統性を重視すべきではないかという問題があった。また,授業時数の定め方に幅があり過ぎるということもあり,地域による学力差が目立ち,国民の基礎教育という観点から基礎学力の充実が叫ばれるようになった。そのほか,基礎学力の充実に関連し科学技術教育の振興が叫ばれ,理科,数学等の改善が要請された。
このような点を改善するため,昭和31年に教育課程審議会に「小学校・中学校教育課程の改善について」諮問し,昭和33年3月に同審議会から答申を受け,学習指導要領を全面的に改訂し,昭和37年4月から実施した。
学習指導要領の改訂に先だち,昭和33年8月に学校教育法施行規則の一部を改正した。その改正の要点は次のとおりである。
ア 学習指導要領は,教育課程の基準として文部大臣が公示するものであると改め,学校教育法,同法施行規則,告示という法体系を整備して教育課程の基準としての性格を一層明確にしたこと。
イ 中学校の教育課程は,必修教科として国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育及び技術・家庭が,選択教科として外国語,農業,工業,商業,水産,家庭,数学,音楽及び美術が定められたほか,道徳及び特別教育活動が規定されたこと。
ウ 中学校における各教科,道徳及び特別教育活動の年間最低授業時数を明示したこと。
このように,従来は学習指導要領で規定していた事項を学校教育法施行規則において規定したのも,昭和33年の改訂の特色の一つである。
また,学習指導要領は,従来は一般編及び各教科編から成っていたが,この改訂において一つの告示にまとめ,教育課程の基準として必要な事項を規定するにとどめた。
昭和33年の改訂は,独立国家の国民としての正しい自覚をもち,個性豊かな文化の創造と民主的な国家及び社会の建設に努め,国際社会において真に信頼され,尊敬されるような日本人の育成を目指して行った。その改訂の特色は次のとおりである。
ア 道徳の時間を特設して,道徳教育を徹底して行うようにしたこと。
イ 基礎学力の充実を図るために,国語,数学の内容を再検討してその充実を図るとともに授業時数を増やしたこと。
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ウ 科学技術教育の向上を図るために,数学,理科の充実を図ったこと。
エ 地理,歴史教育を充実改善したこと。
オ 情操の陶冶(とうや),身体の健康,安全の指導を充実したこと。
カ 小・中学校の教育の内容の一貫性を図ったこと。
キ 各教科の目標及び指導内容を精選し,基本的な事項の学習に重点を置いたこと。
ク 教育課程の最低基準を示し,義務教育の水準の維持を図ったこと。
(4) 昭和44年の改訂
昭和33年の改訂後,我が国の国民生活の向上,文化の発展,社会情勢の進展はめざましいものがあり,また,我が国の国際的地位の向上とともにその果たすべき役割もますます大きくなりつつあった。そこで,教育内容の一層の向上を図り,時代の要請に応えるとともに,さらに,実施の経験にかんがみ,生徒の発達の段階や個性,能力に即し,学校の実情に適合するように改善を行う必要があった。
このため,昭和40年6月に教育課程審議会に「小学校,中学校の教育課程の改善について」諮問し,同審議会から昭和42年10月に答申を受け,昭和44年4月に学校教育法施行規則の一部を改正するとともに学習指導要領を全面的に改訂し,昭和47年4月から実施した。
学校教育法施行規則の主な改正点は,次のとおりである。
ア 中学校の教育課程は,必修教科のほか,道徳,特別活動,選択教科等で編成することとし,選択教科等の種類は,外国語,農業,工業,商業,水産,家庭及びその他特に必要な教科としたこと。
イ 中学校の各学年における各教科,道徳,特別活動及び選択教科等の授業時数を,最低時数から標準時数に改めたこと。
ウ 中学校の教育課程に関し,その改善に資する研究を行うため特に必要があり,かつ,生徒の教育上適切な配慮がなされていると文部大臣が認める場合においては,文部大臣が別に定めるところにより,中学校学習指導要領等によらないことができることとしたこと。
また,この学習指導要領の改訂の方針は次のとおりである。
ア 中学校の教育は,教育基本法及び学校教育法の示すところに基づいて人間形成に
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おける基礎的な能力の伸長を図り,国民育成の基礎を養うものであるとしたこと。
イ 人間形成の上から調和と統一のある教育課程の実現を図ったこと。すなわち,基本的な知識や技能を習得させるとともに,健康や体力の増進を図り,正しい判断力や創造性,豊かな情操や強い意志の素地を養い,さらには,国家及び社会について正しい理解と愛情を育てるものとしたこと。
ウ 指導内容は,義務教育9年間を見通し,中学校段階として有効・適切な基本的な事項に精選したこと。この場合,特に時代の進展に応ずるようにしたこと。
(5) 昭和52年の改訂
昭和44年の改訂後,我が国の学校教育は急速な発展を遂げ,昭和48年度には高等学校への進学率が90パーセントを超えるに至り,このような状況にどのように対応するかということが課題となっていた。また,学校教育が知識の伝達に偏る傾向があるとの指摘もあり,真の意味における知育を充実し,児童生徒の知・徳・体の調和のとれた発達をどのように図っていくかということが課題になっていた。
そこで,昭和48年11月に教育課程審議会に「小学校,中学校及び高等学校の教育課程の改善について」諮問を行い,昭和51年12月に答申を受けた。答申においては,教育課程の基準の改善は,自ら考え正しく判断できる児童生徒の育成ということを重視しながら,次のようなねらいの達成を目指して行う必要があるとした。
@ 人間性豊かな児童生徒を育てること。
A ゆとりのあるしかも充実した学校生活が送れるようにすること。
B 国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視するとともに児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにすること。
この答申を受けて,昭和52年7月23日に学校教育法施行規則の一部を改正するとともに,中学校学習指導要領を全面的に改訂し,昭和56年4月から実施した。
この改訂においては,自ら考え正しく判断できる力をもつ児童生徒の育成を重視し,次のような方針により改善を行った。
@ 道徳教育や体育を一層重視し,知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童生徒の育成を図ることとしたこと。
豊かな人間性を育てる上で必要な資質や徳性を生徒の発達の段階に応じて十分身に
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付けるようにするため,各教科等の目標の設定や指導内容の構成に当たって,これらの資質や徳性の涵(かん)養に特に配慮した。
A 各教科の基礎的・基本的事項を確実に身に付けられるように教育内容を精選し,創造的な能力の育成を図ることとしたこと。
各教科の指導内容については,次の4つの観点に立って,各学年段階において確実に身に付けさせるべき基礎的・基本的な事項に精選した。
ア 小・中・高等学校の指導内容の関連と学習の適時性を考慮して,各学年段階間の指導内容の再配分や精選を行った。
イ 各学年にわたって取り扱うことになっていた指導内容は必要に応じて集約化を図った。
ウ 各教科の指導内容の領域区分を整理統合した。
エ 各教科の目標を中核的なものに絞り,それを達成するための指導事項を基礎的・基本的なものに精選した。
B ゆとりのある充実した学校生活を実現するため,各教科の標準授業時数を削減し,地域や学校の実態に即して授業時数の運用に創意工夫を加えることができるようにしたこと。
ゆとりのあるしかも充実した学校生活を実現するため,各教科の指導内容を精選するとともに,学校教育法施行規則の一部を改正し,第1,2学年では週当たり4単位時間,第3学年では3単位時間の標準授業時数の削減が行われた。このことによって,学校の教育活動にゆとりがもてるようにするとともに,地域や学校の実態に応じ創意を生かした教育活動が展開できるようにした。
C 学習指導要領に定める各教科等の目標,内容を中核的事項にとどめ,教師の自発的な創意工夫を加えた学習指導が十分展開できるようにしたこと。
各教科等の目標や指導内容について中核的な事項のみを示すにとどめ,また,内容の取扱いについて指導上の留意事項や指導方法に関する事項などを大幅に削除した。
このような大綱化を図ることによって学校や教師の創意工夫の余地を拡大した。
(6) 平成元年の改訂
昭和52年の改訂後,科学技術の進歩と経済の発展は,物質的な豊かさを生むととも
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に,情報化,国際化,価値観の多様化,核家族化,高齢化など,社会の各方面に大きな変化をもたらすに至った。しかも,これらの変化は,今後ますます拡大し,加速化することが予想された。
このような社会の変化に対応する観点から教育内容の見直しを行うことが求められていた。
そこで,昭和60年9月に教育課程審議会に「幼稚園,小学校,中学校及び高等学校の教育課程の基準の改善について」諮問を行い,昭和62年12月に答申を受けた。答申においては,次の諸点に留意して改善を図ることを提言している。
@ 豊かな心をもち,たくましく生きる人間の育成を図ること。
A 自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視すること。
B 国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視し,個性を生かす教育の充実を図ること。
C 国際理解を深め,我が国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視すること。
この答申を受けて,平成元年3月15日に学校教育法施行規則の一部を改正するとともに,中学校学習指導要領を全面的に改訂し,平成5年4月から実施した。
この改訂においては,生涯学習の基盤を培うという観点に立ち,21世紀を目指し社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成を図ることを基本的なねらいとし,次の方針により行った。
@ 教育活動全体を通じて,生徒の発達の段階や各教科等の特性に応じ,豊かな心をもち,たくましく生きる人間の育成を図ること。
これからの社会において自主的,自律的に生きる力を育てるため,道徳を中心にして各教科や特別活動においても,それぞれの特質に応じて,内容や指導方法の改善を図ることに配慮した。
A 国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視し,個性を生かす教育を充実するとともに,中学校教育や高等学校教育との関連を緊密にして各教科等の内容の一貫性を図ること。
各教科の内容については,中学校段階において確実に身に付けさせるべき基礎的・基本的な内容に一層の精選を図るとともに,基礎的・基本的な内容を生徒一人一人に
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確実に身に付けさせるようにするため,個に応じた指導など指導方法の改善を図ることとした。また,個性を生かすためには,生徒一人一人が自分のものの見方や考え方をもつようにすることが大切であり,各教科において思考力,判断力,表現力等の能力の育成や,自ら学ぶ意欲や主体的な学習の仕方を身に付けさせることを重視した。
B 社会の変化に主体的に対応できる能力の育成や創造性の基礎を培うことを重視するとともに,自ら学ぶ意欲を高めるようにすること。
各教科の内容については,これからの社会の変化に主体的に対応できるよう,思考力,判断力,表現力等の能力の育成を重視することとした。
また,生涯学習の基礎を培う観点から,学ぶことの楽しさや成就感を体得させ自ら学ぶ意欲を育てるため体験的な学習や問題解決的な学習を重視して各教科の内容の改善を行った。
C 我が国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視するとともに,世界の文化や歴史についての理解を深め,国際社会に生きる日本人としての資質を養うこと。
我が国の文化と伝統に対する理解と関心を深め,それを大切にする態度の育成を図るとともに,日本人としての自覚やものの見方,考え方についての基礎を培う観点から,各教科等の内容の改善を図ることとした。その一環として,国旗及び国歌の指導については,日本人としての自覚を高め国家社会への帰属意識を涵(かん)養するとともに,国際社会において信頼される日本人を育てる観点から,その充実を図ることとした。
(7) 平成10年の改訂
平成8年の中央教育審議会の「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の第1次答申は,21世紀を展望し,我が国の教育について,[ゆとり]の中で[生きる力]をはぐくむことを重視することを提言した。[生きる力]について,同答申は「いかに社会が変化しようと,自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力」,「自らを律しつつ,他人とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心など,豊かな人間性」,そして,「たくましく生きるための健康や体力」を重要な要素として挙げた。また,同答申は[ゆとり]の中で[生きる力]をはぐくむ観点から,完全学校週5日制の導入を提言するとともに,そのねらいを実現するためには,教育内容の厳選が是非とも必要であるとしている。
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そこで,平成8年8月に教育課程審議会に「幼稚園,小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」諮問を行い,平成10年7月に答申を受けた。答申においては,次の諸点に留意して改善を図ることを提言している。
@ 豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚の育成を重視すること。
A 多くの知識を一方的に教え込む教育を転換し,子どもたちの自ら学び自ら考える力の育成を重視すること。
B ゆとりのある教育活動を展開する中で,基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育の充実を図ること。
C 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,特色ある学校づくりを進めること。
この答申を受けて,平成10年12月14日に学校教育法施行規則の一部を改正するとともに,中学校学習指導要領を全面的に改訂し,平成14年4月から実施した。
学校教育法施行規則の主な改正点は,第一に,各学校が,地域や学校,生徒の実態等に応じて,横断的・総合的な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行う時間として,各学年に「総合的な学習の時間」を創設したこと,第二に,各学年の年間総授業時数については,完全学校週5日制が実施されることに伴う土曜日分を縮減した時数とし,従前より各学年とも年間70単位時間,週当たりに換算して2単位時間削減することとし,また,各学年の各教科,道徳,特別活動,選択教科等及び総合的な学習の時間ごとの授業時数についての改正を行ったことである。
この改訂においては,平成14年度から実施される完全学校週5日制の下で,各学校がゆとりの中で特色ある教育を展開し,生徒に豊かな人間性や基礎・基本を身に付け,個性を生かし,自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を培うことを基本的なねらいとして,次の方針により行った。
@ 豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること。
生徒の人間としての調和のとれた育成とともに国際社会の中で日本人としての自覚をもち主体的に生きていく上で必要な資質や能力の基礎を培う観点から,社会や
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保健体育,道徳,特別活動等において,それぞれの特質に応じて,内容や指導方法の改善を図ることに配慮した。
A 自ら学び,自ら考える力を育成すること。
これからの学校教育においては,多くの知識を教え込むことになりがちであった教育の基調を転換し,生徒に自ら学び自ら考える力を育成することを重視した教育を行うことが必要との観点から,総合的な学習の時間の創設のほか,各教科において体験的な学習や問題解決的な学習の充実を図った。
B ゆとりのある教育活動を展開する中で,基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育を充実すること。
完全学校週5日制を円滑に実施し,生涯学習の考え方を進めていくため,時間的にも精神的にもゆとりのある教育活動が展開される中で,生徒が基礎・基本をじっくり学習できるようにするとともに,興味・関心に応じた学習に主体的に取り組むことができるようにする必要がある。このような観点から,年間総授業時数の削減,各教科の教育内容を授業時数の縮減以上に厳選し基礎的・基本的な内容に絞り,ゆとりの中でじっくり学習しその確実な定着を図るようにすることなどの改善を図った。また,生徒が学習内容を確実に身に付けることができるよう個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,教師の協力的な指導など指導方法や指導体制を工夫改善し個に応じた指導を充実することを総則に示した。
C 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,特色ある学校づくりを進めること。
生徒一人一人の個性を生かす教育を行うためには,各学校が生徒や地域の実態等を十分踏まえ,創意工夫を存分に生かした特色ある教育活動を展開することが大切である。このような観点から,総合的な学習の時間の創設や授業の1単位時間や授業時数の運用の弾力化,国語等の教科の目標や内容を2学年まとめるなどの大綱化などの改善を図った。
中学校学習指導要領解説総則編作成協力者(五十音順)
(職名は平成20年6月末日現在)
安彦忠彦早稲田大学教授
池田芳和東京都港区立御成門小学校長
全国連合小学校長会長
市川伸一東京大学教授
衞藤隆東京大学教授
草野一紀東京都新宿区立牛込第二中学校長
全日本中学校長会顧問
無藤隆白梅学園大学教授
なお,文部科学省においては,次の者が本書の編集に当たった。
高橋道和初等中等教育局教育課程課長
牛尾則文初等中等教育局視学官
合田哲雄初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長
平成20年7月
文部科学省
目次
第1章総説……………………………………………………………………… 1
1 改訂の経緯……………………………………………………………………… 1
2 国語科改訂の趣旨……………………………………………………………… 4
3 国語科改訂の要点……………………………………………………………… 8
第2章国語科の目標及び内容…………………………………………………………12
第1節国語科の目標…………………………………………………………………12
1 教科の目標……………………………………………………………………12
2 学年の目標……………………………………………………………………14
第2節国語科の内容…………………………………………………………………16
1 内容構成………………………………………………………………………16
2 各領域及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の内容…16
第3章各学年の目標と内容……………………………………………………………36
第1節第1学年………………………………………………………………………36
「A話すこと・聞くこと」…………………………………………………36
「B書くこと」………………………………………………………………41
「C読むこと」………………………………………………………………47
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕………………………53
第2節第2学年………………………………………………………………………61
「A話すこと・聞くこと」…………………………………………………61
「B書くこと」………………………………………………………………66
「C読むこと」………………………………………………………………71
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕………………………77
第3節第3学年………………………………………………………………………84
「A話すこと・聞くこと」…………………………………………………84
「B書くこと」………………………………………………………………90
「C読むこと」………………………………………………………………95
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕……………………100
第4章指導計画の作成と内容の取扱い……………………………………………104
1 指導計画作成上の配慮事項…………………………………………………104
2 第2の各学年の内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
の取扱い………………………………………………………………………110
3 取り上げる教材についての観点……………………………………………113
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第1章総説
1 改訂の経緯
21世紀は,新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われている。このような知識基盤社会化やグローバル化は,アイディアなど知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させる一方で,異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。このような状況において,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことがますます重要になっている。
他方,OECD(経済協力開発機構)のPISA調査など各種の調査からは,我が国の児童生徒については,例えば,
@ 思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題,知識・技能を活用する問題に課題,
A 読解力で成績分布の分散が拡大しており,その背景には家庭での学習時間などの学習意欲,学習習慣・生活習慣に課題,
B 自分への自信の欠如や自らの将来への不安,体力の低下といった課題,
が見られるところである。
このため,平成17年2月には,文部科学大臣から,21世紀を生きる子どもたちの教育の充実を図るため,教員の資質・能力の向上や教育条件の整備などと併せて,国の教育課程の基準全体の見直しについて検討するよう,中央教育審議会に対して要請し,同年4月から審議が開始された。この間,教育基本法改正,学校教育法改正が行われ,知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第1号)とともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等及び学習意欲を重視し(学校教育法第30条第2項),学校教育においてはこれらを調和的にはぐくむことが必要である旨が法律上規定されたところである。中央教育審議会においては,このような教育の根本にさかの
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ぼった法改正を踏まえた審議が行われ,2年10か月にわたる審議の末,平成20年1月に「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」答申を行った。
この答申においては,上記のような児童生徒の課題を踏まえ,
@ 改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂
A 「生きる力」という理念の共有
B 基礎的・基本的な知識・技能の習得
C 思考力・判断力・表現力等の育成
D 確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保
E 学習意欲の向上や学習習慣の確立
F 豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実
を基本的な考え方として,各学校段階や各教科等にわたる学習指導要領の改善の方向性が示された。
具体的には,@については,教育基本法が約60年振りに改正され,21世紀を切り拓(ひら)く心豊かでたくましい日本人の育成を目指すという観点から,これからの教育の新しい理念が定められたことや学校教育法において教育基本法改正を受けて,新たに義務教育の目標が規定されるとともに,各学校段階の目的・目標規定が改正されたことを十分に踏まえた学習指導要領改訂であることを求めた。Bについては,読み・書き・計算などの基礎的・基本的な知識・技能は,例えば,小学校低・中学年では体験的な理解や繰り返し学習を重視するなど,発達の段階に応じて徹底して習得させ,学習の基盤を構築していくことが大切との提言がなされた。この基盤の上に,Cの思考力・判断力・表現力等をはぐくむために,観察・実験,レポートの作成,論述など知識・技能の活用を図る学習活動を発達の段階に応じて充実させるとともに,これらの学習活動の基盤となる言語に関する能力の育成のために,小学校低・中学年の国語科において音読・暗唱,漢字の読み書きなど基本的な力を定着させた上で,各教科等において,記録,要約,説明,論述といった学習活動に取り組む必要があると指摘した。
また,Fの豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実については,徳育や体育の充実のほか,国語をはじめとする言語に関する能力の重視や体験活動の充実により,
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他者,社会,自然・環境とかかわる中で,これらとともに生きる自分への自信をもたせる必要があるとの提言がなされた。
この答申を踏まえ,平成20年3月28日に学校教育法施行規則を改正するとともに,幼稚園教育要領,小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領を公示した。中学校学習指導要領は,平成21年4月1日から移行措置として数学,理科等を中心に内容を前倒しして実施するとともに,平成24年4月1日から全面実施することとしている。
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2 国語科改訂の趣旨
中央教育審議会答申における国語科の改善の基本方針は,次のように示されている。
○ 国語科については,その課題を踏まえ,小学校,中学校及び高等学校を通じて,言語の教育としての立場を一層重視し,国語に対する関心を高め,国語を尊重する態度を育てるとともに,実生活で生きてはたらき,各教科等の学習の基本ともなる国語の能力を身に付けること,我が国の言語文化を享受し継承・発展させる態度を育てることに重点を置いて内容の改善を図る。
特に,言葉を通して的確に理解し,論理的に思考し表現する能力,互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力を育成することや,我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむことを重視する。
そのため,現行の「話すこと・聞くこと」,「書くこと」及び「読むこと」からなる領域構成は維持しつつ,基礎的・基本的な知識・技能を活用して課題を探究することのできる国語の能力を身に付けることに資するよう,実生活の様々な場面における言語活動を具体的に内容に示す。また,現行の〔言語事項〕の内容のうち各領域の内容に関連の深いものについては,実際の言語活動において一層有機的にはたらくよう,それぞれの領域の内容に位置付けるとともに,必要に応じてまとめて取り上げるようにする。
また,〔言語文化と国語の特質に関する事項〕を設け,我が国の言語文化に親しむ態度を育てたり,国語の役割や特質についての理解を深めたり,豊かな言語感覚を養ったりするための内容を示す。
○ 子どもたちの発達の段階を踏まえた学習の系統性を重視し,学校段階・学年段階ごとに,具体的に身に付けるべき能力の育成を目指し,重点的な指導が行われるようにする。その際,小学校においては日常生活に必要な国語の能力の基礎を,中学校においては社会生活に必要な国語の能力の基礎を,高等学校においては社会人として必要な国語の能力の基礎をそれぞれ確実に育成するようにする。
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○ 古典の指導については,我が国の言語文化を享受し継承・発展させるため,生涯にわたって古典に親しむ態度を育成する指導を重視する。
漢字の指導については,実生活や他教科等の学習における使用や,読書活動の充実に資するため,確実な習得が図れるよう,指導を充実する。書写の指導については,実生活や学習場面に役立つよう,内容や指導の在り方の改善を図る。
敬語の指導については,人間関係を円滑にし,日常の言語生活を豊かにするため,相手や場に応じた言葉遣いが適切にできるようにすることを重視する。言葉のきまりの指導については,系統的に指導するとともに,実際に文章を書いたり読んだりするときなどに役立つよう,指導の改善を図る。
読書の指導については,読書に親しみ,ものの見方,感じ方,考え方を広げたり深めたりするため,読書活動を内容に位置付ける。教材については,我が国において継承されてきた言語文化に親しむことができるよう,長く読まれている古典や近代以降の作品などを,子どもたちの発達の段階に応じて取り上げるようにする。
これを受けて,国語に関する「改善の具体的事項」が,各学校段階に分けて述べられている。中学校については「社会生活に必要な国語の能力の基礎を身に付けることができるよう,次のような改善を図る。」としてその具体的な内容が示されている。
○ 小学校までに培われた国語の能力を更に伸ばし,社会生活に必要な国語の能力の基礎を身に付けることができるよう,次のような改善を図る。
(ア) 「話すこと・聞くこと」,「書くこと」及び「読むこと」の各領域では,小学校で身に付けた技能に加え,社会生活に必要とされる発表,討論,解説,論述,鑑賞などの言語活動を行う能力を確実に身に付けることができるよう,継続的に指導することとし,小学校で習得した能力の定着を図りながら,中学校段階にふさわしい文章や資料等を取り上げ,自ら課題を設定し,基礎的・基本的な知識・技能を活用し,他者と相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく能力の育成を重視する。
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例えば,社会的な事柄を含む広い範囲から課題を見付け,根拠を明確にしながら自分の考えを簡潔にまとめて記述したり,多様な文章や資料の形にまとめ,分かりやすく発表したりすることができる能力などの育成を図る。
〔言語文化と国語の特質に関する事項〕では,古典をはじめとする伝統的な文章や作品を読んだり,書き換えたり,演じたりすることを通して,言語文化を享受し継承・発展させる態度を育成することを重視する。また,他の言語と比べた国語の特質や,社会生活で使用されている敬語の特質など言語の多様な働きについての理解を重視する。なお,音声,文字,語彙,単語,文及び文章の構成,言葉遣い,書写などについては,実際の言語活動において有機的にはたらくよう,関連する領域の内容に位置付けるとともに,必要に応じてまとめて取り上げるようにする。
(イ) 古典の指導については,言語の歴史や,作品の時代的・文化的背景とも関連付けながら,古典に一層親しむ態度を育成することを重視する。
(ウ) 漢字の指導については,社会生活や他教科等の学習における使用や,読書活動の充実に資するため,常用漢字の大体を読めるようにするとともに,学年別漢字配当表に配当された漢字を使い慣れるようにする。また,社会生活において確実に使えることを重視し,生徒の習得の実態に応じた指導を充実する。
(エ) 書写の指導については,社会生活に役立つことを引き続き重視するとともに,文字文化に親しむようにするため,内容や指導の在り方の改善を図る。
(オ) 敬語の指導については,社会生活において使用されている敬語の役割を知り,体系的な知識を得ながら,適切に使えるようにすることを引き続き重視する。
(カ) 言葉のきまりの指導については,国語の特質を理解し,実際に文章を書いたり読んだりするときなどに役立つよう,指導の改善を図る。
(キ) 読書の指導については,自分の読書生活を振り返り,日常的な読書をより豊かなものにすることや図書・資料の検索に図書館や情報機器を効果的に利用する仕方などを内容に位置付ける。
(ク) 教材については,我が国において継承されてきた言語文化に親しむことができるよう,長く読まれている古典や近代以降の代表的な作品を取り上げるようにす
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る。
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3 国語科改訂の要点
中央教育審議会答申に示された「改善の基本方針」及び「改善の具体的事項」に基づいて改訂した中学校学習指導要領の国語科の主な内容は,次のようなものである。
(1) 目標及び内容の構成
@ 目標
教科の目標は,次のとおりである。これは,これまでと変更はない。
国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。
国語科の最も基本的な目標である国語による表現力と理解力とを育成するとともに,人間と人間との関係の中で,互いの立場や考えを尊重しながら言葉で「伝え合う力」を高めることを位置付けている。また,論理的な思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにするとともに,伝統的な言語文化に触れたり,国語の特質を理解したりしながら,国語に対する認識を深めたり国語を尊重したりする態度の育成を位置付けている。
A 内容の構成の改善
内容については,これまでは「話すこと・聞くこと」,「書くこと」,「読むこと」の3領域及び〔言語事項〕で構成していたが,3領域と〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕に改めている。また,これまで,第2学年及び第3学年については,目標と内容を2学年まとめて示していたが,今回の改訂では学年ごとに示している。
各領域では,国語の能力を調和的に育て実生活で生きて働くように,それぞれの領域の特性を生かしながら生徒主体の言語活動を活発にし,国語科の目標を確実かつ豊かに実現できるように内容を改善した。そのために,各領域の内容を(1)の指導事項に示すとともに,これまでは指導計画の作成と内容の取扱いに示していた言語活動例を内容の(2)に位置付け,再構成している。これは,各学年の内容の指導に当たって,
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(1)に示す指導事項を(2)に示す言語活動例を通して指導することを一層重視したためである。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕は,我が国の言語文化を享受し継承・発展させる態度を育てることや,国語が果たす役割や特質についてまとまった知識を身に付けることとともに,実際の言語活動において有機的に働くような能力を育てることに重点を置いて構成している。
(2) 学習過程の明確化
自ら学び,課題を解決していく能力の育成を重視し,指導事項については学習過程を一層明確化した。例えば,「書くこと」では,書くことの課題を決める指導事項や書いたものを交流する指導事項などを設定し,学習過程全体が分かるように内容を構成している。「読むこと」では,語句の意味の理解,文章の解釈,自分の考えの形成,読書と情報活用という学習過程を示している。
学習過程の明確化は,総則の第4の2に示している「(6) 各教科等の指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすること。」と深く関連している。
(3) 言語活動の充実
「話すこと・聞くこと」,「書くこと」及び「読むこと」の各領域においては,基礎的・基本的な知識・技能を活用して課題を探究することのできる国語の能力を身に付けることができるよう,内容の(2)に社会生活に必要とされる発表,案内,報告,編集,鑑賞,批評などの言語活動を具体的に例示している。学校や生徒の実態に応じて様々な言語活動を工夫し,その充実を図っていくことが重要である。なお,例示のため,これらのすべてを行わなければならないものではなく,それ以外の言語活動を取り上げることも考えられる。
(4) 学習の系統性の重視
国語科の指導内容は,系統的・段階的に上の学年につながっていくとともに,螺(ら)旋
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的・反復的に繰り返しながら学習し,能力の定着を図ることを基本としている。そのため,生徒の実態に応じ,各領域の指導事項及び言語活動例,さらには〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕を関連付けながら,重点を置くべき指導内容を明確にし,その系統化を図っている。
例えば,「読むこと」では,文学的な文章について,第1学年では場面の展開や登場人物などの描写に注意して読むこと,第2学年では登場人物の言動の意味などを考えて読むこと,第3学年では場面や登場人物の設定の仕方をとらえて読むことといったように指導事項を系統化している。
(5) 伝統的な言語文化に関する指導の重視
伝統的な言語文化は,創造と継承を繰り返しながら形成されてきた。それらに親しみ,我が国の言語文化を継承し,新たな創造へとつないでいくことができるように内容を構成している。例えば,第1学年では文語のきまりや訓読の仕方を知って音読すること,第2学年では古典に表れたものの見方や考え方に触れること,第3学年では歴史的背景などに注意して古典を読むことなどを取り上げている。
(6) 読書活動の充実
読書の指導については,目的に応じて本や文章などを選んで読んだり,それらを活用して自分の考えを記述したりすることを重視して改善を図っている。また日常的に読書に親しむために,学校図書館を計画的に利用し必要な本や文章などを選ぶことができるように指導することも重視している。
(7) 漢字指導の内容の改善
漢字の指導については,これまで第3学年の指導事項であった「学年別漢字配当表に示されている漢字を書き,文や文章の中で使うこと。」を第2学年の指導事項に移し,新しく第3学年の指導事項として「学年別漢字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。」を設定している。第3学年では,第2学年までに書けるようになった漢字について,多様な語句の形で,また,様々な文脈の中で
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使うことができるよう指導することを求めている。
(8) 書写の指導の改善
書写の指導については,文字文化に親しみ,社会生活や学習活動に役立つよう内容や指導の在り方の改善を図るとともに,身の回りの文字に関心をもち文字を効果的に書くように指導することを求めている。
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第2章国語科の目標及び内容
第1節国語科の目標
1 教科の目標
教科の目標は,次のとおりである。
国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。
教科の目標は,大きく二つの部分から構成している。前段は,「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高める」としている。後段は,「思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる」としている。
前段では,国語の能力の根幹となる,国語による表現力と理解力とを育成することが,国語科の最も基本的な目標であることを述べている。つまり,「適切に表現」する能力と「正確に理解する能力」とは,連続的かつ同時的に機能するものであることから最初に位置付けている。
また,言語は言語形式とそれによって表される言語内容を併せもっており,「国語を適切に表現」する能力とは,国語を適切に使う能力と国語を使って内容や事柄を適切に表現する能力との両面の内容を含んでいる。国語を「正確に理解する能力」とは,国語の使い方を正確に理解する能力と国語で表現された内容や事柄を正確に理解する能力との両面の内容を含んでいる。「伝え合う力を高める」とは,人間と人間との関係の中で,互いの立場や考えを尊重し,言語を通して適切に表現したり正確に理解したりする力を高めることである。
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このような言語能力は,社会生活に生きて働くよう,一人一人の生徒が言語の主体的な使い手として,相手,目的や意図,多様な場面や状況などに応じて適切に表現したり正確に理解したりする力として育成することが大切である。
後段では,まず,「思考力や想像力を養い言語感覚を豊かに」することを述べている。思考力や想像力とは,言語を手掛かりとしながら論理的に思考する力や豊かに想像する力である。思考力や想像力などは認識力や判断力などと密接にかかわりながら,新たな発想や思考を創造する原動力となる。
言語感覚とは,言語の使い方の,正誤・適否・美醜などについての感覚のことである。話すこと・聞くこと,書くこと及び読むことの具体的な言語活動の中で,相手,目的や意図,多様な場面や状況などに応じて,どのような言葉を選んで表現するのがふさわしいものであるかを直観的に判断したり,話や文章を理解する場合に,そこで使われている言葉が醸し出す味わいを感覚的にとらえたりすることである。
言語感覚については,小学校では養うとしているものを,中学校では豊かにするとし,より高いものを求めている。言語に対する知的な認識を深めるだけでなく,言語に対する感覚を豊かなものにしていくことは,一人一人の生徒の言語生活や言語活動を充実させ,ものの見方や考え方を一層個性的にすることに役立つ。そのためには,多様な場面や状況における学習の積み重ねや,継続的な読書の時間などが必要であり,国語科の学習を他教科等の学習や学校教育全体に関連させていく工夫も大切である。さらに,言語環境の整備も,言語感覚の育成に極めて重要な意味をもつ。
次に,「国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる」ことを求めているのは,我が国の歴史の中ではぐくまれてきた国語が,人間としての知的な活動や文化的な活動の中枢をなし,一人一人の自己形成,社会生活の向上,文化の創造と継承などに欠かせないものであるからである。国語に対する自覚と関心を高め,その特質や機能についての認識を深めさせることによって,国語の習得を一層確実にすることができる。また,表現力や理解力を高めていくことによって,国語の重要性に対する認識を深めつつ,国語による話すこと・聞くこと,書くこと及び読むことの活動や言語生活を更に充実したものにしていくことができる。このような特質と役割を担っている国語に対する認識を深めていくことによって,国語を愛護し,尊重して,国語その
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ものを一層優れたものに向上させていこうとする意識や態度も育っていく。
2 学年の目標
各学年の目標は,各領域に対応して,次の3項目を示している。
(1)「話すこと・聞くこと」に関する目標
(2)「書くこと」に関する目標
(3)「読むこと」に関する目標
「話すこと・聞くこと」に関する目標は,話す能力,聞く能力及び話し合う能力と,話すこと・聞くこと全体にわたる態度に関する目標とを示している。
「書くこと」に関する目標は,書く能力と書く態度に関する目標とを示している。
「読むこと」に関する目標は,読む能力と読書態度に関する目標とを示している。
なお,各領域の「2 内容」の(1)指導事項と(2)言語活動例とを併せて考え,目標に対する具体的な指導内容を明確に理解することが重要である。また,各学年とも(1)から(3)までの「話すこと・聞くこと」,「書くこと」,「読むこと」の各領域の目標はそれぞれ独自の目標として示しているが,同時に相互に密接な関連性がある。
したがって,各領域の目標を関連付けるとともに,指導が調和的に行われるような配慮をする必要がある。
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各学年における目標は,次のとおりである。
各学年における各領域の目標
| |
第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
| A話すこと・聞くこと |
(1) 目的や場面に応じ,日常生活にかかわることなどについて構成を工夫して話す能力,話し手の意図を考えながら聞く能力,話題や方向をとらえて話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えをまとめようとする態度を育てる。 |
(1) 目的や場面に応じ,社会生活にかかわることなどについて立場や考えの違いを踏まえて話す能力,考えを比べながら聞く能力,相手の立場を尊重して話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えを広げようとする態度を育てる。 |
(1) 目的や場面に応じ,社会生活にかかわることなどについて相手や場に応じて話す能力,表現の工夫を評価して聞く能力,課題の解決に向けて話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えを深めようとする態度を育てる。 |
| B書くこと |
(2) 目的や意図に応じ,日常生活にかかわることなどについて,構成を考えて的確に書く能力を身に付けさせるとともに,進んで文章を書いて考えをまとめようとする態度を育てる。 |
(2) 目的や意図に応じ,社会生活にかかわることなどについて,構成を工夫して分かりやすく書く能力を身に付けさせるとともに,文章を書いて考えを広げようとする態度を育てる。 |
(2) 目的や意図に応じ,社会生活にかかわることなどについて,論理の展開を工夫して書く能力を身に付けさせるとともに,
文章を書いて考えを深めようとする態度を育てる。 |
| C読むこと |
( 3 ) 目的や意図に応じ,様々な本や文章などを読み,内容や要旨を的確にとらえる能力を身に付けさせるとともに,読書を通してものの見方や考え方を広げようとする態度を育てる。 |
(3) 目的や意図に応じ,文章の内容や表現の仕方に注意して読む能力,広い範囲から情報を集め効果的に活用する能力を身に付けさせるとともに,読書を生活に役立てようとする態度を育てる。 |
(3) 目的や意図に応じ,文章の展開や表現の仕方などを評価しながら読む能力を身に付けさせるとともに,読書を通して自己を向上させようとする態度を育てる。 |
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第2節国語科の内容
1 内容構成
国語科の内容は,これまでの「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C
読むこと」からなる3領域構成を維持するとともに,伝統的な言語文化に親しむ態度
を育てたり,国語の特質についての理解を深めたり,豊かな言語感覚を養ったりする
ことなどを重視して,〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕を新設してい
る。
3領域の内容については,(1)において指導事項を示すとともに,これまでは指導
計画の作成と内容の取扱いに示していた言語活動例を内容の(2)に位置付け,より具
体的な記述に改善した。これにより,(2)に示している言語活動例を通して(1)の指導
事項を指導することを一層明確にし,各領域の能力を確実に身に付けることができる
ようにした。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の内容は,(1)の「ア伝統的な言語文化に関する事項」,「イ言葉の特徴やきまりに関する事項」,「ウ漢字に関する事項」,(2)の書写に関する事項から構成している。なお,従前の〔言語事項〕の内容のうち,声の出し方の基本的事項や段落の役割に関する事項など領域の内容に関連の深いものについては,関係する領域の内容に位置付けた。
2 各領域及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の内容
(1) 「A 話すこと・聞くこと」
「話すこと・聞くこと」の指導事項
内容の(1)は,次のように構成している。
○ 話題設定や取材に関する指導事項
○ 話すことに関する指導事項
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○ 聞くことに関する指導事項
○ 話し合うことに関する指導事項
指導に当たっては,話すことと聞くこととの両面から考えていくことが重要である。
話題設定や取材に関する指導事項
話したり話し合ったりするための話題を決め,多様な方法で材料や情報を集め整理することを示している。
話題については,第1学年では日常生活の中からとし,第2学年と第3学年では社会生活の中からと対象を広げて示している。
取材については,第1学年では人との交流を通して材料を集め整理すること,第2学年では多様な方法で材料を集め整理すること,第3学年では自分の経験や知識を整理して考えをまとめることを示している。
話すことに関する指導事項
相手や目的,状況に応じて分かりやすく話すことを示している。
主として話すための準備段階で指導する内容と,実際に話をする段階で指導する内容とに分けている。
話すための準備段階では,第1学年では話の構成を考えること,第2学年では論理的な構成や展開を考えること,第3学年では説得力のある話をすることを示している。
相手や場を意識して話すことについては,第1学年では相手の反応を踏まえながら話すこと,第2学年では異なる立場や考えを想定して話すこと,第3学年では場の状況や相手の様子に応じて話すことを示している。
話し方については,第1学年では言葉遣いなどについての知識を生かすこと,第2学年では資料や機器などを効果的に活用すること,第3学年では敬語を適切に使うことを示している。
聞くことに関する指導事項
話の内容を聞き取り,自分の考えに生かすことを示している。
聞き取ることについては,第1学年では質問しながら聞き取ること,第2学年では話の論理的な構成や展開などに注意して聞き取ること,第3学年では聞き取った内容や表現の仕方を評価することを示している。
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聞き取ったことを自分の考えに生かすことについては,第1学年では共通点や相違点を整理すること,第2学年では自分の考えと比較すること,第3学年では自分のものの見方や考え方を深めたり,表現に生かしたりすることを示している。
話し合うことに関する指導事項
目的や場面に応じて話し合うことを示している。
話合いは,話すことと聞くこととが交互に行われるところにその特徴がある。それぞれの生徒が話し手でもあり聞き手でもある言語活動であり,また,話すことと聞くこととが同時に展開する言語活動でもある。そのため,話すことに関する指導事項及び聞くことに関する指導事項との密接な関連を図って指導するようにする。
話合いを効果的に進めることについては,第1学年では話合いの話題や方向をとらえて話し合うこと,第2学年では目的に沿って話し合うこと,第3学年では進行の仕方を工夫して話し合うことを示している。
話合いを通じて自他の考えを豊かなものにし合意形成を目指すことについては,第1学年では話合いを通じて自分の考えをまとめること,第2学年では話合いを通じて自分の考えを広げること,第3学年では話合いを通じて課題の解決に向けて互いの考えを生かし合うことを示している。
各学年の指導事項は,次のとおりである。
各学年における「A話すこと・聞くこと」の指導事項
| |
第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
| 話題設定や取材に関する指導事項 |
ア 日常生活の中から話題を決め, 話したり話し合ったりするための材料を人との交流を通して集め整理すること。 |
ア 社会生活の中から話題を決め, 話したり話し合ったりするための材料を多様な方法で集め整理すること。 |
ア 社会生活の中から話題を決め, 自分の経験や知識を整理して考えをまとめ,
語句や文を効果的に使い, 資料な どを活用して説得力のある話をすること。
イ 場の状況や相手の様<BR> |
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| 話すことに関する指導事項 |
イ 全体と部分, 事実と意見との関係に注意して話を構成し, 相手の反応を踏まえながら話すこと。
ウ 話す速度や音量, 言葉の調子や間の取り方, 相手に分かりやすい語句の選択,
相手や場に応じた言葉遣いな どについての知識を生かして話すこと。 |
イ 異なる立場や考えを想定して自分の考えをまとめ, 話の中心的な部分と付加的な部分などに注意し,
論理的な構成や展開を考えて話すこと。
ウ 目的や状況に応じて, 資料や機器などを効果的に活用して話すこと。 |
子に応じて話すとともに, 敬語を適切に使うこと。 |
| 聞くことに関する指導事項 |
エ 必要に応じて質問しながら聞き取り, 自分の考えとの共通点や相違点を整理すること。 |
エ 話の論理的な構成や展開などに注意して聞き, 自分の考えと比較すること。 |
ウ 聞き取った内容や表現の仕方を評価して,自分のものの見方や考え方を深めたり,
表現 に生かしたりすること。 |
| 話し合うことに関する指導事項 |
オ 話合いの話題や方向をとらえて的確に話したり, 相手の発言を注意して聞いたりして自分の考えをまとめること。 |
オ 相手の立場や考えを尊重し, 目的に沿って話し合い, 互いの発言, を検討して自分の考えを広げること。 |
エ 話合いが効果的に展開するように進行の仕方を工夫し, 課題の解決に向けて互いの考えを生かし合うこと。 |
「話すこと・聞くこと」の言語活動例
内容の(2)は,(1)の指導事項を指導する際の具体的な言語活動を例示している。
話し手がある程度まとまった話をし,それを聞いて質疑応答や意見交換をする言語
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活動,互いの思いや考えなどを深めたり広げたりしていく対話や討論などの言語活動
を示した。
各学年の言語活動例は,次のとおりである。
各学年における「A話すこと・聞くこと」の言語活動例
| 第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
ア 日常生活の中の話題について報告や紹介をしたり, それらを聞いて質問や助言をしたりすること。
イ 日常生活の中の話題について対話や討論などを行うこと。 |
ア 調べて分かったことや考えたことなどに基づいて説明や発表をしたり, それらを聞いて意見を述べたりすること。
イ 社会生活の中の話題について, 司会や提案者などを立てて討論を行うこと。 |
ア 時間や場の条件に合わせてスピーチをしたり,それを聞いて自分の表現の参考にしたりすること。
イ 社会生活の中の話題について,相手を説得するために意見を述べ合うこと。 |
(2) 「B書くこと」
「書くこと」の指導事項
内容の(1)は,次のように構成している。
○ 課題設定や取材に関する指導事項
○ 構成に関する指導事項
○ 記述に関する指導事項
○ 推敲(こう)に関する指導事項
○ 交流に関する指導事項
課題設定や取材に関する指導事項
書く課題を決め,材料を集めながら自分の考えを形成することを示している。
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課題については,第1学年では日常生活の中からとし,第2学年と第3学年では社会生活の中からと対象を広げて示している。
取材については,第1学年では材料を集めながら自分の考えをまとめること,第2学年では多様な方法を用いて取材の範囲を広げること,第3学年では必要に応じて取材を繰り返すことを示している。
構成に関する指導事項
自分の考えに即して取材したことを生かすとともに,文章の構成を考えることを示
している。
取材したことを生かすことについては,第1学年では集めた材料を分類するなどして整理すること,第2学年では集めた材料を基に自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にすること,第3学年では自分の考えを深めることを示している。
文章の構成を考えることについては,第1学年では段落の役割を考えること,第2学年では伝えたい事実や事柄が明確になるように構成を工夫すること,第3学年では文章の形態を選択して適切な構成を工夫することを示している。
記述に関する指導事項
記述の仕方を工夫することを示している。
第1学年では根拠を明確にして書くこと,第2学年では相手に効果的に伝わることを意図して,説明や具体例を加えたり描写を工夫したりして書くこと,第3学年では論理の展開を工夫するとともに資料を適切に引用するなどして書くことを示している。
推敲に関する指導事項
読みやすく分かりやすい文章にするために推敲(こう)することを示している。
第1学年では表記や語句の用法,叙述の仕方などに注意すること,第2学年では語句や文の使い方,段落相互の関係などに注意すること,第3学年ではこれまでの学習を生かして文章全体を整えることを示している。
交流に関する指導事項
書いた文章を互いに読み合い,自分の表現に役立てるとともに,自分の考えを広げたり深めたりすることを示している。
書いた文章を読み合うことについては,他の指導事項との関連を図りつつ,第1学
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年では意見を述べたり自分の表現の参考にしたりすること,第2学年では意見を述べたり助言をしたりすること,第3学年では評価して自分の表現に役立てることを示している。
その上で,第2学年では自分の考えを広げること,第3学年ではものの見方や考え方を深めることを示している。
各学年の指導事項は,次のとおりである。
各学年における「B書くこと」の指導事項
| |
第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
| 課題設定や取材に関する指導事項 |
ア 日常生活の中から課題を決め, 材料を集めながら自分の考えをまとめること。 |
ア 社会生活の中から課題を決め, 多様な方法で材料を集めながら自分の考えをまとめること。 |
ア 社会生活の中から課題を決め, 取材を繰り返しながら自分の考えを深めるとともに,文章の形態を選択して適切な構成を工夫すること。 |
| 構成に関する指導事項 |
イ 集めた材料を分類す るなどして整理するとともに, 段落の役割を 考えて文章を構成すること。 |
イ 自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にして, 文章の構成を工夫すること。 |
| 記述に関する指導事項 |
ウ 伝えたい事実や事柄について, 自分の考えや気持ちを根拠を明確にして書くこと。 |
ウ 事実や事柄,意見や心情が相手に効果的に伝わるように, 説明や具体例を加えたり,描写を工夫したりして書くこと。 |
イ 論理の展開を工夫し, 資料を適切に引用するなどして, 説得力のある文章を書くこと。 |
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| 推敲に関する指導事項 |
エ 書いた文章を読み返し, 表記や語句の用法, 叙述の仕方などを確かめて,
読みやすく 分かりやすい文章にすること。 |
エ 書いた文章を読み返し, 語句や文の使い方, 段落相互の関係などに注意して,
読みやすく分かりやすい文章にすること。 |
ウ 書いた文章を読み返し, 文章全体を整えること。 |
| 交流に関する指導事項 |
オ 書いた文章を互いに読み合い, 題材のとらえ方や材料の用い方,根拠の明確さなどについて意見を述べたり,
自分の表現の参考にしたりすること。 |
オ 書いた文章を互いに読み合い, 文章の構成や材料の活用の仕方などについて意見を述べたり助言をしたりして,
自分の考えを広げること。 |
エ 書いた文章を互いに読み合い, 論理の展開の仕方や表現の仕方などについて評価して自分の表現に役立てるとともに,
ものの見方や考え方を深めること。 |
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「書くこと」の言語活動例
内容の(2)は,(1)の指導事項を指導する際の具体的な言語活動を例示している。
物事について感じたことを書く言語活動,物事を整理し,考えや意見を書く言語活動,事実や思いなどを伝える文章を書く言語活動などを示した。
各学年の言語活動例は,次のとおりである。
各学年における「B書くこと」の言語活動例
| 第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
ア 関心のある芸術的な作品などについて, 鑑賞したことを文章に書くこと。
イ 図表などを用いた説明や記録の文章を書くこと。
ウ 行事等の案内や報告をする文章を書くこと。 |
ア 表現の仕方を工夫して,詩歌をつくったり物語などを書いたりすること。
イ 多様な考えができる事柄について, 立場を決めて 意見を述べる文章を書くこと。
ウ 社会生活に必要な手紙を<BR> 書くこと。 |
ア 関心のある事柄について批評する文章を書くこと。
イ 目的に応じて様々な文章などを集め,工夫して編集すること。 |
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(3) 「C 読むこと」
「読むこと」の指導事項
内容の(1)は,次のように構成している。
○ 語句の意味の理解に関する指導事項
○ 文章の解釈に関する指導事項
○ 自分の考えの形成に関する指導事項
○ 読書と情報活用に関する指導事項
語句の意味の理解に関する指導事項
語句の意味や用法などに注意して読むことを示している。
第1学年では文脈の中における意味をとらえて読むこと,第2学年では抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと,第3学年では文脈の中における語句の効果的な使い方などの表現上の工夫に注意して読むことを示している。
文章の解釈に関する指導事項
構成や叙述などに基づいて文章を解釈することを示している。
説明的な文章の解釈に関しては,第1学年では文章の中心的な部分と付加的な部分や事実と意見などとを読み分け,要約したり要旨をとらえたりすること,第2学年では文章全体と部分との関係や例示の効果について考えること,第3学年では文章の論理の展開の仕方をとらえることを示している。文学的な文章の解釈に関しては,第1学年では場面の展開や登場人物などの描写に注意すること,第2学年では描写の効果や登場人物の言動の意味などを考えること,第3学年では場面や登場人物の設定の仕方をとらえることを示している。
なお,文章の解釈とは,文や文章に書かれた内容を理解し意味付けることである。今までの読書経験や体験などを踏まえ,内容や表現を,想像,分析,比較,対照,推論などによって相互に関連付けて読んでいく。文章の内容や構造を理解したり,その文章の特徴を把握したり,書き手の意図を推論したりしながら,読み手は自分の目的や意図に応じて考えをまとめたり深めたりしていく。
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自分の考えの形成に関する指導事項
書かれていることを読んで自分の考えをもつことを示している。
第1学年エ,第2学年ウ,第3学年ウは,文章の構成や展開,表現の仕方等,文章の形式について自分の考えをもつことに関するものである。第1学年では文章の構成や展開,表現の特徴について自分の考えをもつこと,第2学年では文章の構成や展開,表現の仕方について自分の考えをまとめること,第3学年では文章を読み比べるなどして,構成や展開,表現の仕方について評価することを示している。
第1学年オ,第2学年エ,第3学年エは,文章に表れているものの見方や考え方について,自分の考えをもつことに関するものである。第1学年では文章に表れているものの見方や考え方をとらえ,自分のものの見方や考え方を広くすること,第2学年では文章に表れているものの見方や考え方について,知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと,第3学年では文章を読んで人間,社会,自然などについて考え,自分の意見をもつことを示している。
読書と情報活用に関する指導事項
読書を進めたり,情報を得て活用したりすることを示している。
ここでいう「読書」とは,本を読むことに加え,新聞,雑誌を読んだり,何かを調べるために関係する資料を読んだりすることを含んでいる。そして,それらの本や文章などから得た内容を「情報」としている。
読書で情報を得ることについては,第1学年では本や文章などから必要な情報を得るための方法を身に付けること,第2学年では多様な方法で適切な情報を得ることを示している。情報を活用し,読書を進めることについては,第1学年では目的に応じて必要な情報を読み取ること,第2学年では情報を基に自分の考えをまとめることを示している。第3学年ではこれらを総合して,目的に応じて本や文章などを読み,知識を広げたり,考えを深めたりすることを示している。
読書活動は本来読み手の個人的な活動であり,自主性や自発性を尊重することが重要である。しかし,生徒の読書に対する興味・関心は多様であるため,個に応じた,計画的かつ継続的な指導によって読書を価値あるものとして認識させることが大切である。
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各学年の指導事項は,次のとおりである。
各学年における「C読むこと」の指導事項
| |
第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
| 語句の意味の理解に関する指導事項 |
ア文 脈の中における語句の意味を的確にとらえ,理解すること。 |
ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。 |
ア 文脈の中における語句の効果的な使い方など,表現上の工夫に注意して読むこと。 |
| 文章の解釈に関する指導事項 |
イ 文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見などとを読み分け,目的や必要に応じて要約したり要旨をとらえたりすること。
ウ 場面の展開や登場人物などの描写に注意して読み,内容の理解に役立てること。 |
イ 文章全体と部分との関係,例示や描写の効果,登場人物の言動の意味などを考え,内容の理解に役立てること。 |
イ 文章の論理の展開の仕方,場面や登場人物の設定の仕方をとらえ,内容の理解に役立てること。 |
| 自分の考えの形成に関する指導事項 |
エ 文章の構成や展開,表現の特徴について,自分の考えをもつこと。
オ 文章に表れているものの見方や考え方をとらえ,自分のものの見方や考え方を広くすること。 |
ウ 文章の構成や展開,表現の仕方について,根拠を明確にして自分の考えをまとめること。
エ 文章に表れているものの見方や考え方について,知識や体験と関連付けて自分の考えを |
ウ 文章を読み比べるなどして,構成や展開,表現の仕方について評価すること。
エ 文章を読んで人間,社会,自然などについて考え,自分の意見をもつこと。 |
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| |
|
もつこと。 |
|
| 読書と情報活用に関する指導事項 |
カ 本や文章などから必要な情報を集めるための方法を身に付け, 目的に応じて必要な情報を読み取ること。 |
オ 多様な方法で選んだ本や文章などから適切な情報を得て, 自分の考えをまとめること。 |
オ 目的に応じて本や文章などを読み, 知識を広げたり, 自分の考えを深めたりすること。 |
「読むこと」の言語活動例
内容の(2)は,(1)の指導事項を指導する際の具体的な言語活動を例示している。
主として文学的な文章を読むことについての言語活動,主として説明的な文章を読むことについての言語活動,目的をもって読書を進めることについての言語活動を示た。
各学年の言語活動例は,次のとおりである。
各学年における「C読むこと」の言語活動例
| 第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
ア 様々な種類の文章を音読したり朗読したりすること。
イ 文章と図表などとの関連を考えながら, 説明や記録の文章を読むこと。
ウ 課題に沿って本を読み, 必要に応じて引用して紹介すること。 |
ア 詩歌や物語などを読み,内容や表現の仕方について感想を交流すること。
イ 説明や評論などの文章を読み, 内容や表現の仕方について自分の考えを述べること。
ウ 新聞やインターネット,学校図書館等の施設などを活用して得た情報を比較すること。 |
ア 物語や小説などを読んで批評すること。
イ 論説や報道などに盛り込まれた情報を比較して読むこと。
ウ 自分の読書生活を振り返り,本の選び方や読み方について考えること。 |
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(4) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕は,我が国の歴史の中で創造され,継承されてきた伝統的な言語文化に親しみ,継承・発展させる態度を育てることや,国語の果たす役割や特質についてまとまった知識を身に付けさせ,言語感覚を豊かにし,実際の言語活動において有機的に働くような能力を育てることに重点を置いて構成している。
言語文化とは,我が国の歴史の中で創造され,継承されてきた文化的に高い価値をもつ言語そのもの,つまり文化としての言語,また,それらを実際の生活で使用することによって形成されてきた文化的な言語生活,さらには,古代から現代までの各時代にわたって,表現し,受容されてきた多様な言語芸術や芸能などを幅広く指している。今回の改訂では,伝統的な言語文化に小学校の低学年から触れ,中学校においても引き続き古典に親しむ態度の育成を重視している。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕は,(1)と(2)とで構成している。(1)は,「ア伝統的な言語文化に関する事項」,「イ言葉の特徴やきまりに関する事項」,「ウ漢字に関する事項」で構成しており,各領域の指導を通して指導するものである。(2)は,書写に関する事項である。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
伝統的な言語文化のうち,特に古典についての事項である。
今回の改訂においては,従前「C読むこと」の配慮事項に示していた古典の指導を,〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の「伝統的な言語文化に関する事項」として設定した。
「伝統的な言語文化に関する事項」は,小学校から系統的に設定している。中学校においてはそれを踏まえ,一層古典に親しませるとともに,我が国に長く伝わる言語文化について関心を広げたり深めたりすることを重視して指導する。
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各学年の事項は,次のとおりである。
各学年における伝統的な言語文化に関する事項
| 第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
( ア) 文語のきまりや訓読の仕方を知り, 古文や漢文を音読して, 古典特有のリズムを味わい
ながら, 古典の世界に触れること。
( イ) 古典には様々な種類の作品があることを知ること。 |
( ア) 作品の特徴を生かして朗読するなどして,古典の世界を楽しむこと。
( イ) 古典に表れたものの見方や考え方に触れ, 登場人物や作者の思いなどを想像すること。 |
( ア) 歴史的背景などに注意して古典を読み, その世界に親しむこと。
( イ) 古典の一節を引用するなどして, 古典に関する簡単な文章を書くこと。 |
イ言葉の特徴やきまりに関する事項
第1学年(ア),第2学年(ア),第3学年(ア)は,言葉の働きや特徴,言葉遣いに関する事項である。言葉が果たす多様な働きや特徴を理解することと適切な言葉遣いをすることとを示している。
第1学年(ア)は,これまで第2学年及び第3学年の事項として設定されていたものである。今回の改訂では,生徒が話し言葉として使用してきた音声がどのような特色をもっているのかということを,中学校の早い段階で整理するために,第1学年の事項として設定した。
第2学年(ア)と第3学年(ア)は,話し言葉と書き言葉との違い,共通語と方言の果たす役割,敬語の働き,時間の経過や世代による言葉の違いなどについて示している。日常の言語活動を生徒が振り返り,言葉の法則性に気付いて自らの言語生活を高めることができるように配慮することが重要である。
第1学年(イ),(ウ),第2学年(イ),第3学年(イ)は,語句・語彙(い)に関する事項である。語句・語彙(い)についての事項は,第1学年において,従前の「語句の辞書的な意味と文
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脈上の意味との関係に注意」することに加えて,「語感を磨くこと」を求めている。第2学年では,従前は分けて示していた「抽象的な概念などを表す多様な語句」について理解することと,「類義語と対義語,同音異義語や多義的な意味を表す語句」の意味や用法に注意することとを併せて,どのような語句を取り上げて語感を磨き,語彙(い)を豊かにさせるのかをより具体的に示した。同様の趣旨で,第3学年では,従前の「慣用句」に,「四字熟語など」を加え,「和語・漢語・外来語などの使い分けに注意」することも明記した。
第1学年(エ),第2学年(ウ),(エ),(オ)は,単語,文及び文章に関する事項である。単語,文,話や文章についての法則的な事項と話や文章の形態や展開の違いに関する内容とを示している。
「単語」については,第1学年で,「単語の類別について理解し,指示語や接続詞及びこれらと同じような働きをもつ語句などに注意すること」とし,第2学年で,「単語の活用について理解し,助詞や助動詞などの働きに注意すること」としている。
「文」については,第2学年で,「文の中の文の成分の順序や照応,文の構成などについて考えること」としている。
「話」や「文章」については,第2学年で,従前の「話や文章の形態や展開に違いがあることに気付くこと」を,今回の改訂では,「話や文章の形態や展開に違いがあることを理解すること」としている。「理解すること」まで求めることとしたのは,社会生活や他教科等の学習,読書活動の充実などに一層資するためである。
第1学年(オ)は,表現の技法に関する事項である。各領域の言語活動において必要とされる表現の技法に関する事項として設定した。なお,表現の技法に関する事項を第1学年に配置しているのは,第1学年から指導することで,義務教育修了段階において表現の技法を意識することができるようにするためである。
各学年の事項は,次のとおりである。
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各学年における言葉の特徴やきまりに関する事項
| |
第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
| 言葉の働きや特徴,言葉遣いに関する事項 |
( ア) 音声の働きや仕組みについて関心をもち,理解を深めること。 |
( ア) 話し言葉と書き言葉 との違い, 共通語と方言の果たす役割, 敬語の働きなどについて理解すること。 |
(ア) 時間の経過による言 葉の変化や世代による言葉の違いを理解するとともに,敬語を社会生活の中で適切に使うこと。 |
| 語句・語彙に関する事項 |
( イ) 語句の辞書的な意味と文脈上の意味との関係に注意し, 語感を磨くこと。
( ウ) 事象や行為などを表す多様な語句について理解を深めるととも に, 話や文章の中の語彙について関心をもつこと。 |
( イ) 抽象的な概念を表す語句, 類義語と対義語, 同音異義語や多義的な意味を表す語句などについて理解し,
語感を磨き語彙を豊かにすること。 |
(イ) 慣用句・四字熟語などに関する知識を広げ,和語・漢語・外来語などの使い分けに注意し,語感を磨き語彙を豊かにすること。 |
| 単語,文及び文章に関する事項 |
( エ) 単語の類別について理解し, 指示語や接続詞及びこれらと同じような働きをもつ語句などに注意すること。 |
( ウ) 文の中の文の成分の順序や照応,文の構成などについて考えること。
( エ) 単語の活用について理解し, 助詞や助動詞などの働きに注意すること。
( オ) 相手や目的に応じて, 話や文章の形態や展開に違いがあることを理解すること。 |
|
| 表現の技法に関する事項 |
( オ) 比喩や反復などの表現の技法について理解すること。 |
|
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ウ 漢字に関する事項
漢字の読みの指導については,小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下,「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字1,006字に加え,中学校修了までに学年別漢字配当表以外の常用漢字の大体を読むことを求めている。これは,従前と同じである。
漢字の書きの指導については,学年別漢字配当表の漢字1,006字について,これまでは中学校修了までに「文や文章の中で使うこと」と示していたが,今回の改訂では第2学年までに「文や文章の中で使うこと」とし,第3学年では「文や文章の中で使い慣れること」としている。これは,社会生活や他教科等の学習に一層資するようにするためである。
各学年の事項は,次のとおりである。
各学年における漢字に関する事項
| 第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
(ア) 小学校学習指導要領第2章第1 節国語の学年別漢字配当表( 以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字に加
え, その他の常用漢字のうち2 5 0 字程度から3 0 0 字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表の漢字のうち900字程度の漢字を書き, 文や文章の中で使うこと。 |
(ア) 第1学年までに学習した常用漢字に加え, その他の常用漢字のうち300字程度から350字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字を書き, 文や文章の中で使うこと。 |
(ア) 第2学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字の大体を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。
|
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書写に関する事項
書写に関する事項は,国語科の指導として漢字に関する指導や,「B書くこと」の領域の指導と密接に関連する。
小学校の指導を踏まえ,文字を書くことに関する知識・技能の育成が,国語科をはじめとする各教科等の学習場面や社会生活における,話す,聞く,書く,読むといった言語活動に役立つようにすることが大切である。また,我が国の伝統的な文字文化やこれからの社会に役立つ様々な文字文化に関する認識及びそれらに親しむ態度の育成も大切である。
第1学年では,様々な場面に応じて楷(かい)書で書くことと,行書の基礎的な書き方を理解して書くこととを示している。第2学年では,行書の漢字と仮名の調和を考えて書くことと,楷(かい)書又は行書を選んで書くこととを示している。第3学年では,文字を文化として認識し意図を明確にして文字を書くことを示している。
「書写」としては,従前どおり目標を示していない。したがって,「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」の2(2)アに示している書写の学習指導の配慮事項に従う必要がある。
また,各学年の事項については,毛筆と硬筆による文字の書き方についての内容を併せて示している。したがって,毛筆を使用する書写の指導を各学年で行うことは従前と変わらない。その際,「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」2(2)イの「毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うようにすること。」に配慮するようにする。
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各学年の事項は,次のとおりである。
各学年における書写に関する事項
| 第1学年 |
第2学年 |
第3学年 |
ア 字形を整え,文字の大きさ, 配列などについて理解して, 楷書で書くこと。
イ 漢字の行書の基礎的な書き方を理解して書くこと。 |
ア 漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解して, 読みやすく速く書くこと。
イ 目的や必要に応じて, 楷書又は行書を選んで書くこと。 |
ア 身の回りの多様な文字に関心をもち,効果的に文字を書くこと。 |
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第3章各学年の目標と内容
第1節第1学年
「A話すこと・聞くこと」
(1) 目標
| (1) 目的や場面に応じ,日常生活にかかわることなどについて構成を工夫して話す能力,話し手の意図を考えながら聞く能力,話題や方向をとらえて話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えをまとめようとする態度を育てる。 |
前段は,話す能力,聞く能力及び話し合う能力,後段は,話すこと・聞くこと全体にわたる態度を示している。
「目的や場面に応じ」ることは,中学校3年間を通じた,「話すこと・聞くこと」のねらいである。何のために話したり聞いたり話し合ったりするのかという意識をもち,場面や状況を考えた話し方や聞き方ができるようにする。
「日常生活にかかわることなどについて構成を工夫して話す能力」とは,日常生活にかかわる様々な事象やそれらに関する自分の思いや考えについて,構成を工夫して分かりやすく話す能力のことである。
「話し手の意図を考えながら聞く能力」とは,話の内容とともに,話し手の思いや考えを聞き取る能力のことである。これらを聞き取るためには,話の内容と自分の知識や考えとを比較し,不明な部分や更に聞きたい事柄について質問することが重要である。
「話題や方向をとらえて話し合う能力」とは,主体的に話合いに参加するために,何についてどんな目的で話し合っているのかを常に意識して話したり聞いたりする能
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力のことである。
「話したり聞いたりして考えをまとめようとする態度」とは,話したり聞いたりすることを考えをまとめる上での重要な機会としてとらえ,積極的にかかわろうとする態度のことである。人との新たな出会いを経験することも多い第1学年において,このような態度の育成を図ることが大切である。
(2) 内容
@ 指導事項
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 日常生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を人との交流を通して集め整理すること。
イ 全体と部分,事実と意見との関係に注意して話を構成し,相手の反応を踏まえながら話すこと。
ウ 話す速度や音量,言葉の調子や間の取り方,相手に分かりやすい語句の選択,相手や場に応じた言葉遣いなどについての知識を生かして話すこと。
エ 必要に応じて質問しながら聞き取り,自分の考えとの共通点や相違点を整理すること。
オ 話合いの話題や方向をとらえて的確に話したり,相手の発言を注意して聞いたりして,自分の考えをまとめること。
ア 話題設定や取材に関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「ア考えたことや伝えたいことなどから話題を決め,収集した知識や情報を関係付けること。」を受けて,日常生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を取材を通して集め整理することを示している。
「日常生活の中から話題を決め」とは,学校や家庭,地域など,身の回りの生活の
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中から話題を決めることを示している。第1学年では,家族や友人をはじめ日常生活で交流する機会の多い人々を取材の主な対象としている。「人との交流」の中で,自分自身が直接体験したことだけでなく,身近な人々の体験や知識なども材料として集め整理して,自分の考えや意見を明確にすることを重視している。
イ・ウ 話すことに関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「イ目的や意図に応じて,事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら,場に応じた適切な言葉遣いで話すこと。」,「ウ共通語と方言との違いを理解し,また,必要に応じて共通語で話すこと。」を受けた指導事項である。
イは,話の構成に注意し相手の反応を確かめながら話すことについて示している。
「全体と部分」との関係に注意して話を構成するとは,話の全体として伝えたいことを明確にし,それを分かりやすく伝えるために各部分をどのように組み立てるかを考えることである。「事実と意見」との関係に注意するとは,自分の伝えたい意見を述べるのにどのような事実を根拠として取り上げるかなどを考えて,話を構成することである。そのためには,取材した材料や具体的な事実,自分の考えや意見などをどのように配列して話の全体を構成するかを考えたり,文末表現などにも注意して事実と意見との関係を明らかにして話したりすることが大切である。
「相手の反応を踏まえながら話す」とは,うなずきや表情などという聞き手の反応から,話の受け止め方や理解の状況をとらえて話すことである。小学校では,相手を見て話すことについて指導しているが,中学校では「相手の反応」に注意することを重視して指導する。これは第3学年の「A話すこと・聞くこと」(1)イの「相手の様子に応じて話す」で,途中で話の内容を付け足したり分かりやすく言い換えたりしながら話すことを指導することにつながっていく。
ウは,話す速度や音量,言葉の調子や間の取り方,語句の選択,言葉遣いなどについて示している。
ここに示した内容のうち,話す速度や音量,言葉の調子や間の取り方については,従前〔言語事項〕として扱ってきたものであるが,今回の改訂では「A話すこと・聞くこと」の指導事項として示した。それは,この指導事項は,領域の内容に関連が深
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く,実際の言語活動において有効に働くように指導する必要があることを一層明確にするためである。なお,「知識を生かして」とあるのは,これらの内容は,すでに小学校において指導しているからである。第1学年では,小学校における学習内容を振り返らせ,これらの知識を生かして話すことが,中学校における音声言語活動の基礎となることを十分に理解させるようにする。
エ 聞くことに関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「エ話し手の意図をとらえながら聞き,自分の意見と比べるなどして考えをまとめること。」を受けて,自分の考えと結び付けて話を聞くことについて示している。
「必要に応じて質問しながら聞き取り」とは,必要に応じて質問し,相手が言いたいことを確かめたり,足りない情報を聞き出したりすることである。その場の状況に応じて話の途中で質問したり,話が終わった時点で質問したりするなど,質問の適切な機会をとらえることができるように指導する。
聞くことの指導においては,聞きながら考えたり,聞いたことを基に考えたりすることが重要である。第1学年では,聞き取ったことを自分の考えと比べて,その「共通点や相違点を整理」することを指導する。その際,イの指導事項と関連付けて取り扱い,話の全体と部分,事実と意見との関係などに注意しながら聞くよう指導していくことが,話すことと聞くこととの一体的な指導の上からも効果的である。
オ 話し合うことに関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「オ互いの立場や意図をはっきりさせながら,計画的に話し合うこと。」を受けて,建設的に話し合うことについて示している。
「話合いの話題や方向をとらえて的確に」話すとは,だれと何について話し合うのか,何のために話し合うのかを理解し,今は何について話し合っているのかをとらえ,それに応じて話すということである。このようなことは,話合いに参加する基本であるが,第1学年の段階で改めて理解させることが重要である。その上で,常に「自分の考え」と比較し,考えをまとめていくことが大切であることを指導する。
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A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 日常生活の中の話題について報告や紹介をしたり,それらを聞いて質問や助言をしたりすること。
イ 日常生活の中の話題について対話や討論などを行うこと。
ア 日常生活の中の話題について報告や紹介をしたり,それらを聞いて質問や助言をしたりする言語活動
「報告や紹介」では,伝える事柄や事実と,それに対する自分の考えや感想などとの関係に注意して話すことが大切になる。また,何のために報告したり紹介したりするのかという目的や,相手はその話題についてどのような点に関心があり,どのような情報を既にもっているかなどの状況によって,報告や紹介の仕方は変わってくる。
実際に報告したり紹介したりする場面では,聞き手から質問したり,内容や伝え方について助言し合ったりする場を設けることで,表現の仕方や聞き方を互いに学び合うことが大切である。
イ 日常生活の中の話題について対話や討論などを行う言語活動
「対話や討論」では,話の要点をメモしたり必要に応じて質問したりしながら聞き取り,互いの共通点や相違点を整理することを通して,建設的な話合いをすることが大切である。討論のルールや形式,方法などについては小学校で指導している。これを踏まえて,第1学年では日ごろから少人数での話合いを行ったりグループ学習などの際にも役割を分担したりするなど,既習の事項について様々な機会をとらえて習熟させていくことが大切になる。
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「B書くこと」
(1) 目標
(2) 目的や意図に応じ,日常生活にかかわることなどについて,構成を考えて的確に書く能力を身に付けさせるとともに,進んで文章を書いて考えをまとめようとする態度を育てる。
前段は,書く能力,後段は,書く態度を示している。
「目的や意図に応じ」ることは,中学校3年間を通じた,「書くこと」のねらいである。だれに向けて何のために書くのかなどという意識をもち,目的や意図に沿うように工夫して書くことができるようにする。
「日常生活にかかわることなどについて」とは,日常生活にかかわる様々な事象から書くべき課題を決めることを示している。そして,課題に即して自分の考えをまとめるために,小学校での学習を生かして材料を集め整理するようにする。
「構成を考えて的確に書く能力」とは,内容を分かりやすく伝えるために構成を工夫するとともに,根拠を明確にして書く能力のことである。また,分かりやすい文章にするためには,文章を読み返す習慣を付けることが大切である。
「進んで文章を書いて考えをまとめようとする態度」とは,書くことによって自分の考えが明確になることを認識し,課題の解決のために積極的に文章を書こうとする態度のことである。小学校と比べて,考えをまとめる目的や場面が一層多様になる第1学年においては,書くことの意義と役割を認識させることが大切である。
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(2) 内容
@ 指導事項
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 日常生活の中から課題を決め,材料を集めながら自分の考えをまとめること。
イ 集めた材料を分類するなどして整理するとともに,段落の役割を考えて文章を構成すること。
ウ 伝えたい事実や事柄について,自分の考えや気持ちを根拠を明確にして書くこと。
エ 書いた文章を読み返し,表記や語句の用法,叙述の仕方などを確かめて,読みやすく分かりやすい文章にすること。
オ 書いた文章を互いに読み合い,題材のとらえ方や材料の用い方,根拠の明確さなどについて意見を述べたり,自分の表現の参考にしたりすること。
ア 課題設定や取材に関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「ア考えたことなどから書くことを決め,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理すること。」を受けて,書くための課題を決めて材料を集め,考えをまとめることについて示している。
「日常生活の中から課題を決め」るに当たっては,日常生活で直接体験したことをはじめ,他教科等で学習したこと,友人や家族から聞いたことの中から興味や関心をもったことなどが基になる。これらを「課題」として明確にするためには,何について,だれに向け,何のために書くのかを具体化する必要がある。特に,疑問に思ったことについて調べる,問題点について意見を述べるなど,文章を書く目的を明らかにすることがその後の学習につながっていく。
課題が決まったら,その課題に関連して「材料を集めながら自分の考えをまとめること」になる。材料を集める段階においては,本,新聞・雑誌,テレビ,コンピュー
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タや情報通信ネットワークなどの活用が考えられる。これらの指導に当たっては,「C読むこと」の読書と情報活用に関する指導との関連を図ることが重要である。
イ 構成に関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「イ自分の考えを明確に表現するため,文章全体の構成の効果を考えること。」を受けて,材料を分類,整理して文章を構成することについて示している。
「集めた材料を分類するなどして整理する」ことは,問題点を見いだしたり,自分の考えをまとめたりするために必要なだけでなく,文章の構成を考える上でも効果的である。書く目的や意図に応じて集めた材料を取捨選択したり,関連を考えて分類したり,時間的な推移や因果関係などに基づいて整理したりすることにより,書こうとする事柄のまとまりや順序が明確になる。その上で,段落の役割を考えて文章の構成を考えるようにする。
「段落の役割」については,小学校において,段落の相互関係などに注意して文章を構成することを指導している。第1学年ではそれを踏まえ,問題や課題などについて述べる段落,集めた材料などについて分析する段落,それらを基に自分の考えや意見を述べる段落など,段落の役割を考えて構成することを指導する。その際,段落の役割を明確にするために,「さらに」,「たとえば」,「しかし」など,連接関係を明示する言葉などを効果的に用いることも指導するよう配慮する。
ウ 記述に関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「ウ事実と感想,意見などとを区別するとともに,目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたりすること。」,「エ引用したり,図表やグラフなどを用いたりして,自分の考えが伝わるように書くこと。」を受けて,文章を効果的に記述することについて示している。
「根拠を明確にして書く」ためには,文章の中の自分の考えや気持ちについての根拠が,明確に書かれているかどうかを常に吟味することが必要である。自分の思いや考えを繰り返すだけでは相手によく伝わる文章とはならず,複数の実例や専門的な立場からの知見を示すことなどが必要になる。また,記述に当たっては,接続語の使用や段落構成の工夫などによって,読み手に対して,どの部分が根拠であるかが明確に
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なるような表現上の工夫をすることが大切である。
エ 推敲に関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「オ表現の効果などについて確かめたり工夫したりすること。」を受けて,文章を推敲することについて示している。
こう
自分の書いた文章を見直すことによって,伝えようとする事実や事柄,意見などが十分に書き表されているかどうかを検討することが推敲(こう)である。第1学年では,特に「表記や語句の用法,叙述の仕方など」について確かめることを重視して指導する。
「表記や語句の用法」を確かめるとは,文字や表記が正しいか,漢字と仮名の使い分けが適切か,語句の選び方や使い方が的確であるかなどをみることである。また,「叙述の仕方などを確かめ」るとは,文や段落の長さ及び文や段落の接続の関係などが適切であるかなどをみることである。ここでは,小学校の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕における,表記に関する事項や語句に関する事項の指導を踏まえることが重要である。
オ 交流に関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「カ書いたものを発表し合い,表現の仕方に着目して助言し合うこと。」を受けて,書いた文章を交流し合うことについて示している。
交流においては,文章を書く過程で学んだことを基に,どのようなことを重点に交流するかを明確にする必要がある。
「題材のとらえ方や材料の用い方,根拠の明確さなど」は,指導事項のア,イ,ウを踏まえた観点であり,これらについて,互いに文章を読み合いながら意見を述べたり助言をしたりすることを求めている。つまり,題材をどのようにしてとらえたか,材料をどのようにして収集,整理したか,根拠に当たる部分をどのように明確に書いたかなどの点から,意見や助言を交換することになる。また,このことを通じて学んだことを,その後の自分の表現の参考にすることが大切である。
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A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある芸術的な作品などについて,鑑賞したことを文章に書くこと。
イ 図表などを用いた説明や記録の文章を書くこと。
ウ 行事等の案内や報告をする文章を書くこと。
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ア 関心のある芸術的な作品などについて,鑑賞したことを文章に書く言語活動
「芸術的な作品など」は,絵画や音楽,彫刻や建築物などを含め,幅広く考えることができる。「鑑賞」とは,表現の仕方,内包されている意思などについて,多様な角度から光を当てて,そのよさを見極めたり味わったりすることである。したがって,「鑑賞したことを文章に書く」時には,対象や素材の表現の仕方,作り手の思いや見方,作品から受けた印象や感動などについて触れることが大切である。
イ 図表などを用いた説明や記録の文章を書く言語活動
説明の文章では,相手や目的に応じて伝えたい事実や事柄を的確に記述することが求められる。記録の文章は,目的や意図に応じて事実や事柄といった情報を正確に記述することが必要である。日常の学習や生活の中では,説明や記録の文章を分かりやすいものにするために図表などを用いることがある。そこで,効果的な図表の用い方について考えさせることが大切である。
ウ 行事等の案内や報告をする文章を書く言語活動
行事等の案内や報告をする文章では,相手や目的に応じて,伝えるべき事柄を簡潔に分かりやすく書くことが大切である。例えば,友人に伝える場合と,友人以外の第三者に伝える場合とでは,どのような情報を取り上げるかが変わってくる。伝えるべき事柄としては,行事名,日時,場所などという一般的なものに加え,それぞれの案内や報告に応じた個別的な要素が考えられる。形式も,ポスターやパンフレット,手紙,新聞などという多様なものの中から,目的や効果を考慮して選択することになる。
その上で,読み手に分かりやすく伝えるための記述や構成の工夫などについて考えさ
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せることが大切である。
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「C読むこと」
(1) 目標
| (3) 目的や意図に応じ,様々な本や文章などを読み,内容や要旨を的確にとらえる能力を身に付けさせるとともに,読書を通してものの見方や考え方を広げようとする態度を育てる。
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前段は,読む能力,後段は,読書態度を示している。
「目的や意図に応じ」ることは,中学校3年間を通じた「読むこと」のねらいである。読むことによって何を得て,どう活用するのかという意識をもち,本や文章などの内容や形態に応じて読むことができるようにする。
「様々な本や文章などを読み」とは,内容,形態ともに多様な文章を読むことの必要性を示している。説明的な文章や文学的な文章などの文章形態を調和的に取り扱うことはもとより,社会生活で触れる様々な種類の文章を読むことを求めている。
「内容や要旨を的確にとらえる能力」とは,文章全体を概括したり細部の表現に注意したりしながら読み,内容について自分の考えをもつことである。
「読書を通してものの見方や考え方を広げようとする態度」とは,読書によって新しい知識や情報を得たり文学作品を味わったりすることで,自分のものの見方や考え方を広げようとする態度のことである。小学校における読書の経験を生かして,引き続き読書に親しんでいくようにすることが大切である。
(2) 内容
@ 指導事項
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 文脈の中における語句の意味を的確にとらえ,理解すること。
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イ 文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見などとを読み分け,目的や必要に応じて要約したり要旨をとらえたりすること。
ウ 場面の展開や登場人物などの描写に注意して読み,内容の理解に役立てること。
エ 文章の構成や展開,表現の特徴について,自分の考えをもつこと。
オ 文章に表れているものの見方や考え方をとらえ,自分のものの見方や考え方を広くすること。
カ 本や文章などから必要な情報を集めるための方法を身に付け,目的に応じて必要な情報を読み取ること。
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ア 語句の意味の理解に関する指導事項
アは,語句の意味や用法の理解に関する指導事項である。
文章を理解するためには,文脈に即して語句の意味を的確にとらえたり,文章全体における語句の役割を考えたりすることが大切である。第1学年では,「文脈の中における語句の意味」をとらえ理解することを重視して指導する。
「文脈の中における語句の意味」をとらえるということは,その語句の一般的な意味を踏まえ,思考力や想像力を働かせて,文脈の中における,具体的,個別的な意味をとらえることである。このことが,文章を的確に解釈することにつながる。なお,語句の意味の理解に関する指導事項は,〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕と関連をもたせて設定している。第1学年では,〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕(1)イ(イ),(ウ)との関連を図って指導することが効果的である。
イ・ウ 文章の解釈に関する指導事項
イは,主として説明的な文章の解釈に関する指導事項である。第1学年では,文章の中心的な部分と付加的な部分や事実と意見などとを読み分けることで内容を的確にとらえることを指導する。また,大まかに内容をつかんだり,人に紹介したりするなど,目的や必要に応じて要約したり要旨をとらえたりすることを求めている。
説明的な文章は,例えば,論の展開の中心となる部分とそれを支える例示や引用などの付加的な部分とが組み合わされていたり,事実を述べた部分と意見を述べた部分
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とで構成されていたりする。「文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見などとを読み分け」るとは,このような説明的な文章の特徴を踏まえて読むことによって,内容を把握することである。具体的には,段落ごとに内容をとらえたり,段落相互の関係を正しく押さえたりしながら,さらに大きな意味のまとまりごとに,文章全体における役割をとらえさせることが大切である。要約したり要旨をとらえたりする活動は,その目的や必要によって内容や方法が異なる。目的や必要に応じて大切な情報を選択し整理することが重要である。
ウは,主として文学的な文章の解釈に関する指導事項である。文学的な文章を読むためには,言葉を手掛かりにしながら文脈をたどり,視点を定めて読むことが必要であり,そのことによって深い理解や感動が得られる。文章の中の時間的,空間的な場面の展開,登場人物の心情や行動,情景描写などに注意して読み進めることが大切である。
エ・オ 自分の考えの形成に関する指導事項
エは,文章の構成や展開,表現の特徴等,文章の形式について自分の考えをもつことに関する指導事項である。
説明的な文章と文学的な文章とに共通する指導事項であり,文学的な文章については,小学校第5学年及び第6学年の「エ登場人物の相互関係や心情,場面についての描写をとらえ,優れた叙述について自分の考えをまとめること。」を受けている。
ここで「構成や展開」と併置しているのは,文章の組立てや作品の場面を静的にとらえてその構成を理解するだけではなく,文章を思考の流れや登場人物の心情の変化に沿って動的にとらえその展開を把握するためである。
「表現の特徴」としては,説明,評論,物語,詩歌等,文章の種類による叙述の特徴が挙げられる。また,手紙や案内等の様々な形態の文章についても取り上げることが大切である。
ここでは,文章の構成や展開,表現の特徴をとらえ,それについて「自分の考えをもつ」というところに指導の重点がある。「自分の考えをもつ」というのは,文章についての印象をもつことにとどまるものではない。様々な形態の文章の構成や展開,表現の特徴を分析的にとらえ,その工夫や効果について自分の考えをもつことである。
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オは,文章に表れている書き手のものの見方や考え方について,自分の考えをもつことに関する指導事項である。
小学校第5学年及び第6学年の「オ本や文章を読んで考えたことを発表し合い,自分の考えを広げたり深めたりすること。」などを受けている。
「自分のものの見方や考え方を広くする」というのは,書き手のものの見方や考え方に共感すること,疑問をもつこと,批判することなどを通して,新たなものの見方や考え方を発見したり,様々な視点から物事について考えられるようになったりするなど,読み手としてのものの見方や考え方を更に広げていくことである。書き手のものの見方や考え方は,説明的な文章では,文章に直接書かれていたり,文章全体を通して表れていたりする。文学的な文章では,語り手の言葉,登場人物の言動,情景の描き方など様々な形で表れている。ここでは,文章に表れている書き手のものの見方や考え方をとらえ,自分のものの見方や考え方を広くすることを指導する。
カ 読書と情報活用に関する指導事項
小学校第5学年及び第6学年の「イ目的に応じて,本や文章を比べて読むなど効果的な読み方を工夫すること。」,「カ目的に応じて,複数の本や文章などを選んで比べて読むこと。」を受けて,読書とそれから得た情報を活用することについて示している。
「本や文章などから必要な情報を集めるための方法を身に付け」るとともに,身に付けた方法の中から適した方法を自ら選択し,目的に合った複数の資料を集め,集めた資料から「必要な情報を読み取ること」を求めている。
「必要な情報を集めるための方法」とは,例えば,必要な情報があるかどうかを,本の表題や目次,索引等から判断したり,新聞の紙面構成等に基づいて,必要な部分を探して読んだりするなど,それぞれの資料の特性を生かした読み方をすることである。必要な部分に効率よく着目するためには,様々な資料の形式について理解することや,読む目的や対象によって読み方が変わるということを理解することが大切である。
「目的に応じて必要な情報を読み取る」ためには,文章の中で必要だと思った部分に印を付したり,必要な部分を抜き書きしたりしながら読み進めることなどが考えら
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れる。その際,一冊の本を最後まで読む,大事な箇所を読む,多くの本に目を通すなどの様々な読み方を学習活動に取り入れることが大切である。本や文章などを目的に応じて的確に読み進めていく活動を通して,読書の範囲を広げ,手に取る本や文章などの質を向上させることも重要である。なお,集めた資料を使用する際には,著作権にも十分留意させる必要がある。
A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 様々な種類の文章を音読したり朗読したりすること。
イ 文章と図表などとの関連を考えながら,説明や記録の文章を読むこと。
ウ 課題に沿って本を読み,必要に応じて引用して紹介すること。
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ア 様々な種類の文章を音読したり朗読したりする言語活動
音読や朗読を通して文章の内容についての理解を深めたり,感じたことや考えたことを声に表したりすることをねらいとしている。
小学校学習指導要領では,音読や朗読について次のような指導事項を示している。
「C読むこと」(1)
第1学年及び第2学年
ア 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。
第3学年及び第4学年
ア 内容の中心や場面の様子がよく分かるように音読すること。
第5学年及び第6学年
ア 自分の思いや考えが伝わるように音読や朗読をすること。
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このように,小学校では「読むこと」において音読や朗読を繰り返し指導している。
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中学校ではこれを踏まえて,相手に分かるように正確に音読したり,作品の形態や特徴を生かしながら朗読したりすることを通して,文章の理解を一層深める活動を行うことになる。
イ 文章と図表などとの関連を考えながら,説明や記録の文章を読む言語活動
「説明や記録の文章」には図表が使われていることが多い。その際,図表が文章の内容をより分かりやすくするために使われている場合や,文章が図表の解説になっている場合などがある。図表が文章の中心的な部分,又は付加的な部分のどの部分と関連しているのかを確認させるなどして,書き手の伝えたい内容をより的確に読み取らせることが大切である。
なお,「説明や記録」については,「B書くこと」(2)の「イ図表などを用いた説明や記録の文章を書くこと。」と関連させて指導することが効果的である。
ウ 課題に沿って本を読み,必要に応じて引用して紹介する言語活動
「課題に沿って本を読」むことには,疑問に思っていることや解決したいことなどに資する本を読むだけではなく,書評や広告などを見て,気になっている本や面白そうだと思った本を読むなど,生徒一人一人の読書生活によるものを含んでいる。
また,「引用して紹介する」活動を通して,他人とものの見方や感じ方に違いがあることを学んだり,新しい発見をしたりするなど,考えの広がりや深まりを生む授業が展開できる。表現方法としては,本の帯や広告カード(ポップ)作り,ブックトークなどが考えられる。
引用の際には,かぎ(「」)でくくること,出典を明示すること,引用部分が適切な量であることなどが大切である。このことが,著作権を尊重し保護することにな
る。
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〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
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ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 文語のきまりや訓読の仕方を知り,古文や漢文を音読して,古典特有のリズムを味わいながら,古典の世界に触れること。
(イ) 古典には様々な種類の作品があることを知ること。
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(ア)は,古文や漢文を音読して,古典特有のリズムを味わいながら古典の世界に触れる
ことを示している。
第1学年では,小学校における古典の学習を踏まえ,古文や漢文を音読するために必要な「文語のきまりや訓読の仕方」について指導する。文語のきまりとは,歴史的仮名遣いなど現代の口語と異なる古文特有のきまりをいい,訓読の仕方とは返り点,送り仮名など漢文の訓読に必要な基礎的な事項をいう。これらについて,生徒の興味・関心を大切にしながら,教材に即して指導したり,必要があれば取り立てて指導したりする。
「古典特有のリズムを味わ」うためには,古典の文章を繰り返し音読して,その独特のリズムに気付かせることが重要である。古文や漢文は,音読することによってそのリズムに気付くことが多い。生徒自らが特有のリズムに気付くことを重視し,五音,七音の繰り返しなどの特徴について理解を深めるようにする。
(イ)は,古典には様々な種類の作品があることを知ることを示している。
第1学年では,古典には様々な作品があること,その作品群は一般的に幾つかの種類に分類されることを指導する。「様々な種類」としては,和歌,俳諧(かい),物語,随筆,漢文,漢詩などを挙げることができる。また,能,狂言,歌舞伎(かぶき),古典落語などの古典芸能も
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含まれる。これらと,小学校から親しんできた様々な古典とを結び付けることで,古典の世界についての新たな興味・関心を喚起することが大切である。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 音声の働きや仕組みについて関心をもち,理解を深めること。
(イ) 語句の辞書的な意味と文脈上の意味との関係に注意し,語感を磨くこと。
(ウ) 事象や行為などを表す多様な語句について理解を深めるとともに,話や文章の中の語彙(い)について関心をもつこと。
(エ) 単語の類別について理解し,指示語や接続詞及びこれらと同じような働きをもつ語句などに注意すること。
(オ) 比喩(ゆ)や反復などの表現の技法について理解すること。
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(ア)は,言葉の働きや特徴,言葉遣いに関する事項である。
音声の働きや仕組みについて関心をもち,理解を深めることを示している。
伝達機能を中心とした音声の働き,音節の基本的な構造などへの理解を促すようにする。また,アクセント,イントネーション,プロミネンス(文中のある語を強調して発音すること)などの音声的特質が実際の多様な声を作り出し,話すことや聞くことの活動に影響していることを理解させ,生徒自身が日常の活動を振り返る契機にすることが重要である。したがって,「A話すこと・聞くこと」における指導などを通して考えさせる機会を作ることが大切である。
(イ),(ウ)は,語句・語彙(い)に関する事項である。
語句の「文脈上の意味」は,辞書的な意味を踏まえ,思考力や想像力を働かせて文脈において具体的かつ個別的にとらえることになる。また,語句が文章の中で果たしている役割を考えることも大切である。
「語感を磨く」ためには,多くの本などを読んで新しく出合った言葉を取り立て,辞書にある様々な意味から文脈上の意味を考えることを習慣化させることが大切である。例えば,語句の意味について調べたことを記録させたり,その語句を使った短文
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を作らせたりすることなどが有効である。また,「C読むこと」(1)の「ア文脈の中における語句の意味を的確にとらえ,理解すること。」などと関連を図って指導する。
(ウ)は,事象や行為などを表す多様な語句について理解を深めるとともに,話や文章の中の語彙(い)について関心をもつことをねらいとしている。日常使用している語句は,多様なレベルで語彙(い)を形成する。使用範囲の側面から考えると,まず事象や行為など,具象的で比較的身近な事柄を表す語句が多く存在することに気付く。さらに,それらが,実際の言語活動において,話や文章の中でどのように関連付けて使用されているか,自分が理解したり表現したりするときにどのように活用すればよいかについて考えさせていくことが重要である。
(エ)は,単語,文及び文章に関する事項である。
「単語の類別について理解し」とは,単語がその性質から自立語と付属語とに大別されること,更に幾つかの品詞に分類されることなどについて理解することである。それぞれの単語のもつ文法的な役割とともに,それぞれの品詞が文のどのような成分になるかなどを理解するよう指導する。その際,「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」2(1)の「イ言葉の特徴やきまりに関する事項については,日常の言語活動を振り返り,言葉の特徴やきまりについて気付かせ,言語生活の向上に役立てることを重視すること。」を踏まえるようにする。
「指示語」とは,物事を指し示す働きをもつ語で,いわゆる「こ・そ・あ・ど言葉」と言われるものである。「指示語」は,代名詞,連体詞,副詞,形容動詞などの品詞にわたる。
また,「これらと同じような働きをもつ語句」とは,代名詞や連体詞などを伴って全体として指示語の機能をもつ語句のことをいう。例えば,「このように」,「そういう」,「あのような」,「どういう」などの語句のことである。また,「以上(は)」,「前者(は)」,「右(の)」などの名詞も,指示語と同じような働きをもつ語句と考えられる。
「接続詞」とは,前後の文節や文などをつなぐ働きをもつ語で,いわゆる「つなぎ言葉」と言われるものである。接続詞は,つなぎ方によって,順接,逆接,並立,累加,対比,選択,転換などの働きで分類されることがある。また,「これらと同じような働き
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をもつ語句」としては,一部の副詞(「まして」など)や名詞(「一方」,「他方」など),連語(「そのため」など)などがある。
「指示語や接続詞及びこれらと同じような働きをもつ語句など」の指導に当たっては,実際の話や文章の中でとらえさせることが重要である。それは,これらの語句が,指示したり接続したりする範囲が様々に変化するからである。また,「B書くこと」(1)イの「段落の役割を考えて文章を構成すること」などの指導と関連させながら,指示語や接続詞の知識が,文章などを読む際に役立つことを実感させるようにすることも必要である。
(オ)は,表現の技法に関する事項である。
「比喩(ゆ)や反復などの表現の技法」としては,比喩(ゆ)や反復に加えて,省略,倒置,対句などが挙げられる。これらについては小学校段階で具体的な表現に即して指導しているが,「比喩(ゆ)」や「反復」などの名称と結び付けて,表現の技法の意味や用法を改めてまとめて指導する。
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ウ 漢字に関する事項
(ア) 小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字に加え,その他の常用漢字のうち250字程度から300字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表の漢字のうち900字程度の漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
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(ア)は,漢字の読みについての事項である。
中学校における漢字の読みの指導では,小学校の指導を踏まえ,学習や日常生活に必要な漢字の読みの能力を身に付けさせる必要がある。そこで,発達の段階を考慮して,各学年で新たに読みについて指導する漢字の字数を幅をもって示している。
第1学年では,小学校で学習した1,006字に加えてその他の常用漢字939字のうち250字程度から300字程度までの漢字の読みを指導する。
漢字を読む能力としては,漢字一字一字の音訓を理解し,語句として,話や文章の中において文脈に即して意味や用法を理解しながら読むことができるようにすることが求められる。そのため,教科書を読むことや読書を通して,漢字の読みの習熟と応用を図ることが大切である。また,字形と音訓,意味と用法,語の成り立ち,熟語の構成などについて必要に応じて指導し,例えば,漢字の構成要素である「へん」や「つくり」などに注目して,読みを類推することができるように指導することも大切である。さらに,書くこと,読むことの指導の中だけではなく,話すこと・聞くことの指導においても,例えば,同音の語句の意味に誤って理解されそうなときには,漢字を例示することでこれを避けるといったような活動を取り入れるなど,機会あるごとに漢字を意識させるように配慮することが大切である。
(イ)は,漢字の書きについての事項である。
中学校における漢字の書きの指導では,小学校の指導を踏まえ,第6学年に配当してある181字の漢字を含め,学年別漢字配当表に示している1,006字の漢字について,文や文章の中で使い慣れるよう指導することになる。
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第1学年では,学年別漢字配当表に示している漢字のうち,900字程度の漢字について文や文章の中で使えるように指導する。この場合,どの字種の漢字を指導するかについては明示していない。したがって,生徒の発達の段階や実態,日常生活や各教科の学習の中で多く使われる漢字などに配慮して指導すべき字種を決めることが考えられる。指導に当たっては,字体,字形,音訓,意味や用法などの知識を得させ,文脈に即して漢字を書くように常に注意しながら学習させることが大切である。また,文章の中ばかりではなく,話すこと・聞くことの学習の中や,他教科の学習や日常の会話の中でも漢字の書きについて意識させるようにする。漢字を書く力を養うためには,実際に書く活動を通して,漢字を正しく用いる態度と習慣とを養うことも大切である。そのためには,必要に応じて辞書を引くことを習慣付けることが有効である。
また,漢字を書く指導では,書写との関連を図ることが大切である。字体,点画,筆順等に注意し,楷書(かい)で正しく整った文字を書くようにすることなどに努めさせることが必要である。
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書写に関する事項
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 字形を整え,文字の大きさ,配列などについて理解して,楷(かい)書で書くこと。
イ 漢字の行書の基礎的な書き方を理解して書くこと。
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アは,楷(かい)書に関する事項である。
楷(かい)書で書かれた文字の形や大きさ・配列などに関して,小学校の指導を踏まえ,国語科をはじめとする各教科等の学習場面や社会生活における,話す,聞く,書く,読むといった言語活動に役立つ書写の能力を育成していくことに配慮する。
「字形を整え,文字の大きさ,配列などについて理解して」とは,書こうとする文字の字形を整えること,紙面全体に対してそれぞれの文字の大きさや書くべき位置を考えて調和的に割り当てること,文字と文字との間の空け方や行の中心の取り方に注意すること,行と行の間の空け方に注意することなどである。なお,国語科をはじめとする各教科等の学習や生活での活用場面を見通した学習活動の工夫や,適切な教材の開発なども必要である。また,筆記具についても,硬筆や毛筆などを適切に選択したり組み合わせたりすることが求められる。
イは,漢字の行書の基礎的な書き方に関する事項である。
行書は,中学校で初めて指導する内容である。中学校では,社会生活に役立つ書写の能力を養うため速く書く能力を育成する。そこで,第1学年では, 楷(かい)書よりも速く書くことのできる行書の基礎的な書き方を身に付けさせるようにする。
「漢字の行書の基礎的な書き方」とは,直線的な点画で構成されている漢字を,点や画の形が丸みを帯びる場合があること,点や画の方向及び止めや払いの形が変わる場合があること,点や画が連続したり省略されたりする場合があること,筆順が変わる場合があることなどといった行書の特徴を伝統的な文字文化として理解して書くことを意味している。
字形の整え方,運筆の際の筆圧のかけ方,点画のつながりなどを身に付けさせるために,毛筆の活用に配慮する必要がある。また,生徒自身が行書の特徴に気付き,どのよう
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にすればこれらの特徴を生かした書き方ができるのかを考えるような,主体的な学習がなされるように配慮することも重要である。
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第2節第2学年
「A話すこと・聞くこと」
(1) 目標
| (1) 目的や場面に応じ,社会生活にかかわることなどについて立場や考えの違いを踏まえて話す能力,考えを比べながら聞く能力,相手の立場を尊重して話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えを広げようとする態度を育てる。
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前段は,話す能力,聞く能力及び話し合う能力,後段は,話すこと・聞くこと全体にわたる態度を示している。
「目的や場面に応じ」ることは,第1学年と同じである。
「社会生活にかかわることなどについて」とは,第1学年での「日常生活にかかわることなどについて」から視野を広げ,地域社会の中で見聞きしたことや,テレビや新聞などの様々なメディアを通じて伝えられることなどから,社会生活の中の出来事や事象に関心をもち,それらを話題として取り上げていくことを示している。
「立場や考えの違いを踏まえて話す能力」とは,異なる立場や考えがあることを想定し,異なる立場や考えの人からの反論や質問にも備え,聞き手に自分の立場や考えを理解してもらえるように話す能力のことである。
「考えを比べながら聞く能力」とは,話し手の考えを聞き取り,自分の考えと比較する能力のことである。話し手の考えと自分の考えとを比較するためには,話の論理的な構成や展開などに注意することが必要である。
「相手の立場を尊重して話し合う能力」とは,一方的に自説を主張するだけでなく,共通点や相違点を明らかにして,相手の立場や考え方を理解するよう努めながら合意形成に向けて話し合っていく能力のことである。
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「話したり聞いたりして考えを広げようとする態度」とは,話したり聞いたりすることにより,他人の考えを参考にして自分の考えを広げようとする態度のことである。
ものの見方や考え方を伝え合うことによって考えが広がっていくことの意義を理解させることが大切である。
(2) 内容
@ 指導事項
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を多様な方法で集め整理すること。
イ 異なる立場や考えを想定して自分の考えをまとめ,話の中心的な部分と付加的な部分などに注意し,論理的な構成や展開を考えて話すこと。
ウ 目的や状況に応じて,資料や機器などを効果的に活用して話すこと。
エ 話の論理的な構成や展開などに注意して聞き,自分の考えと比較すること。
オ 相手の立場や考えを尊重し,目的に沿って話し合い,互いの発言を検討して自分の考えを広げること。
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ア 話題設定や取材に関する指導事項
第1学年の「ア日常生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を人との交流を通して集め整理すること。」を受けて,話題や取材の範囲を「社会生活」へと広げて示している。
社会生活における問題を話題として取り上げるためには,話の材料を日常生活からだけでなく広く社会生活から収集する必要がある。そのためには,本,新聞・雑誌,テレビ,コンピュータや情報通信ネットワークなどの様々な情報手段を活用することが一層不可欠となる。このような多様な取材方法を身に付けることにより,話題の範
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囲が日常生活から社会生活へと拡大していく。
なお,取材に関しては「B書くこと」においても指導する。また,情報の活用については「C読むこと」においても指導する。それぞれの指導との関連を図ることが大切である。
イ・ウ 話すことに関する指導事項
第1学年の「イ全体と部分,事実と意見との関係に注意して話を構成し,相手の反応を踏まえながら話すこと。」,「ウ話す速度や音量,言葉の調子や間の取り方,相手に分かりやすい語句の選択,相手や場に応じた言葉遣いなどについての知識を生かして話すこと。」を受けて,効果的に話すことについて示している。
イは,論理的な構成や展開を考えて話すことについて示している。
「異なる立場や考えを想定して」とは,聞き手にも様々な立場や意見があることを踏まえ,聞き手の反論や意見を具体的に予想することである。反論や意見を予想して自分の考えをまとめ,「話の中心的な部分と付加的な部分」との関係に注意し,論理的で分かりやすい話の構成や展開を工夫することが,聞き手に対する説得力を高めることにつながる。
ウは,資料や機器などを効果的に活用して話すことについて示している。
「資料や機器などを効果的に活用」するのは,話の要点を明らかにし聞き手に分かりやすくするためである。目的や状況,相手に応じて,様々な資料や機器を活用しながら説明することにより,話し手の意図が的確に伝わって聞き手の理解をより深めることになる。その際,グラフや表,写真や図などを取り入れた分かりやすい資料作りの工夫が大切である。
エ 聞くことに関する指導事項
第1学年の「エ必要に応じて質問しながら聞き取り,自分の考えとの共通点や相違点を整理すること。」を受けて,話の構成や展開にも注意して聞くことについて示している。
「話の論理的な構成や展開などに注意して聞」くとは,話の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見とをそれぞれ聞き分け,話の要点はどのようなことであり,それはどのような事実に基づいているのかをとらえ,話全体がどのようにまとめられてい
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るか考えていくことである。
「自分の考えと比較する」とは,話の論理的な構成や展開などに注意しながら聞くことを通して,自分の考えと比較し,賛成又は反対,納得できる又は納得できないなどの判断をしていくことである。そうすることにより,自分の考えが広がったり,不十分な点に気が付いたりするようになる。
オ 話し合うことに関する指導事項
第1学年の「オ話合いの話題や方向をとらえて的確に話したり,相手の発言を注意して聞いたりして,自分の考えをまとめること。」を受けて,目的に沿った話合いの進め方について示している。
「目的に沿って話し合」うためには,相手の立場や考えを尊重し,目的や場面に応じて的確に話したり聞いたりすることが大切である。互いの発言を検討して共通点や相違点を聞き分けたり,話題になっている物事について別の立場や視点から考えたりすることを通して,自分の考えを広げることができる。
A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 調べて分かったことや考えたことなどに基づいて説明や発表をしたり,それらを聞いて意見を述べたりすること。
イ 社会生活の中の話題について,司会や提案者などを立てて討論を行うこと。
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ア 調べて分かったことや考えたことなどに基づいて説明や発表をしたり,それらを聞いて意見を述べたりする言語活動
説明をする際には,説明の中でどこが大切なのか,何を伝える必要があるのかを意識し表現を工夫することが重要である。発表をする際には,自分が調べたり考えたりしたことを聞き手に理解してもらえるように話すことや,聞き手から意見や質問,助
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言をもらうことなどが大切になる。聞き手は,事実と意見との関係や話の筋道を検討しながら聞き取り,分かりにくいところを質問したり,話の内容や話し方について意見を述べたりする。
イ 社会生活の中の話題について,司会や提案者などを立てて討論を行う言語活動
社会生活の中から多様なとらえ方や考え方ができる話題を取り上げて,司会や提案者などの役割を決めて話し合う。司会や提案者などの役割については小学校で指導している。司会は,討論が目的に沿って進むよう,提案や発言の内容を整理すること,提案者は,提案理由や提案の趣旨を明確にするとともに,異なる立場の考えを想定して,自分の考えを分かりやすく話すことが大切である。
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「B書くこと」
(1) 目標
| (2) 目的や意図に応じ,社会生活にかかわることなどについて,構成を工夫して分かりやすく書く能力を身に付けさせるとともに,文章を書いて考えを広げようとする態度を育てる。 |
前段は,書く能力,後段は,書く態度を示している。
「目的や意図に応じ」ることは,第1学年と同じである。
「社会生活にかかわることなどについて」とは,第1学年での「日常生活にかかわることなどについて」から視野を広げ,人間,社会,文化,自然など,社会生活全般にかかわることの中から書くべき課題を決めることを示している。そして,課題に即して自分の考えをまとめる際には,多様な方法で材料を集め整理するようにする。
「構成を工夫して分かりやすく書く能力」とは,伝えたい事柄や意見などが相手に効果的に伝わるように構成を工夫したり,説明や具体例などを書き加えたりして書く能力のことである。また,読みやすく分かりやすい文章にするためには,表現の仕方に注意して文章を読み返す習慣を育成することが重要である。
「文章を書いて考えを広げようとする態度」とは,第1学年の「考えをまとめようとする態度」を受け,材料を集めることや効果的に書くことを一層充実させることによって,自分の考えをとらえ直し広げていこうとする態度のことである。書くことによって,複雑な事象の中身や,物事に対する多様な考え方などが整理され,自分の考えを広げることにつながっていくことを理解させることが大切である。
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(2) 内容
@ 指導事項
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から課題を決め,多様な方法で材料を集めながら自分の考えをまとめること。
イ 自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にして,文章の構成を工夫すること。
ウ 事実や事柄,意見や心情が相手に効果的に伝わるように,説明や具体例を加えたり,描写を工夫したりして書くこと。
エ 書いた文章を読み返し,語句や文の使い方,段落相互の関係などに注意して,読みやすく分かりやすい文章にすること。
オ 書いた文章を互いに読み合い,文章の構成や材料の活用の仕方などについて意見を述べたり助言をしたりして,自分の考えを広げること。 |
ア 課題設定や取材に関する指導事項
第1学年の「ア日常生活の中から課題を決め,材料を集めながら自分の考えをまとめること。」を受けて,課題設定の対象を「社会生活」全般に広げて示している。
人間,社会,文化,自然などにかかわる様々な課題を設定し,多様な方法によってそれに関連する材料を収集することを重視する。
「多様な方法」としては,第1学年において示した方法に加え,例えば,学校図書館や地域の図書館,公共施設などを利用した資料の収集などが挙げられる。このような方法によって材料を集め,比較,検討しながら自分の考えをまとめることが大切である。
なお,取材に関しては「A話すこと・聞くこと」においても指導する。また,情報の活用については「C読むこと」においても指導する。それぞれの指導と関連を図ることが必要である。
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イ 構成に関する指導事項
第1学年の「イ集めた材料を分類するなどして整理するとともに,段落の役割を考えて文章を構成すること。」を受けて,自分の立場や伝えたい事実を明確にして文章を構成することについて示している。
「自分の立場」を明確にすることは,意見を述べる文章などにおいて重要となる。
まず,取り上げる問題や課題に対する賛否や解決方法などについて,自分がどのように考えているかを明確にする必要がある。その立場を表明する部分をどこに置くかによって,「頭括型」,「尾括型」,「双括型」といった文章構成を考えることになる。
「伝えたい事実や事柄」を明確にすることは,意見を述べる文章などでは,自分の立場を支える根拠として重要である。また,記録や報告の文章では,事実や事柄そのものが伝えるべき中心的な内容となる。このような役割に応じ,伝えたい事実や事柄を文章全体のどこに位置付けることが適切であるかを考えながら書くように指導することが大切である。
なお,物語を書くような場合には,伝えたい事柄が,どのように推移し展開したのかが明確になるように,場面や登場人物などの設定や事件の発端,山場,結末などの文章の構成を考えて書くことが大切である。
ウ 記述に関する指導事項
第1学年の「ウ伝えたい事実や事柄について,自分の考えや気持ちを根拠を明確にして書くこと。」を受けて,更に具体的な記述の仕方について示している。
「事実や事柄,意見や心情が相手に効果的に伝わるように」するためには,分かりやすい説明や具体例を加えたり,表現しようとする内容にもっともふさわしい語句を選んで描写を工夫したりすることが大切である。説明や具体例を取り上げているのは,考えや意見の根拠となる事実や事柄は,具体的に記述することで説得力が増すことが多いからである。また,描写を取り上げているのは,中学校段階において,人間の心の動きや,自然事象を含む身の回りの様々な物事,印象に残る経験などを見つめ直して,それをイメージ豊かに文章に表すことを求めているからである。これは,「C読むこと」における文学的な文章についての指導とも関連する。
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エ 推敲に関する指導事項
第1学年の「エ書いた文章を読み返し,表記や語句の用法,叙述の仕方などを確かめて,読みやすく分かりやすい文章にすること。」を受けて,語句や文の使い方,段落相互の関係などに注意して推敲(こう)することについて示している。
「読みやすく分かりやすい文章にする」ためには,伝えたい事柄等にふさわしい語句や文の使い方になっているか,段落の設け方,段落相互の関係は適切か,全体と部分の関係はどのようになっているかなどについて検討させることが重要である。その際,読み手がその文章を読む意図や目的を意識して読み返すことが大切である。
オ 交流に関する指導事項
第1学年の「オ書いた文章を互いに読み合い,題材のとらえ方や材料の用い方,根拠の明確さなどについて意見を述べたり,自分の表現の参考にしたりすること。」を受けて,文章の構成や材料の活用の仕方について交流することを示している。
第2学年では,「文章の構成や材料の活用の仕方など」に重点を置いて,書いた文章を互いに読み合うことを求めている。これまで学んできた文章の構成や材料の活用の仕方などを踏まえ,工夫した点などについて交流したり助言し合ったりする。また,自分の書いた文章に対しての意見や助言によって気付かされたり,改めて認識したりしたことを明確にし,自分の表現に役立てようとすることも重要である。
A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 表現の仕方を工夫して,詩歌をつくったり物語などを書いたりすること。
イ 多様な考えができる事柄について,立場を決めて意見を述べる文章を書くこと。
ウ 社会生活に必要な手紙を書くこと。
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ア 表現の仕方を工夫して,詩歌をつくったり物語などを書いたりする言語活動
身の回りの物事や体験,心の動きなどをとらえて詩歌をつくったり物語を書いた
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りすることは,生徒のものの見方や感性を豊かなものにすることにつながる。例えば,事柄や心情が相手に伝わるように,描写を工夫して書くことなどの指導に効果的である。
イ 多様な考えができる事柄について,立場を決めて意見を述べる文章を書く言語活動
「多様な考えができる事柄」としては,社会生活の中の様々な問題を取り上げることが考えられる。また,読むことの指導と関連させて,説明的な文章における筆者の意見や論の進め方,文学的な文章における登場人物のものの見方や考え方などを取り上げることも考えられる。「意見を述べる文章を書く」ためには,どのような事柄についてどのような意見をもち,どのような論の展開で記述するかを考え,論点について賛成か反対かなど自分の立場を決め,自分の考えの中心や主張を明確にして書くようにすることが大切である。
ウ 社会生活に必要な手紙を書く言語活動
手紙の種類としては,例えば,近況を伝える手紙,何かを依頼する手紙,お礼の気持ちを伝える手紙などがある。このような「社会生活に必要な手紙」には,具体的な相手意識や目的意識が必要である。
手紙を書く際には,伝える相手の立場や気持ちに配慮するとともに,伝えたい内容の中心を明確にし,言葉を選び,気持ちを込めて書くことが大切である。手紙を書く相手を具体的に定め,郵便等を通じて実際に手紙のやり取りを行わせることも効果的である。その際,書写の指導との関連を図ること,また,手紙の形式を覚えさせるだけでなく,形式のもつ意味について考えさせることも大切である。
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「C読むこと」
(1) 目標
| (3) 目的や意図に応じ,文章の内容や表現の仕方に注意して読む能力,広い範囲から情報を集め効果的に活用する能力を身に付けさせるとともに,読書を生活に役立てようとする態度を育てる。
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前段は,読む能力,後段は,読書態度を示している。
「目的や意図に応じ」ることは,第1学年と同じである。
「文章の内容や表現の仕方に注意して読む能力」とは,文章の内容や表現の仕方について,自分の考えをもちながら読む能力のことである。
「広い範囲から情報を集め効果的に活用する能力」とは,実際の社会生活に即して目的や意図に応じて情報を収集し活用する能力のことである。
「読書を生活に役立てようとする態度」とは,読書で得た知識や広げることのできたものの見方や考え方を,実際の生活に役立てようとする態度のことである。多様な本や文章などを読むことを通して,生活を豊かなものにしていこうとすることが大切である。
(2) 内容
@ 指導事項
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。
イ 文章全体と部分との関係,例示や描写の効果,登場人物の言動の意味などを考え,内容の理解に役立てること。
ウ 文章の構成や展開,表現の仕方について,根拠を明確にして自分の考えをまとめること。
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エ 文章に表れているものの見方や考え方について,知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと。
オ 多様な方法で選んだ本や文章などから適切な情報を得て,自分の考えをまとめること。
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ア 語句の意味の理解に関する指導事項
第1学年の「ア文脈の中における語句の意味を的確にとらえ,理解すること。」を受けて,多様な語句の意味や用法に注意して読むことについて示している。
学年が進むにつれて,読む文章の内容や語句の難度が上がってくる。「抽象的な概念を表す語句」が論の展開の上で重要な役割を果たしていたり,「心情を表す語句」が作品の内容などと深くかかわっていたりする場合がある。抽象的な概念を表す語句については辞書を活用するなどして,論の展開を追いながら理解することが大切である。また,心情を表す語句については,読み手自身の体験や読書経験を生かしながら理解することが大切である。なお,〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕(1)イの「(イ) 抽象的な概念を表す語句,類義語と対義語,同音異義語や多義的な意味を表わす語句などについて理解し,語感を磨き語彙(い)を豊かにすること。」との関連を図るようにする。
イ 文章の解釈に関する指導事項
第1学年の「イ文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見などとを読み分け,目的や必要に応じて要約したり要旨をとらえたりすること。」,「ウ場面の展開や登場人物などの描写に注意して読み,内容の理解に役立てること。」を受けて,文章の構成や細部の表現に着目して文章を解釈することについて示している。
これは,説明的な文章と文学的な文章との両方に関する指導事項である。
例えば,説明的な文章における「文章全体と部分との関係」については,各段落が文章全体の中で果たす役割についてとらえ,叙述の順序が書き手の考えにどのような説得力をもたらしているかなどを考えながら読むことを求めている。「例示」の効果については,文章中に示されている具体的な例が書き手の論の展開の中で果たしてい
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る役割を考えることが重要である。
また,例えば,文学的な文章における「描写」の効果については,情景や人物の描写が文章全体の雰囲気を作り上げる効果について考えることが重要である。「登場人物の言動の意味」については,登場人物の言葉や行動が,話の展開や作品全体に表れたものの見方などにどのようにかかわっているかを考えることが,文章の理解を深めることになる。
ウ・エ 自分の考えの形成に関する指導事項
第1学年の「エ文章の構成や展開,表現の特徴について,自分の考えをもつこと。」,「オ文章に表れているものの見方や考え方をとらえ,自分のものの見方や考え方を広くすること。」を受けて,文章について自分の考えを形成することについて示している。
ウは,文章の構成や展開,表現の仕方について自分の考えをもつことに関する指導事項である。
第1学年では表現の特徴について考え,第2学年では表現の仕方について考える。
ここで表現の仕方といっているのは,文章の表現には書き手の目的や意図があり,そうした目的や意図についても考えさせることを想定しているからである。
「表現の仕方」とは,例えば,口語体と文語体,常体と敬体,和文調の文体と漢文調の文体などの文章類型から,簡潔な述べ方や丁寧な述べ方,断定的な述べ方や婉(えん)曲な述べ方,さらに説明的な文章での中心的な部分と付加的な部分との関係や事実と意見との関係,文学的な文章での描写の仕方や比喩(ゆ)の用い方など,叙述にかかわる表現全般のことをいう。
文章の構成や展開,表現の仕方について「自分の考えをまとめる」際には,「根拠を明確に」することを重視する。具体的には,文章の構成や展開,表現の仕方について自分の考えを書いたり発表したりする際に,自分の考えを支える根拠となる段落や部分などを挙げるようにすることが考えられる。その際,書き手の意図との関連を考えさせることが重要である。文章の構成や展開,表現の仕方について分析するだけではなく,そのような表現をした書き手の目的や意図を考えたり,その効果について考えたりすることを指導する。
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エは,文章に表れている書き手のものの見方や考え方について自分の考えをもつことに関する指導事項である。
書き手のものの見方や考え方について,「知識や体験と関連付けて自分の考えをもつ」ことを求めている。「知識や体験と関連付け」るとは,好悪などの感想にとどまらず,これまでに身に付けてきた知識や様々な体験と関連付けて,賛否を明らかにしたり,問題点を指摘したりするなど,具体的なものに基づいて考えを形成することである。自分のものの見方や考え方を深めていくためには,文章に示されている書き手のものの見方や考え方を自分の考えと対比したり置き換えたりして,読み手が自分の問題としてとらえることが重要である。
オ 読書と情報活用に関する指導事項
第1学年の「カ本や文章などから必要な情報を集めるための方法を身に付け,目的に応じて必要な情報を読み取ること。」を受けて,本や文章などから情報を得て考えをまとめることについて示している。
本や文章などを通じて情報を得るには,多様な方法がある。「多様な方法」としては,学校図書館や地域の図書館,公共施設,あるいはコンピュータや情報通信ネットワークなどが挙げられる。これらの施設や情報手段などにはそれぞれ特徴があり,その特徴を生かした情報の収集の仕方について指導する必要がある。このことが,次の段階で,適切な情報を選択する際の基礎になる。
「適切な情報」を得るためには,集めた情報について,その真偽や適否を見極めながら自分の目的に応じて整理したり分類したりすることが大切である。このように情報を収集し整理する過程で自分の考えが明確になっていく。また,「自分の考えをまとめる」際には,得た情報をどのように引用すればよいかを考えさせることなどを指導することが大切である。このような学習の積み重ねにより,幅広く読書活動を行うことの意味を一人一人に実感させ,日常生活の中で必要に応じて自ら読書を進めていくことのできる自立した読み手を育成することが重要である。
なお,この指導事項は,「A話すこと・聞くこと」と「B書くこと」における取材の指導と関連を図ることが必要である。
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A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 詩歌や物語などを読み,内容や表現の仕方について感想を交流すること。
イ 説明や評論などの文章を読み,内容や表現の仕方について自分の考えを述べること。
ウ 新聞やインターネット,学校図書館等の施設などを活用して得た情報を比較すること。 |
ア 詩歌や物語などを読み,内容や表現の仕方について感想を交流する言語活動
文章の中でも特に言葉の使い方が洗練されている詩歌や物語などを読み,その作品に表れている登場人物の心情,書き手の思いや価値観,表現の仕方などについて感想をもち交流するようにする。交流を前提とすることで,感想の対象となった部分や表現の特徴などを指摘するなど,自分の感想を具体的に考えるようになる。
イ 説明や評論などの文章を読み,内容や表現の仕方について自分の考えを述べる言語活動
「説明」は,事実や事柄について何かを解き明かしたり解説したりする文章である。
「評論」は,物事の善し悪しや価値等について書き手の考えを述べた文章である。説明や評論などの文章を読むことを通して書き手のものの見方や考え方をとらえることで,読み手自身のものの見方や考え方を豊かなものにしていくことができる。また,書き手のものの見方や考え方がどのように表されているかなど,表現の仕方について考えさせることも重要である。その際,書き手の工夫がみられる表現,書き直した方がよいと思われる表現について,根拠を具体的に挙げながら検討することが重要である。また,視点を変えて文章を書き換えさせるなど,内容や表現の仕方について理解を促す工夫も考えられる。
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ウ 新聞やインターネット,学校図書館等の施設などを活用して得た情報を比較する言語活動
新聞や雑誌,コンピュータや情報通信ネットワークなどの様々な情報手段,学校図書館などから得た情報を比較することにより,それぞれの情報手段や施設などの特徴及びそこから得られた情報の特徴について考えさせる。その上で,得た情報を,例えば,自分の考えの根拠にしたり具体例として取り上げたりすることが考えられる。
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〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
| (1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
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ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 作品の特徴を生かして朗読するなどして,古典の世界を楽しむこと。
(イ) 古典に表れたものの見方や考え方に触れ,登場人物や作者の思いなどを想像すること。
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(ア)は,作品の特徴を生かして朗読するなどして,古典の世界を楽しむことを示している。
古典の世界を楽しむためには,生徒が古典の世界に積極的にかかわれるように工夫することが大切であり,作品の特徴を生かして朗読することは効果的な学習である。
朗読するに当たっては,現代語訳や語注などを手掛かりにして作品の内容を理解するとともに,そこに描かれている情景や登場人物の心情などを想像しながら読むように留意する。また,第1学年で音読を通して古典特有のリズムを味わう学習をしてきたことが生かされるようにする。朗読の仕方を工夫したり他の人の朗読を聞いたりすることで,作品について新たな発見をしたり興味・関心を深めたりすることがある。このような発見や興味・関心を適切に取り上げ,生徒が古典を一層楽しいものと思えるようにすることが重要である。
(イ)は,古典に表れたものの見方や考え方に触れ,登場人物や作者の思いなどを想像することを示している。
「古典に表れたものの見方や考え方に触れ」るためには,例えば,古典の易しい現代語訳や古典について解説した文章を用いたり,関連する本や文章等を紹介したり,音声や映像メディアを活用したりするなど指導上の様々な工夫が考えられる。「古典に表れたも
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のの見方や考え方」の中には,長い年月を隔ててもなお現代と共通するものもあれば,現代とは大きく異なるものもある。それに気が付くことが古典を学習する大きな楽しみであり意義である。
「古典に表れたものの見方や考え方に触れ」ることと「登場人物や作者の思いなどを想像する」こととは密接に関連しており,登場人物や作者の思いを豊かに想像することを通して,文章を貫くものの見方や考え方に触れることもある。教材とする文章の特徴を生かしながら指導を工夫することが大切である。その際,「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」3の「(5) 古典に関する教材については,古典の原文に加え,古典の現代語訳,古典について解説した文章などを取り上げること。」に留意する。
イ言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 話し言葉と書き言葉との違い,共通語と方言の果たす役割,敬語の働きなどについて理解すること。
(イ) 抽象的な概念を表す語句,類義語と対義語,同音異義語や多義的な意味を表す語句などについて理解し,語感を磨き語彙(い)を豊かにすること。
(ウ) 文の中の文の成分の順序や照応,文の構成などについて考えること。
(エ) 単語の活用について理解し,助詞や助動詞などの働きに注意すること。
(オ) 相手や目的に応じて,話や文章の形態や展開に違いがあることを理解すること。
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(ア)は,言葉の働きや特徴,言葉遣いに関する事項である。
話し言葉と書き言葉との違い,共通語と方言の果たす役割,敬語の働きなどについて理解することを示している。これまでは,第1学年においては「話し言葉と書き言葉との違いについて理解し,適切に使うこと」を,第2学年及び第3学年においては「共通語と方言の果たす役割などについて理解するとともに,敬語についての理解を深め生活の中で適切に使えるようにすること」を指導することとしていた。今回の改訂では,言葉の働きや特徴,言葉遣いに関する指導として,第2学年にまとめて示し
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た。
「話し言葉と書き言葉との違い」については,小学校第5学年及び第6学年の「(ア) 話し言葉と書き言葉との違いに気付くこと。」を指導していることを踏まえ,音声言語としての話し言葉と文字言語としての書き言葉の特色や役割を理解させる必要がある。話し言葉は,相手すなわち聞き手,場所,時間,目的などの影響を強く受けながら表現されたり理解されたりする。また,音声としての言葉が即時的に消えていくことも,話し言葉の特質である。書き言葉は,多様な読者に対応できる表現力が必要となる。また,必要なときに読み返すことができることも,書き言葉の特質である。このようなことに留意して,実際の生活場面で,話し言葉と書き言葉とを適切に使えるように指導す
ることが大切である。
「共通語と方言の果たす役割」については,小学校第5学年及び第6学年の「A話すこと・聞くこと」(1)の「ウ共通語と方言との違いを理解し,また,必要に応じて共通語で話すこと。」を指導している。これを踏まえ,共通語と方言の果たす役割について理解させるよう指導する。共通語は地域を越えて通じる言葉であり,方言はある地域に限って使用される言葉である。共通語を適切に使うことは,人々が相互の理解を進めるために不可欠な能力である。一方,方言は,生まれ育った地域の風土や文化とともに歴史的・社会的な伝統に裏付けられた言語である。その表現の豊かさと魅力など,方言が担っている役割を十分理解させ,方言を尊重する気持ちをもたせるようにしながら,共通語と方言とを時と場合などに応じて使い分けられるように指導することが大切である。
敬語については,小学校第5学年及び第6学年において「日常よく使われる敬語の使い方について慣れる」よう指導している。中学校においては,個別的・体験的な知識を整理して体系付けるとともに,人間関係の形成や維持における敬語のもつ働きを十分に理解させる必要がある。指導に当たっては,基本となる尊敬語,謙譲語,丁寧語について理解させるようにする。なお,文化審議会答申「敬語の指針」に示されている尊敬語,謙譲語T,謙譲語U(丁重語),丁寧語,美化語の5種類については,生徒の実態に応じて取り上げることも考えられる。
(イ)は,語句・語彙(い)に関する事項である。
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抽象的な概念を表す語句や,類義語と対義語,同音異義語,多義的な意味を表す語句についての理解を深め,語感を磨き語彙(い)を豊かにすることについて示している。
「抽象的な概念を表す語句」とは,第1学年で学習した「事象や行為などを表す多様な語句」よりも,一般的で抽象性の高い語句である。ここでは,抽象的な概念を表す語句を取り上げて,それが表す具体的な中身を考えさせるなどして語感を磨くようにする。また,「C読むこと」(1)の「ア抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。」との関連を図る必要がある。
「類義語」とは,別の語でありながら,その表す意味が似ていたり,ほとんど同一であったりする語をいう。語が異なれば,その意味や用法には違いがある。その違いが微妙であればあるほど,それに気付くのには磨かれた語感が求められる。
「対義語」とは,意味の上で互いに反対の関係にある語をいう。
「同音異義語」とは,音が同一であって意味の異なる語であり,漢語に多い。書き言葉ではそれぞれの識別も難しくはないが,話し言葉の場合には意味内容の伝達に混乱をひき起こしやすいので,常に注意する必要がある。
「多義的な意味を表す語句」とは,一つの語句が多くの意味をもつものをいい,文脈に沿って,その語句の意味を吟味させることが重要である。
このような語句について理解させ,話や文章の中で適切に使用させることが,語彙(い)を豊かにし語感を磨かせることになる。
(ウ),(エ),(オ)は,単語,文及び文章に関する事項である。
(ウ)は,文の中の文の成分の順序や照応,文の構成を考えることを示している。
「文の成分の順序」とは,文を組み立てている主語,述語,修飾語,接続語,独立語などの並ぶ順序,つまり語順のことをいう。「照応」とは,主語と述語の照応や修飾語と被修飾語の照応などのことをいう。「文の構成などについて考えること」とは,語順や語の照応によって表現がどのように変わってくるかを,様々な文型について考えさせることであり,これを通して文の成分の順序や照応に関心をもたせることが重要である。
(エ)は,単語の活用について理解し,助詞や助動詞などの働きに注意することを示している。
「単語の活用」についての理解は,小学校第3学年及び第4学年における「送り仮
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名に注意して書き,また,活用についての意識をもつこと。」の事項及び第1学年の単語に関する事項を踏まえて指導する。単語の類別と関連付けながら,自立語で活用があり単独で述語になる単語,自立語で活用がなく主語になる単語,自立語で活用がなく主語になれない単語,付属語で活用がある単語,付属語で活用がない単語などについて理解させる。「助詞や助動詞」については,文における付属語の働きを指導する。助詞は,単語と単語との関係を示したり,意味を添えたりする働きをもつ品詞である。助動詞は,意味を付け加え叙述を助けたり,判断を示したりする品詞である。このような助詞や助動詞を使うことによって,言語生活の上でお互いの伝え合いたい微妙なニュアンスを,相手によりよく伝えることができることに気付かせるよう指導する。また,日常の言語活動を具体的に取り上げ,助詞や助動詞が文脈の中でどのような働きをしているかに注意させ,話すこと・聞くこと,書くこと及び読むことに役立たせるようにすることも大切である。
(オ)は,相手や目的に応じて,話や文章の形態や展開に違いがあることを理解することを示している。
「相手や目的に応じて,話や文章の形態や展開に違いがある」とは,話や文章は,だれに向けて,どのような目的で話すのか,書くのかということに応じて,それにふさわしい形態や展開があるということである。このことを理解させるようにする。話や文章の形態としては,例えば,事実や事柄を伝える説明や記録,手紙などの通信,感想や意見などが挙げられる。ここで,小学校段階から学習してきた様々な話や文章の形態を整理することが,第3学年の「B書くこと」(1)アの「文章の形態を選択して適切な構成を工夫する」ことにつながる。
ウ漢字に関する事項
(ア) 第1学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字のうち300字程度から350字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
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(ア)は,漢字の読みについての事項である。
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第2学年では,第1学年までに学習した常用漢字に加え,更に300字程度から350字程度までの漢字を読むこととしている。
(イ)は,漢字の書きについての事項である。
第2学年では,第1学年で学習した漢字を含め,学年別漢字配当表に示している1,006字の漢字を文や文章の中で使うことを求めている。これまでは,「学年別漢字配当表の漢字のうち950字程度の漢字を書き,文や文章の中で使うこと。」としていたが,今回の改訂では,学年別漢字配当表に示している1,006字の漢字を書けるようにするとともに,文や文章の中で使うことを求めている。
書写に関する事項
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解して,読みやすく速く書くこと。
イ 目的や必要に応じて,楷(かい)書又は行書を選んで書くこと。
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アは,漢字の行書及びそれに調和した仮名の書き方に関する事項である。
行書については第1学年のイで基礎的な学習をしている。したがって,第2学年においては,行書の文字に書き慣れ,読みやすく速く書く能力の育成を求めている。
「漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解」するためには,第1学年で指導している行書の特徴を踏まえる必要がある。その際,文字文化という視点から,行書に関して気が付いたことや分かったことなどについて考えたり,まとめたりする活動を取り入れることが大切である。また,毛筆の弾力性や柔軟性という特質を生かして運筆を体得させることなどの工夫が必要である。
「読みやすく速く書くこと」は,漢字の行書とそれらに調和した仮名の書き方に慣れさせ,国語科をはじめとする各教科等の学習場面や社会生活における話す,聞く,書く,読むといった言語活動に役立たせるための重要な指導である。「読みやすく」とは,読み手
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への伝達を意識することである。このためには,書式などを意識し,第1学年で学習した字形や大きさ,配列などに配慮することも必要である。
イは,学習や生活の目的や必要に応じて書体を選んで書くことに関する事項である。
「目的や必要に応じて」とは,国語科をはじめとする各教科等の学習や社会生活における文字を書く目的や必要に応じて,その書体や筆記具を選択しつつ効果的な文字の書き方を工夫することである。メモやノート,届け出の書類,願書,会議録,ポスターや掲示物,はがきや封書といった様々な書式に合わせて,適切な字形や書体,筆記具で書くことを求めている。その際,読み手を意識して書くことにも配慮する必要がある。
「楷(かい)書又は行書を選んで書くこと」とは,学習や生活における様々な場面において,楷(かい)書で書いた方がよい場合と行書で書いた方がよい場合とがあることを踏まえ,習得した書体に関する知識や技能を目的や必要に応じて主体的に選択し,書くことである。このとき,読み手を意識し,表現効果や伝達効果などを高めるために,毛筆や硬筆などの筆記具の選択について工夫することも大切である。
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第3節第3学年
「A話すこと・聞くこと」
(1) 目標
| (1) 目的や場面に応じ,社会生活にかかわることなどについて相手や場に応じて話す能力,表現の工夫を評価して聞く能力,課題の解決に向けて話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えを深めようとする態度を育てる。
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前段は,話す能力,聞く能力及び話し合う能力,後段は,話すこと・聞くこと全体にわたる態度を示している。
「目的や場面に応じ」ることは,第1学年及び第2学年と同じである。
「社会生活にかかわることなどについて」とは,第2学年と同じく,社会生活の中から広く話題を求めていくことを示している。
「相手や場に応じて話す能力」とは,社会生活を営む上で想定される様々な相手や場に応じて,適切かつ効果的に話す能力のことである。その際,これまでに身に付けてきた,話題設定や取材の能力,話す能力を総合的に発揮できるようにする。
「表現の工夫を評価して聞く能力」とは,話の内容を評価することに加え,話の構成や展開,語句の使い方,言葉遣い,資料の活用の仕方などの表現の工夫についても評価しながら聞く能力のことである。
「課題の解決に向けて話し合う能力」とは,立場や考えの違いを認めつつ,課題の解決に向けて自他の考えを整理し,合意形成を目指して話し合う能力のことである。
「話したり聞いたりして考えを深めようとする態度」とは,話したり聞いたりすることによって互いに考えを深めようとする態度のことである。社会生活における課題を解決するために,話したり聞いたりすることが果たしている重要な役割を認識させ
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ることが大切である。
(2) 内容
@ 指導事項
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から話題を決め,自分の経験や知識を整理して考えをまとめ,語句や文を効果的に使い,資料などを活用して説得力のある話をすること。
イ 場の状況や相手の様子に応じて話すとともに,敬語を適切に使うこと。
ウ 聞き取った内容や表現の仕方を評価して,自分のものの見方や考え方を深めたり,表現に生かしたりすること。
エ 話合いが効果的に展開するように進行の仕方を工夫し,課題の解決に向け
て互いの考えを生かし合うこと。
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ア・イ 話題設定や取材,話すことに関する指導事項
第2学年の「ア社会生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を多様な方法で集め整理すること。」,「イ異なる立場や考えを想定して自分の考えをまとめ,話の中心的な部分と付加的な部分などに注意し,論理的な構成や展開を考えて話すこと。」,「ウ目的や状況に応じて,資料や機器などを効果的に活用して話すこと。」を受けて,話題の範囲は第2学年と同じく社会生活の中からとするとともに,効果的に話すことについて示している。
アは,自分の経験や知識を整理して説得力のある話をすることについて示している。
「自分の経験や知識を整理して考えをまとめ」とは,目的や話題に応じて自分の経験や知識を再構成して自分の考えを形成することである。その際,必要に応じて取材することはもちろん,改めて取材したり準備したりせずに話すことも想定している。
社会生活においては,まとまった話をする際に,いつでも十分に取材したり構成を考
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えたりする時間があるとは限らない。そこで,自分自身の経験や知識の中に材料を求めることを示している。
「語句や文を効果的に使」うこととしては,目的や場面に応じた言葉遣いをすること,聞いて分かりやすい語句を選ぶこと,特に,難語句や専門用語は易しい言葉に言い換えることなどが挙げられる。社会生活では,会議における企画の提案など,相手を説得しなければならない場面が多くある。中学校においては,自分の考えや意見を分かりやすく説明し,相手を説得する力を身に付けることが大切である。その際,説得力を増すために,語句や文の効果的な使い方を考え,工夫することが重要である。
「資料などを活用して説得力のある話をする」とは,説得力を増すために,資料の見やすさや提示の仕方など,聞き手の理解を助けるための工夫をして話すことである。
第2学年での指導事項を踏まえ,機器の使用とも関連を図りつつ指導していくことが効果的である。
イは,実際に話すことについて示している。
第3学年にもなると,様々な場面で話をする機会が増え,その対象も広がってくる。
「場の状況や相手の様子に応じて話す」とは,相手意識,場面意識を明確にもって話すことを意味する。聞き手の人数や立場,年齢構成,会場の広さ等を踏まえた上で話の内容を構成し,話し方を工夫することが大切である。その際,聞き手のうなずきや表情にも注意し,聞き手に自分の意図が十分伝わっていないと感じられた時には,分かりやすい語句に言い換えたり補足したりすることも大切になる。場合によっては,話の途中で聞き手に問いかけたり質問を促したりしながら,理解を深めていくなどの働きかけをすることも効果的である。
また,「敬語を適切に使うこと」については,第2学年の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕イ(ア)を踏まえ,相手や場に応じて適切な言葉遣いをしていけるように指導する。
ウ 聞くことに関する指導事項
第2学年の「エ話の論理的な構成や展開などに注意して聞き,自分の考えと比較すること。」を受けて,聞き取った内容や表現の仕方を評価し,自分の表現に生かすことについて示している。
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「聞き取った内容」を評価するとは,話を聞いて内容を理解するとともに,その意見や主張の根拠を確かめて判断したり,自分の考えや立場との違いを聞き分けたり,話の内容についてその意義や価値を考えて,自分の意思決定に役立てたりすることなどを意味する。これらは,異なる立場や考え方を尊重しつつ話を進めていく上で重要である。
「表現の仕方を評価」するとは,話の内容を理解するだけでなく,話し方に注意して評価しながら聞くことを示している。聞き手は,実際に話を聞いているとき,話に使われている語句や文にも,話し手の立場や人柄,心理などが反映していることに気付くものである。論理的な側面ばかりではなく,話し方から感じられる様々なニュアンスなど,情意面においても説得力が発揮されているという表現の効果に目を向けることが大切である。表現の仕方を評価することは,話の論理的な構成や展開などの面だけでなく,語句や文の使い方,声の出し方や言葉遣い,資料や機器の活用の仕方などの検討も含んでいる。
「自分のものの見方や考え方を深め」とは,聞き取った内容について理解して検討し,評価することを通して,自分自身のものの見方や考え方を見直したり深めたりすることを意味している。また,「表現に生かしたりする」とは,聞き取った内容や表現の仕方を評価し,その優れている点を取り入れて,自らの表現をよりよいものにしていくことである。
エ 話し合うことに関する指導事項
第2学年の「オ相手の立場や考えを尊重し,目的に沿って話し合い,互いの発言を検討して自分の考えを広げること。」を受けて,話合いの進行の仕方を工夫し課題の解決を図ることについて示している。
「話合いが効果的に展開するように」するとは,例えば,司会や議長の立場で直接話合いを進行していく場合はもとより,それ以外の立場で参加する場合にも,話合いが課題の解決に向かうように進め方を提案したり,話合いが効率よく進むように協力したりすることである。そのためには,自分の意見を述べたり相手の話を聞いて判断したりする力に加えて,話合いの過程で進み具合を客観的に把握したり,それまでの話合いの経緯を振り返ってこれからの展開を考えたりすることが必要になる。
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話合いは,情報の交換や意見の調整を通して新たな価値を創造したり,一定の合意を形成して物事を決めたりすることを目的として行われる。「互いの考えを生かし合う」とは,それぞれがもっている情報や意見を基にしてよりよい結論を求めることに加えて,ある結論や決定に至った場合にも,少数意見を尊重したり,どこまでが一致してどこからが違うのかを確かめ合ったりすることなどを意味している。
A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 時間や場の条件に合わせてスピーチをしたり,それを聞いて自分の表現の参考にしたりすること。
イ 社会生活の中の話題について,相手を説得するために意見を述べ合うこと。
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ア 時間や場の条件に合わせてスピーチをしたり,それを聞いて自分の表現の参考にしたりする言語活動
「時間や場の条件」とは,何分程度で話すのかといった時間的な制約や,話す場の広さ,聞き手の人数,聞き手の立場や考え,利用可能な機器など,実際に話をする上での様々な条件のことである。また,ここでの「スピーチ」は,プレゼンテーション,ポスターセッション等,様々な活動の中で話すことを含んでいる。こうした活動を通して互いの工夫を評価し合い,自分の表現の参考にしていくようにする。
イ 社会生活の中の話題について,相手を説得するために意見を述べ合う言語活動
「相手を説得する」とは,話の内容を相手に理解させ,納得させることである。話の内容を相手に理解させるためには,論理的に話す力が要求される。また,相手に納得してもらうためには,論理だけではなく,自分の考えを相手に受け入れてもらえるよう,第1学年の「A話すこと・聞くこと」(1)ウの「相手に分かりやすい語句の選択,相手や場に応じた言葉遣いなどについての知識を生かして話すこと」も求められ
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ることになる。また,根拠を明確にすること,強調して表現すること,適切な言葉遣いで話すことなどが,説得力を増すことにつながることを気付かせるようにする。
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「B書くこと」
(1) 目標
| (2) 目的や意図に応じ,社会生活にかかわることなどについて,論理の展開を工夫して書く能力を身に付けさせるとともに,文章を書いて考えを深めようとする態度を育てる。
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前段は,書く能力,後段は,書く態度を示している。
「目的や意図に応じ」ることは,第1学年及び第2学年と同じである。
「社会生活にかかわることなどについて」とは,第2学年と同じく,社会生活の中から広く課題を求めることを示している。なお,材料を集めながら自分の考えを深めるようにすることにも留意する。
「論理の展開を工夫して書く能力」とは,書き手の考えが説得力をもって伝わるように,材料の選び方や文章全体の構成,記述の仕方などを工夫して書く能力のことである。その際,これまでに身に付けてきた書くことの能力が,総合的に発揮されるようにする。
「文章を書いて考えを深めようとする態度」とは,文章を論理的に書き表すことで,認識や思考を深めようとする態度のことである。様々な情報があふれている社会の中で自分の立場や考えを明確にしていくために,書くことが果たしている重要な役割を認識させることが大切である。
(2) 内容
@ 指導事項
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から課題を決め,取材を繰り返しながら自分の考えを深めるとともに,文章の形態を選択して適切な構成を工夫すること。
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イ 論理の展開を工夫し,資料を適切に引用するなどして,説得力のある文章を書くこと。
ウ 書いた文章を読み返し,文章全体を整えること。
エ 書いた文章を互いに読み合い,論理の展開の仕方や表現の仕方などについて評価して自分の表現に役立てるとともに,ものの見方や考え方を深めること。
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ア 課題設定や取材,構成に関する指導事項
第2学年の「ア社会生活の中から課題を決め,多様な方法で材料を集めながら自分の考えをまとめること。」,「イ自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にして,文章の構成を工夫すること。」を受けて,課題や取材の対象は第2学年と同じく社会生活とするとともに,表現の目的や内容に応じて文章の形態を選び,構成を工夫することについて示している。
第3学年における課題は,生徒が取材を繰り返しながら考えを深めることができるよう,人間,社会,文化,自然などにかかわる様々な問題の中から決めるように指導する。「取材を繰り返しながら自分の考えを深める」とあるのは,課題に関する材料を多様な方法で集める中で,想定していなかった情報に出合うなどして,それまでの考えを改めたり,別の角度から検討したりする過程を重視するということである。このことが,課題に対する考えを一層深めることにつながっていく。
「文章の形態を選択」するとは,課題に対する自分の思いや考えなどを表現するためにふさわしい文章の形態を選んで書くということである。生徒は,小学校から,目的や課題に応じて,それに見合った様々な文章の形態があることを学習してきている。
例えば,事実や事柄を正確に伝えるためには説明や記録の文章,調べたことなどを整理して人に分かりやすく伝えるためには報告の文章,物事や作品などに対する自分の思いや考えを述べるためには感想や意見の文章がそれぞれふさわしいことを学んでいる。
「適切な構成を工夫する」とは,選んだ文章の形態にふさわしい構成を工夫するこ
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とである。例えば,手紙などの通信文を書く場合には,相手や目的,伝えたい内容の中心をはっきりさせ,併せて自分の考えや気持ちを明確に伝えることができるように構成を工夫することが大切である。意見の文章を書く場合には,自分の立場を鮮明にした上で,意見の中心となる部分をはっきりさせ,論理の展開が明快な文章構成を工夫することが大切である。
イ 記述に関する指導事項
第2学年の「ウ事実や事柄,意見や心情が相手に効果的に伝わるように,説明や具体例を加えたり,描写を工夫したりして書くこと。」を受けて,論理の展開を工夫し資料を引用することについて示している。
「論理の展開」としては,初めに自分の意見を述べ,それを裏付ける事実を示し,自分の意見の正当性,妥当性を示す書き方,具体的事実から一般化し,自分の意見の正当性,妥当性へと結び付ける書き方などがある。これらは,論理の展開を考える場合の基本となる組立て方といってよい。このことを基本に据えて論理の展開を工夫することが大切である。
「説得力のある文章」にするためには,客観性や信頼性の高い資料を選んで用いることが重要である。資料の内容を吟味することについては,各領域を通じてこれまで指導してきており,第3学年では,選んだ資料を「適切に引用する」ことを重視して指導する。「適切に引用する」ためには,自分の考えの根拠としてふさわしいかどうかについて検討したり,引用部分を明らかにした上で,資料が伝えたいことと自分の考えとの関係について補足したりすることが重要である。
引用の際には,かぎ(「」)でくくること,出典を明示すること,引用する文章が適切な量であることなどが大切である。このことが,著作権を尊重し保護することになる。
ウ 推敲に関する指導事項
第2学年の「エ書いた文章を読み返し,語句や文の使い方,段落相互の関係などに注意して,読みやすく分かりやすい文章にすること。」を受けて,文章全体の体裁を整えることについて示している。
第3学年では,文章の形態に応じて全体を読み返し,目的に合った効果的な体裁に
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整えることを重視している。例えば,記録や報告の文章では小見出しや目次を付けたり,手紙の文章では頭語や結語を添えたりすることなどである。
エ 交流に関する指導事項
第2学年の「オ書いた文章を互いに読み合い,文章の構成や材料の活用の仕方などについて意見を述べたり助言をしたりして,自分の考えを広げること。」を受けて,書いた文章を見直し,論理の展開の仕方や表現の仕方について評価することを示している。
第1学年及び第2学年の指導を踏まえ,第3学年では,書いた文章を互いに読み合い,論理の展開の仕方や表現の仕方などに重点を置いて,相互に評価することを求めている。具体的には,結論に導くための理由や根拠の取り上げ方や論理の展開の仕方などに着目することになる。
学習活動としての評価は,生徒自身が表現を客観的にみる能力を育て,表現能力を一層伸ばすことに役立つ。また,自分の書いた文章に対する評価によって気付かされたり改めて認識したりしたことを意識し,自分の表現をよりよいものに高めたり,自分の見方や考え方を深めたりすることも重要である。
A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある事柄について批評する文章を書くこと。
イ 目的に応じて様々な文章などを集め,工夫して編集すること。
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ア 関心のある事柄について批評する文章を書く言語活動
「批評」とは,対象とする事柄について,そのもののよさや特性,価値などについて,論じたり,評価したりすることである。
ここでいう「関心のある事柄」については,社会生活にかかわる様々な事物や出来事を考えることができる。これを批評するには,書き手の視野の広さや,論理的に物
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事を考える力が大切である。そのためには,関心のある事柄について,関連する事柄や背景などにも興味をもたせ,書き手の主観だけでなく,客観的,分析的に物事を見つめる姿勢をもたせることが必要である。
記述に際しては,対象となる事柄を分かりやすく説明したり,判断や評価の理由や根拠などを明確に示したりすることなどが求められる。
イ 目的に応じて様々な文章などを集め,工夫して編集する言語活動
「編集する」という言語活動は,一つの文章を書く力だけではなく,幾つかの文章を書いて組み合わせることを通して,総合的に考えたり伝えたりする力を高める上で効果的である。例えば,新聞やパンフレット,発表のための資料を編集することなどが考えられる。それぞれの形態に応じて,紙面構成を工夫したり,図表などを効果的に用いたりすることが大切である。また,複数の文章を集めて,課題やテーマに即して整理する活動も考えられる。その際,文章を一つにまとめる意図や目的を明確にして編集することが大切である。
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「C読むこと」
(1) 目標
(3) 目的や意図に応じ,文章の展開や表現の仕方などを評価しながら読む能力を身に付けさせるとともに,読書を通して自己を向上させようとする態度を育てる。
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前段は,読む能力,後段は,読書態度を示している。
「目的や意図に応じ」ることは,第1学年及び第2学年と同じである。
「文章の展開や表現の仕方などを評価しながら読む能力」とは,内容を分析したり表現の仕方を批評したりして読む能力のことである。社会生活においては,文章の内容や形式などの価値を判断し,自らの目的や意図に応じて活用する能力が求められる。
義務教育の最終段階として,これまでに身に付けてきた国語の能力を総合的に発揮させることが重要である。
「読書を通して自己を向上させようとする態度」は,第1学年における「読書を通してものの見方や考え方を広げようとする態度」,第2学年における「読書を生活に役立てようとする態度」を踏まえて,生涯にわたって読書に親しんでいくために必要な態度の育成を目指したものである。
(2) 内容
@ 指導事項
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 文脈の中における語句の効果的な使い方など,表現上の工夫に注意して読むこと。
イ 文章の論理の展開の仕方,場面や登場人物の設定の仕方をとらえ,内容の理解に役立てること。
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ウ 文章を読み比べるなどして,構成や展開,表現の仕方について評価すること。
エ 文章を読んで人間,社会,自然などについて考え,自分の意見をもつこと。
オ 目的に応じて本や文章などを読み,知識を広げたり,自分の考えを深めたりすること。
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ア 語句の意味の理解に関する指導事項
第2学年の「ア抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。」を受けて,語句の効果的な使い方の理解について示している。
文章中に使われる語句は,書き手の立場や意図,感情などを反映している。したがって読み手は,「文脈の中における語句の効果的な使い方」,すなわち語句の選択や配列など書き手が行う表現上の工夫に注意して読むことが大切である。第1学年及び第2学年では,語句のもつ意味をそれぞれが用いられている文章の文脈の中で,どのように的確にとらえ,理解するかということに重点を置いて指導している。第3学年では,語句の用い方がどのような効果を生んでいるかに目を向けさせることを重視して指導する。
イ 文章の解釈に関する指導事項
第2学年の「イ文章全体と部分との関係,例示や描写の効果,登場人物の言動の意味などを考え,内容の理解に役立てること。」を受けて,論理の展開や場面などの設定をとらえて文章を解釈することについて示している。
「文章の論理の展開の仕方」は,主として説明的な文章を想定しているが,文学的な文章も含んでいる。文章の論述の過程には,書き手のものの見方や考えの進め方が表れている。このような書き手の論理の展開についての意図をとらえることで,文章の内容を的確に理解することができる。また,「場面や登場人物の設定」は,文学的な文章を想定している。作品の展開や内容は,場面や登場人物の設定と深いかかわりがある。これらの要素をとらえることで,文章全体への理解が深まる。
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ウ・エ自分の考えの形成に関する指導事項
第2学年の「ウ文章の構成や展開,表現の仕方について,根拠を明確にして自分の考えをまとめること。」,「エ文章に表れているものの見方や考え方について,知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと。」を受けて,文章の形式や内容についての自分の考えを形成することを示している。
ウは,「文章の構成や展開,表現の仕方」等,主として文章の形式について評価することに関する指導事項である。第1学年で「自分の考えをもつこと」,第2学年で「根拠を明確にして自分の考えをまとめること」について指導したことが,第3学年における「評価すること」につながっている。
一つの文章では気が付かなくても,複数の文章を比較しながら読むことにより,構成や展開,表現の仕方等の違いが分かってくることがある。そのことを通じて,様々な文章の形式についての特徴や効果などについて評価する。評価する対象としては,教科書や本などに掲載された文章だけでなく,新聞や広告,パンフレットやポスター等様々な形態のものが考えられる。さらに,それぞれの文章における書き手の意図と表現の仕方とのかかわりを考えることにより,自分が文章を書く際に役立てることにつなげていくようにする。
エは,書かれた内容について「自分の意見をもつこと」に関する指導事項である。
第2学年までに,「文章に表れているものの見方や考え方について,知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと」を指導している。これを踏まえて指導する。
「文章を読んで人間,社会,自然などについて考え」とは,様々な文章を読むことを通して,そこに表れているものの見方や考え方から,人間,社会,自然などについて思いを巡らせることである。このような学習から確かな思想が形成され,豊かな心情が養われ,人間としての成長が期待される。
「意見をもつ」とは,ある事柄について自分の立場や根拠を明確にした考えをもつことをいう。第1学年の(1)オと第2学年の(1)エを踏まえ,第3学年では,主として文章全体を受けて自分の意見をもつことを求めている。
オ 読書と情報活用に関する指導事項
第2学年の「オ多様な方法で選んだ本や文章などから適切な情報を得て,自分
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の考えをまとめること。」を受けて,本や文章などを自ら読み進めることについて示している。
本や文章などを読む目的は様々であり,ある事柄についてもっと深く知ること,課題について探究するために適切な情報を得ること,教養を身に付けることなどが挙げられる。余暇を充実させることも目的の一つである。義務教育の最終段階として,日常生活における読書活動を「知識を広げたり,自分の考えを深めたりすること」につなげ,継続的な読書を促すようにする。
「知識を広げたり,自分の考えを深めたりする」ためには,様々な本や文章などを読んで,書き手のものの見方や考え方と自分のものの見方や考え方を対比させて新しい考え方を知ったり,自分の考えを再構築したりすることが大切である。その上で,新たな知識や考えが次の読書に結び付いていくことを実感させるようにする。
例えば,興味をもった作家の複数の作品を読み味わったり,幅広い分野の文章を読む機会をもったりするなどの指導が考えられる。
A 言語活動例
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 物語や小説などを読んで批評すること。
イ 論説や報道などに盛り込まれた情報を比較して読むこと。
ウ 自分の読書生活を振り返り,本の選び方や読み方について考えること。
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ア 物語や小説などを読んで批評する言語活動
物語や小説を読み,作品の内容や登場人物の生き方,表現の仕方などについて批評する活動である。「批評」とは,対象とする物事や作品などについて,そのもののよさや特性,価値などについて,論じたり,評価したりすることである。物語や小説を適切に批評するためには,文章を主観的に味わうだけでなく,客観的,分析的に読み深める力が求められる。そのためには,語句や描写などについて,その意味や効果を
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評価しながら読むことが大切である。また適切な批評をするためには,作品を分析する力が必要である。その力を高めるために,例えば,同じ作者による複数の作品や,類似したテーマの作品を読み比べることなどが考えられる。
イ 論説や報道などに盛り込まれた情報を比較して読む言語活動
「論説」は,新聞の論説をはじめとして物事の理非を論じる文章をいう。書き手が論説の対象として取り上げた物事について,どのような立場からどのような論を展開しているかを読み取ることが大切である。「報道」は,ここでは,新聞や雑誌等の文章を想定している。起こった出来事をとらえ,それについて書き手がどのように報道しているかを読み取ることが大切である。
ウ 自分の読書生活を振り返り,本の選び方や読み方について考える言語活動
今までの読書生活を振り返り,今後の読書生活の方向性について考え,その方向性に沿って実際に本を読むという言語活動である。どんな本に興味をもち読んできたのか,読んでいない分野は何か,今後はどんな本を読んでみたいのかなど,読書生活全体を取り上げて授業を展開すると効果的である。
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〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 歴史的背景などに注意して古典を読み,その世界に親しむこと。
(イ) 古典の一節を引用するなどして,古典に関する簡単な文章を書くこと。
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(ア)は,歴史的背景などに注意して古典を読み,その世界に親しむことを示している。
古典の作品には,その背景となる歴史的な状況が存在する。それを踏まえた上で古典を読むことで,作品の世界をより深く,広く理解することが可能になる。また,作者の当時の立場や置かれていた状況等を知ることを通して,作品の世界をより実感的にとらえることもできる。
「歴史的背景」については,作品の理解に役立つ事柄を精選して取り上げるようにする。
作品の歴史的背景などを扱うのは,教材として取り上げた古典への興味・関心を高めたり,内容の理解を助けたりするためであることに留意する必要がある。
(イ)は,古典の一節を引用するなどして,古典に関する簡単な文章を書くことを示している。
「古典の一節を引用するなど」した「古典に関する簡単な文章」としては,例えば,古典の一節を引用した感想文や手紙,作品を紹介する文章などが考えられる。このような書く活動を通して,生徒が自分の考えを述べる文脈の中に古典の世界を取り入れるようにすることが重要である。そのことが,古典としての古文や漢文により一層親しむ態度を育てるとともに,我が国の伝統や文化についての関心を深め,これを継承・発展させようとする態度の育成にもつながる。
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イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いを理解するとともに,敬語を社会生活の中で適切に使うこと。
(イ) 慣用句・四字熟語などに関する知識を広げ,和語・漢語・外来語などの使い分けに注意し,語感を磨き語彙(い)を豊かにすること。
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(ア)は,言葉の働きや特徴,言葉遣いに関する事項である。
時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いについて理解するとともに,敬語を社会生活の中で適切に使うことを示している。
言葉は,時間の経過により語形や語意などが変化していくという側面をもっている。
ここでは,言葉のもつこのような性質に気付かせることで,自分たちが使っている言葉に対する興味・関心を喚起するとともに,理解や認識を深めるようにすることが大切である。
また,言葉はそれを使用する世代によっても,語形や語意が異なったり使用する語彙(い)などに差異があったりする場合がある。例えば,若者又は年配者など,特定の年代限って使われる言葉が存在したり,一人の人間でも,年代が変わることによって使用する言葉が変化したりする場合もある。また,最初は限られた範囲で使用されていた言葉が,広く一般に用いられるようになる例も見られる。このような点に着目して指導することを通して,言葉というものが生活と密接に関連していることを実感させるとともに,実生活に生きる言葉の力を身に付けることの大切さに気付かせることができる。
敬語については,第2学年での指導を踏まえ,社会生活の中で,相手や場面に応じて,適切に使い分けることができるよう指導する必要がある。その際,敬語は,国語の歴史の中で一貫して重要な役割を担い続けていること,相手や周囲の人と自らとの人間関係・社会関係についての気持ちを表現する役割があることについて配慮することも大切である。また,「A話すこと・聞くこと」(1)の「イ場の状況や相手の様子に応じて話すとともに,敬語を適切に使うこと。」と関連させて指導することが大切
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である。
(イ)は,語句・語彙(い)に関する事項である。
社会生活で使う語彙(い)を更に拡充させるために,「慣用句・四字熟語などに関する知識を広げ,和語・漢語・外来語などの使い分けに注意し,語感を磨き語彙(い)を豊かにすること」を示している。
「慣用句」については,小学校第3学年及び第4学年の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕(1)アの「(イ) 長い間使われてきたことわざや慣用句,故事成語などの意味を知り,使うこと。」を指導している。この「慣用句」に関する知識を一層広げて,話すこと・聞くこと,書くこと,読むことを通して身に付けさせるように指導する。
「四字熟語」のような熟語の学習は,その組立て方や語源などを探る楽しさがあり,言葉への興味・関心を高めるのにも役立つ。
「和語・漢語・外来語」の中の「和語」とは古くから日本で使われてきた語をいい,「漢語」とは漢字の音を使った語をいい,「外来語」とは中国語以外の外国語から日本語に入ってきた語をいう。話や文章表現の上でこの「和語・漢語・外来語」の使い分けを考えさせることにより,微妙な言葉のニュアンスについて知り,語感を磨くよう指導する。
このように,語彙(い)が豊かになるにつれて,語句と語句との意味の違いが微妙なところまでつかめるようになる。こうして語感が磨かれると,一つ一つの語句について,他の語句に置き換えたり置き換えられなかったりすることに気付くようになる。そのことを,書くときや話すときに役立てられるようにしていくことが大切である。
ウ漢字に関する事項
(ア) 第2学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字の大体を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。
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(ア)は,漢字の読みについての事項である。
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第3学年では,第2学年までに学習した常用漢字に加え,さらに残りの常用漢字の大体を読むこととしている。
(イ)は,漢字の書きについての事項である。
第3学年では,「学年別漢字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。」と示している。第2学年までに学習した学年別漢字配当表に示している1,006字の漢字を,文や文章の中で使い慣れることを求めている。学年別漢字配当表に示している1,006字の漢字は,他教科の学習や社会生活において使用することの多い漢字であり,第3学年が終了するまでに,多様な語句の形で使ったり,様々な文脈の中で使ったりすることができるよう指導する必要がある。
書写に関する事項
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア身の回りの多様な文字に関心をもち,効果的に文字を書くこと。
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この事項は,自分の身の回りにある多様な文字に関心をもつことと,その関心に基づきながら第2学年までの学習を踏まえて表現効果を考えながら書くことを求めている。
「身の回りの多様な文字に関心をもち」とは,手書き文字だけでなく,活字やイラスト文字などの社会生活で使用されている多様な書体や字形の文字や,それらの文字の使われ方などに関心をもつことである。身の回りの多様な文字に関心をもつことで,文字を手書きすることの意義に気付かせ,併せて,文字文化に関する認識を改めて形成させるとともに,主体的な文字の使い手になるきっかけをもたせることを求めている。また,多様な文字の在り方に関心をもたせることで,文字の芸術性に関心を向ける素地を養い,高等学校芸術科書道への発展性も見通している。
「効果的に文字を書く」とは,文字の伝達性や表現性などを考えながら目的や必要に応じて書くことである。身の回りの多様な文字に関心をもちながら,字形を正しく整える能力,配列などを整える能力,速く書く能力,楷(かい)書や行書を使い分ける能力,筆記具の選択について工夫する能力など,小学校からこれまでに身に付けてきた書写の能力を総合的に発揮させるように指導する。
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第4章指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画作成上の配慮事項
(1) 各学年の内容の弾力的な指導
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の指導については,必要に応じて当該学年の前後の学年で取り上げることもできること。
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第2の各学年の内容にある指導事項及び言語活動例については,生徒の発達の段階を踏まえて3学年に分けて示している。しかし,それらを形式的に該当する学年に当てはめて指導したり,その学年だけで指導を終えたりするのではなく,生徒の言語能力が螺(ら)旋的に高まるよう,前後の学年を考慮して弾力的に指導することができるように指導計画を立てる必要がある。また,小学校における指導内容についても,配慮することが大切である。
指導計画の作成に当たっては,学校や学年あるいは学級の生徒の言語能力や言語体験の実態などに応じて,学習のねらいや生徒の興味・関心を考えながら計画を立てることが望ましい。その際,学習指導要領に示されている各学年の指導事項に基づきながらも,それぞれの学年や学級の実態を十分に配慮して,当該学年に示されている指導事項でも,その前の学年において初歩的な形で取り上げたり,後の学年において程度を高めて取り上げたりして指導することも考えることができる。各学年の発達の段階を見通して目標の系統性を保ちながら柔軟でしかも弾力的な運用を図り,系統化した効果的な指導がなされるよう計画を立てていくことが大切である。
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(2) 領域等の相互関連と学習活動の組織,学校図書館の機能の活用,情報機器の活用
| (2) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕について相互に密接な関連を図り,効果的に指導すること。その際,学校図書館などを計画的に利用しその機能の活用を図るようにすること。また,生徒が情報機器を活用する機会を設けるなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
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「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の内容には,相互に関連する要素を含むものがある。
指導に当たっては,「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の内容の一つ一つについて検討して,その特質を理解し,それぞれの指導を適切に行いながら,相互の関連を図っていく必要がある。
その取扱いについては,特定の目標を実現するためにそれぞれの内容の相互の関連を,言語活動や教材の特質等との関連でとらえ,見通しをもって効果的な学習を組織することである。その際,話すこと・聞くこと,書くこと及び読むことというそれぞれの言語活動を組み合わせて,関連的な指導を行い,全体として系統立ったまとまりのある学習となるように工夫し,重点とした内容が効果的に習得できるように留意することが大切である。
国語科の学習指導においては,目標を実現するために学習に関係する資料を調べる際などに,学習・情報センター,読書センターとしての機能を備えた学校図書館などを計画的に利用し,その機能の活用を図るようにすることが大切である。
「A話すこと・聞くこと」においては,例えば,説明や発表などを行うためには,資料を準備することが欠かせないし,また,広く話題を求めるためには多くの資料に目を通す必要がある。「B書くこと」においては,例えば,報告をまとめる場合には,関係する資料などから必要な材料を求めることが必要となる。「C読むこと」においても,例えば,教科書に掲げる教材に関連して学習を深化し拡充する場合には,自発
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的,自主的に資料を探すことも必要となる。したがって,様々な資料を有する学校図書館などの施設を計画的に利用するよう指導することが大切である。
生徒は,学校図書館などを活用して学習することを通して,資料の集め方,調べ方,まとめ方,報告や発表の仕方などの学び方や考え方を身に付けるとともに,自らの力で論理的に考え判断する力,自分の思いや考えを的確に表現する力,今まで気付かなかったことや分からなかったことについて新たに関係があることなどを発見し解決する力などを身に付けることができる。
また,情報収集や情報発信の手段としてコンピュータや情報通信ネットワークを活用する機会を設けること,インターネットや電子辞書等の活用,コンピュータによる発表資料の作成とプロジェクターによる提示等も考えられる。今回の改訂では,次の指導事項や言語活動において,情報機器の活用を具体的に示している。
第2学年「A話すこと・聞くこと」(1)
ウ 目的や状況に応じて,資料や機器などを効果的に活用して話すこと。
第2学年「C読むこと」(2)
ウ 新聞やインターネット,学校図書館等の施設などを活用して得た情報を比較すること。
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これら以外でも,「A話すこと・聞くこと」における話題設定や取材に関する指導,「B書くこと」における課題設定や取材に関する指導,「C読むこと」における読書と情報活用に関する指導などでは,情報機器の活用が考えられる。
(3) 「A話すこと・聞くこと」の配慮事項
(3) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間15〜25単位時間程度,第3学年では年間10〜20単位時間程度とすること。また,音声言語のための教材を積極的に活用するなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
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ここでは,「A話すこと・聞くこと」の指導に配当する授業時数について示している。これは,「A話すこと・聞くこと」の指導の重要性を考えて,指導計画に適切に位置付け,確実に実施するよう示したものである。
指導計画の作成に当たっては,例えば,ある程度まとまった時間を学期ごとに配分して計画する場合,年間を通して週時間を割り当てて計画する場合,さらにその両方を組み合わせて計画する場合などが考えられる。
また,教材については,録音や録画のための機器などを積極的に活用することで,指導の効果を高めるように留意する。
(4) 「B書くこと」の配慮事項
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(4) 第2の各学年の内容の「B書くこと」の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間30〜40単位時間程度,第3学年では年間20〜30単位時間程度とすること。
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指導計画の作成に当たっては,例えば,ある程度まとまった時間を学期ごとに配分して計画する場合,年間を通して週時間を割り当てて計画する場合,さらにその両方を組み合わせて計画する場合などが考えられる。
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(5) 「C読むこと」の配慮事項
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(5) 第2の各学年の内容の「C読むこと」に関する指導については,様々な文章を読んで,自分の表現に役立てられるようにすること。
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今回の改訂では,読書に関連する指導事項と言語活動例を「C読むこと」の内容に位置付けた。これは,国語科における読むことの学習指導の成果が,生徒の読書意欲を高め,読書力を養い,日常の読書活動に役立つものになることを一層重視したからである。読書活動は生徒の人間形成に大きく寄与するものであり,社会の変化に対応して生きていく能力や態度を養う面からも,読書活動を活発にすることが求められる。
そのためには言語文化に対する関心を深めさせつつ,「読むこと」の学習と「話すこと・聞くこと」,「書くこと」などの領域や,他教科等の学習との関連を図り,生徒が様々な文章を読んで,自分の表現に役立てる場面等も積極的に設定する必要がある。
(6) 道徳との関連
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(6) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
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学習指導要領の第1章総則の第1の2においては,「学校における道徳教育は,道徳の時間を要(かなめ)として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない」と規定されている。
これを受けて,国語科の指導においては,その特質に応じて,道徳について適切に指導する必要があることを示すものである。
国語科における道徳教育の指導においては,学習指導や学習態度への配慮,教師の態度や行動による感化とともに,以下に示すような国語科の目標と道徳教育との関連
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を明確に意識しながら,適切な指導を行う必要がある。
国語科においては,目標を「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。」と示している。
国語による表現力と理解力とを育成するとともに,人間と人間との関係の中で,互いの立場や考えを尊重しながら言葉で伝え合う力を高めることは,学校の教育活動全体で道徳教育を進めていく上で,基盤となるものである。また,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにすることは,道徳的心情や道徳的判断力を養う基本になる。さらに,国語を尊重する態度を育てることは,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛することなどにつながるものである。
なお,3(2)には,教材選定の観点として,道徳性の育成に資する項目を国語科の特質に応じて示している。
次に,道徳教育の要(かなめ)としての道徳の時間の指導との関連を考慮する必要がある。
国語科で扱った内容や教材の中で適切なものを,道徳の時間に活用することが効果的な場合もある。また,道徳の時間で取り上げたことに関係のある内容や教材を国語科で扱う場合には,道徳の時間における指導の成果を生かすように工夫することも考えられる。そのためにも,国語科の年間指導計画の作成などに際して,道徳教育の全体計画との関連,指導の内容及び時期等に配慮し,両者が相互に効果を高め合うようにすることが大切である。
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2 第2の各学年の内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の取扱い
(1) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)の取扱い
2 第2の各学年の内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕については,次のとおり取り扱うものとする。
(1) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 知識をまとめて指導したり,繰り返して指導したりすることが必要なものについては,特にそれだけを取り上げて学習させることにも配慮すること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項については,日常の言語活動を振り返り,言葉の特徴やきまりについて気付かせ,言語生活の向上に役立てることを重視すること。
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〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)は,「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,それぞれの事項について指導することとしている。言葉の働きや特徴,言葉遣い,語句・語彙(い),単語,文及び文章,表現の技法に関する事項が,単に知識として学習されるだけでなく,実際の言語活動の中で活用され,生きて働く力として身に付くことが求められている。
一方,「伝統的な言語文化」や「国語の特質」を理解させるというねらいの下で,〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)に示す事項についてある程度まとまった知識を得させる指導もできるように配慮している。これは,古典に関する基礎的・基本的な内容,言葉の性質の類似性や系統性などについて,生徒の興味・関心や学習の必要に応じ,ある程度体系付けてまとまった知識を得させるような指導もできることを示している。
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「日常の言語活動を振り返り,言葉の特徴やきまりについて気付かせ,言語生活の向上に役立てること」とあるのは,自らの日常の言語活動を振り返り,そこに言葉のきまりを見いだして,国語の特質に気付くように工夫することが重要だということを示している。日常の言語活動を対象化し,そこに法則があることを自覚する力としての言語を操作する能力の育成は,言語生活の向上を図る上でもとりわけ重要なものである。
(2) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(2)の取扱い
(2) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(2)に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 文字を正しく整えて速く書くことができるようにするとともに,書写の能力を学習や生活に役立てる態度を育てるよう配慮すること。
イ 硬筆及び毛筆を使用する書写の指導は各学年で行い,毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うようにすること。
ウ 書写の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間20単位時間程度,第3学年では年間10単位時間程度とすること。
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(2)は,書写の指導に関する取扱いを示している。
(2)のアは,中学校の書写がねらいとしている能力や態度について示している。イは,毛筆による書写の指導の取り扱いについて示すとともに,毛筆と硬筆との関連を明らかにしている。ウは,各学年における書写の授業に配当される授業時数の目安を示している。
アの書写のねらいは,「文字を正しく整えて速く書くことができる」ことである。
文字を正確に読みやすく書くことができるという,文字の伝達性を重視した指導が求められる。その際,「正しく整えて」はひとまとまりの言葉であるとして考える必要がある。また,「速く」は,中学校における書写の中心的な学習内容となる漢字の行書及びそれに調和した仮名を書くことのねらいである。漢字の楷(かい)書及びそれに調和した仮名についても,「正しく整えて速く書くこと」ができるようにすることが必要
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である。
後段の「書写の能力を学習や生活に役立てる態度を育てる」ためには,日常の生活においても,必要に応じて,意識的に書写の学習の成果を生かすようにする。例えば,学習ノートに記録したり掲示文などを書いたりする場合,家庭において手紙などの通信文を書いたりする場合などにおいて,各自が形式や内容を工夫し,書写の能力を広く生活に役立てようとするような態度を育てることが大切である。また,書写の学習で培った文字を書くことに対する意識を,学校における他の教科等においても積極的に発揮し,日常の文字を「正しく整えて」書くことができるようにすることも重要なことである。
イの「硬筆及び毛筆を使用する書写の指導は各学年で行い,毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うようにすること。」は,書写の指導における毛筆の指導が,硬筆による書写の能力の基礎を養うことをねらいとしていることを明示したものである。「硬筆による書写の能力の基礎を養う」ために,毛筆による書写の指導が一層効果的に働くことが求められている。また,各学年に示した書写の授業時数に応じて,毛筆を使用する書写の指導と硬筆を使用する書写の指導との割合を各学校と生徒の実態に即して,適切に設定することも大切である。
ウでは,書写の配当時数について,第1学年及び第2学年では年間20単位時間程度,第3学年では年間10単位時間程度とすることを示している。第1学年と第2学年の年間の配当時数が同程度になったことで,2年間を見通した系統的で計画的な指導が行いやすくなっている。指導計画の作成に当たっては,書写の指導を取り出して年間にわたって計画する場合と,国語科全体として計画する場合とがある。前者によって指導計画を作成する場合でも,「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の指導と関連させた指導計画になるように配慮することが重要である。
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3 取り上げる教材についての観点
第3の3では,国語科で取り上げる教材の選定の観点や教材の取扱いに関する配慮事項を示している。
教材の選定に当たっては,生徒一人一人が学習意欲をもって国語科の学習に取り組み,その意義や喜びが自覚できるような話題や題材を精選して取り上げることが大切である。そのためには,生徒の心身の発達や理解の程度,言語能力の発達の程度からみて,教材の表現や内容の難易,分量の多少,生徒の興味・関心などに十分に配慮する必要がある。また,各領域で育成される能力や態度を偏りなく養うためには,教材の表現形態などに偏りが生じないよう調和的に取り上げる必要がある。そのような教材を選定することによって,自主的,自発的な学習も促進され,国語科における指導の効果も期待できる。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 教材は,話すこと・聞くことの能力,書くことの能力,読むことの能力などを偏りなく養うことや読書に親しむ態度の育成をねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」のそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材を選定すること。
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(1)は,教科の目標や各学年の目標の実現を目指し,各領域で育成される能力や態度を偏りなく養うことや読書に親しむ態度の育成をねらいとして,教材を選定する必要のあることを示している。また,「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」のそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるようにすることを示している。これは,各領域における実践的な指導の充実を図ることを考慮して,例示している言語活動が十分に行われるよう,教材を偏りなく取り上げるように配慮すべきことを示したものである。
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(2) 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
ア 国語に対する認識を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ 伝え合う力,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにするのに役立つこと。
ウ 公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
エ 科学的,論理的な見方や考え方を養い,視野を広げるのに役立つこと。
オ 人生について考えを深め,豊かな人間性を養い,たくましく生きる意志を育てるのに役立つこと。
カ 人間,社会,自然などについての考えを深めるのに役立つこと。
キ 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ク 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
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(2)は,内容の面でも教材の話題,題材を偏りなく選定するよう,教材選定に当たって,8項目の観点を示している。国語科の目標と関連しているもの,国際化や情報化社会に対応する資質や能力の育成にかかわるもの,調和のとれた人間形成にかかわるもの,人間としての内面的な生き方にかかわるものなどである。
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(3) 第2の各学年の内容の「C読むこと」の教材については,各学年で説明的な文章や文学的な文章などの文章形態を調和的に取り扱うこと。
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(3)は,「C読むこと」の教材についての取扱いについて示している。読むことの指導においては,目的や意図に応じて読む能力と,主体的に読書をしようとする態度とを育成する指導を充実させる必要がある。このような観点から,「説明的な文章や文学的な文章などの文章形態を調和的に取り扱うこと」という配慮事項を示している。
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(4) 我が国の言語文化に親しむことができるよう,近代以降の代表的な作家の作品を,いずれかの学年で取り上げること。
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(4)は,近代以降の代表的な作家の作品を取り上げることについて示している。各学年の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕(1)アの指導では,古典を教材として取り扱う。これにつながる,近代以降の代表的な作家の作品に触れることで,我が国の言語文化について一層理解し,これを継承・発展させる態度を育成することをねらいとしている。
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(5) 古典に関する教材については,古典の原文に加え,古典の現代語訳,古典について解説した文章などを取り上げること。
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(5)は,古典の教材について示している。中学校における古典の指導は,生徒が古典に親しみをもてるようにすることをねらいとしている。古典の原文は,古文や漢文特有のリズムを味わったり文語のきまりを知ったりする上で有効であるが,古典の指導は原文でなければ行えないというものではない。古典の文章の内容を概括したり古典の文章に関する様々な事柄に触れたりするためには,分かりやすい現代語訳や古典の世界について解説した文章などを教材として適切に取り上げることが必要である。
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中学校学習指導要領解説国語編作成協力者(五十音順)
(職名は平成20年6月末日現在)
岩間正則鶴見大学講師
門戸千幸広島県廿日市市立七尾中学校長
熊谷恵子東京都豊島区教育委員会指導主事
河野庸介群馬大学教授
佐藤喜美子山梨県笛吹市立浅川中学校教頭
杉本直美神奈川県川崎市立西高津中学校教諭
宗我部義則お茶の水女子大学附属中学校教諭
木まさき横浜国立大学教授
田中洋一東京女子体育大学教授
田沼良宣埼玉県熊谷市教育委員会指導主事
千々岩弘一鹿児島国際大学教授
中島聖巳栃木県下都賀郡藤岡町立藤岡第二中学校教頭
長谷川秀一東京都練馬区立開進第一中学校長
堀江祐爾兵庫教育大学大学院教授
なお,文部科学省においては,次の者が本書の編集に当たった。
橋道和初等中等教育局教育課程課長
牛尾則文初等中等教育局視学官
石塚等初等中等教育局教育課程課学校教育官
冨山哲也初等中等教育局教育課程課教科調査官
平成20年7月
文部科学省
目次
第1章 総説 ……………………………………………………………………… 1
1 改訂の経緯 ……………………………………………………………… 1
2 社会科改訂の趣旨 ……………………………………………………… 3
(1) 基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得 ……………………… 5
(2) 言語活動の充実 ……………………………………………………… 6
(3) 社会参画,伝統や文化,宗教に関する学習の充実 ……………… 7
3 社会科改訂の要点 ……………………………………………………… 7
(1) 教科の改訂の要点 …………………………………………………… 7
(2) 各分野の改訂の要点 ………………………………………………… 10
第2章 社会科の目標及び内容 ………………………………………………… 20
第1節 教科の目標 …………………………………………………………… 20
第2節 各分野の目標及び内容 ……………………………………………… 22
〔地理的分野〕 ………………………………………………………………… 22
1 目標 ……………………………………………………………………… 22
2 内容 ……………………………………………………………………… 32
(1) 世界の様々な地域 …………………………………………………… 32
(2) 日本の様々な地域 …………………………………………………… 47
3 内容の取扱い …………………………………………………………… 74
〔歴史的分野〕 ………………………………………………………………… 79
1 目標 ……………………………………………………………………… 79
2 内容 ……………………………………………………………………… 82
(1) 歴史のとらえ方 ……………………………………………………… 82
(2) 古代までの日本 ……………………………………………………… 86
(3) 中世の日本 …………………………………………………………… 89
(4) 近世の日本 …………………………………………………………… 91
(5) 近代の日本と世界 …………………………………………………… 96
(6) 現代の日本と世界 ……………………………………………………103
3 内容の取扱い ……………………………………………………………106
〔公民的分野〕 …………………………………………………………………110
1 目標 ………………………………………………………………………110
2 内容 ………………………………………………………………………116
(1) 私たちと現代社会 ……………………………………………………116
(2) 私たちと経済 …………………………………………………………123
(3) 私たちと政治 …………………………………………………………130
(4) 私たちと国際社会の諸課題 …………………………………………137
3 内容の取扱い ……………………………………………………………145
第3章 指導計画の作成と内容の取扱い ………………………………………149
1 指導計画の作成上の配慮事項 …………………………………………149
2 資料等の活用と作業的,体験的な学習 ………………………………154
3 政治及び宗教に関する事項の取扱い …………………………………156
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第1章総説
1 改訂の経緯
21世紀は,新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われている。このような知識基盤社会化やグローバル化は,アイディアなど知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させる一方で,異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。このような状況において,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことがますます重要になっている。
他方,OECD(経済協力開発機構)のPISA調査など各種の調査からは,我が国の児童生徒については,例えば,
@ 思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題,知識・技能を活用する問題に課題,
A 読解力で成績分布の分散が拡大しており,その背景には家庭での学習時間などの学習意欲,学習習慣・生活習慣に課題,
B 自分への自信の欠如や自らの将来への不安,体力の低下といった課題,
が見られるところである。
このため,平成17年2月には,文部科学大臣から,21世紀を生きる子どもたちの教育の充実を図るため,教員の資質・能力の向上や教育条件の整備などと併せて,国の教育課程の基準全体の見直しについて検討するよう,中央教育審議会に対して要請し,同年4月から審議が開始された。この間,教育基本法改正,学校教育法改正が行われ,知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第1号)とともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等及び学習意欲を重視し(学校教育法第30条第2項),学校教育においてはこれらを調和的にはぐくむことが必要である旨が法律上規定されたところである。中央教育審議会においては,このような教育の根本にさかの
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ぼった法改正を踏まえた審議が行われ,2年10か月にわたる審議の末,平成20年1月に「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」答申を行った。
この答申においては,上記のような児童生徒の課題を踏まえ,
@ 改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂
A 「生きる力」という理念の共有
B 基礎的・基本的な知識・技能の習得
C 思考力・判断力・表現力等の育成
D 確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保
E 学習意欲の向上や学習習慣の確立
F 豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実
を基本的な考え方として,各学校段階や各教科等にわたる学習指導要領の改善の方向性が示された。
具体的には,@については,教育基本法が約60年振りに改正され,21世紀を切り拓(ひら)く心豊かでたくましい日本人の育成を目指すという観点から,これからの教育の新しい理念が定められたことや学校教育法において教育基本法改正を受けて,新たに義務教育の目標が規定されるとともに,各学校段階の目的・目標規定が改正されたことを十分に踏まえた学習指導要領改訂であることを求めた。Bについては,読み・書き・計算などの基礎的・基本的な知識・技能は,例えば,小学校低・中学年では体験的な理解や繰り返し学習を重視するなど,発達の段階に応じて徹底して習得させ,学習の基盤を構築していくことが大切との提言がなされた。この基盤の上に,Cの思考力・判断力・表現力等をはぐくむために,観察・実験,レポートの作成,論述など知識・技能の活用を図る学習活動を発達の段階に応じて充実させるとともに,これらの学習活動の基盤となる言語に関する能力の育成のために,小学校低・中学年の国語科において音読・暗唱,漢字の読み書きなど基本的な力を定着させた上で,各教科等において,記録,要約,説明,論述といった学習活動に取り組む必要があると指摘した。また,Fの豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実については,徳育や体育の充実のほか,国語をはじめとする言語に関する能力の重視や体験活動の充実により,
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他者,社会,自然・環境とかかわる中で,これらとともに生きる自分への自信をもたせる必要があるとの提言がなされた。
この答申を踏まえ,平成20年3月28日に学校教育法施行規則を改正するとともに,幼稚園教育要領,小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領を公示した。中学校学習指導要領は,平成21年4月1日から移行措置として数学,理科等を中心に内容を前倒しして実施するとともに,平成24年4月1日から全面実施することとしている。
2 社会科改訂の趣旨
社会科において,答申の趣旨を生かす上で特に留意しなければならないのは,知識基盤社会化やグローバル化が進む時代にある今こそ,世界や日本に関する基礎的教養を培い,国際社会に主体的に生き,公共的な事柄に自ら参画していく資質や能力を育成することである。そのためには,基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得に努めるとともに,思考力・判断力・表現力等を確実にはぐくむため言語活動の充実を図り,社会参画に関する学習を重視することが必要である。
具体的には,答申の中で,社会科,地理歴史科,公民科の改善の基本方針及び中学校社会科の改善の具体的事項については,次のように示された。
(@) 改善の基本方針
○ 社会科,地理歴史科,公民科においては,その課題を踏まえ,小学校,中学校及び高等学校を通じて,社会的事象に関心をもって多面的・多角的に考察し,公正に判断する能力と態度を養い,社会的な見方や考え方を成長させることを一層重視する方向で改善を図る。
○ 社会的事象に関する基礎的・基本的な知識,概念や技能を確実に習得させ,それらを活用する力や課題を探究する力を育成する観点から,各学校段階の特質に応じて,習得すべき知識,概念の明確化を図るとともに,コンピュータなども活用しながら,地図や統計など各種の資料から必要な情報を集めて読み取
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ること,社会的事象の意味,意義を解釈すること,事象の特色や事象間の関連を説明すること,自分の考えを論述することを一層重視する方向で改善を図る。
○ 我が国及び世界の成り立ちや地域構成,今日の社会経済システム,様々な伝統や文化,宗教についての理解を通して,我が国の国土や歴史に対する愛情をはぐくみ,日本人としての自覚をもって国際社会で主体的に生きるとともに,持続可能な社会の実現を目指すなど,公共的な事柄に自ら参画していく資質や能力を育成することを重視する方向で改善を図る。
(A) 改善の具体的事項
(中学校)
○ 小学校社会科の学習を踏まえ,地理的分野,歴史的分野,公民的分野という三分野の構成は維持しながら,我が国や世界の地理や歴史,法や政治,経済等に関する基礎的・基本的な知識,概念や技能を習得し,社会的事象の意味,意義を解釈する学習や,事象の特色や事象間の関連を説明する学習などを通して,社会的な見方や考え方を養うことを一層重視して改善を図る。また,様々な伝統や文化,宗教に関する学習を重視して改善を図る。
各分野においては,それぞれの特質と相互の関連を考慮しながら,次のような改善を図る。
(ア) 地理的分野については,世界の地理的認識を深めるため,世界各地の人々の生活と環境とのかかわりや世界の諸地域の多様性について学ぶ項目を設けるとともに,我が国の国土に対する認識を一層深めるため,日本の諸地域における特色ある事象を他の事象と有機的に関連付けて地域的特色をとらえることができるよう内容の改善を図る。また,内容の全体を通して,地図の読図や作図などの地理的技能を身に付けさせることを一層重視するとともに,身近な地域の調査の学習において,諸課題を解決し地域の発展に貢献しようとする態度を養うことができるようにする。
(イ) 歴史的分野については,我が国の歴史の大きな流れを理解させ,歴史について考察する力や説明する力を育てるため,各時代の特色や時代の転換にか
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かわる基本的な内容の定着を図り,課題追究的な学習を重視して改善を図る。その際,現代社会についての理解が深まるよう,近現代の学習を一層重視する。また,例えば身近な地域の歴史学習などの中で,様々な伝統や文化について学習させるとともに,我が国の歴史の背景にある世界の歴史の扱いを充実させる。さらに,諸事象の意味や意義,事象間や地域間の関連などを追究して深く理解し自分の言葉で表現する学習を重視する。
(ウ) 公民的分野については,現代社会の理解を一層深めさせるとともに,よりよい社会の形成に参画する資質や能力を育成するため,文化の役割を理解させる学習,ルールや通貨の役割などを通して,政治,経済についての見方や考え方の基礎を一層養う学習,納税者としての自覚を養うとともに,持続可能な社会という視点から環境問題や少子高齢社会における社会保障と財政の問題などについて考えさせる学習を重視して内容を構成する。その際,習得した概念を活用して諸事象の意義を解釈させたり事象間の関連を説明させること,自分の考えを論述させたり,議論などを通してお互いの考えを深めさせたりすることを重視する。
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以上に示した中央教育審議会の答申の改善の基本方針,改善の具体的事項に基づいて学習指導要領を改訂した。中学校社会科の改訂に当たっての基本的な方針は,次の3点に集約される。
(1) 基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得
今回の改訂に先立ち,教育基本法が約60年振りに改正され,またこれを受けて学校教育法が一部改正された。学校教育法では新たに義務教育の目標が規定されるとともに,各学校段階の目的・目標規定が改正された。また,同法第30条第2項においては「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を養うことに,特に意を用いなければならない」と規定され,「生きる力」の育成のために必要となる
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学力の重要な要素が明確に示された。
中央教育審議会の答申に基づき,社会科の改訂の基本的な方針として掲げた,基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得については,学校教育法第30条第2項の規定を踏まえたものである。また,同答申では,今回の改訂においては,改正教育基本法の中に義務教育の目的の一つとして「社会において自立的に生きる基礎を培」うことが規定されたことなどを踏まえ,系統性に留意しながら,主として,@社会の変化や科学技術の進展等に伴い,社会的な自立等の観点から子どもたちに指導することが必要な知識・技能,A確実な習得を図る上で,学校や学年間等であえて反復(スパイラル)することが効果的な知識・技能,等に限って,内容事項として加えることが適当である旨の提言がなされている。
今回の改訂においては,以上の法改正や答申の趣旨を踏まえ,基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得を図る改訂を目指すこととした。
(2) 言語活動の充実
中央教育審議会の答申は,学習指導要領改訂の基本的な考え方として,思考力・判断力・表現力等の育成の重要性についても述べている。さらに同答申は,「子どもたちの思考力・判断力・表現力等を確実にはぐくむために,まず,各教科の指導の中で,基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに,観察・実験やレポートの作成,論述といったそれぞれの教科の知識・技能を活用する学習活動を充実させることを重視する必要がある」と述べている。このような学習活動の基盤をなすのは言語能力であり,その育成のためには言語活動の充実が不可欠となってくる。言語活動の充実は,今回の学習指導要領の改訂に際して,国語科だけではなく,各教科等を貫く重要な改善の視点として答申に明記され,例えば「観察・実験や社会見学のレポートにおいて,視点を明確にして,観察したり見学したりした事象の差異点や共通点をとらえて記録・報告する」などの具体的な学習活動例も示されている。
社会科学習では,現行の学習指導要領においても様々な資料を適切に収集し,活用して事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに,適切に表現する能力と態度を育てることを各分野共通の目標としている。そしてその目標の実現を目
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指して,創意工夫された学習がなされてきている。すなわち,今回の改訂の要(かなめ)である言語力の育成を目指した学習は,まさにそうした現行の社会科各分野の目標や学習と軌を一にするものといえる。
そこで,中学校社会科では,社会科各分野の共通の目標の実現を目指し,社会的な見方や考え方を養うことをより一層重視する観点に立って,社会的事象の意味,意義を解釈する学習や事象の特色や事象間の関連を説明するなどの,言語活動にかかわる学習を一層充実することとした。
(3) 社会参画,伝統や文化,宗教に関する学習の充実
中央教育審議会の答申では,各教科等の具体的な教育内容の改善については,教
育基本法第2条(教育の目標)や学校教育法第21条(義務教育の目標)などの規定を踏まえて提言が行われている。特に教育基本法及び学校教育法に規定されている「公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと」は,中学校社会科学習の究極の目標である,公民的資質の基礎の育成と密接にかかわるものである。
また,同様に「伝統と文化を尊重」することについても教育基本法及び学校教育法に規定されている。
さらに,教育基本法の第15条(宗教教育)には,宗教に関する一般的な教養は,教育上尊重されなければならない旨が示されたところである。
今回の改訂においては,改正教育基本法等を十分に踏まえ,社会参画や様々な伝統や文化,宗教に関する学習を重視する観点から,各分野の特質に配慮して内容の改善を図った。
3 社会科改訂の要点
(1) 教科の改訂の要点
目標と内容の改訂に当たって,特に考慮したのは次の諸点である。
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第1に,基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得を重視する観点から,各分野の特質に応じて内容の改善を図った。
第2に,言語活動の充実の観点から,社会的事象の意味,意義を解釈する学習や,事象の特色や事象間の関連を説明する学習などを通して,社会的な見方や考え方を養うことを一層重視した。
第3に,社会参画,様々な伝統や文化,宗教に関する学習などを重視する観点から,各分野の特質に応じて内容の改善を図った。
第1の基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得については,各分野の特質に応じて次のような改善を図った。
地理的分野では,前回の改訂で設けられた世界と日本の地域構成について引き続き学び,世界と日本の地域構成の基本的な枠組みに関する基礎的な知識や,球面上の位置関係などをとらえる技能を確実に身に付けさせるようにした。また,世界と日本の諸地域の地域的特色について学ぶ地誌的な学習を充実させて,世界と日本の地理的認識をより一層養うことができるようにした。
歴史的分野では,我が国の歴史の大きな流れの理解を一層重視し,学習内容を構造化・焦点化して示した。各時代の特色をとらえる学習を新設したことや,すべての中項目の文言表現を共通にしたことによって,各事項の学習を通してより大きな歴史の流れを理解するように学習内容の構造化を図るとともに,各項目において理解させるべき学習の焦点を明示するようにした。
公民的分野では,現代社会の理解を一層深めることを重視して,人間は本来社会的存在であることを踏まえ,社会生活における物事の決定の仕方やきまりの意義について考え,現代社会をとらえるための見方や考え方の基礎として,対立と合意,効率と公正などについて理解する学習を取り入れた。
第2の言語活動の充実については,各分野の特質に応じて次のような改善を図った。
地理的分野では,地図の読図や作図などの学習を通して思考力や表現力等の育成を図るとともに,世界の様々な地域の調査や身近な地域の調査において,地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,意見交換したり
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するなどの学習活動を充実させることとした。
歴史的分野では,学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動や,各時代における変革の特色を考えて時代の転換の様子をとらえる学習などを通じて,歴史的事象について考察・判断しその成果を自分の言葉で表現する学習を行うようにした。
公民的分野では,習得した知識,概念や技能を活用して,社会的事象について考えたことを説明したり,自分の考えをまとめて論述したり,議論などを通して考えを深めたりすることを重視した。
第3の社会参画,様々な伝統や文化,宗教に関する学習については,各分野の特質に応じて次のような改善を図った。
地理的分野では,身近な地域の調査で,生徒が生活している地域の課題を見いだし,地域社会の形成に参画してその発展に努力しようとする態度を養うようにした。
また,世界各地の生活と宗教とのかかわりや,世界の主な宗教の分布について学習するようにした。
歴史的分野では,身近な地域の歴史を調べる活動などにおいて,受け継がれてきた伝統や文化への関心を高めるようにした。また,我が国の歴史の背景となる世界の歴史の扱いを充実させる中で,宗教のおこりについて学習するようにした。
公民的分野では,現代社会における文化の意義や影響を理解するとともに,我が国の伝統と文化に関心をもち,文化の継承と創造の意義に気付くようにした。さらに,国際社会における文化や宗教の多様性についても学習するようにした。また,社会科のまとめとして,持続可能な社会を形成するという観点から,社会的な課題を探究し自分の考えをまとめる学習を行うようにした。
教科の目標については現行どおりの趣旨としたが,改正された教育基本法第1条の「平和で民主的な国家及び社会の形成者」という表現に合わせて,文言を一部改めた。なお,小・中学校の一貫性の観点から,社会科が目指す究極のねらいに当たる文言については,小学校,中学校とも「国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」という共通の文言にした。
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〈小学校社会科の目標〉
社会生活についての理解を図り,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
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〈中学校社会科の目標〉
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広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
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(2) 各分野の改訂の要点
〔地理的分野〕
地理的分野における改訂の要点は,主に次の6点である。
ア 分野目標についての見直し
目標については,従前の(1)から(4)の目標のうち,地理的分野の基本的な目標である(1)と,地域的特色を追究する視点や方法に関して示した目標である(2)は,今回の改訂の趣旨を踏まえ所要の改善を行った。(3)及び(4)は基本的に従前の趣旨を継承しており,文言も変わっていない。
具体的には,新学習指導要領の目標の(1)では,世界の諸地域に関する地理的認識を養うことを明確にする趣旨から,それにかかわる文言を新たに付加した。また,目標の(2)では,今回の改訂で世界と日本の諸地域の地域的特色を学び,身近な地域の調査の中では地域の課題を見いだす学習を行うこととしたことを踏まえ,従前の地域的特色をとらえるための視点や方法を身に付けさせることから,地域的特色
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や地域の課題をとらえることに主眼を置いた趣旨の文言に改めた。
イ 内容構成についての見直し
学習内容の構成については,従前の「(1)世界と日本の地域構成」「(2)地域の規模に応じた調査」及び「(3)世界と比べて見た日本」を見直し,「(1)世界の様々な地域」と「(2)日本の様々な地域」の二つの大項目で再構成した。二つの大項目はそれぞれ,まず世界と日本の地理的認識の座標軸を形成するべく世界又は日本の地域構成に関する学習を行い,次に世界各地の人々の生活の多様性を理解又は日本全体を大観して,その後に世界,日本それぞれの諸地域の地域的特色について学び,最後に調べ学習を行う構成となっている。このような構成としたのは,習得―活用―探究の考え方を基にしながら,学習内容や学習活動を段階的に発展,深化できるように配慮したためである。
ウ 世界に関する地理的認識の重視
今回の改訂では,中央教育審議会の審議の中で,社会科,地理歴史科,公民科の課題の一つとして「小・中学校における世界の地理や歴史に関する内容の充実」が挙げられ,中央教育審議会の答申には,このことを踏まえ改善を図る旨が示された。
また,一部改正された学校教育法の義務教育の目標の中にも,進んで外国の文化の理解を通じて,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことについて言及されている。グローバル化が進展し,また地球温暖化等の環境問題が深刻化する現在及び近未来にあって,世界の諸地域の多様性にかかわる基礎的・基本的な知識を身に付け,世界全体の地理的認識を養うことは極めて重要なことである。
こうした状況を踏まえて,世界の諸地域の地域的特色を学ぶ項目を設けて,従前から中学校社会科地理的分野で重点を置いてきた我が国の国土認識と併せて,世界に関する地理的認識の育成を重視することとした。
エ 動態地誌的な学習による国土認識の充実
平成元年告示の学習指導要領まで,中学校社会科地理的分野の中心であった日本の諸地域に関する学習は,ややもすると項目ごとに羅列的な扱いに陥りがちで,しかも学習する地域に関する事実的な知識を覚えることに主眼が置かれる傾向がみられた。前回の改訂では,そのような状況からの脱却を図るとともに,社会の変化に
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対応する資質や能力を育成する観点から,学び方や調べ方の学習の充実を目指した。
今回の改訂においては,前述のとおり基礎的・基本的な知識・技能の習得を重視するとともに,事象間の関連を追究したり説明したりするなどの学習を通して,地理的な見方や考え方の基礎を養うことを重視することとした。
そのような観点から,今回の改訂では,日本の諸地域学習を再び行うこととし,その学習に際しては日本全体について任意に地域区分した上で,それぞれの地域の特色ある事象を中核として,それを他の事象と有機的に関連付けて,地域的特色を動態的にとらえさせることとした。今回の改訂における日本の諸地域学習においては,この趣旨を十分に踏まえ,諸地域の単なる地誌的知識の習得に偏重した学習に陥ることがないようにすることが大切である。
オ 地理的技能の育成の一層の重視
地図の読図や作図は,地理的事象の理解だけでなく,地理的な見方や考え方をはぐくむ上で必要不可欠な能力である。また,地図の読図や作図などの学習活動を充実させることは,今回の改訂において強く求められている,思考力・判断力・表現力等の基盤となる言語力を育成するための言語活動の充実に資するものでもある。
こうした観点から,小学校社会科,高等学校地理歴史科とともに,中学校社会科地理的分野の学習においても,地図の活用を中心とした地理的技能の育成を一層重視することとした。
カ 社会参画の視点を取り入れた身近な地域の調査
中央教育審議会の答申に示されたとおり,今回の改訂においては,改正教育基本法と学校教育法の一部改正の趣旨を十分踏まえる必要がある。改正された教育基本法や学校教育法においては,共に「公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと」が明記された。このような社会参画の態度を養うことは,社会科の究極の目標である公民的資質の基礎を養う意味からも大切であり,地理的分野の学習において生徒が生活している地域に対する理解と関心を深め,その発展に努力しようとする態度を育てることを重視する必要がある。
以上のような考えに基づいて,内容の(2)の「エ身近な地域の調査」の中で,社会参画の視点を取り入れた調べ学習を行うこととした。
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〔歴史的分野〕
歴史的分野における改訂の要点は,主に次の5点である。
ア 「我が国の歴史の大きな流れ」を理解する学習の一層の重視
中教審答申が示す基礎的・基本的な知識,概念や技能の習得の重視という趣旨を踏まえて,「我が国の歴史の大きな流れ」を理解するための学習を一層重視した。
(ア) 「我が国の歴史の大きな流れ」の理解という目標の一層の明確化
目標の(1)において,歴史的分野の学習の中心が「我が国の歴史の大きな流れ」の理解であるという趣旨を一層明確にした。従前これと同列の関係で示されていた「各時代の特色」は,「我が国の歴史の大きな流れ」の理解のために「踏まえ」る内容として位置付けた。
(イ) 学習内容の構造化と焦点化
内容のすべての中項目で共通に「○○,○○などを通して,AがBであったことを理解させる」という表現を用いた。これは,各事項の学習を通してより大きな歴史の流れを理解させるように,学習内容を構造化してとらえるとともに,各項目で理解すべき学習の焦点を明確に示すようにしたものである。
歴史の学習は,ややもすると個別事象の並列的な提示と記憶に傾いて,ひとまとまりの学習内容の焦点がつかみにくくなりがちである。今回の改訂では,例えば各事項の学習を重ねることで中項目ごとの学習のねらいが達成され,さらにそれらを大観することで大項目全体の特色がつかめるという学習内容同士の関係性を重視し,その構造化を図った。次ページの図は,内容の「(4) 近世の日本」の一部を例として示したものである。
こうした構造化に伴って,各項目で理解すべき学習の焦点の明確化を図った。そのため,すべての中項目のねらいを,「AがBであったことを理解させる」という明確な焦点や脈絡をもった命題の形で示すことにした。その焦点に深くかかわる学習内容ほど,十分な時間をかけ学習方法を工夫して,より深く確かな理解が図られなければならない。反対に,それとのかかわりが低い事象は,必ずしも取り上げられるべきではないことになる。
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【歴史的分野の学習内容の構造化図(部分例)】
(目標) (大項目) (中項目のねらい) (事項) (個別事象)
(2)古代ア近世社会の基礎
我までがつくられてい江戸幕府の
がったこと成立と
国(3)中世大名統制
のイ幕府と藩による
歴(4)近世支配が確立した鎖国政策
史こと
の(5)近代身分制度の
大ウ町人文化が都市確立及び
き(6)現代を中心に形成さ農村の様子
なれたこと(他)
流鎖国下の
れエ幕府の政治が次対外関係
第に行き詰まり
をみせたこと
学習指導要領授業で扱う
に示す内容具体的内容
内容の(4)のイの本文
イ 江戸幕府の成立と大名統制,鎖国政策,身分制度の確立及び農村の様子,鎖国下の対外関係などを通して,江戸幕府の政治の特色を考えさせ,幕府と藩による支配が確立したことを理解させる。
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なお,各中項目に記す「理解」とは,思考や表現の過程なども踏まえて学習内容を十分に分かりながら身に付けることを意味しており,機械的・表面的な「記憶」だけを表すものではない。よく考え納得して身に付けた内容は,単純な記憶やその再生とは違って,焦点や脈絡をもった自分の言葉で表現できるものである。それはまた,自在に活用ができる本当の意味の「基礎・基本」となるはずである。
(ウ)各時代の特色をとらえる学習の新設
内容の「(1) 歴史のとらえ方」のウとして,各時代の特色をとらえる学習を新設した。学習した内容を活用して大観し表現する活動を通して,その時代がどのような特色をもつ時代だったのかをとらえる学習である。
なお,この項目で言う「学習した内容を活用」するとは,学習した内容の比較や関連付け,総合の過程などを伴うものであり,個別の事象をそのまま年表等に並べて整理することや,学習内容の全般的な復習だけを意味するものではない。
(エ) 古代までの学習の大観化
内容の「(2) 古代までの日本」の学習については,小学校での学習の単なる繰り返しにならないよう留意し,その内容を有効に活用しながら,時代の全体像を大きくとらえるようにした。
イ 歴史について考察する力や説明する力の育成
中教審答申が示す言語活動の充実という趣旨を踏まえて,時代の特色や時代の転換について考えたり表現したりする学習を行うようにした。
(ア) 政治面などの変革の特色を考えて時代の転換の様子をとらえる学習
内容の「(3) 中世の日本」から「(6) 現代の日本と世界」の各大項目の前半に,政治面などの変革の特色を考えて時代の転換の様子をとらえる学習を設けた。例えば前ページに示した内容の(4)のイの本文中の「江戸幕府の政治の特色を考えさせ」がそれに当たる。中学生にも取り組みやすい政治面をはじめとする変革に着目し,それによって前の時代と違うどのような特色が生まれたのかを考察し自分の言葉で表現して,時代の転換の様子をとらえる学習である。上記したア(ウ)の各時代の特色とあわせて各時代の転換の様子をとらえることで,歴史の大きな流れの理解を図ることができる。
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(イ) 時代の区分やその移り変わりに気付く学習
内容の(1)のアに,歴史的分野全体の導入として,歴史上の人物や出来事などについて調べたり考えたりして時代の区分やその移り変わりに気付く学習を設定した。従前の「関心ある主題を設定しまとめる作業的な活動」とねらいを共通にしているが,小学校で学習した内容を踏まえることに一層留意し,様々な活動の仕方を工夫できるようにしたものである。
(ウ) 思考・判断・表現する学習と確かな理解
上記のア(ウ)各時代の特色をとらえる学習,イ(ア)時代の転換の様子をとらえる学習,イ(イ)時代の区分やその移り変わりに気付く学習は,いずれも思考・判断や表現などの活動を通じて,「歴史について考察する力や説明する力」を育てる学習である。一方それとともに,思考・判断や表現などの過程を通じて,学習内容についての理解や認識を一層深める学習でもある。今回の歴史的分野の改訂では,言語活動の充実にかかわるこの二つの面が共に重視されているのである。
なお,上記イ(イ)の時代の区分やその移り変わりに気付く学習は,歴史的分野全体の「導入」に当たる学習である。また上記ア(ウ)の各時代の特色をとらえる学習は,「各時代の学習のまとめとして実施することを原則」(内容の取扱い)とするとともに,学習の初めに課題意識を育てるための動機付けを行うことになっている。
生徒が主体的に思考・判断・表現などの学習活動に取り組むとともに,ひとまとまりの学習内容が十分に理解され定着するためには,学習のねらいを明確に意識させるための「導入」や,学習の成果を確かにつかませるための「まとめ」が重視され,その工夫と充実が図られる必要があるのである。
ウ 近現代の学習の一層の重視
従前は,内容の「(5)近現代の日本と世界」という単一の大項目であったものを,「(5)近代の日本と世界」と「(6)現代の日本と世界」の二つの大項目として構成した。これは,近現代の学習を一層重視し,現代の社会についての理解が深まるように配慮したものである。
なお,近現代の学習の重視とは,必ずしも学ぶ事象の増大や詳細化を意味するものではない。むしろ,生徒にとって理解しにくい面をもつ近現代の学習においては,
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具体的な事例を取り上げたり,思考や表現を重視した学習を進めたりしてその大きな展開をつかませるなど,扱い方を一層工夫することが重要である。
エ 様々な伝統や文化の学習の重視
歴史的分野の目標の(1)に「それを通して我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに」とあるように,我が国や郷土の様々な伝統や文化について学ばせることは,これまでも歴史的分野で最も重視されてきたねらいの一つである。今回は,内容の(1)の「イ身近な地域の歴史を調べる活動」において,具体的な事柄を通して受け継がれてきた伝統や文化への関心を高めるようにした。
それとともに,各時代の文化をはじめとする学習において,伝統や文化の特色の理解につながるような学習内容を一層重視した。
オ 我が国の歴史の背景となる世界の歴史の扱いの充実
我が国の歴史の大きな流れの理解のために,その背景となる世界の歴史の扱いを充実させた。例えば,内容の(2)のアで世界の古代文明や宗教のおこりに関する学習を充実させたり,近現代の欧米諸国のアジア進出を独立の中項目(5)のアとして構成したり,内容の(6)で第二次世界大戦後の学習内容に冷戦やその終結を位置付けたりした。また,国際関係が重きを占める近現代の学習を重視することで,我が国の歴史の展開を世界の動きと一層関連付けて学習するようにした。
〔公民的分野〕
公民的分野における改訂の要点は,主に次の5点である。
ア 現代社会の特色や現代社会における文化の意義や影響に関する学習の重視
現代日本の社会に対する関心を高め,以後の学習のより一層の理解を図るため,現代社会の特色についての学習を設けることとした。また教育基本法などの改正を受け,伝統や文化に関する学習の充実,宗教に関する一般的な教養について,次のような内容の改善を図った。
(ア) 内容の(1)の「ア私たちが生きる現代社会と文化」を新たに設け,現代日本の社会の特色として少子高齢化,情報化,グローバル化などがみられること,これらが政治や経済,国際関係などにおいてどのような影響を与えているのかとい
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うことについて学習させるようにした。
(イ) さらに同じ中項目において,現代社会における文化の意義や影響について理解させるとともに,我が国の伝統や文化に関心をもたせるようにした。
(ウ) 内容の(4)の「ア世界平和と人類の福祉の増大」でも,国際社会における文化や宗教の多様性について指導することとした。
イ 現代社会をとらえる見方や考え方の基礎を養う学習
現行の学習指導要領においては,政治や経済などについての見方や考え方の基礎を養うことを重視したが,今回はさらにその基盤となる概念的枠組みを形成するため,対立と合意,効率と公正などを取り上げ,現代社会をとらえる見方や考え方の基礎を養う学習を重視することとし,内容の(1)の「イ現代社会をとらえる見方や考え方」を設けた。
ウ 現代社会をとらえる見方や考え方の基礎を生かした内容構成
内容の(1)の「イ現代社会をとらえる見方や考え方」を以後の学習に生かすよう内容を四つの大項目,八つの中項目から構成した。
(ア) 内容の(1)は公民的分野の導入と位置付け,ア,イの順で行うこととし,現代社会の特色などや,現代社会をとらえる見方や考え方の基礎として,対立と合意,効率と公正などの見方や考え方があることを理解させることとした。
(イ) 内容の(2),(3),(4)のアの学習においては,対立と合意,効率と公正などの見方や考え方を用いて,政治,経済,国際関係に関する諸事象をとらえさせ,これらの見方や考え方を深めるとともに,諸事象の理解をより一層深めさせるようにした。
(ウ) 社会科のまとめとして内容の(4)のイを設け,課題を探究させる際に,対立と合意,効率と公正などの見方や考え方を活用させるようにした。
エ 社会の変化に対応した法や金融などに関する学習の重視
社会の変化に対応した法や金融などに関する学習については次のように改善を図った。
(ア) 内容の(1)の「イ現代社会をとらえる見方や考え方」では,きまりの意義について考えさせ,また契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任につ
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いて気付かせることとした。
(イ) 内容の(2)の「ア市場の働きと経済」では,金融の仕組みや働きを扱い,その意義や働きについて理解させることとした。
(ウ) 内容の(3)の「ア人間の尊重と日本国憲法の基本的原則」では,法によって基本的人権が保障されるという考え方を理解させることをより明確にした。
(エ) 内容の(3)の「イ民主政治と政治参加」では裁判員制度についても触れることとした。
オ 課題の探究を通して社会の形成に参画する態度を養うことの重視
持続可能な社会を形成するという観点から課題を探究させ,自分の考えをまとめさせることをねらいとして内容の(4)の「イよりよい社会を目指して」を今回新たに設けた。この中項目は,社会科のまとめという位置付けとし,公民的分野はもとより,地理的分野,歴史的分野などの学習の成果を生かし,これからのよりよい社会の形成に主体的に参画する態度を養うこととした。
また,この中項目における学習活動も含め,分野全体を通して知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむ観点から,社会的事象について考えたことを説明させたり,自分の意見をまとめさせたりするなどの言語活動を充実させるようにした。
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第2章社会科の目標及び内容
第1節教科の目標
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広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
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この教科目標は,従前の目標の趣旨を継承したものとなっており,大きく三つの部分から構成されている。
第1は「広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し」という部分で,中学校社会科の基本的なねらいにかかわるものである。「広い視野に立って」には,社会科の学習が目指している多面的・多角的な見方や考え方にかかわる意味と,国際的な視野という空間的な広がりにかかわる意味の二つが含まれている。「社会に対する関心を高め」は,社会科の特質を踏まえて学習の過程を大切にし,生徒自ら社会的事象を見いだし,それについて課題を設定し追究する学習を重視するとともに,学習を通してさらに関心が高まることなどを目指す意味である。「諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し」は,社会的事象はそれをとらえる観点によって大きく見え方が変化することから,資料を適切に収集,選択,処理,活用し,それらの資料に基づいて多面的・多角的に考察し公正に判断する態度を身に付けさせることを,情報化の進展に対応する観点も踏まえて重視したものである。なお,「多面的・多角的」の「多面的」とは学習対象としている社会的事象が様々な面をもっていることを,また「多角的」とはそうした社会的事象を様々な角度から考察し理解することを意味している。これらを相互に関連付けることによって,社会科の特質であり基本的なねらいである能力や態度を育成することができるのである。
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第2は「我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い」の部分である。これは,中学校社会科三分野の学習が目指すねらいを最も端的に示すとともに,教科の基本的な構造を述べたものである。地理的分野及び歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するという中学校社会科の基本的な構造に留意して,公民としての基礎的教養を培うことを目指すのである。なお,「愛情」は広い視野に立って我が国の国土や歴史に対する理解を深めさせた上ではぐくまれるものであり,偏った理解の上に立つものではない。
第3は「国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」の部分である。これは,上の「第2」で示した三分野の学習を通して育成する資質について述べたものである。「公民的資質の基礎を養う」は小・中学校の目標に一貫した文言であり,社会科の究極のねらいを示している。
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第2節各分野の目標及び内容
〔地理的分野〕
1 目標
地理的分野の目標は,従前の目標の構成を引き継ぎ,4項目から成り立っている。
目標の(1)は,地理的分野の基本的な目標を示している。目標の(2),(3)は地理的分野の具体的なねらいを地理的な見方や考え方を構成する概念と関連付けて示している。目標の(4)は,地理的分野の学習を通して育成する能力と態度について示している。
(1) 日本や世界の地理的事象に対する関心を高め,広い視野に立って我が国の国土及び世界の諸地域の地域的特色を考察し理解させ,地理的な見方や考え方の基礎を培い,我が国の国土及び世界の諸地域に関する地理的認識を養う。
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目標の(1)は,地理的分野の基本的な目標であり,従前から中学校社会科の地理的分野で重きを置いてきている我が国の国土認識と併せて,世界の諸地域に関する地理的認識を養うことを学習の両輪とすることを示している。
今回の地理的分野の改訂では,世界の諸地域と日本の諸地域に関する地誌的な学習を充実する方向で内容構成を図った。このような改訂の内容を端的に示したのが,この目標の(1)である。
「日本や世界の地理的事象に対する関心を高め」については,教科目標の「社会に対する関心を高め」を受けて,学習の過程を重視する観点から前回改訂時に付加された部分である。今回の改訂では我が国の国土認識だけでなく世界の諸地域の地理的認識を養うことを重視することから,日本や世界の様々な地理的事象に生徒自らが関心をもって学習に取り組むことができるようにするとともに,学習を通してさらに関心
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が喚起されるよう指導を工夫することを示している。
「広い視野に立って我が国の国土及び世界の諸地域の地域的特色を考察し理解させ」については,「広い視野」には,世界的視野からとらえるということと,多面的・多角的に考察するということの二つの意味が含まれている。また,「考察し理解させ」と「考察」と「理解」を合わせているのは,「考察する」という学習の過程を経て「理解させる」という意味であり,追究する学習を重視するとともに,確かな理解に至る学習を展開することを意味している。したがって,「我が国の国土(の地域的特色)」については,視野の狭い学習により単に地理的知識を詰め込むのではなく,世界的視野から多面的・多角的に追究する学習を通してとらえさせる必要がある。また同様に,「世界の諸地域の地域的特色」についても,学習で取り上げる地域や国それぞれが,世界的視野から見てどのような地域的特色をもっているかを考えさせることが大切である。
「地理的な見方や考え方の基礎を培い」の部分の「地理的な見方や考え方」については,「基礎を培う」にとどめている。地理的な見方と地理的な考え方は相互に深い関係があり,本来は地理的な見方や考え方として一体的にとらえるものである。しかし,あえて学習の過程を考慮して整理すれば,地理的な見方とは,日本や世界にみられる諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりで地理的事象として見いだすことであり,地理的な考え方とは,それらの事象を地域という枠組みの中で考察するということができる。
このことについては,前回改訂時に「中学校学習指導要領解説社会編」の中で詳細に整理したところであるが,改めてこれらの点に配慮し,また,目標の(2),(3)を踏まえて地理的な見方や考え方を整理すると,おおむね次の@からDのようになる。そして,それらを構造的にとらえると,@が地理的な見方の基本,Aが地理的な考え方の基本,BからDはその地理的な考え方を構成する主要な柱であるといえる(目標の(2)及び(3)の解説参照)。
@ どこに,どのようなものが,どのように広がっているのか,諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ,地理的事象として見いだすこと。また,そうした地理的事象にはどのような空間的な規則性や傾向性がみられるのか,地理的事象
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を距離や空間的な配置に留意してとらえること。
A そうした地理的事象がなぜそこでそのようにみられるのか,また,なぜそのように分布したり移り変わったりするのか,地理的事象やその空間的な配置,秩序などを成り立たせている背景や要因を,地域という枠組みの中で,地域の環境条件や他地域との結び付きなどと人間の営みとのかかわりに着目して追究し,とらえること。
B そうした地理的事象は,そこでしかみられないのか,他の地域にもみられるのか,諸地域を比較し関連付けて,地域的特色を一般的共通性と地方的特殊性の視点から追究し,とらえること。
C そうした地理的事象がみられるところは,どのようなより大きな地域に属し含まれているのか,逆にどのようなより小さな地域から構成されているのか,大小様々な地域が部分と全体とを構成する関係で重層的になっていることを踏まえて地域的特色をとらえ,考えること。
D そのような地理的事象はその地域でいつごろからみられたのか,これから先もみられるのか,地域の変容をとらえ,地域の課題や将来像について考えること。
以上のような地理的な見方や考え方は,地理的分野の学習の全般を通じて培うものであり,系統性に留意して計画的に指導することが必要である。
「我が国の国土及び世界の諸地域に関する地理的認識を養う」については,地理的分野が目指す総括的な目標を示している。「国土」とは,山地,平野,海岸などの自然物からなる土地それ自体だけを指すのではなく,そこに居住し生活する人々及び社会の実態や,人間の土地への対応の仕方を含めたものである。
今回の改訂では,世界の地理に関する内容の充実を図った。前述のとおり,中学校では我が国の国土の認識と併せて世界の諸地域に関する地理的認識について,それぞれ広い視野から養うこととしている。この目標の(1)の実現を目指すことが,改正教育基本法等の趣旨に沿うことになるとともに,社会科の究極の目標である「国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」ことにも結び付くこととなる。
(2) 日本や世界の地域の諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ,それを地域の規模に応じて環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し,地域的特色や地域の課題をとらえさせる。
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目標の(2)は,地理的な見方や考え方の基礎を培い,地域的特色や地域の課題をとらえさせるという地理的分野のねらいを具体的に示している。
今回の改訂においては,世界と日本の諸地域の地域的特色について学ぶ地誌的な学習を充実したり,身近な地域の調査において地域の課題を見いだしたりするなどの内容の改善を図ったため,その観点から地理的分野の目標を再検討し,改めることとした。
「日本や世界の地域の諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ」については,目標の(1)のところで述べた地理的な見方や考え方の@に当たる部分であり,地理的な見方について示したものである。前回の改訂では,生徒に地理的な見方を身に付けさせることを一層重視して,このような内容の改善を図った。なお,「とらえる」とは,例えば地域的特色を「調べ追究して,明らかにする」ことと「理解する」ことの二つの意味内容を含んでいるのは,従前どおりである。
「それを地域の規模に応じて環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し」については,目標の(1)で述べた地理的な見方や考え方のAに当たる部分であり,地理的な考え方の基本となっている。「地域の規模に応じて」については,一般に,身近な地域のように小さな地域を対象にする場合と,関東地方といった七地方区分による地方規模,そして日本といった国家規模の地域を対象とする場合とでは,着目すべき地理的事象も異なるし,学習の仕方も異なってくる。往々にして地理学習では,例えば100万分の1程度の縮尺の地図でとらえるのがふさわしい七地方区分による地方規模の地域を学習対象としているのに,実際の学習はその地方に属する5万分の1から20万分の1の地図でとらえるのがふさわしいような小さな規模の地域を次々と取り上げるような学習となってしまうこともあった。このため,本来とらえるべき地方規模の地域の特色がほとんど明らかにならないといった傾向がみられた。地理学習においては,どのような規模の地域を対象にしているかといった点に留意して,取り上げる地域の規模に応じた地理的事象の取扱いを工夫することが大切である。
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「環境条件」には,自然的条件(自然環境)とそれ以外の社会的条件(社会環境)の二つが含まれている。ややもすると,自然的条件(自然環境)に重きを置いてこの用語を使用する傾向があるので,この点に留意して,多面的・多角的に考察するよう努める必要がある。
「地域的特色や地域の課題をとらえさせる」については,今回の改訂における地理学習のねらいを具体的に示している。「地域的特色」は,大きくみると,地域の環境条件及び他地域との結び付きと,そこに居住してより豊かな生活を実現するために努力している人々の営みとのかかわりの中で生み出されている。「環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し」と示したのは,それを象徴化したものである。他地域との結び付きや人々の営みも社会的条件と考えられ,いずれも地域的特色を生み出す上で大きな役割を果たしている。大きくみれば,地域の環境条件,他地域との結び付き,人々の営みが相互に影響を及ぼしながら地域的特色が形成され,変容している。「地域の課題」は,そうした地域の変容や地域的特色をとらえる学習によって見いだされるものであり,さらに地域の将来像や地域の課題の解決策などについて考えたり,意見交換したりすることができるよう学習することが望まれる。
(3) 大小様々な地域から成り立っている日本や世界の諸地域を比較し関連付けて考察し,それらの地域は相互に関係し合っていることや各地域の特色には地方的特殊性と一般的共通性があること,また,それらは諸条件の変化などに伴って変容していることを理解させる。
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目標の(3)は,地域的特色の特質,性格についての考え方を地理的な見方や考え方を構成する概念と関連付けて示したものであり,従前の目標の(3)を引き継いだものである。
「大小様々な地域から成り立っている日本や世界の諸地域を比較し関連付けて考察し」については,目標の(1)で述べた地理的な見方や考え方のCに当たる部分であり,地域的特色を追究する際の地域の枠組みについて示したものである。地域の概念を整理すると下に示したようになる。すなわち,地球表面は,そのくくり方によって,例
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えば行政区域に着目すると,国家,都道府県,市町村などの大小様々な地域に分けることができる。また,例えば水田単作地域,酪農地域のように同じような特色をもった等質地域と,通勤圏,商圏のようにある地域を中心にその影響の及ぶ範囲をまとめた機能地域といったかたちで,大小様々なまとまりのある地域に分けることもできる。
さらに,指標の取り方によっては,台地と低地,あるいは気候帯や植生帯といった自然地域と,農業地域や工業地域といった人文地域というように,共通の特色をもった大小様々な地域に分けることができる。
形式地域(便宜的にその範囲を区切って設定した地域。)
地域等質地域(同質又は類似した事象の分布す
実質地域る範囲で,自然,人文地域に適
用。均質地域,同質地域ともい
う。)
機能地域(人間の諸活動に関連する様々な
機能をもつ中心地又は中心地域が,その影響を及ぼす範囲で,人文地域のみ適用。結節地域,統一地域ともいう。)
また,大小様々な地域は,たくさんの字(あざ)とよばれる小地域が集まって市町村規模の地域をつくり,市町村が集まって都道府県といった規模の地域をつくる。さらに,たくさんの都道府県が集まって日本という国家規模の地域をつくり,たくさんの国々が州といった規模の地域を構成するというように,重層的になっている。したがって,各地域については,そうした枠組み,そして規模を踏まえて適切に取り扱うよう工夫することが大切である。
「日本や世界の諸地域を比較し関連付けて考察し」は,地理的な考察の方法の基本を示したものであり,各地域の特色は,他地域と比較したり関連付けたりすることによってより一層明らかとなってくる。しかし,一方で比較の仕方や関連付け方によっ
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ては,ある面だけを強調したりして誤解を助長する恐れもある。したがって,諸地域を比較し関連付ける際には,地域の規模に対応させたり,より視野を広げてみたり,過去と現在といった時間的経過などを考慮して,適切かつ多面的・多角的に取り扱うよう工夫する必要がある。
「それらの地域は相互に関係し合っていること(…を理解させる)」については,二つ以上の地域間の関係性について示したものである。すなわち,地域はそれぞれ独自性をもっているが,その地域だけでは成り立っていかない。このため,地域は他地域との関係をもちながら成り立っているが,その関係には,相互依存や協力,競合などの様々な関係がある。このような地域間の諸関係を多面的・多角的にとらえることができるよう,学習指導を工夫することが大切である。
「各地域の特色には地方的特殊性と一般的共通性があること(…を理解させる)」については,地域間を比較し関連付ける学習を通して明らかとなる地域的特色について示したものである。地域的特色は「地方的特殊性と一般的共通性」から構成されている。「地方的特殊性」とは,端的に言えば,各地域のもつ独特の性質のことであり,「一般的共通性」とは,他地域にも共通にみられる性質のことである。そして,この二つの性質は相互に関係し合っていることから,各地域の学習においては,この二つの性質を関連付けて扱うことが大切である。したがって,「特色」と示しているからといって地方的特殊性のみを対象にしているわけではない点に十分留意する必要がある。
「それらは諸条件の変化などに伴って変容していることを理解させる」については,「それら」とは,「地域は相互に関係し合っていること」と「各地域の特色には地方的特殊性と一般的共通性があること」の二つのことを意味している。「諸条件の変化など」の「諸条件」とは,自然及び社会的条件のことであり,科学技術の進歩など人間の諸活動が生み出す諸条件も含んでいる。また,「など」としているのは,地域の変容が,「諸条件の変化」といった外部的な条件だけでなく,内部的なものでも変化することがあり得ることを意味している。
地域的特色や地域間の諸関係は,国際化,情報化の進展などに伴って,ますます深化し,複雑になっている。しかし,だからといって地域の変化は一様ではなく,激し
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く変化している地域もあれば,あまり変化していない地域もみられることに留意して,画一的にとらえることのないよう工夫する必要がある。
今回の改訂において,地理的分野では世界の諸地域と日本の諸地域の地域的特色について学ぶ項目を設け,地誌的な学習を充実させた。地誌的な学習の目的は,取り上げた様々な地域の地域的特色を多面的・多角的に追究し,とらえることである。そうした地誌的な学習に当たっては,前述した地域の概念に基づいて地域をとらえることがより一層重要となってくることに留意して,指導に当たることが大切である。
(4) 地域調査など具体的な活動を通して地理的事象に対する関心を高め,様々な資料を適切に選択,活用して地理的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力や態度を育てる。
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目標の(4)は,地理的分野の学習を通して生徒が身に付けるべき望ましい能力と態度を示したものであり,従前の目標の(4)を引き継いだものである。
今回の改訂においては,中央教育審議会の答申の学習指導要領改訂の基本的な考え方の中で,思考力・判断力・表現力等の育成が示され,そのために観察・実験やレポートの作成,論述といった学習活動を充実させること,そして,そのような学習活動の基盤として言語に関する能力の育成に取り組むことの重要性が示された。この目標の(4)の実現を図ることは,そうした今回の学習指導要領改訂の基本的な考え方と軌を一にしている。
「地域調査など具体的な活動を通して地理的事象に対する関心を高め」については,地理的事象に対する関心などの育成を重視する観点から示したものである。「地域調査など具体的な活動」の「地域調査」は,課題を設けて行う学習や作業的,体験的な学習など,生徒の主体的な学習を促す学習の代表例として示したものである。まだ見ぬ地域を知ったり,知るための学び方や調べ方を学んだりすることは,成長期の生徒にとって,本来,楽しいことであり,学びがいのあることである。しかし,実際には,知識を詰め込む学習に陥ったり,人間の営みとの関連付けが不十分だったりすることが少なくなく,その実施の割合も高くない。それだけに,例えば,景観の観察といっ
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た比較的実施に負担が少なく,視覚的にとらえる活動を取り入れるなど,現代の日本や世界の地理的事象を取り扱う地理学習の特質を生かして,作業や体験を伴う学習や課題を設定し追究する学習などを工夫し,生徒の主体的な学習を促すことが必要である。そして,地理学習を通して日本や世界の地理的認識を深めていこうとする態度をはぐくむことが大切である。
「様々な資料を適切に選択,活用」することについては,様々な資料を活用する技能や表現力の育成を重視する観点から示したものである。「様々な資料を適切に選択,活用」することは,情報技術革新や情報化の進展により地理情報(地域に関する情報)が増大し多様化する現代及び近未来において,特に大切である。すなわち,情報技術革新や情報化の進展により,地理情報も多様な情報手段によって多種多様な資料を容易に得ることができるようになっているが,それらの中には,地理的分野の学習に結び付かない高度な情報や詳細過ぎる情報なども少なくない。また,情報量には地域的な偏りがあり,入手しようとしてもなかなか適切な資料が入手できない地域もみられる。こうした点を考慮すると,資料の収集,選択,処理,活用に関する能力の育成を一層重視することが求められているといえる。
地理的分野の学習で活用できる資料としては,地図,統計,新聞,写真,紀行文など種々あるが,その中でも最も重要な役割を果たしているのが地図である。現代のように地域間の交流の盛んな時代においては,社会的事象を位置や距離関係を考慮して地図上でとらえることが効果的であり,大切なこととなっている。また,地域の変容が激しくなっている現代は,新旧の地図を比較し関連付ける学習が,地域の変容の軌跡をとらえ,地域の課題や将来像などについて考える上でも大切な方法になっている。
読図力,作図力などの地理的技能を地理学習の全般にわたってしっかり身に付けさせるよう工夫することが大切である。このことについては,中央教育審議会の答申の地理的分野の改善の具体的事項にも述べられている。
「地理的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断する(…能力や態度を育てる)」については,社会的事象に対する思考力・判断力の育成を重視する観点から示したものである。「多面的・多角的に考察し」については,地理学習で取り上げる地理的事象そのものが様々な面をもっており,それを地理学習では様々な角度から追究してい
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る。そして,それが「公正に判断する能力や態度」を培う基本となっている。それというのも,多面性をもつ地理的事象は,それをとらえる観点によって大きく変化することから,ともすると一面的な考察,判断に陥りやすい。それゆえ,地理的事象を考察し,判断,理解するに当たっては,「公正」さに留意することが大切である。そのためには,資料を適切に収集,選択,処理,活用し,資料に基づいて考察する態度を身に付けさせることが特に大切である。
「適切に表現する能力や態度を育てる」については,表現力の育成を重視する観点から,前回改訂時に付加された部分である。「適切に」とは,一面的にならないよう公正さに留意することと,表現といっても多様であり,各場面で求められている表現活動に的確に対応することを意味している。なお,地理的事象は地図化することによって地理的事象が意味することなどを明確にとらえることができることから,特に地図に関する表現力の育成に留意して学習指導を工夫することが大切である。また,今回の改訂で重視されている言語力育成の観点から,観察や調査等の結果を論述したり,意見交換したりするなどの言語活動を充実させることに特に留意することが必要である。
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2 内容
(1) 世界の様々な地域
この大項目は,世界の多様な地域とそこに住む人々の生活を主な学習対象とし,世界の諸地域の多様性や地域的特色を理解させる学習を通して,世界の地理的認識を養うことをねらいとしている。このねらいを達成するため,この大項目は「ア世界の地域構成」「イ世界各地の人々の生活と環境」「ウ世界の諸地域」「エ世界の様々な地域の調査」の四つの中項目から構成されている。
ア 世界の地域構成
地球儀や世界地図を活用し,緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置,地域区分などを取り上げ,世界の地域構成を大観させる。
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(内容の取扱い)
ア アについては,学習全体を通して,大まかに世界地図を描けるようにすること。
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この中項目は,世界の地域構成を大観させ,地球規模での位置関係をとらえるための基礎的な知識や技能を身に付けさせることを主なねらいとしている。地理的分野の導入部分に,世界の地域構成の基本的な枠組みに関する学習を位置付けるのは,それらが世界の地理的認識を深める際の座標軸のような役割を果たし,世界の地理への関心を高めたり,学習成果の定着を図ったりするのに効果的だからである。また,中学校での学習の導入に当たって,小学校において学習した世界の国に関する知識や関心を生かすとともに,授業の形態や指導の方法などについても工夫し,小学校と中学校の接続が円滑に行われるようにすることもねらいとしている。
具体的には,緯度と経度,大陸と海洋のおよその位置関係,国際社会の基礎単位と
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なっている国々の名称と位置などの学習を通して,地球表面の姿や世界の地域構成を大まかにとらえ,それらを世界地図で描けるようにすることを表している。
「地球儀や世界地図を活用し」とは,地球儀や世界全図の読み取りを中心とし,「緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置,地域区分」などを基に「世界の地域構成を大観させる」ために活用することを意味している。生徒は,小学校第5学年においては世界の主な大陸と海洋,主な国の名称と位置について,小学校第6学年においては我が国と経済や文化などの面でつながりの深い国について,地図や地球儀,資料などを活用して学習している。そこで得た知識や関心,地球儀や地図の活用に関する技能を踏まえつつ,拡充することが必要である。
生徒は,日本を中心に描かれたメルカトル図法やミラー図法などによる世界地図に影響された世界観をもっていることが多い。そこで,例えば,地球儀を使って陸半球と水半球を図に描く,地球儀の日本の位置に十字に貼(は)ったテープをあて,東西方向へ進むとどこの国に到達するかを調べ世界地図と比較する,地球儀と世界地図それぞれにおけるグリーンランドの大きさを比較するなどの活動を通して,地球儀で地球上の位置関係や陸地面積,形状を正しくとらえる学習を行うことが考えられる。世界地図については,面積の正しい地図や中心からの距離と方位の正しい地図など目的に応じた様々な地図があることを取り上げ,それらの特色に留意した読み取りを中心とする。
このような学習活動を通して,教科用図書「地図」(以下,解説文中では「地図帳」という。)の適切な活用方法を身に付けさせることも大切である。また,教室に地勢や国を表す地球儀を置いたり,世界地図を教室に掲示したりして折にふれて活用するなど,日常的に地球儀や世界地図に親しませるよう配慮することが望まれる。
「緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置,地域区分などを取り上げ」の「緯度と経度」については,地球上の位置を緯度・経度を用いて表せるようにすることを意味している。また,赤道・本初子午線,北半球・南半球の意味を知ることや,日本の対蹠(たいせき)点(地球上の正反対の地点)を探すなど,地球の大まかなとらえ方をつかませることを意味している。
「大陸と海洋の分布」については,地球規模の位置関係をつかむ基礎として,六大陸と三大洋の大まかな形状と位置関係をとらえさせ,各種の地球儀や世界全図,大陸
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別の地勢図なども活用しながら特色をつかませることを意味している。
「主な国々の名称と位置」については,数の上では,世界の4分の1から3分の1程度の国々の名称と位置を身に付けることが一応の目安となると考えられる。具体的には,面積の広い国,人口の多い国,日本とかかわりの深い国,ニュースで頻繁に取り上げられる国など,様々な観点から世界をとらえる目安となる国をこの程度取り上げることを想定している。その際,生徒が,小学校社会科の学習や日常生活の中で習得した世界の国々に関する知識を十分に生かし,整理して拡充するようにする。
主な国々の選択に当たっては,「大まかに世界地図を描けるようにすること」(内容の取扱い)を踏まえ,適度に世界に広がって分布するよう配慮する。また,日常生活で情報を得やすい国には地域的に偏りがあることに留意し,世界各地の人々の生活と環境や世界の諸地域の学習,歴史的分野の学習で扱う国との関連を図りつつ,扱う国が一部の地域に偏ることがないようにする。
小学校高学年から中学校にかけては,生徒の空間的視野が身近な空間から急速に拡大し,世界に向けて大きく広がる時期である。世界の国名などの知識を積極的に身に付け,それがより高度な知識・理解につながっていく生徒も多い一方,国名を覚えることに負担を感じる生徒も多い。指導に当たっては,そのような生徒一人一人の特性等に十分に配慮して授業が展開できるよう,指導内容及び指導方法を工夫することが大切である。例えば,国名を単に覚えるだけの学習にならないよう,索引を使って国の位置を探すなど地図帳を活用した学習活動を行ったり,人物名,山,川などの地形名などに由来する国名に着目させたりするなど,生徒の関心を引き出す指導を工夫することが考えられる。また,内容の(1)の「ウ世界の諸地域」などにおいても主な国々の名称と位置を適宜取り上げ,その知識の定着を図るよう指導を工夫することが必要である。
「地域区分」については,州やそれらを幾つかに区分した地域など,世界を様々な地域に区分けしてとらえられることを理解させることを意味している。地域区分には様々な分け方があるが,世界を大観させるというねらいや日常生活で活用しやすいという観点から,海峡や運河,山脈で区分されたアジア,ヨーロッパなどの州や,それらを幾つかに区分した地域などを取り上げる。州を幾つかに区分した地域とは,アジ
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ア州を東アジア,東南アジアなどに区分けしてとらえるといった程度の区分である。
また,アジアとヨーロッパにまたがるロシア連邦などを例にして二つの州にまたがる国があることに気付かせたり,中東地域,ラテンアメリカなど,ニュースなどで目にする地域名を手掛かりにしたりして,様々な地域区分があることをとらえさせる。
「大まかに世界地図を描けるようにする」(内容の取扱い)とは,赤道や本初子午線など目安となる緯線,経線を基準として,大陸の形状や大陸と海洋の位置関係が大まかに示されている程度の世界の略地図を描けるようにするということを意味している。この場合,複雑な海岸線や国境線を描く必要はなく,世界の地域構成をおよそとらえた程度のものでよい。「大まかに世界地図を描けるようにする」というねらいは,地球儀でとらえた地球の姿との違いに留意しつつ,世界を大きくとらえるとともに,この後の学習の中で,学習した成果を整理する際にも世界地図を活用するためである。
イ 世界各地の人々の生活と環境
世界各地における人々の生活の様子とその変容について,自然及び社会的条件と関連付けて考察させ,世界の人々の生活や環境の多様性を理解させる。
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(内容の取扱い)
イ イについては,世界各地の人々の生活の様子を考察するに当たって,衣食住の特色や,生活と宗教とのかかわりなどに着目させるようにすること。その際,世界の主な宗教の分布について理解させるようにすること。
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この中項目は,世界各地の人々の生活の様子を,衣食住や宗教とのかかわりを中心に,自然及び社会的条件と関連付けて考察させ,世界の人々の生活や環境の多様性を理解させることを主なねらいとしている。
この中項目は,地理的分野において,世界の諸地域に関する学習を第2学年ではなく,第1学年に位置付けるに当たり,生徒の発達の段階に配慮するとともに,人々の生活に関する学習を重視する観点から設けられたものである。指導に当たっては,生
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徒が小学校で習得した世界に関する知識や,我が国とつながりが深い国から一か国を選択して調べ話し合うなどした小学校第6学年での作業的,体験的な学習活動の経験を活用することが望ましい。また,視聴覚資料など各種の資料を活用し,世界地理の学習への興味や関心を高める内容になるよう配慮する必要がある。さらに,世界各地の人々の生活と環境とのかかわりや,人々が様々な条件のもとで多様な生活を営んでいることに気付き,異なる文化を尊重する態度を身に付けさせることに留意する必要がある。
「世界各地における人々の生活の様子とその変容について,自然及び社会的条件と関連付けて考察させ」とあるように,この中項目は世界全体を学習の対象としており,取り上げる指導内容については人々の生活が中心となっている。「人々の生活の様子とその変容」とあるのは,同じ地域の過去と現在の生活を比較してその変化に着目し,人々の生活が可変的なものであることに気付かせることを意味している。
ここで各地域の事例を取り上げる場合は,世界の人々の生活や環境の多様性を理解させるというねらいに基づき,世界の諸地域の学習で取り上げる事例とも合わせ,一部の地域に偏ることのないように配慮することが必要である。また,この中項目で世界の自然的条件を取り上げるに当たっては,人々の生活に関する学習を中心とし,それに関連する範囲で扱うとともに,自然的条件の違いのみに着目した自然環境決定論に陥らないように留意する必要がある。社会的条件としては,地域の歴史的背景や住民の民族構成などに配慮しながら,伝統的な生活様式が他の文化との接触や新しい技術の導入,経済活動の活発化によって変容することなどを取り上げることが考えられる。
学習活動としては,例えば,暑い地域と寒い地域,山岳地域と島嶼(とうしょ)地域など,特色のある自然環境とそれに関係する衣食住を事例として取り上げ,写真や映像資料などを用いて人々の生活の工夫や,伝統的生活と現代の変化をとらえるといった学習活動や,同じような自然的条件の地域を幾つか取り上げ,共通点や地域によって異なる点を探すといった学習活動などが考えられる。その際,気候や地形,民族などの分布を表した様々な主題図を活用するとともに,取り上げた事例を主題図上に位置付け,様々な事例を比較するなどの作業的な活動が取り入れられることが望まれる。
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「生活と宗教とのかかわり」(内容の取扱い)とは,世界には様々な宗教があり宗教とかかわりの深い生活が営まれていること,同じ地域でも宗教その他の社会的条件による生活の違いがみられることなどに着目させることを意味している。「その際,世界の主な宗教の分布について理解させる」(内容の取扱い)とあるのは,仏教,キリスト教,イスラム教などの世界的に広がる宗教の分布について分布図を用いて大まかに把握させ,歴史的分野の学習とも関連付けて理解させることを意味している。なお,分布図を扱う際には,分布の境界は必ずしも明確に分けられないものであることなどに触れ,分布図を読み取る上での留意点を示すことが望ましい。
人々の生活を中心とした文化の学習については,一つの事例が生活全体あるいは地域全体の特徴としてとらえる過度な一般化を招きやすい。そのことに留意し,文化を固定的なものととらえさせたり,特定の民族に対する固定観念をもたせたりする学習とならないように配慮することが必要である。指導に当たっては,特に地域の人々の生活はそれぞれの地域の地理的諸条件のもとに成り立っているということ,他地域の人々の生活を理解するのに,自分たちの生活を絶対視してとらえてはいけないということに留意して扱い,多様な文化を尊重する態度を身に付けさせることが求められる。
ウ 世界の諸地域
世界の諸地域について,以下の(ア)から(カ)の各州に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,それを基に主題を設けて,それぞれの州の地域的特色を理解させる。
(ア) アジア(イ) ヨーロッパ(ウ) アフリカ(エ) 北アメリカ
(オ) 南アメリカ(カ) オセアニア
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(内容の取扱い)
ウ ウについては,州ごとに様々な面から地域的特色を大観させ,その上で主題を設けて地域的特色を理解させるようにすること。その際,主題については,州の地域的特色が明確となり,かつ我が国の国土の認識を深める上で効果的であるという観点から設定すること。また,州ごとに異なるものとなるようにすること。
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この中項目は,世界の各州を対象として,それぞれの州内に暮らす人々の生活にかかわり,かつ我が国の国土の認識を深める上で効果的な観点から州内の特色ある地理的事象を基に主題を設定し,その追究を通してそれぞれの州の地域的特色を理解させることを主なねらいとしている。
この中項目では,「州ごとに様々な面から地域的特色を大観させ,その上で主題を設けて地域的特色を理解させるようにすること」(内容の取扱い)とあることから,それぞれの州の地域的特色を理解させるには,まず,基礎的・基本的な知識を習得する学習を行い,それらの知識を活用して中学校第1学年の生徒の生活と結び付く地理的事象を取り上げ,生徒の関心と結び付きやすい主題を設定し追究する中で,地域的特色が明らかになるように学習を展開していくことが大切である。ただし,この中項目のねらいは,羅列的な知識を身に付けることではない。生徒が世界の地理的事象を身近に感じて,取り上げた世界の諸地域についてイメージを構成することができ,世界の地理的認識を深めていくことが重要である。
世界や日本の様々な地域のとらえ方については,地理的分野の目標の(3)のところで述べたように形式地域,実質地域,等質地域,機能地域など様々なものがある。同様に地域区分にも様々な考え方がある。しかし,ここでは,基礎的・基本的な知識を定着させるという観点,また汎用(はんよう)性が高いという観点から,次の形式地域による地域区分を採用することとした。
<世界の地域区分>
(ア) アジア(イ) ヨーロッパ(ウ) アフリカ(エ) 北アメリカ
(オ) 南アメリカ(カ) オセアニア
世界の諸地域の地域的特色を学習するに当たっては,この地域区分を基本とする。
ただし,各州の地域的特色を明らかにする必要からそれぞれの州を幾つかに区分したり,取り上げる地理的事象の特色を的確に把握する観点から州を越えた地域を設定したりして,それぞれの地域の特色を理解する学習を展開することも考えられる。また,
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アジアとヨーロッパにまたがるロシア連邦を扱う場合は,設定する主題との関連から,アジア又はヨーロッパのいずれかに位置付けて扱うこととなる。しかし,「それぞれの州の地域的特色を理解させる」と示されているように,州規模で地域的特色を明らかにすることが大切であり,州をさらに区分したり州を越えたりした地域を設定することによって,州内の個別の国又は小地域や一部に偏った地域の特色を網羅的に細かく学習するような取り上げ方は避ける必要がある。また,州全域を隈(くま)なく学習するのではないことにも留意することが大切である。
「人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象」における「生活の様子を的確に把握できる」とは,生徒の生活実感と結び付く学習内容を意図した表現である。この中項目でいう「人々の生活」とは,社会生活を営む人間の活動による諸事象を総体的に表す意味で用いており,単に衣食住,生活様式についての諸事象のみを指しているわけではない。しかし,特に衣食住にかかわる内容は生徒の生活経験と結び付けやすいので,有効な主題になる可能性が高い。そして,それらを取り上げる際には,人々の日常生活がイメージできるような具体的事例を開発していくことが望まれる。
例えば,西アジアから中央アジアに広がる砂漠地域の遊牧民の生活の様子を,生産・流通・消費の視点から取り上げ,地域的特色を明らかにすることが考えられる。生産については,ラクダ,羊,山羊(やぎ)を飼育して,乳製品,皮革,肉などを生産している。
流通については,オアシス農民との交易,都市生活者との交流などが取り上げられる。
消費については,遊牧民の生活にも,現代的な生活用品,テレビ,自動車などが入り込んできて,消費生活の都市化が進んできている。これらの生活を移動空間や1年間の時間軸の中において考察すると,地域的特色が具体的に理解できる。
「地理的事象を取り上げ」る際には,それぞれの州において広範にみられる特色ある地理的事象を取り上げることが大切である。また,「州の地域的特色を理解させる」際には,州全体を一つの地域としてとらえるほかに,州を幾つかの地域に分けることもできるが,前述のとおり,その際には個別の国や小地域の特色を細部にわたって学習することのないよう配慮する必要がある。
「州ごとに様々な面から地域的特色を大観させ」(内容の取扱い)における「大観」とは,各州の自然,産業,生活・文化,歴史的背景などについて概観し,その結果と
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して基礎的・基本的な知識を身に付けさせることを意味している。ここで習得された知識が後の学習に活用されるとともに,世界の各州について大観する学習がなされた際には,概略的な世界像が形成できるように学習内容を構成する必要がある。
「主題を設けて地域的特色を理解させるようにすること」(内容の取扱い)における「主題」とは,取り上げる地理的事象,既習内容,主題の難易度,生徒の生活経験,想定される学習活動,配当授業時数との関係などを勘案して,教師によって設定されるものである。主題の設定に際しては,主題を追究する時間を確保するという観点から,各州一つ又は二つの主題に絞って展開することが適切である。その際には,「各州に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,それを基に主題を設け」る必要がある。また,「我が国の国土の認識を深める上で効果的であるという観点から設定すること」(内容の取扱い)とあることから,我が国との比較や関連を図る視点をもって主題を設定することや,「州ごとに異なるものとなるようにすること」(内容の取扱い)によって,世界の諸地域の人々の生活の様子を様々な面から理解できるように配慮する必要がある。
次に,この中項目における主題例とそのおおよその学習イメージを示す。これらは,あくまでも例示であり,各学校においてそれぞれの地域について例示と異なる趣旨の主題を設定して指導することができるのは,当然である。
(ア) アジア:<主題例>人口急増と多様な民族・文化
“なぜアジアでは人口が急増し,民族,文化が多様なのか”という問いを立て,アジアにおける人口急増地域の分布,産業発展と人々の生活のかかわり,民族や宗教分布,宗教と生活とのかかわり,宗教の伝播(でんぱ)や人口の地域間移動の推移などを追究すると,アジアの人口問題の出現や多様な民族構成,文化形成の背景が分かり,アジアの地域的特色の理解につながる。
(イ) ヨーロッパ:<主題例>EUの発展と地域間格差
“EU加盟国では,政治・経済的統合が人々の生活にどのような影響を与えているか”という問いを立て,ヨーロッパにおいてEU加盟国の人々が日常生活で自由に域内の国境を越えて買い物や仕事をしていること,多様な産業が地域で展開している様子,人々の移動,EU内の交通機関による結び付き
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などを追究すると,EUを構成する国の相互関係や域内の地域間格差の実態が分かり,ヨーロッパの地域的特色の理解につながる。
(ウ) アフリカ:<主題例>モノカルチャー経済下の人々の生活
“第一次産品にたよるアフリカ諸国の人々は,どのような生活をしているのか”という問いを立て,アフリカ諸国の主要生産品,主要国の経済状況と生産物,貿易の様子,主要生産品とアフリカに暮らす人々の生活との関連,旧宗主国など先進国との結び付きなどを追究すると,アフリカの脆弱(ぜいじゃく)な経済基盤とその理由が明らかになり,アフリカの地域的特色の理解につながる。
(エ) 北アメリカ:<主題例>大規模農業と工業の発展
“なぜアメリカやカナダは農業生産力だけでなく工業生産力も高いのか”という問いを立て,アメリカ合衆国,カナダの世界貿易に占める地位,小麦やトウモロコシの生産と貿易,農産物の生産分布,工業都市の分布,農産物・工業製品の流通システム及び大量消費する人々の暮らしなどを追究すると,巨大な生産と消費の人々の生活様式が分かり,北アメリカの地域的特色の理解につながる。
(オ) 南アメリカ:<主題例>森林破壊と環境保全
“なぜアマゾンの森林が減少し,サトウキビ栽培が増加しているのか”という問いを立て,アマゾンの森林破壊の実態,サトウキビ・小麦の生産地域の変遷,バイオ燃料の普及,焼畑をする人々の暮らし,環境保全に対する農民の意識や政策などを追究すると,環境問題やエネルギー問題を地域に即してとらえられ,南アメリカの地域的特色の理解につながる。
(カ) オセアニア:<主題例>アジア諸国との結び付き
“なぜオセアニアは,ヨーロッパに代わってアジアとの結び付きが強まってきたのか”という問いを立て,オーストラリアやニュージーランドの貿易品の量・額の動向や輸出入の相手国,国内の資源開発や各産業の生産額の推移,アジア諸国からの移民の受け入れなどを追究すると,オーストラリアやニュージーランドがアジア諸国と結び付きを強め,多文化社会が進むオセアニアの人々の生活の様子が明らかになり,オセアニアの地域的特色の理解につな
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がる。
世界の諸地域の学習においては,地球儀,世界地図,地図帳,衛星画像などを活用し,地誌的知識や概念の定着を図るとともに,これらを有効に活用し,学習成果を世界地図上や略地図上に表現するなどして,地理的技能を育成することも重要である。
また,取り上げる主題や州にかかわる写真,物語,小説なども活用して学習内容及び学習過程を設計し,生徒の生活経験と結び付いた情報を豊かに獲得させていく指導上の工夫も望まれる。
エ 世界の様々な地域の調査
世界の諸地域に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,様々な地域又は国の地域的特色をとらえる適切な主題を設けて追究し,世界の地理的認識を深めさせるとともに,世界の様々な地域又は国の調査を行う際の視点や方法を身に付けさせる。
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(内容の取扱い)
エ エについては,様々な資料を的確に読み取ったり,地図を有効に活用して事象を説明したりするなどの作業的な学習活動を取り入れること。また,自分の解釈を加えて論述したり,意見交換したりするなどの学習活動を充実させること。
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この中項目は,内容の(1)の「ア世界の地域構成」「イ世界各地の人々の生活と環境」「ウ世界の諸地域」の各項目の学習で身に付けた知識,概念や技能を活用して,世界の地理学習のまとめとしての調査学習を行い,世界の地理的認識を深めさせるとともに,世界の様々な地域又は国の調査を行う際の視点や調べ方,まとめ方などの方法を身に付けさせることを主なねらいとしている。
ここでは,世界の様々な地域又は国の地域的特色をとらえるために,人々の生活の様子の特色を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,適切な主題を設けて問題解決
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的な調査活動や探究的な活動を行う。
「様々な地域又は国の地域的特色をとらえる」「世界の地理的認識を深めさせる」とは,地理的分野の目標の(2)にあるように,世界の地理的諸事象を位置や環境条件,人間の営みなどと関連付けて考察し,世界の人々の生活の多様性を理解させるとともに,なぜそのような生活がそれぞれの地域で営まれているかを考えさせることを意味している。
「世界の様々な地域又は国の調査を行う際の視点や方法」の「視点」は,世界の人々の伝統的な生活・文化と自然環境や社会環境,歴史的背景,他地域との共通性,異質性や結び付きなどに着目することを意味している。「方法」とは,調査の対象が直接経験地域ではないことから,各種の地図や統計,百科事典,インターネットからの情報,DVDや写真,読み物や紀行文,旅行経験者の体験記など,調べる主題にふさわしい適切な資料を選択し,読み解き,関係付けながら進めることを意味している。
地図には,種類や縮尺により多様な利用の仕方がある。地図帳には,地形や植生,都市の規模や交通機関,地名や行政界,土地利用などの地域の状況を様々な記号を用いて表現している「一般図」と,工場分布や土地利用,鉄道・道路交通などの個別の主題を取り上げ,様々な調査資料や統計などを活用してグラフ化したり,その状況を表現したりした「主題図」などが掲載されている。縮尺については,大きな縮尺の地形図や小さな縮尺の大陸別の地勢図などの地図があり,その他に面積や形状,方位や距離などの特定の事項を正確に表現するために工夫された様々な地図がある。
調査活動に地図を活用する際には,調べる地理的事象や地域が地図上のどこにあるかを確認するだけでなく,土地利用などを表した主題図などから,地域の地形と土地利用の関係を考察したり,気候図を併用して降水量の分布と土地利用の関係を明らかにしたりして,事象間の関係を読み取る学習活動が重要となってくる。
統計資料は,一般的に国家を単位としたものが多いため,国家規模の地域的特色を調査したり,比較したりする場合の資料としてふさわしい。この統計資料を活用して,国別の状況を階級区分図やドットマップなどとして表現することは,地域や国の地域的特色を把握する上で有効な資料となる。
DVDなどの映像や写真,紀行文や体験記などは,世界の様々な地域の様子を実感を
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もって知ることができる資料となるが,それがそのまま地域や国の地域的特色とはならないので,その点に留意した取扱いを工夫する必要がある。なお,情報や資料は地域や国,調べる主題によって量的にも質的にも差が大きいため,生徒による資料の収集が容易でない場合は,教師があらかじめ用意した資料を提供することも必要である。
生徒の取り組む主題を予想し,学校図書館の書籍を準備したり,公共図書館との連携にも留意したりしながら日ごろから資料収集を心がけることが大切である。
世界の「様々な地域又は国の地域的特色をとらえる適切な主題」とは,地理的分野の目標の(2)にもある「世界の地域の諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ,それを地域の規模に応じて環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し,地域的特色や地域の課題をとらえさせる」ねらいを達成しやすい主題を設定することが望ましい。
学習した地理的事象の中で,さらに追究してみたくなった内容や日ごろからの興味・関心を抱いたり,新聞・テレビなどで話題になったりしている地理的事象を整理しながら,その中から適切な主題を決定させる学習を丁寧に進めることが望まれる。調べる主題によって学習の見通しが立てやすくなったり,調査意欲が減退してしまったりするからである。生徒が主題を設定しきれない場合には,グループで話し合わせたり先輩が取り組んだ主題一覧を示したりして,主題設定のヒントやきっかけを与える学習が有効となってくる。
調べる主題としては,次のようなものが取り上げられる。
@ 世界各地の特色ある自然環境とかかわりの深い衣食住などの生活・文化とその変化の様子に関する主題
A 「イ世界各地の人々の生活と環境」「ウ世界の諸地域」で学習した興味・関心ある地理的事象をさらに探究する主題
B 教科書や地図帳,各種の地図や文献などから発見した,世界の人々の生活に関する興味ある地理的事象を基にした主題
C 日常生活や新聞,テレビなどで関心を抱いた世界の国々に関する地理的事象を基にした主題
一般的に地理的事象を取り上げて調査する方法は,その調べる主題によって異なる
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が,およそ次のような段階がある。
@ 主題の設定:調べる内容について焦点化し,主題として設定する。
A 調査方法の吟味:何を明らかにしたいのかの調査のねらいを定め,どのような調査方法を行うかについて,調査の見通しを立てる。
B 資料の収集と選択:調査を始めるに当たって,主題を明らかにするために,必要な各種資料とその収集方法を吟味し,資料の収集,選択を行う。
C 調査活動:調査のねらいにより,収集した資料を活用してその内容を読み取ったり,地図化したりする。
D レポートの作成:調査した結果を整理し,ふさわしい記述や説明の方法を考え,レポートにまとめる。
E 発表会などの開催:調査内容にふさわしい方法を用いて発表する(学級内発表会,レポートや作品の掲示発表など)。
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上記@の「主題の設定」に当たっては,まず内容の(1)のイ,ウの学習を開始する前に,「世界の様々な地域」の学習のまとめとして,「世界の様々な地域又は国の地域的特色」について調べ学習を行うことを予告し,各自が調べたい主題を意識しながら学習する雰囲気を作り出すことが大切である。主題の設定ができれば,後の調査方法の見通しが立てやすいからである。
主題の設定に当たっては,あまり大きなものとせず,日ごろの関心事や自分たちの生活との接点があり具体的なもので,かつ調査資料の得やすいものが望ましい。さらに,調査事項の記述やまとめが地図に表現できるものかどうかも一つの選択肢である。
Aの「調査方法の吟味」では,「なぜこの地域には,このような地理的事象がみられるのか」「なぜこの地域には,このような特色ある生活・文化が根付いているのか」といった問いかけを基にして課題を見いだし,その解決のための適切な資料を選択,収集する見通しを立てることが必要である。
Bの「資料の収集と選択」は,課題の解決に役立つ資料には何があるかを考えるとともに,必要な資料を収集することである。
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Cの「調査活動」は,「なぜこの地域にはこのような地理的事象がみられるのか」「なぜこのような地域的特色をもっているのか」という問いかけを基にして,課題を解き明かしていくことが必要である。その際には,様々な資料を的確に読み取ったり,地図を有効に活用して事象を説明したりするなどの作業的な学習活動を取り入れるとともに,資料の処理や分析に力を入れるなどの取扱いの工夫が求められる。
Dの「レポートの作成」では,調べた結果を文章で表現したり,グラフや表にして分かりやすく示したり,地図を活用して表現したりすることがポイントになる。地図は,諸事象を位置や空間的なかかわりでとらえる上で効果的な表現手段となるからである。
レポートの作成に当たっては,調査方法や内容の概要を相手に的確に伝えるために,基本的な記述の構成や仕方があることを理解させることが大切である。次に示した項目は,その一般的な構成例である。
1) 調査の動機:なぜ,この主題を選んだのか。どんなことに興味や関心,疑問をもったのかを書く。
2) 調査の目的:この調査で何を知りたいのか,分かりたいのかを書く。
3) 調査の方法:いつ,どこで,どんな方法で何を調べていくのかを書く。
4) 調査の内容と結果の考察:調べて分かったことを調査前の予想と比べたり自分の解釈を加えたりして論述するとともに,図表や写真,地図などを入れて具体的にまとめる。
5) 感想や今後の課題:調べて分かったことに対して,どんなことを感じたかを記述するとともに,もっと深めてみたい内容をまとめる。
6) 参考資料など:調査に用いたり,参考にしたりした書籍名などを記す。
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レポートの作成に当たっては,調査結果も大切であるが,事実と自分自身が考えたり解釈したりしたこととをはっきり分けて書くこと,そのように判断した根拠を示してまとめること,図や表を使ったり地図上に表現したりすること,要点を自分の言葉で簡潔にまとめることなどに留意することが大切である。
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以上のように,この中項目では生徒自らの調査,探究活動を通して,@世界の興味・関心ある地理的事象を見いだし,調べる主題を設定する,A主題を多面的・多角的に調査,考察,探究する。その際に地図や統計,文献,インターネット情報等の諸資料を読み取り,有効に活用する,B調査結果を分析・整理してレポートにまとめ発表するといった活動を展開し,地理的な見方や考え方と地理的技能を身に付けさせることに留意して指導に当たることが望まれる。
国際化,情報化など社会の変化の激しい時代にあっては,主題を追究,考察して調べ方や学び方を身に付けることが大切であることはいうまでもない。内容の(1)のア,イ及びウで習得した知識,概念や技能を活用して,興味・関心ある世界の地理的事象を調査,探究することで,地域的特色をとらえる調べ方や学び方の視点や方法を身に付けることができる。
この中項目で培われた世界に関する地理的知識や技能,調査方法は,この後に学ぶ「(2)日本の様々な地域」の学習で活用することができるだけでなく,「総合的な学習の時間」における学習の主題や調査方法として,さらに深めることも考えられる。
(2) 日本の様々な地域
この大項目は,「世界の様々な地域」の学習成果を踏まえ,日本及び日本の諸地域の地域的特色をとらえる学習を通して,国土の認識を深めることをねらいとしている。
このねらいを達成するため,この大項目は「ア日本の地域構成」「イ世界と比べた日本の地域的特色」「ウ日本の諸地域」「エ身近な地域の調査」の四つの中項目から構成されている。
ア 日本の地域構成
地球儀や地図を活用し,我が国の国土の位置,世界各地との時差,領域の特色と変化,地域区分などを取り上げ,日本の地域構成を大観させる。
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(内容の取扱い)
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ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 「領域の特色と変化」については,我が国の海洋国家としての特色を取り上げるとともに,北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること。
(イ) 日本の地域区分を扱う際には,都道府県の名称と位置のほかに都道府県庁所在地名も取り上げること。
(ウ) 学習全体を通して,大まかに日本地図を描けるようにすること。
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この中項目は,地球儀や地図を活用して,世界的視野から国土の位置や領域の特色を理解したり,他の国との時差を調べたり,都道府県などに着目して様々に地域区分できることをとらえたりする学習を通して,国土の地域構成を大まかにとらえさせることを主なねらいとしている。
「我が国の国土の位置,世界各地との時差,領域の特色と変化,地域区分などを取り上げ,日本の地域構成を大観させる」のうち,「国土の位置」を取り上げるに当たっては,緯度と経度を使って同緯度,同経度の国々に着目するなどして国土の絶対的位置(数理的位置)をとらえさせることのほかに,様々な相対的位置(関係的位置)も取り上げることを意味している。具体的には,例えば,日本はユーラシア大陸の東に位置するというように隣接する大陸や海洋,近隣の国々との位置関係によってとらえたり,地球儀や地図を様々な視点から眺めて,世界各地から我が国へ到達する経路をたどりながら我が国の位置をとらえたり,ある国を中心にして世界各地との位置関係をみた中での我が国の位置の特色をとらえたりするなど,様々な面から取り扱うことを意味している。
「世界各地との時差」を取り上げるに当たっては,海外と衛星中継しているテレビのニュース番組の映像を活用するなどの国際化した生活場面と関連付けたり,等時帯や日付変更線を示す地図と地球儀を見比べたり,簡単な時差の計算をしたりする学習活動を通して,日本と世界各地との時差から地球上における我が国と世界各地との位置関係を理解させる。時差の計算については,従前から西半球にある諸都市と東半球にある日本との時差計算にかかわる能力が十分に身に付いていない状況がみられる。
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今回の改訂では地理的分野における時差学習を内容の(2)で扱うことで,数学科の第1学年における「正の数と負の数の必要性と意味を理解すること」などの学習成果を活用することが可能となる。こうした点を踏まえ,本初子午線を基準として東半球にある日本と西半球にある諸都市との時差を計算することを通して,我が国と世界各地との位置関係の理解を促すことができると考えられる。
「領域の特色と変化」の中の「領域」とは,領土だけでなく,領海,領空から成り立っており,それらが一体的な関係にあることをとらえさせることを意味している。
「特色と変化」とは,「我が国の海洋国家としての特色を取り上げる」(内容の取扱い)とあることから,例えば,我が国の領土はたくさんの島々からなり,それらは弧状に連なっていることや,他の国々と国土面積で比較したり,領海や排他的経済水域を含めた面積で比較したりするなど,我が国の海洋国家としての特色を様々な面から取り扱うことを意味している。また,我が国は四面環海の国土であるため直接他国と陸地を接していないことに着目させ,国境がもつ意味について考えさせたり,我が国が正当に主張している立場に基づいて,当面する領土問題や経済水域の問題などに着目させたりすることも大切である。
その際,「北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること」(内容の取扱い)とあることから,北方領土(歯舞(はぼまい)群島,色丹(しこたん)島,国後(くなしり)島,択捉(えとろふ)島)については,その位置と範囲を確認させるとともに,北方領土は我が国の固有の領土であるが,現在ロシア連邦によって不法に占拠されているため,その返還を求めていることなどについて,的確に扱う必要がある。また,我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ,北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である。
この中項目で言う「地域区分」とは,例えば,西日本と東日本というように日本を二分してとらえたり,西南日本(西日本)と中部日本(中央日本)と東北日本(東日本,北日本)というように区分してとらえたり,これまで経験的に地理学習でよく使われてきた九州,中国・四国,近畿,中部,関東,東北,北海道の七地方に区分してとらえたりすることなどを意味している。また,例えば中部地方を北陸地方,中央高地,東海地方に分けるように,七地方区分の各地方を幾つかに分ける区分もみられる。
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さらに,気候区分のように地域の等質性に着目して地域区分したものや,商圏,都市圏などのように機能的に結び付く範囲によって地域区分したものなど,行政区分に基づかない地域区分もあることを意味している。
地域区分を扱う際には「日本の地域区分を扱う際には,都道府県の名称と位置のほかに都道府県庁所在地名も取り上げること」(内容の取扱い)とあるように,日本地図を使って都道府県の名称と位置を確認したり,自分の描いた略地図に位置と名称を書き込んだりする等の学習活動を取り入れるとともに,県庁所在地名も日本地図で確認したり,自然及び社会的条件という視点から各都道府県庁所在地の共通性を探りながら調べたりするなどの学習活動が考えられる。このような学習活動を行う場合には,生徒が小学校で学習した内容を整理し確認しながら学習を進め,都道府県の名称と位置及び都道府県庁所在地名を単に覚えるだけの学習活動にならないよう配慮する。また,内容の(2)「ウ日本の諸地域」においても適宜取り上げ,その知識の定着を図るよう指導を工夫することが必要である。
「日本の地域構成を大観させる」とは,以上述べてきたような学習などを通して,我が国の国土の地域構成を大まかにとらえられるようにすることを意味している。
「学習全体を通して,大まかに日本地図を描けるようにすること」(内容の取扱い)とは,この中項目の学習では,日本の略地図に日本の東西南北端などの領土の端を描き加えたり,様々な地域区分を描き入れたりするなどの活動を取り入れていくことで,日本の領域の広がりや東経135度の経線などに留意しつつ,日本を構成する主な島々の大まかな形状や位置関係が分かる程度の略地図が描けるようになることを意味している。
イ 世界と比べた日本の地域的特色
世界的視野や日本全体の視野から見た日本の地域的特色を取り上げ,我が国の国土の特色を様々な面から大観させる。
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(内容の取扱い)
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イ イの(ア)から(エ)で示した日本の地域的特色については,指導に当たって内容の(1)の学習成果を生かすとともに,日本の諸地域の特色について理解を深めるための基本的な事柄で構成すること。
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この中項目は,内容の(1)を踏まえ,世界的視野から日本を一つの地域として取り扱ったり,日本全体の視野から大まかな国内の地域差に着目させたりすることによって,我が国の国土の特色を理解させることを主なねらいとしている。このねらいを達成するため,この中項目は「(ア)自然環境」「(イ)人口」「(ウ)資源・エネルギーと産業」「(エ)地域間の結び付き」の四つの小項目から構成されている。
日本の地域的特色を(ア)から(エ)にみられるように,自然環境,人口,資源・エネルギーと産業,地域間の結び付きの四つの観点から理解させることとしたのは,@従前の「世界と比べて見た日本」の「(ア)自然環境から見た日本の地域的特色」「(イ)人口から見た日本の地域的特色」「(ウ)資源や産業から見た日本の地域的特色」「(オ)地域間の結び付きから見た日本の地域的特色」の四つの観点を踏まえたこと,A日本の地域的特色を一面的ではなく多面的に理解するための観点の調和を図ること,B四つの観点で扱う地理的事象は,七地方の区分を越えてみられるものが多いため,日本全体の視野から学習した方が,我が国の国土の特色や大まかな国内の地域差を理解しやすいことなどの点を配慮したためである。
「内容の(1)の学習成果を生かす」(内容の取扱い)ことを踏まえて世界的視野から日本の地域的特色を取り上げることについては,例えば,次の二つの場合を踏まえて比較し関連付けることが考えられる。@例えば世界の気候区分図のように,世界を大きく地域区分しているようなものである場合は,日本がどの気候区に位置付けられているかということから日本の地域的特色を理解する。A例えば産業統計のように,国を単位にして集計されているものについては,各国の比較によって日本の地域的特色を理解する。いずれの場合であっても日本を一つの地域として取り扱うことを工夫し,世界的視野から日本の地域的特色を理解する際の取り扱い方について学習するようにする。
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また,(ア)から(エ)の各小項目で取り扱う日本の地域的特色を具体的に示したのは,「基本的な事柄で構成する」(内容の取扱い)ためである。ここでは,細部にわたる事柄を扱わずに,地図帳を十分に活用しながら日本全体としての地域的特色を理解させることが大切である。なお,この後の中項目の「ウ日本の諸地域」では,日本の様々な地域を取り上げて学習するため,ここでは事例地域を通した具体的な取扱いはしない。
(ア) 自然環境
世界的視野から日本の地形や気候の特色,海洋に囲まれた日本の国土の特色を理解させるとともに,国内の地形や気候の特色,自然災害と防災への努力を取り上げ,日本の自然環境に関する特色を大観させる。
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この小項目は,我が国の地域的特色を自然環境の面から理解させることを主なねらいとしている。
「世界的視野から日本の地形や気候の特色,海洋に囲まれた日本の国土の特色を理解させる」とは,世界には大地の不安定な地域もあれば安定した地域もある中で,我が国は環太平洋造山帯に属して地震や火山の多い不安定な大地上に位置していること,世界を気候や植生に着目してみると,熱帯から寒帯,砂漠から森林におおわれた地域までみられる中で,我が国の多くの地域は温帯に属し,降水量も多く,森林,樹木が成長しやすい環境にあること,日本の国土は海に囲まれ多くの島々から構成されていること,近海は海底に大陸棚が広がり,寒暖の海流が出会い世界的な漁場となっていることといった程度の内容を取り扱うことを意味している。
「国内の地形の気候の特色,自然災害と防災への努力を取り上げ,日本の自然環境に関する特色を大観させる」とは,我が国の地形や気候と関連する自然災害と防災への努力を取り上げることで,日本全体の視野から日本の自然環境を大きくとらえることを意味している。例えば,地形的にはフォッサ・マグナを境にして,西南日本には東西の方向に,東北日本には南北の方向に背骨のように山脈が走り,堆積(たいせき)平野の特色をもった規模の小さな平野が臨海部に点在していること,海岸線では砂浜海岸や岩石
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海岸などから構成され多様な景観がみられること,また気候的には,南と北,太平洋側と日本海側,内陸部と臨海部とで,気温,降水量とその月別の変化などに違いがみられ,それらを基にして各地の気候を比較すると幾つかに気候区分できること,さらに自然災害の面からみると地震や台風などの多様な自然災害の発生しやすい地域が多く,そのため早くから防災対策に努めてきたといった程度の内容を取り扱うことを意味している。
(イ) 人口
世界的視野から日本の人口と人口密度,少子高齢化の課題を理解させるとともに,国内の人口分布,過疎・過密問題を取り上げ,日本の人口に関する特色を大観させる。
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この小項目は,我が国の地域的特色を人口の面から理解させることを主なねらいとしている。
「世界的視野から日本の人口と人口密度,少子高齢化の課題を理解させる」とは,我が国は人口が1億人を超える数少ない国の一つであること,世界の人口分布図をみると,不均等な分布が目立つ中で,我が国は人口集中地域の一つになっていること,また,世界には人口の増減や移動などに伴う様々な人口問題がみられる中で,我が国の場合は世界に類をみない速さで少子化,高齢化が進んだことに伴う課題に直面していることに特色がみられるといった程度の内容を取り扱うことを意味している。その際に,人口分布図や人口ピラミッドを読み取る作業を取り入れるなどの工夫が必要である。
「国内の人口分布,過疎・過密問題を取り上げ,日本の人口に関する特色を大観させる」とは,世界的視野で見ると日本全体が人口集中地域になっているようにみえるが,日本の人口分布をみると,不均等な分布がみられ,平野部への人口集中が目立つ一方で山間部は人口の希薄な地域になっていること,平野部には大都市圏が発達して過密地域が,山間部には集落がまばらに点在しているような過疎地域がみられるといった程度の内容を取り扱うことを意味している。
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(ウ) 資源・エネルギーと産業
世界的視野から日本の資源・エネルギーの消費の現状を理解させるとともに,国内の産業の動向,環境やエネルギーに関する課題を取り上げ,日本の資源・エネルギーと産業に関する特色を大観させる。
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この小項目は,我が国の地域的特色を資源・エネルギーと産業の面から理解させることを主なねらいとしている。
「世界的視野から日本の資源・エネルギーの消費の現状を理解させる」とは,世界にはエネルギー資源や鉱産資源が不均等に分布する中で,それらの資源に恵まれている国や恵まれていない国がみられるが,我が国はそれらの資源のほとんどに恵まれていないため,我が国で消費するそれらの資源の大部分を海外からの輸入に依存していることといった程度の内容を取り扱うことを意味している。
「国内の産業の動向,環境やエネルギーに関する課題を取り上げ,日本の資源・エネルギーと産業に関する特色を大観させる」とは,世界的視野で見ると我が国は先進工業国ととらえられているが,日本全体の視野で見ると,例えば太平洋ベルトには,工業や流通,金融,情報などに関する産業の盛んな地域がみられ,日本海側や北海道などには農業や水産業,地場産業,観光産業の盛んな地域がみられるなど,自然及び社会的条件によって産業の地域的分業が進み,交通機関の発達などによって各産業地域は変容しているといった程度の内容を取り扱うことを意味している。また,世界的視野から見ると,我が国は資源やエネルギーの大量消費に伴う環境問題,エネルギー問題を抱えた国の一つであるが,日本全体の視野で見ると,その現れ方には地域差がみられることや,風力発電や太陽光発電などの新しいエネルギーの開発に努力しているといった程度の内容を取り扱うことを意味している。
(エ) 地域間の結び付き
世界的視野から日本と世界との交通・通信網の発達の様子や物流を理解させるとともに,国内の交通・通信網の整備状況を取り上げ,日本と世界の結び付きや国内各地の結び付きの特色を大観させる。
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この小項目は,我が国の地域的特色を地域間の結び付きの面から理解させることを主なねらいとしている。
「世界的視野から日本と世界との交通・通信網の発達の様子や物流を理解させる」とは,世界の空や海の交通網そして通信網をみると,それらが集中する拠点が幾つかみられる中で,日本もその一つに数えられること,物資の国際間の移動の様子をみると,日本は世界的にみても活発であることから世界各地と強く結び付いていること,しかし,そうした結び付きをよくみると,様々な面で強く結び付いている地域や,特定のことで結び付いている地域,相対的にみてまだ結び付きの弱い地域がみられるといった程度の内容を取り扱うことを意味している。
「国内の交通・通信網の整備状況を取り上げ,日本と世界の結び付きや国内各地の結び付きの特色を大観させる」とは,我が国では,新幹線,高速道路,航路・航空路網,情報通信ネットワークなどの整備が進み,国内各地の時間的な距離が短縮され,それに伴って各地域間の結び付きが変化していること,しかし,地方都市間では時間的な距離が短縮されていないところもあるといった程度の内容を取り扱うことを意味している。
ウ 日本の諸地域
日本を幾つかの地域に区分し,それぞれの地域について,以下の(ア)から(キ)で示した考察の仕方を基にして,地域的特色をとらえさせる。
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(内容の取扱い)
ウ ウについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 地域区分については,指導の観点や学校所在地の事情などを考慮して適切に決めること。
(イ) 指導に当たっては,地域の特色ある事象や事柄を中核として,それを他の
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事象と有機的に関連付けて,地域的特色を追究するようにすること。
(ウ) (ア)から(キ)の考察の仕方については,学習する地域ごとに一つ選択すること。また,ウの学習全体を通してすべて取り扱うこと。
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この中項目は,日本を幾つかの地域に区分し,それぞれの地域の特色ある地理的事象や事柄を他の事象と有機的に関連付けて追究する活動を通して,日本の諸地域の地域的特色をとらえさせることを主なねらいとしている。
この中項目の学習は,日本の様々な地域を地誌的に取り上げて我が国の国土に対する認識を深めさせるものであり,小,中,高等学校の一貫性の観点からみると,中学校社会科地理的分野を特色付ける学習といえる。ただし,それぞれの地域の学習で「自然の特色」「産業の特色」などの項目を羅列的,並列的に取り上げると,学習内容が過剰となり,生徒の学習負担が大きくなるとともに地域的特色を理解することも困難となる。そこで,この中項目の指導に当たっては「地域の特色ある事象や事柄を中核として,それを他の事象と有機的に関連付けて,地域的特色を追究するようにすること」(内容の取扱い)とし,動態的に扱うようにしたものである。
また,この中項目の学習では,「事象の特色や事象間の関連を説明する学習などを通して,社会的な見方や考え方を養う」(中央教育審議会答申)ことを踏まえ,「(ア)から(キ)で示した考察の仕方を基にして,地域的特色をとらえさせる」ようにしている。したがって,指導内容の構成については,@「(ア)から(キ)で示した考察の仕方」を基にして,地域の特色を端的に示す地理的事象を選択し,それを中核として指導内容を構成すること,Aその際,中核とした地理的事象は,他の事象ともかかわり合って成り立っていることに着目して,それらを有機的に関連付けるかたちで取り上げること,B調べ,追究する学習活動を通して地域的特色をとらえさせること,などに留意する必要がある。
なお,「(ア)から(キ)の考察の仕方については,学習する地域ごとに一つ選択すること」(内容の取扱い)と示されていることから,学習するそれぞれの地域についての指導内容は,「(ア)から(キ)で示した考察の仕方」の中から一つを選択し,それに基づいて構成することとなる。これは,地域の特色を網羅的,並列的に扱うのではなく,
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あくまでも中核とした地理的事象を他の事象と有機的に関連付けて追究する学習活動を展開することを求めている。そして,この学習の結果,学習した地域の特色がある程度総合的にとらえられるようにすることを期待している。「また,ウの学習全体を通してすべて取り扱うこと」(内容の取扱い)とは,この中項目の学習が,特定の「考察の仕方」に偏った学習にならないよう,(ア)から(キ)で示したすべての「考察の仕方」を取り扱う必要があることを示している。
「日本を幾つかの地域に区分」するに当たっては,「(ア)から(キ)で示した考察の仕方」に基づいて適切に地域的特色を追究できるよう,地域の規模や等質地域,機能地域といった地域のとらえ方にも留意するなど,「指導の観点や学校所在地の事情などを考慮して適切に決めること」(内容の取扱い)を踏まえて地域区分し,この中項目の学習を通して,我が国の国土に対する認識を深めることができるようにすることが大切である。その際,地理的分野の目標は国土のすみずみまで細かく学習させなくても達成できるということに配慮し,地域区分を細分化し過ぎないようにする。地域の区分は,「(ア)から(キ)の考察の仕方については,学習する地域ごとに一つ選択すること」(内容の取扱い)と示されていることから,最低でも日本を七つの地域に区分することになる。また,「指導の観点や学校所在地の事情など」を考慮して,七つよりも多くの地域に区分することも考えられる。いずれの場合でも,「(ア)から(キ)の考察の仕方」を「ウの学習全体を通してすべて取り扱うこと」(内容の取扱い)ができるように計画的に指導することを求めている。地域の指導の順序についても,「指導の観点や学校所在地の地域の事情などを考慮して適切に決めること」(内容の取扱い)に留意する必要がある。
「以下の(ア)から(キ)で示した考察の仕方」とは,「(ア) 自然環境を中核とした考察」「(イ) 歴史的背景を中核とした考察」「(ウ) 産業を中核とした考察」「(エ) 環境問題や環境保全を中核とした考察」「(オ) 人口や都市・村落を中核とした考察」「(カ) 生活・文化を中核とした考察」「(キ) 他地域との結び付きを中核とした考察」の七つである。これらの「考察の仕方」は,中核とした地理的事象と,それをどのような他の事象と関連付け,どのようなことに着目して考察すればよいのか,地域的特色を追究し考察する方法を示しており,このような学習を通して地理的な見方や考え方の基礎
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を培うことができる。
日本の諸地域の地域的特色を,(ア)から(キ)の「考察の仕方」を基にしてとらえることとしたのは,@内容の(2)の「イ世界と比べた日本の地域的特色」の「(ア) 自然環境」「(イ) 人口」「(ウ) 資源・エネルギーと産業」「(エ) 地域間の結び付き」の四つの小項目との関連を踏まえたこと,A「地域の諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ」「それを地域の規模に応じて環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察」「(地域は)相互に関係し合っていること(…を理解させる)」(目標の(2),(3))などの地理的な見方や考え方の基礎を培うことを踏まえたこと,B生徒が,地理的事象を多面的・多角的に追究し,その特色や事象間の関連を説明する学習を展開するのに適した観点であること,C国際化,都市化,情報化などの社会の変化に対応して,地域の動向や課題をとらえさせるのに適した観点であることなどを考慮したためである。
「地域的特色をとらえさせる」に当たっては,「以下の(ア)から(キ)で示した考察の仕方」を基にして,「地域の特色ある事象や事柄を中核として,それを他の事象と有機的に関連付けて,地域的特色を追究するようにすること」(内容の取扱い)に留意する必要がある。「有機的に関連付け」とは,地域の特色は,様々な事象が結び付き,影響を及ぼし合って成り立っていることに着目して,地域的特色を中核となる地理的事象と他の事象との関連からとらえ,その成り立ちを考察することを意味している。
また,「追究するようにすること」とは,生徒が,地理的事象を見いだしてその特色を調べたり,事象間の関連を考察したりして,地域的特色をとらえていくような学習活動を求めたものである。したがって,「(ア)から(キ)の考察の仕方」を基にして,地域的特色を追究するための適切な課題を設定し,様々な資料を適切に活用して地域的特色を考察し,追究した過程や結果を適切に表現するといった学習活動を,生徒に実際に取り組ませるようにすることが大切である。その際,この中項目全体を通して「地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること」(内容の取扱い(2)ア)に留意する必要がある。
(ア)から(キ)の各考察の仕方ごとの学習は,概略,以下のように構想することが考え
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られる。
(ア) 自然環境を中核とした考察
地域の地形や気候などの自然環境に関する特色ある事象を中核として,それを人々の生活や産業などと関連付け,自然環境が地域の人々の生活や産業などと深い関係をもっていることや,地域の自然災害に応じた防災対策が大切であることなどについて考える。
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「地域の地形や気候などの自然環境に関する特色ある事象を中核として」とは,例えば,「火山が多く分布し,火山灰が厚く堆積している地域がみられる」「比較的温暖な地域であるが,台風の襲来による自然災害が多い」といった,地域の自然環境に関する特色ある地理的事象に着目し,それを中核として地域的特色をとらえさせることを意味している。
それを,人々の生活や産業などに関する地理的事象と関連付けて追究し,考察することで,「火山灰の堆積した台地を開発して茶の栽培や畜産を発達させている」「温暖な気候を生かし花卉(き)栽培を営む農業の工夫がある」「台風に備えた生活の工夫をしている」などといった,地域的特色をとらえることができる。したがって,単に地域の自然環境の特色を羅列的に扱うのではないことに留意する必要がある。
「自然環境が地域の人々の生活や産業などと深い関係をもっていることや,地域の自然災害に応じた防災対策が大切であることなどについて考える」については,地域の地理的事象の形成や特色を理解するためには,自然環境が人々の生活や産業などの人々の営みと深い関係をもっていることや,様々な自然災害に対する防災対策が必要であることなどを踏まえて考察することが必要であることを意味している。
なお,(ア)から(キ)の「考察の仕方」の説明の中で,中核とした地理的事象に関連付ける「他の事象」について,例えば「人々の生活や産業など」と,「など」を付けて示したのは,学習する地域の特色をとらえる上で適切な事象を適宜選択して取り上げることを意味している。また,考察する内容についても「など」を付けて示したのは,中核とした事象や事柄と適宜選択して取り上げた事象との関連で様々な考察が可能で
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あることを意味している。
(イ) 歴史的背景を中核とした考察
地域の産業,文化の歴史的背景や開発の歴史に関する特色ある事柄を中核として,それを国内外の他地域との結び付きや自然環境などと関連付け,地域の地理的事象の形成や特色に歴史的背景がかかわっていることなどについて考える。
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「地域の産業,文化の歴史的背景や開発の歴史に関する特色ある事柄を中核として」とは,地域を特色付ける産業や文化が形成された歴史的背景や開発の歴史に関する特色ある事柄に着目し,それを中核として地域的特色をとらえさせることを意味している。
「それを国内外の他地域との結び付きや自然環境などと関連付け」については,例えば,地域の地理的位置の変容を他地域との結び付きの変化との関連でとらえたり,地域の産業や開発の動向を自然環境への働きかけという観点から関連付けたりして追究することが考えられる。
「地域の地理的事象の形成や特色に歴史的背景がかかわっていることなどについて考える」については,地域の地理的事象の形成や特色を理解するためには,地理的位置の変化や地理的事象が成立した歴史的背景をとらえるなど地理的条件と歴史的条件とのかかわりなどを踏まえて考察することが必要であることを意味している。
(ウ) 産業を中核とした考察
地域の農業や工業などの産業に関する特色ある事象を中核として,それを成立させている地理的諸条件と関連付け,地域に果たす産業の役割やその動向は他の事象との関連で変化するものであることなどについて考える。
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「地域の農業や工業などの産業に関する特色ある事象を中核として」とは,地域の産業に関する特色ある地理的事象に着目し,それを中核として地域的特色をとらえさ
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せることを意味している。
「それを成立させている地理的諸条件と関連付け」については,産業の立地は,幾つかの地理的諸条件が関連し合って作用していることに留意し,例えば,野菜産地を成立させている要因を,気候や土壌などの自然的条件と,消費地との位置関係や他産地との競合関係,生産に携わる人々の工夫などといった社会的条件との両面から関連付けて地域的特色を追究することが考えられる。
「地域に果たす産業の役割やその動向は他の事象との関連で変化するものであることなどについて考える」については,地域の地理的事象の形成や特色を理解するためには,特色ある産業地域の形成など産業が地域において果たしている役割や地域の産業の動向は,それを成立させている地理的諸条件の変化や他地域との関係などに伴って変化するものであることなどを踏まえて考察することが必要であることを意味している。
(エ) 環境問題や環境保全を中核とした考察
地域の環境問題や環境保全の取組を中核として,それを産業や地域開発の動向,人々の生活などと関連付け,持続可能な社会の構築のためには地域における環境保全の取組が大切であることなどについて考える。
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「地域の環境問題や環境保全の取組を中核として」とは,地域の環境問題や環境保全の取組に関する特色ある地理的事象に着目し,それを中核として地域的特色をとらえさせることを意味している。
「それを産業や地域開発の動向,人々の生活などと関連付け」については,地域の産業の動向,地域開発の動向,人口の過密化,都市化といった地域の変容や人々の生活様式の変化などを取り上げ,これらと関連付けて地域的特色を追究することが考えられる。
「持続可能な社会の構築のためには地域における環境保全の取組が大切であることなどについて考える」については,地域の地理的事象の形成や特色を理解するためには,持続可能な地域社会の構築のためには地域の環境負荷を最小限にとどめ,環境保
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全の取組が大切になることなどを踏まえて考察することが必要であることを意味している。
(オ) 人口や都市・村落を中核とした考察
地域の人口の分布や動態,都市・村落の立地や機能に関する特色ある事象を中核として,それを人々の生活や産業などと関連付け,過疎・過密問題の解決が地域の課題になっていることなどについて考える。
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「地域の人口の分布や動態,都市・村落の立地や機能に関する特色ある事象を中核として」とは,例えば,都市部への人口流入と過密化,過疎化,都市圏の成立など,人口や都市・村落に関する特色ある地理的事象に着目し,それを中核として地域的特色をとらえさせることを意味している。
「それを人々の生活や産業などと関連付け」については,例えば,過疎化する地域の居住環境と人々の生活の変容,都市の発展と商業地域の形成など,人々の生活や産業の動向などと関連付けて地域的特色を追究することが考えられる。
「過疎・過密問題の解決が地域の課題になっていることなどについて考える」については,地域の地理的事象の形成や特色を理解するためには,過疎・過密地域の抱える問題を具体的にとらえさせ,これを基にして過疎・過密問題の解決が地域の課題になっていることなどを踏まえて考察することが必要であることを意味している。
(カ) 生活・文化を中核とした考察
地域の伝統的な生活・文化に関する特色ある事象を中核として,それを自然環境や歴史的背景,他地域との交流などと関連付け,近年の都市化や国際化によって地域の伝統的な生活・文化が変容していることなどについて考える。
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「地域の伝統的な生活・文化に関する特色ある事象を中核として」とは,例えば,伝統的な町並みの保存や伝統行事の継承,伝統的な地場産業などの地域の伝統的な生活・文化に関する特色ある地理的事象に着目し,それを中核として地域的特色をとら
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えさせることを意味している。
「それを自然環境や歴史的背景,他地域との交流などと関連付け」については,伝統的な生活・文化に関する諸事象を成立させている諸条件やその諸事象の変容を,自然環境や歴史的背景,他地域との交流などと関連付けて追究することが考えられる。
「近年の都市化や国際化によって地域の伝統的な生活・文化が変容していることなどについて考える」については,地域の地理的事象の形成や特色を理解するためには,交通・通信が発達し,都市化や国際化,情報化が進展して地域間の交流が活発化する中で,各地域の人々の生活は同質化が進み,伝統的な生活・文化が変容している一方,地域の伝統や文化を見直し,それを守り育てる活動も盛んになってきていることなどを踏まえて考察することが必要であることを意味している。
(キ) 他地域との結び付きを中核とした考察
地域の交通・通信網に関する特色ある事象を中核として,それを物資や人々の移動の特色や変化などと関連付け,世界や日本の他の地域との結び付きの影響を受けながら地域は変容していることなどについて考える。
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「地域の交通・通信網に関する特色ある事象を中核として」とは,例えば,高速道路や新幹線などの高速交通網の整備と他地域との結び付きの変化,インターネットの普及など通信網の発達,情報化に伴う都市の変化など,地域の交通・通信網に関する特色ある地理的事象に着目し,それを中核として地域的特色をとらえさせることを意味している。
「それを物資や人々の移動の特色や変化などと関連付け」については,例えば,生産地と消費地の間の物資の移動,観光地の成立と観光客の移動といった物資や人々の移動の特色,鉄道の開通に伴う通勤圏の変化などの諸事象と関連付けて追究することが考えられる。
「世界や日本の他の地域との結び付きの影響を受けながら地域は変容していることなどについて考える」については,地域の地理的事象の形成や特色を理解するためには,他地域との結び付きの関係には,相互依存関係や競合関係など様々な関係があり,
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また,それらの関係は社会の変化などに伴い変化していくことや,世界や日本の他の地域との結び付きの影響を受けながら地域は変容していることなどを踏まえて考察することが必要であることを意味している。
次に,この中項目における学習展開例を二つ示す。これらは,あくまでも例示であり,各学校においてそれぞれの地域について例示と異なる事象や事柄を中核として考察を行うことができるのは,当然である。例えば,「(イ) 歴史的背景を中核とした考察」を基にする場合,次のような学習展開が考えられる。
<地域の特色を示す地理的事象を見いだす段階>
例えば,北海道地方を取り上げる場合,内容の(2)の「イ世界と比べた日本の地域的特色」の学習成果を活用し,日本全体の視野から北海道地方の特色を見ると,「食料生産の盛んな地域である」などといった特色をとらえることができる。また,北海道地方各地の景観を地図や景観写真などの資料から読み取り,比較すると,「大規模に区画された農地が広がっている」「市街地が碁盤の目につくられている」といった,北海道地方の産業や開発の歴史に関連する地理的事象を見いだすことができる。
<中核とした事柄を他の事象と関連付けて追究する段階>
そこで,このような北海道地方を特色付ける地理的事象は,どのように形成されたのか,歴史的背景や開発の歴史に関する特色ある事柄を中核として追究する。
例えば,「北海道地方では,どのようにして特色ある農地の開発や街づくりが進められていったのか」という課題を設定して,開拓使や屯田兵村の設置と石狩平野の開発,十勝平野や根釧台地の開発など,北海道の開発の歴史に関する特色ある事柄を中核に据えて多面的・多角的に調べ,考察させることが考えられる。
例えば,これらの事柄を自然環境と関連付けてとらえることで,北海道地方の冷涼な気候や土壌などの特色,自然環境へ働きかけ開発に努力した人々の営み,稲作拡大の様子や畑作,酪農地域の分布の特色などが理解できる。また,都市・村落の立地や人口移動と関連付けることで,開拓使や屯田兵村の設置を出発点として,その後も計画的な都市開発や農地の開拓が行われた歴史的背景が,北海道
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の特徴的な景観の形成にかかわっていることなどがとらえられる。
<追究の過程や結果を表現する段階>
学習のまとめとして,北海道の開発の歴史に関する事柄を中核として,それを自然環境や都市・村落などと関連付けて追究した過程や考察の結果を,地図を活用して表現したり,事象間の関連を互いに説明したりするなどの言語活動を位置付ける。
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学習展開例の二つ目として,「(ウ) 産業を中核とした考察」を基にする場合,次のような学習展開が考えられる。
<地域の特色を示す地理的事象を見いだす段階>
例えば,中部地方を取り上げ,全国規模の主題図や都道府県別の統計などの資料を活用して日本全体の視野から中部地方の特色を見ると,「太平洋側の愛知県や静岡県は,全国的にみて工業生産額が高い」「日本海側は全国的にみて水田率の割合が高い」「中央部の長野県や山梨県では果樹の生産額が高い」といった産業に関する特色をとらえることができる。また,地図帳を活用して中部地方を概観すると,「太平洋側に輸送機械工業が集積している地域がみられる」「中央部の盆地で果樹園が,八ヶ岳周辺で畑の分布がみられる」「日本海側では平野部を中心に田が卓越している」といった地理的事象を見いだすことができる。
<中核とした地理的事象を他の事象と関連付けて追究する段階>
そこで,例えば「全国的にみて,各産業に占める中部地方の割合が高い理由を追究しよう」といった課題を設定して,中部地方の産業に関する特色ある地理的事象を取り上げ中核に据える。そして,それを自然環境や消費地,原料供給地との関係など,その産業を成立させている地理的諸条件と関連付けて追究する。その際,前述の課題を追究するために「日本海側で稲作が盛んな理由を調べよう」「愛知県や静岡県で輸送機械工業が発達した理由を調べよう」といったサブテーマを設定し,地域を細分して学習することも考えられる。
そのような各地域の産業の立地や動向などについての追究を通して,中部地方
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の地域的特色を理解させる。その際,それぞれの地理的事象を追究した結果を比較することで,例えば「東海地域と中央高地の野菜生産を比べると,名古屋や東京など大消費地との位置関係が影響している点が共通している」「地域の産業の動向は,技術の発達や他地域との関係などにより変容している」といった共通性についてもとらえさせることが望まれる。また,「水田単作を特色とする北陸地域」といった地域の等質性に着目させ,改めて地域区分の意味を考えさせることもできる。
<追究の過程や結果を表現する段階>
学習のまとめとして,中部地方の産業に関する地理的事象を中核として,それを成立させている地理的諸条件と関連付けて追究した過程や考察の結果を,分布図や地図などを活用して発表したり,簡単な説明文にまとめたりするなどの言語活動を位置付ける。
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このように,中核とした地理的事象や事柄を,他の事象と有機的に関連付けて追究する学習活動を展開する中で,学習した地域の特色をある程度総合的にとらえることができるようにする。また,単に地域的特色をとらえさせるだけでなく,事象間の関連を考察しながら,地理的な見方や考え方の基礎をはぐくむことが大切である。
エ 身近な地域の調査
身近な地域における諸事象を取り上げ,観察や調査などの活動を行い,生徒が生活している土地に対する理解と関心を深めて地域の課題を見いだし,地域社会の形成に参画しその発展に努力しようとする態度を養うとともに,市町村規模の地域の調査を行う際の視点や方法,地理的なまとめ方や発表の方法の基礎を身に付けさせる。
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(内容の取扱い)
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エ エについては,学校所在地の事情を踏まえて観察や調査を指導計画に位置付け実施すること。その際,縮尺の大きな地図や統計その他の資料に親しませ,それらの活用の技能を高めるようにすること。また,観察や調査の結果をまとめる際には,地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,意見交換をしたりするなどの学習活動を充実させること。
なお,学習の効果を高めることができる場合には,内容の(2)のウの中の学校所在地を含む学習と結び付けて扱ってもよいこと。
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この中項目は,直接経験地域の地理的事象を学習対象として,観察や調査などの活動を通して,身近な地域に対する理解と関心を深めさせるとともに,市町村規模の地域の調査を行う際の視点や方法を身に付けさせることを主なねらいとしている。また,世界と日本の様々な地域を学習した後に位置付けることで,既習知識,概念や技能を生かすとともに,地域の課題を見いだし考察するなどの社会参画の視点を取り入れた探究型学習を地理的分野の学習のまとめとして行うことが期待されている。
身近な地域は,生徒が生活舞台にしている地域であり,学習対象を生徒が直接体験できるといった特質を有している。それだけに,この項目では地理的事象を見いだし,事象間の関連の発見過程を体験し,地理的な追究の面白さを実感させる体験的,作業的な学習を通して,生徒が生活している地域に対する理解と関心を深めさせ,地域社会の形成に参画しその発展に努力しようとする態度を育てることと,地理的な見方や考え方の基礎を培うことが大切である。
「身近な地域における諸事象を取り上げ」とは,生徒が直接的に調査できる地理的事象を取り上げることを意味している。換言すれば,生徒の日常の生活圏や行動圏を踏まえて設定した地域にみられる事象,あるいは5万分の1よりも縮尺の大きな地図で読み取れる事象ということもできる。なお,学習対象としての「身近な地域」は,学区域を基に,生徒の日常の生活圏や行動圏を考慮して適切に設定することが大切である。また,「市町村規模」とは,「身近な地域」の学習を通してとらえることのできる,いわば直接経験地域の規模のことであり,それを行政区を使って示したものである。したがって,この項目における学習対象地域は必ずしも行政区の市町村を意味しているわけでなく,実際には市町村より小さな学区域を基にした地域であったり,
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複数の市町村にわたって設定したりする場合が考えられる。
「観察や調査などの活動を行い」の「観察や調査」とは,野外での観察や地域調査を意味している。この項目は,地域に広がる景観を対象にしてその中から地理的事象を見いだし,自分たちの観察や調査の活動を通して資料を作り,それらを基に地域的特色をとらえたり地域の課題を見いだし考えたりすることができるといった点に特質がある。それだけに,野外での観察や調査は重要な役割を担っており,各学校は,「学校所在地の事情を踏まえて観察や調査を指導計画に位置付け」(内容の取扱い)て実施する必要がある。その際,「学校所在地の事情を踏まえて」とは,例えば,都市部の地域の学校と農村部の地域の学校とでは,学区域の大きさや取り上げる事象,訪問先などに違いがあることから,それぞれの地域の事情を踏まえた観察や調査を工夫する必要があることを示している。また,「指導計画に位置付け」とは,野外での観察や調査を実施するに当たっては,地域の人々の協力を得るなど事前の準備が必要になってくることなどから,年間計画にしっかりと位置付けて実施するようにする必要があることを意味している。なお,「観察や調査など」の「など」は,「学校所在地の事情」などから野外での観察や調査の実施が困難な場合,地図,画像,統計などを基に地理的事象を読み取り,調べ,追究する学習を行うことを考慮したものである。
「生徒が生活している土地に対する理解と関心を深め」とは,身近な地域は生徒が生活舞台にしている所であり,そのため,小学校の学習成果を踏まえるとともに中学生の発達段階を考慮して,生徒にとって新しい視点から地域の課題を考える工夫が必要であることを意味している。そして,身近な地域に対する理解と関心を,新しい側面をとらえさせる学習を通して深め,身近な地域の発展に努力しようとする態度を育てるようにすることが大切である。
「地域の課題を見いだし,地域社会の形成に参画しその発展に努力しようとする態度を養う」とは,改正された教育基本法や学校教育法で明記された,「公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養う」ことを受け,社会参画の視点を重視して,この身近な地域の調査の学習を進めることを意味している。
従来の身近な地域の調査では,身近な地域に対する理解と関心を深めることと,市
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町村規模の地域の調査を行う際の視点や方法を身に付ける学習の中で地理的な見方や考え方の基礎を培うことを主なねらいとしていた。今回の改訂では社会参画の視点からそのねらいを明確にするため,目標の(1)の解説中に示した「地理的な見方や考え方」を構成する一つの柱である「地域の変容をとらえ,地域の課題や将来像について考える」ための学習を充実させるようにしたものである。
「地域の課題」を見いだすに当たっては,位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえる地理的事象に関する地域の課題を扱い,地方財政などの公民的分野の学習内容に関する地域の課題とは区別して扱うことが必要である。
「市町村規模の地域の調査を行う際の視点や方法」は,地域的特色をとらえるとともに,地域の課題を見いだし,考察するための視点や方法でもある。この場合の「視点」は,一般的に地域的特色をとらえる地域の環境条件,他地域との結び付き,人々の営み及びそれらの相互関係を基本とし,「市町村規模」という直接経験地域であることを踏まえ,その地域の地域的特色が生徒にとってとらえやすく,地域の課題が明らかになるように設定する必要がある。また,この場合の「方法」とは,野外での観察や調査が中心となる。
直接経験地域であることを踏まえた身近な地域の調査には,次のような特質がある。
第1は,既述のとおり,景観を対象にして観察,調査し,それを基に地域の課題を見いだし,考察することができるということである。第2は,自分たちの観察や調査の活動を通して資料を作り,それを基に地域の課題を見いだし,考察することができるということである。第3は,季節の変化などを考慮して1年間を通じて地域の課題を見いだし,考察することができるということである。第4は,生徒の生活とかかわる地域なので課題を見いだし,考察しやすく,互いにその課題について意見交換をしやすいということである。
第1の特質にある景観は,地域の環境条件,他地域との結び付き,そこに居住する人々の営みを総合的に反映している。したがって,景観から読み取った地理的事象を追究すると,他の要素も有機的に関連付けられ,地域的特色をとらえ,地域の課題を総合的に見いだし,考察する基本を学習することができる。一方,景観は現実,現状そのものであり,地図や統計などのようにある規則の下に必要なものだけを取り出す
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といった作業を経ておらず,このため,様々な事象が取捨選択されることなく存在し広がっている。それだけに,どのような事象に着目し何を捨象するか,取捨選択して残った事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでどのようにとらえるか,すなわち,地理的事象としてどう見いだすかといった能力が問われることになる。したがって,そうした学習は景観をみる観察眼を磨き,地理的事象を自ら見いだす能力を培う上で効果的である。地域に広がる景観を対象にして観察,調査を行うことは地理学習の基礎であり,重視して扱うことが必要である。
また,第2の特質に関連して,例えば地域住民を対象にした聞き取り調査やアンケート調査も,この規模ならではの調査方法として考えられる。その際,安全面への配慮を十分に行うとともに,地域社会の人々との触れ合いの場を大切にし,日常的なあいさつや調査目的に沿った会話ができるようにするなどの機会として活用することにも留意する必要がある。さらに,第3の特質に関連して,一般に既製の地図や統計では季節性が考慮されていないことが多いことから,例えば季節ごとの土地利用を調べて図を作り,比較するなどの工夫をすることが考えられる。第4の特質に関連して,言語力育成の観点から,例えば生徒の日常の生活にかかわる地域の課題に対してその要因を分析し,問題の所在や将来の姿を提案し,互いに意見交換を図ることなどが考えられる。
この中項目における,地域的特色をとらえ,地域の課題を見いだし,考察するための調査項目例として,都市部の地域では地域の人口の推移,周辺の店舗,公共機関,事業所,歴史的遺産などの種類や分布,地形,建物の形状,公共交通機関のルートや道路の幅や形状などが考えられる。また,農村部の地域では生産物の種類やその自然的条件や社会的条件を踏まえた栽培方法や土地利用,農業用水路のルートなどが考えられる。生徒はこのような調査項目で分布図や主題図を作成することで,対象とする地理的事象やその空間的な配置や秩序を成り立たせている背景や要因をとらえやすくなる。
地域の課題は,国際化,情報化,交通の発達,高齢化,防災,環境保全等の面から地域の変容をたどったり,予測したりすることで見いだしやすくなる。例えば人口の集中した都市部の地域では,地域住民の高齢化が進んでも暮らしやすい街であるのか,
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またハザードマップから人口規模に対して地域住民の安全が守られる街になっているのかなどの課題が考えられる。一方,地方の農村部の地域では,国内の他の地域や外国からの農作物が市場に出回ってきても,この地域では同じ農作物の栽培が維持できるのか,一方,農地の宅地化が進むとどのような課題が出てくるのかなどの課題が考えられる。
「地理的なまとめ方や発表の方法」とは,「観察や調査の結果をまとめる際には,地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,意見交換したりするなどの学習活動を充実させること」(内容の取扱い)とあるように,観察や地域調査の結果を,地域の課題と関連付けてまとめることと,地図化するなどの工夫をして表現し,発表することの二つを意味している。
なお,観察や調査結果をまとめたり発表したりする際には,観察や調査結果だけでなく,観察や調査結果を基に各自が解釈をすることを重視する観点から,結果を根拠に合理的な解釈になるよう意見交換しながら,多面的・多角的に追究したことが分かるようなまとめ方や表現の方法を工夫することが大切である。また,発表や論述する場合において,調査結果から読み取れた事実なのか,それに基づいた自分の解釈なのかが明確に区別できるように表現する必要がある。
身近な地域の調査の進め方としては,例えば次のような手順が考えられる。
@ 取り上げる地理的事象を決める。
A 地理的事象をとらえる調査項目を決め,野外での観察や調査を行う。
B とらえた地理的事象について分布図等に表す。
C 傾向性や規則性を見いだし,地形図や関係する主題図と見比べてみる。
D 地理的事象を成り立たせている要因を調べ,関連を調査する。
E 地域的特色としてまとめ,地域の課題や将来像について考察し意見交換する。
F 地図等に分かりやすくまとめ,調査結果を発表する。
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人口の推移を中心にした調査例として,例えば,次のような学習展開が考えられる。
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<学習展開の概略>
まず,学区域を野外観察させる中で,生徒は農地の宅地化が進んできていることや郊外型の大型店舗には多くの客が集まってきていることに気付き,学区域の人口の推移に着目する。次に地図を活用して学区域をさらに細かい地域に分け,その細かい地域ごとに人口の増減についての地域的傾向性に気付かせ,人口分布の偏りが顕著になっているという地域的特色をとらえさせる。次に,このような人口の分布がさらに顕著になった場合,新たに出てくる課題について調べた地域の変容の資料を基に根拠を示しながら,小グループでの意見交換を通して考えさせる。
<主題図の作成について>
観察や調査の結果をまとめさせる際には,対象としている地域の縮尺の大きい都市計画図などを活用し,人口の増加時期が異なることが分かるように地域を細かく色分けするなどの工夫をさせたり,店舗などの利用客数などグラフで色分けして表すようにさせたりするなど,地図を有効に活用してまとめるよう指導することなどが考えられる。生徒はこのような分布図を作成する中で,人口が増えてきている地域には宅地化の進行や大型店舗の進出がみられ,両者には密接な関係があることが次第に分かってくる。
<言語活動について>
この地域の今後の課題を考えさせると,生徒はまだ宅地化されていない地域が開発されていくことによって,人口の偏りがさらに顕著になり,一方で人口が減少していく地域が広がり,従来からの商店街が活気を失ってくる可能性があることが分かってくる。このような気付きを,調査したグループなどで意見交換する中で,合理的な解釈になるよう互いに補い合いながら,まとめさせていく。
発表の際には,調査活動で作成した地域の地形や人口の増減の傾向を地区ごとに見やすくした地図,複数の店舗と宅地との位置関係などを描き入れた地図,地域ごとの各店舗の利用客数のグラフなどの解釈の根拠となった地図や調査データをグラフにしたものなどを用いて,地図やグラフなどから読み取れることと読み取った事実から自分が解釈したこととを分けて説明させる。
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「縮尺の大きな地図や統計その他の資料に親しませ,それらの活用の技能を高めるようにすること」(内容の取扱い)における「縮尺の大きな地図」とは,5万分の1よりも縮尺の大きな地図を意味している。また,「統計その他の資料」とは,衛星画像,統計,文書資料,映像資料,現物資料などを意味している。「活用の技能を高める」とは,例えば,それらの地図をもって現地に行き,地図と現地との対応関係を学んだり,地図から関心のある地理的事象を発見したり,地図から地域的特色をとらえ,地域の課題を見いだし,考察したりするなどの活動を通して読図に関する技能を高めることや,観察や調査の活動を通して明らかになったことを地図上に描くといった作図に関する技能を高めたりすることを意味している。「統計その他の資料」に関しては,諸資料の読み取りや解釈などとともに,統計のグラフ化や地図化などの作業を通して地域の課題を見いだし,考察するかたちで,活用の技能を高めることを意味している。
「学習の効果を高めることができる場合には,内容の(2)のウの中の学校所在地を含む地域の学習と結び付けて扱ってもよいこと」(内容の取扱い)とは,例えば身近な地域における高速道路の整備による内陸部への企業進出といった他地域との結び付きにかかわる地理的事象を,内容の(2)の「ウ日本の諸地域」における学校所在地を含む地域の中核となる事象と関連付けて指導したり,野外での観察や調査に適した時期に調査したりすることなどにより学習の効果を高めることが可能な場合には,学校所在地を含む地域の学習の中に身近な地域の調査を位置付けて指導することができるようにしたものである。
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3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)及び(2)については,この順序で取り扱うものとする。
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地理的分野の内容の取扱いの順序は,次のように示されている。
(1) 世界の様々な地域
(2) 日本の様々な地域
「内容の(1)及び(2)については,この順序で取り扱う」と示したのは,次のような理由からである。
@ 小学校社会科との接続の観点から,世界の地理に関する学習を第1学年の当初から学習することとし,地理にかかわる学習の継続と発展を図る内容構成としていること。
A 地理的分野の目標を実現するために,最初に世界を地理的に認識するための基礎・基本である世界の地域構成を大観する学習を位置付け,それに続いて世界の諸地域の学習など世界の地理的認識を養う項目を設定し,その後に世界地理の学習を踏まえて日本の地理に関する学習を位置付け,広い視野から日本の国土認識を深め,全体として地理的な見方や考え方を身に付けることができるような内容構成としていること。
B 教科の基本的な構造や三分野の学習内容の関連性に留意して,第1学年及び第2学年では歴史的分野との連携を踏まえるとともに,第3学年において学習する公民的分野との関連に配慮した内容構成としていること。
以上の理由から,内容の取扱いの順序を示しているのであり,指導計画の作成に当たっては,その趣旨に十分配慮する必要がある。なお,中項目及び内容の(2)のイの小項目についても前後関係を考慮して配列しているので,各中項目の内容の取扱いにおいて例外的な取扱いの記述がない限り,この順序で取り扱うことが望ましい。
それぞれの項目に対する配当時間は,各項目がそれぞれ独自の位置付けによる役割
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を担っていること,その役割を果たすためには時間の確保が必要であること,一方で各項目は相互補完の関係にあるといったことを考慮して,適切に配分し,一つの項目に偏り過ぎないようにすることが大切である。
(2) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用すること。
また,地域に関する情報の収集,処理に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するなどの工夫をすること。
イ 学習で取り上げる地域や国については,各項目間の調整を図り,一部の地域に偏ることのないようにすること。
ウ 地域の特色や変化をとらえるに当たっては,歴史的分野との連携を踏まえ,歴史的背景に留意して地域的特色を追究するよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
エ 地域的特色を追究する過程で生物や地学的な事象などを取り上げる際には,地域的特色をとらえる上で必要な範囲にとどめること。
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アは,地理的な見方や考え方及び地理的技能を指導する際の留意点を示したものであり,従前の記述を引き継いだものである。「地理的な見方や考え方」については,地理的分野の目標の(1)で解説しているので,それを参照されたい。「地理的技能」については,本書の各項目の中で適宜触れてきているが,それらは前回改訂時に整理したとおりである。まず「地理的技能」は,地理情報(地域に関する情報のことであり,地理的事象が読み取れたり,地域的特色に結び付く事象を見いだしたりすることができる資料のことをいう)の活用に関する技能と地図の活用に関する技能の二つに分けられる。ただし,大きくみると,地図の活用に関する技能も地理情報の活用に関する技能に含まれる。しかし,地図は地理的事象を見いだし,考察し,調査結果をまとめ,表現するといった地理学習の各過程において,一つの重要な手掛かりや手立て,
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表現方法となることから,特に取り出している。具体的にそれらの内容を示すとすれば,おおむね次のようになる。なお,それらの技能はいずれも地理的な見方や考え方と密接な関係があり,それを培う学習の中で高まるといえる。
@ 地理情報の活用に関する技能
a 地域に関する情報である地理情報にはどのようなものがあるか,諸情報の中から,地理情報を選別し,また,地理情報の性格,種類などをとらえること。
b そうした地理情報は,どこで,どのようにすれば入手できるのか,地理情報の所在,収集に関する知識や方法を身に付けること。
c テレビや新聞など,特に地理情報として提供されたものでない情報を,どのように加工,処理すれば地理情報として活用が可能となるか,情報の地理情報化の視点や方法を身に付けること。
d 地理情報を使って地域的特色をどう説明,紹介するか,地理情報の処理や表現に関する技能を身に付けること。
A 地図の活用に関する技能
a 地形図や市街図,道路地図,案内書の地図などに慣れ親しみ,どこをどのように行けばよいのか,見知らぬ地域を地図を頼りにして訪ね歩く技能を身に付けること。
b 地図や地図帳に慣れ親しんで,この地名は日本のどこにあるのか,この人は世界のどの付近を訪ね歩いたのかなど,学習や日常生活の中で出てくる地名に関心をもち,その位置を確かめるようになること。
c ここにはどのような地理的事象がみられるのか,この地理的事象がなぜこの地域にみられるのか,既存の地図から地理的事象を読み取ったり,地理的事象を地図を通して追究しとらえたりする技能を身に付けること。
d この調査結果やこの統計は地図に表すことが可能かどうか,地図に表すとすればどう工夫すればよいか,地域の諸事象や情報の地図化の適否を判断し,適切に地図化する技能を身に付けること。
e 略地図を描く技能を身に付け,略地図で位置を示したり,略地図を使って日本や世界にみられる諸事象をとらえ,説明したりするようになること。
「系統性に留意して計画的に指導すること」については,地理的技能は,地理的な
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見方や考え方と同様,一度の学習や経験で身に付くというものではなく,それにかかわる学習を繰り返す中で,次第に習熟の程度を高めるかたちで身に付けるものである。
このため,指導計画を作成する際に,地理的技能の難易度や段階性などに留意して系統的に学習できるよう工夫する必要がある。
「地域に関する情報の収集,処理に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するなどの工夫をすること」については,高度情報通信ネットワーク社会が急速に進展していく中で各学校にもインターネットなどの整備が充実してきている。特にインターネットは各地の地理情報の収集に有効であり,また,コンピュータは地理情報システム(GIS)などから得られる地理情報を地図化したり,グラフ化したりするなどの処理に不可欠のものである。したがって,地理学習においても地理的認識を深めたり地理的技能を高めたりするとともに,情報や情報手段を適切に活用できる基礎的な資質や能力を培う観点から,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を積極的に工夫することが望まれる。
なお,今回「その際,教科用図書『地図』を十分に活用すること」と付言したのは,今回の改訂で小学校社会科,中学校社会科地理的分野,高等学校地理歴史科それぞれにおける地図帳や地図の活用の重視が,中央教育審議会の答申の中にある改善の具体的事項に盛り込まれたことを受けてのものである。教科用図書「地図」,すなわち地図帳には一般図や主題図,その他写真資料などたくさんの地理情報があるが,それらが必ずしも十分に活用されていない状況がみられる。こうした状況を改善し,地理学習がより一層充実することを期した。
イは,具体的に地域や国を取り上げて学習する際の留意点を示したものである。今回の改訂では,「世界各地の人々の生活と環境」や「世界の諸地域」「世界の様々な地域の調査」など,世界の地理に関して具体的な地域や国を取り上げて学習する機会が多い。したがって,内容の(1)のイ,ウ及びエにおいて,この趣旨を徹底する必要がある。いずれにしても,世界の諸地域に関する地理的認識をバランスよく身に付けさせる観点から,一部の地域に偏ることのないよう,項目間で取り上げる地域や国の調整を行うことが必要である。
ウは,分野間の関連を推進する観点から示したものである。各分野の内容は教科の
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基本的な構造に配慮して構成されており,地理的分野と歴史的分野は第1学年,第2学年において並行して継続的に学習できるようにし,さらに,これらの両分野の学習の成果が第3学年の公民的分野において生かされるよう構成されている。したがって,地理的分野の学習において「地域の特色や変化をとらえるに当たっては,歴史的分野との連携を踏まえ,歴史的背景に留意して地域的特色を追究するよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮」して取り扱うことが大切である。その際,歴史的背景の「背景」とは,地理的分野の学習は現在の地域的特色をとらえることに主眼があることを意味しており,「歴史的背景」は現代の地域の特色をとらえる上で必要な範囲において取り上げるようにする。
今回の改訂では,内容の(2)の「ウ日本の諸地域」における考察の仕方の一つとして,「(イ) 歴史的背景を中核とした考察」が示されているが,この場合であっても,「歴史的背景」は現代の地域の特色をとらえる上で必要な範囲における事柄を取り扱うものであることに留意する必要がある。
エは,他教科の関連する学習内容を取り扱う際の留意点について示したものである。
地理学習は現代の諸地域の特色をとらえることに主眼があることから,「地域的特色を追究する過程で生物や地学的な事象などを取り上げる際には,地域的特色をとらえる上で必要な範囲にとどめる」よう配慮する必要がある。
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〔歴史的分野〕
1 目標
歴史的分野の目標は4項目から成り立っている。目標の(1)は歴史的分野の基本的な目標を示している。目標の(2)及び(3)は,歴史上の人物と文化遺産,国際関係や文化交流に関する学習について,目標の(4)は,学習を通して身に付けさせる能力と態度について,それぞれ示している。
(1) 歴史的事象に対する関心を高め,我が国の歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解させ,それを通して我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに,我が国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚を育てる。
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目標の(1)は,歴史的分野の基本的な目標について示したものである。我が国の歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解させることが歴史的分野の学習の中心であり,それを通して我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに,我が国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚を育てることを述べている。
「我が国の歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解させ」については,従前「我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ」とあったのを改めた。これは,歴史的分野の学習の中心は「我が国の歴史の大きな流れ」の理解であり,「各時代の特色」はそのために踏まえるべきものだという位置付けを明確にしたものである。我が国の歴史と関連する世界の歴史を背景に,政治の展開,産業の発達,社会の様子,文化の特色など他の時代との共通点や相違点に着目して各時代の特色を明らかにした上で,我が国の歴史を大きくとらえさせることが学習の中心であることを示している。
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「我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせる」とは,我が国や郷土の伝統と文化の特色を,国際的な視野を含む幅広い角度から考えさせ,それを継承することが大切であることを示したものである。
(2) 国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を,その時代や地域との関連において理解させ,尊重する態度を育てる。
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目標の(2)は,歴史上の人物と文化遺産に関する学習について示したものである。
歴史を具体的に理解させるためには,歴史の展開の中で大きな役割を果たした人物や各時代の特色を表す文化遺産を取り上げることが大切であることを述べている。
人物の学習については,歴史が人間によってつくられてきたものであることを踏まえて,国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物を取り上げ,主体的に社会を変革しかつ歴史の形成に果たした役割について学ぶことが大切である。その際,人物の活動した時代的背景と地域とを関連させながら,その果たした役割や生き方を具体的に理解させる必要がある。
文化遺産の学習については,それぞれの地域的特質と関連付けながら,身近な生活とかかわる文化遺産を取り上げ,抽象的・概念的にならないように留意しながら,風土的条件と文化的伝統及び現在とのかかわりに目を向け,その価値を考えさせてそれらを尊重する態度を育成することが求められる。
(3) 歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ,我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるとともに,他民族の文化,生活などに関心をもたせ,国際協調の精神を養う。
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目標の(3)は,歴史に見られる国際関係や文化交流に関する学習について示したものである。我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせることなどが大切であることを述べている。
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「歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ」る学習については,国際化の進展の著しい社会に生きる生徒に,他民族の文化や生活などに関心をもたせ,我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせて,国際協調の精神を育成することが求められる。
(4) 身近な地域の歴史や具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味・関心を高め,様々な資料を活用して歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる。
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目標の(4)は,生徒が身に付けるべき望ましい能力と態度について示したものである。生徒が歴史を主体的に学習し,歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現することなどが大切であることを述べている。
「身近な地域の歴史や具体的な事象の学習」については,これらを取り上げることでその時代の様子を実感させ,生徒の歴史に対する興味・関心を高めることが求められる。
「様々な資料を活用して歴史的事象を多面的・多角的に考察」する学習については,個々の生徒の学習活動をより活発で主体的なものとするために,文献や絵図,地図,統計など歴史学習にかかわる様々な性格の資料や,作業的・体験的な活動によって得られた幅広い資料の中から,必要な資料を選択して有効に活用することで,歴史的事象を一面的にとらえるのではなく,様々な角度から考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育成することが大切であることを示している。
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2 内容
(1) 歴史のとらえ方
この大項目は,「ア我が国の歴史上の人物や出来事などについて調べたり考えたりするなどの活動」「イ身近な地域の歴史を調べる活動」及び「ウ学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動」からなる。
このうち「ウ学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動」は,「我が国の歴史の大きな流れ」を「各時代の特色を踏まえて理解させ」るという歴史的分野の学習の基本的なねらいを踏まえ,新たに項目として設定したものである。
ア,イ,ウ各項目の学習に当たっては,小学校における学習を踏まえるとともに,指導計画の中に適切に位置付けて内容の(2)以下の学習と密接な関連をもたせる必要がある。
ア 我が国の歴史上の人物や出来事などについて調べたり考えたりするなどの活動を通して,時代の区分やその移り変わりに気付かせ,歴史を学ぶ意欲を高めるとともに,年代の表し方や時代区分についての基本的な内容を理解させる。
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(内容の取扱い)
ア アについては,中学校の歴史学習の導入として実施することを原則とすること。小学校での学習を踏まえ,扱う内容や活動の仕方を工夫して,「時代の区分やその移り変わり」に気付かせるようにすること。「年代の表し方や時代区分」の学習については,導入における学習内容を基盤にし,内容の(2)以下とかかわらせて継続的・計画的に進めること。
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この中項目のねらいは,時代の区分やその移り変わりに気付かせ,歴史を学ぶ意欲
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を高めるとともに,年代の表し方や時代区分についての基本的な内容を理解させることである。
「我が国の歴史上の人物や出来事など」については,小学校において人物を重視した歴史学習が行われていることを受け,その内容を活用するなど「小学校での学習を踏まえ,扱う内容や活動の仕方を工夫」(内容の取扱い)する必要がある。
ア,イ,ウ各項目の学習に当たっては,様々な「調べたり考えたりするなどの活動」が考えられることを踏まえて扱う内容や活動の仕方を工夫し,「時代の区分やその移り変わり」に気付かせるとともに,「歴史を学ぶ意欲を高める」ように指導することが求められる。
指導計画の作成に当たっては,小学校での学習を踏まえ「中学校の歴史学習の導入として実施することを原則」(内容の取扱い)とする。
また,歴史的事象の理解にとって必要な「年代の表し方や時代区分」の学習については,「導入における学習内容を基盤にし,内容の(2)以下とかかわらせて継続的・計画的に進める」(内容の取扱い)必要がある。
イ 身近な地域の歴史を調べる活動を通して,地域への関心を高め,地域の具体的な事柄とのかかわりの中で我が国の歴史を理解させるとともに,受け継がれてきた伝統や文化への関心を高め,歴史の学び方を身に付けさせる。
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(内容の取扱い)
イ イについては,内容の(2)以下とかかわらせて計画的に実施し,地域の特性に応じた時代を取り上げるようにするとともに,人々の生活や生活に根ざした伝統や文化に着目した取扱いを工夫すること。その際,博物館,郷土資料館などの施設の活用や地域の人々の協力も考慮すること。
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この中項目のねらいは,地域への関心を高め,地域の具体的な事柄とのかかわりの中で我が国の歴史を理解させるとともに,受け継がれてきた伝統や文化への関心を高
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め,歴史の学び方を身に付けさせることである。
身近な地域の歴史を取り上げることによって,地域への関心を育て,我が国の歴史により具体性と親近感をもたせながら,その理解を深めることが大切である。
「身近な地域」とは,生徒の居住地域や学校の所在地域を中心に,生徒による「調べる活動」が可能な,生徒にとって身近に感じることができる範囲であるが,それぞれの地域の歴史的な特性に応じて,より広い範囲を含む場合もある。
「地域の具体的な事柄とのかかわりの中で我が国の歴史を理解させる」については,身近な地域における歴史的事象を取り上げることで,具体性や実感をもたせながら,我が国の歴史の動きを理解させることを意味している。
学習に当たっては,生徒による「調べる活動」となるようにし,「人々の生活や生活に根ざした伝統や文化に着目した取扱いを工夫する」(内容の取扱い)とともに,身近な地域における具体的な歴史的事象からその時代の様子を考えさせるなどして,「受け継がれてきた伝統や文化への関心を高め,歴史の学び方を身に付けさせる」ようにする。その際,「民俗学や考古学などの成果」(内容の取扱い(1)カ)を生かし,「博物館,郷土資料館などの施設の活用や地域の人々の協力も考慮する」(内容の取扱い)ようにする。
指導計画の作成に当たっては,「地理的分野との連携」や「公民的分野との関連」(内容の取扱い(1)エ)にも配慮し,「内容の(2)以下とかかわらせて計画的に実施」(内容の取扱い)する必要がある。
ウ 学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動を通して,各時代の特色をとらえさせる。
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(内容の取扱い)
ウ ウについては,内容の(2)以下の各時代の学習のまとめとして実施することを原則とすること。その際,各時代の学習の初めにその特色の究明に向けた課題意識を育成した上で,他の時代との共通点や相違点に着目しながら,大観や表現の仕方を工夫して,各時代の特色をとらえさせるようにすること。
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この中項目のねらいは,学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動を通して,各時代の特色をとらえさせることである。「我が国の歴史の大きな流れ」を「各時代の特色を踏まえて理解させ」るという歴史的分野の学習の基本的なねらいを踏まえ,新たに項目として設定したものである。
「時代を大観し表現する活動」とは,学習した内容の比較や関連付け,総合などを通して,政治の展開,産業の発達,社会の様子,文化の特色など他の時代との共通点や相違点に着目しながら,「つまりこの時代は」「この時代を代表するものは」など各時代の特色を大きくとらえ,言葉や図などで表したり,互いに意見交換したりする学習活動である。これによって,「思考力・判断力・表現力等を養う」とともに,各時代の特色を生徒が自分の言葉で表現できるような「確かな理解と定着を図る」(内容の取扱い(1)イ)ことが求められる。多くの事象を個別に「覚える」だけの学習ではなく,各時代の特色などひとまとまりの学習内容の焦点や脈絡が「分かる」学習を実現していくことが重要なのである。
学習に当たっては,「各時代の学習の初めにその特色の究明に向けた課題意識を育成」(内容の取扱い)するための,学習の動機付けが求められる。例えば,生徒がもっているその時代のイメージを表現させたり,前の時代との違いを予想させたりすることなどが考えられる。これによって,その時代全体の特色をとらえることが学習の基本的なねらいであることを意識して学習を進めさせることが大切である。
指導計画の作成に当たっては,「内容の(2)以下の各時代の学習のまとめとして実施することを原則」(内容の取扱い)とする。その際,「大